松下という言葉は今後使われなくなる可能性もあるのだろう。それでもいいのではないかと、何となく納得している。というのは、パナソニックの ideas for life というブランドスローガンは雄弁で、松下のこれまでと今後の全てを語ることができそうだ。そしてそれは行動基準にも落とし込まれている。ideas for life で行ける、という確信が出来たから、今回の意思決定に至ったのだろう。( ideas for life のプレゼン:http://panasonic.co.jp/ideas-for-life/ )
一方、古くからの「松下綱領」と「遵奉すべき精神」というのは東洋思想っぽすぎて英語に訳せなさそうだし、真剣にその内容を定義しようとすると頭が混乱しそうだと感じていた。松下綱領をグローバル化できるのであれば、松下の名を冠して残すべきだったのであろうが・・・ (松下綱領と行動基準等:http://panasonic.co.jp/company/philosophy/conduct/03.html )
あるいは、松下幸之助が、自らの信じる東洋思想を背景にした理念をPHPに普遍化しようとしたことで、逆に動きがとれなくなり、松下の名前はPHPに閉じ込められてしまったと言えるのかもしれない。その意味で、思想家を目指した松下幸之助と彼が担ごうとした東洋思想の敗北であると言えるのかもしれない。
『松下ウェイ』(フランシス・マキナニー著)のP.208以降に、ボブ・グリーンバーグと、ブランドコンサルティング会社のランドー社によるものであることが書かれている。
このブランドの見直しのストーリー、読み直してみたら上の訳書には一部省略されているところがあるし、訳も変なところがあるので、下の原書の方がお勧め。
|
Panasonic: The Largest Corporate Restructuring in History
Truman Talley Books
このアイテムの詳細を見る
|
※追記
ideas for life とは朱子学の理気二元論を表現したものだろうか、と推測したりもするが、松下幸之助の哲学が研究されたということは、上記のストーリーには出てこない。純然たるブランド認知分析方法論に則ったものとして描かれている。ただそれが結果として、松下幸之助の理念を反映するものとして運用できるものになったのかもしれない。