やっと決まりました。2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は25日、アーティストの野老朝雄さん(46)の作品「組市松紋(くみいちまつもん)」を新しいエンブレムに選んだ。組織委は慎重に選考を進めたが、厳格さゆえに当初は選考方法に含めていなかった「敗者復活」が生じるなど混乱もあった。
組織委などは1月の審査で最終候補4点と、類似など不測の事態に備えて選んだ次点の4点について、国内外で商標調査と商標登録の出願手続きを行った。その結果、類似性などの問題で最終候補の3点、次点の2点の計5点が除外され、一度は選外となった1点が繰り上がっていた。
組織委は野老さんの作品が、繰り上げの1点ではなかったことを明らかにしたが、最初に選んだ最終候補に入っていたかどうかについては言及しなかった。非公表の理由は「4作品すべてを横一線で審査した」などの説明に終始した。繰り上げは2月1、9日のエンブレム委員会で対応を協議し、1月の審査で落選した56点からエンブレム委員が再投票して1点が選ばれた。
組織委の中村英正・企画財務局長は「残る3作品も商標調査で難点が示されると、さらに公開できる作品が少なくなると危惧した」と釈明した。組織委が「敗者復活」を公表したのは、最終候補4点を発表した今月8日。しかし、選考の公正性や透明性に欠けるとの批判、経緯説明を求める声が上がっていた。敗者復活もあったらしいが、いずれにしてもエンブレムは決まった。