あの日、渋谷ハチ公前にて・・・。

　　　　　　　　　　＜秋の味覚をいただきました～豊水♪＞

ジューシーな梨をほおばりながら
ＯＮしたテレビに映る渋谷ハチ公前の街頭演説。

この場所は私にとって
ただの待ち合わせ広場ではない。
夢のようなひとときを過ごした場所でもあるのだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

秋といえば芸術の秋。

大学時代、音楽関係のクラブに所属していた私は
この季節になると忘れられないステージを思い出す。

オーディションを受け、
学生選抜のオーケストラに参加したのは二十歳の頃。

毎週のように
ＮＨＫホールのリハーサル室に通って練習を積み
約３ヶ月間、音楽の本質をたたき込まれた貴重な日々。

天にも昇る緊張感を抱きしめつつ
本番の日を迎えるのであった。

ＮＨＫホールでのコンサートは
Big Wednesdayのような大きい波にのみ込まれながらも
決して流されることなく
不思議な心地よい揺れに身をゆだね奏でている自分

・・・そんな感覚を味わった。

　　　　　　　　　　　　　

大舞台での感動を共に味わった仲間との打ち上げは
もう～大盛り上がり！

but、ここからが大学生である。

誰が言い出したか
真夜中の、ハチ公前ゲリラライブを決行しよう～！
ということになった。

管弦楽、マンドリン、合唱の三部門、
総勢１００名以上の大シンフォニック・オーケストラ。

リーダーのかけ声を合図に
おもむろにケースから楽器を取り出し
調弦をはじめる私たち。

ほろ酔いかげんの道行く人々は
「何がはじまるんだ？？」という顔つきで、
ひとり、ふたりと立ち止まった。

そうこうしている間に真夜中の渋谷ハチ公前は
大勢の人だかりとなったのである。

コンマスの右手がサッ！と上がったとき、

今がチャンス！とばかりに
都会の夜空に向かって大演奏会をはじめた。

これがこのメンバーで弾く最後のステージ。
みんなの思いは一緒だった。

数曲を奏でたあと、最後に演奏するは
三部門合同の“浜辺の歌”。

驚いたことにこの大シンフォニック・オーケストラに合わせ
周りで聴いていた人々も一緒に歌い始めたのだった。

あし～た～浜辺～を～
　　さ～ま～よえば～

道玄坂、宮益坂、公園通り・・・、
渋谷の街中に響き渡るような音符たちを
真夜中の大きな星空が包んでくれた。

最後は「ブラボー！」の大歓声！
そして拍手！拍手！

渋谷ハチ公前が
信じられない夢のコンサート会場になった瞬間だった。

　　　　　　　　　　　　　

「すいませ～ん。」

夢から（お酒が！？）醒め、
そそくさと楽器をかたずける私たち。

いかつい顔をした交番のおまわりさんが
「いい演奏だったよ。」と微笑んでくれたのが
またうれしかったっけ・・・。


うそのようなホントの話。
１９８０年代のことである・・・。




　　　　　　
“そういえば、ハチ公前で…”に応援よろしくお願いします！

破天荒な仲間たちに囲まれていた学生時代でした。
　　ときどき思い出しては鼓舞する私です♪