言葉を自由に連想するゲームで、コンプレックスという概念をユングは、発見した。
さらに、この個人のコンプレックスより深い無意識の領域があると考えた。
つまり、個人を越えた集団・民族・人類のなかに共通する心があると。
多くの人の夢や空想に現れるイメージは、さまざまな時代や民族の神話にも共通して存在する。
このことから、個人を超えた民族や人類に共通する無意識があると考えられる。
そのような共通の無意識を「集合的無意識」と名づけた。
例えば、日本の神話「古事記」などを分析することによって日本人の集合無意識を見出すことができる。
神話は口伝えで長く伝わってきたため、多くの人間の無意識によって物語が変化していったと考えられるからである。
人間の行動や思考・判断は、個人の内面と外部世界が相互に影響しあって決まっていく面がある。
しかし、それだけではない。個人は集合的無意識にも影響される。
だから、集合無意識を分析することで自分では予測不能な行動を説明しうる場合もある。