長生き日記

長生きを強く目指すのでなく良い加減に楽しむ日記

462  桑と蚕

2017-05-18 18:41:39 | 日記
  カイコは桑を餌として飼育される。なぜ他の植物ではだめなのか?ホントに桑だけしか食べないか?桑の葉のどこが良いのか?良い成分があるからか?悪い成分がないからなのか?桑の葉とほかのキャベツなんかの葉と混ぜたらどうだろう?桑は他の虫にあまり食われないような気がするが、なぜ? こういう健全な疑問は良いものだがそれを調べるのはとても大変なのだろう。日本で伝統的に強い養蚕(学)はそれをかなり解決してきて、現在は桑の葉を与える伝統的な養蚕でなく人工飼料で飼うのが主流らしい(よく知らないが)。
  僕がカイコを飼う(それが目的ではないが)研究室にいた50年前はそこいらの問題に熱く取り組む人たちがいたようだ。まだあまり食いのよくない人工飼料の試供品が使われ始めていた。桑の葉にはカイコガ噛みつく刺激になる物質、のみこみを刺激する物質があることが分かってきていた。カイコの方でもそれを探知する神経、顎を動かす神経などの解析が進められていた。養蚕学が専門でない僕は聞きかじりで詳しくはない。ただ、実践的いたずら好きなので、蚕の髯をきって桜の葉を食うかとか試していた。そうそう、思い出した。飼っていたカイコの糞を水で溶いて桑の葉に塗ったり、蚕の血液を塗って桑の葉が食われるかも調べた。食わなかった記憶がある。だから、ある成分があること、だけでなくいやな成分がないことも必要な条件ではなかろうかと考えた。考えるだけで突き詰めない悪い癖の僕はそうして専門家にならなかった。養蚕学の研究室では本気でそういうことに取り組んだいたのかどうかは知らない。考えてみれば、そんな解析が進まなくとも、伝統的に桑畑から桑の葉を摘んで養蚕していれば、支障はないのだよね。科学とはなんぞや。
  それから30年以上たって、教養の生物学実習を担当することになり考えた末、カイコを飼育させることにした。その経過については昔のうずら日記に書いた気もするのでここではやめる。その時、あるグループが、カイコが死んでしまうのですと相談に来た。「殺虫剤のついた桑をやったのではないか?」(そういう例が何回かあったので)、と言ったが違うという。ついていってみたら、桑のようなもっと毛が生えている葉を与えていた。どうもカジノキの葉らしい。僕は知らなかった。へー、コウゾやカジノキ(いずれもクワ科)を食うのだ!でもなぜ死ぬのだろう?自分でもそれで飼ってみると食うのだが、カイコは全く成長しない、というかだんだんしぼんでいく!(やがて死ぬ)。どうなっているのだろう、何かを検索すると、これらは桑に比べてカイコにとっての毒成分の含量が多いかららしいとわかった(断片的な情報を繋いで考えると)。桑が他の虫にあまり食われないのは、この成分が昆虫の糖吸収を抑制するらしい。カイコはこれに耐性があるようだが、他のクワ科やイラクサ科にはもっと強く含まれているからではないか。天然物有機化学や昆虫生理学などなど関係する。僕はもうここいらでやめたいが詳しく知らべたい方はよろしく。


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