フリードリヒの日記

日常の出来事を、やさしい気持ちで書いていきたい

異界への入り口

2010年06月08日 08時16分55秒 | 社会・政治・思想哲学

 水木しげる氏は、漫画家であると同時に妖怪研究家である。
 妖怪はスピリッツ(精霊)の一種である。不思議なことにというべきか当然というべきか分からないが、精霊は世界中どこでも存在する。そして精霊は現実世界と異界の狭間で現れることも、世界共通である。
 特に日本のような科学の高度に発達した先進国では、そのような精霊はないものとして生活している。実際私も見たことがない。
 ただ、子供の頃、お盆で、先祖の霊を受け入れるための準備をして夜を待っていると、見えないものの霊の存在をたしかに感じられた。これは、理屈では説明がつかないが、皆感じていることではないかと思う。

 人間の心もしくは脳は、構造的に霊を感じるようにできている。本当にいるかは別として。
 人間は、死者(超越者)との会話を求めるように働く

 水木氏は戦争に行って多くの仲間を失っている。また、自身は戦地ニューギニアでマラリアにかかって現地の人たちに助けられている。彼はマンガが全く売れず貧乏になっても気にしないで、描き続けている。まるで描くという行為によって誰かにメッセージを送っているかのようにだ。
 人は、生死を共にすると強烈な連帯感が生まれる。
 生き残ってしまった者から、死んでしまった者のへのメッセージ。

 精霊は、人が異界の入り口に立ったとき現れる。そのような入り口に立つために彼は、マンガを描いているのかもしれない。

コメント
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