電脳くおりあ

Anyone can say anything about anything...by Tim Berners-Lee

1千億の不思議

2004-10-02 17:38:51 | 日記・エッセイ・コラム
 これまでに地球上に生存したすべての人間の数は、1千億人と言われている。また、全く偶然にも銀河系には、1千億個以上の星が存在するといわれている。更に、人間の脳の神経細胞(ニューロン)の数も1千億個だそうだ。人間は1人ずつ自分の星を持っているのだし、人間の脳の神経細胞も銀河系の1千億個の恒星と1対1に対応しているのかもしれないという楽しい想像ができる。

 これは、全く偶然であり、現在では銀河系の星の数は2千億個といわれているし、地球の人口は爆発的に増加しているが、私たちは大きなロマンを感じることができる。銀河系のすべての星々が、それぞれ万有引力によって関係づけられている。地球上のすべての人間も何らかの関係を持ちながら生きている。さらに、人間の脳の1千億の神経細胞(ニューロン)は、それぞれシナプスと呼ばれる数千以上の結合を他の神経細胞と作り上げ、複雑なネットワークを形成している。

 銀河系の星、人間、神経細胞の間には、特別の関係が発見されているわけではないが、いつか何らかの関係が、発見されるかもしれない。なぜなら、それらは、もともと、同じ物質からできているのであり、宇宙の進化の中で発生してきたものだからだ。関係ないわけがないのだ。しかも、おそらく、そこには思いもかけない関係があるように気がする。

 量子電磁力学の繰り込み理論の完成で、朝永振一郎と一緒にノーベル物理学賞を受賞したアメリカの物理学者、R.P.ファインマンが「人類の至宝」といった、オイラーの公式は、
e + 1 = 0
と表現される。これは、オイラーによって1748年に定式化されたものである。数学において重要な数である円周率(π)とネピア数(自然対数の底e)と虚数(-1の平方根であるi)を、全く起源が異なるにもかかわらず結びつけてしまう。しかも式の中には 0, 1, i という極めて基本的な数しか現われない。見れば見るほど、美しく、不思議な式に見える。

 このオイラーの公式こそ、小川洋子著『博士に愛した数式』のなかで、博士の姉と主人公の家政婦が諍いをしたとき、博士が書いて博士の姉を優しく諭したその数式のことだ。つまり、博士の愛した数式のことだ。多分、博士と博士の姉と主人公の家政婦という三人の関係を象徴している。家政婦は博士の一家にとって外部からやってきた、関係のない存在のように見える。80分しか続かない記憶のために、毎日新しい存在として博士の前に出現する家政婦は、博士にとって虚数のようなものである。しかし、たとえ虚数であっても、それが存在することによって、美しい数式が成立しているのである。あるいは、その美しい数式には、虚数は必要であるのだ。

 いつの日か、私たちは、この宇宙(自然)と人間と人間の脳の不思議な関係の秘密が分かるときが来るかもしれない。それまでは、この人間の内(脳)と外(宇宙)をしっかりと見つめて生きていきたい。なんだか、とてつもないことを書いているよう気がしないでもないが、ただ社会の小さな問題だけでなく、気持ちを切り替えることが大事だと自分に言い聞かせて見ただけだ。子どものことで、妻とちょっとした諍いを起こしたので。

コメント
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