海斗はギターを弾きます。
を英語にすると、
Kaito plays the guitar.
となります。
これを理解するには、三単現のsにかかわるルールを学ばなければなりません。
主語が三人称・単数で現在形の場合、動詞にsがつく、というルールです。
今回の中1の期末テストの範囲になっていますが、
学校ではこのあたりでギブアップしたくなる生徒が多数出てくることでしょう。
三単現のsのルールを説明するには、「主語」とはなんぞや、ということも認識できないといけません。
この問題の場合は、日本語で「海斗」英語で”Kaito" になります。
「~は」や「~が」の助詞がついているのが主語だ、とわかるわけです。
英語を学ぶ前提として、小学生程度の国語文法の知識が最低限必要になるのです。
ところがこの国語の能力がやや低めなのが多久の生徒に共通する問題です。
主語ってなんですか~?とか、動詞ってどれですか~?といった質問は、
繰り返し何度も授業の中で聞かれますし、逆にこちらから何度も確認の問いを投げかけます。
何度も何度も繰り返してやっと、理解が進んでいきます。
そうしてなんとか皆が慣れてきた頃になって、「ヤツ」は現れます。
海斗は猫が好きです。
英語に直すと
Kaito likes cats.
簡単に思えますよね。でも、日本語をよく見て下さい。
海斗「は」猫「が」好きです。
言いたいことは伝わりましたでしょうか?
この問題を見た生徒の一部からこう問われます。
「先生これどっちが主語ですか?」
当然、「海斗」が主語なのですが、
「でも猫にも「が」ってついてますよね~」
と返されるとさあ大変です。
正確に伝えるならば、日本語だと「好きです」というのは「好きだ」という形容動詞で、
「好む」という述語(動詞)をあてはめると猫「を」好むになるよね云々。
などと滾々と説明するわけには行きません。英語の授業です。
Kaito can play the guitar.
のような、canの文でも
「海斗はギターが(を)弾ける」
という訳が日本語でも成立してしまって、さらなる混乱を生みます。
(私はとりあえず like,want,needの時やcanを用いた文の例外的な訳として収めます)
学校の英語の先生がこのあたりをどう捌いているのか、本当に見てみたいです。
さて、実はこういった主語問題は日本語でずいぶん長いこと論争になっている問題でもあります。
(厳密に言うと全く違うのですが、見た目上の似た話として下のものを取り上げます)
「象は鼻が長い。」
さて、主語は何でしょう?
鼻が長いのは象だから象が主語だとも言えますし、
長いのは鼻だから鼻が主語じゃないのか、とも言えます。
詳しくは同名の新書、 象は鼻が長い(三上章 著)をご覧いただければ幸いです。
少なくとも私がここで結論を書くことは出来ないくらい、深い問題です。
そんなこんなを考えながら、英語の授業を日々工夫しております。
それに比べれば今度の期末テストで問われる内容の何と簡単なことか!
みんなで100点を目指しましょう!
などというのは牽強付会に過ぎますが、平均90点くらいは余裕を持って取らせようと思います。
大塚