人材マネジメントの枠組みに関するメモ
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しまむら会長の藤原秀次郎氏が、2006年に出揃った地方都市の中心市街地の活性化を主な目的とした「まちづくり3法」について、その不十分さを指摘している。まちづくり3法は中心市街地の小売業の問題をとらえていない、と指摘している。商店街の問題は「商店街全体で品揃えの幅を持たせる面の戦略」をとるために必要な意思統一や品揃えの難しさにある、と指摘している。そして、「まちづくり3法」は、それらの問題をとらえずに、道路や土地や上物の整備に税金をばらまくだけに終わりかねない、と警鐘を鳴らしている。そして、まず「どのような街づくりを目指すのか」という基本構想とデッサンが必要である、と述べている。

街の中の、ヒトやモノや不動産の出入りを活性化させる、タウンマネジメントが必要である。活性化の手段として、ヴィジョンに向けてヒトやモノや不動産を動かすために街の構成員を組織化することも含まれるし、あるいは、街の不動産取引を活発化させるなど市場を整備することも含まれるだろう。いずれにしても、街を、共通のヴィジョン実現を目指す「組織」として機能させることが必要である。道路や土地や上物の整備よりも、むしろ、「タウンマネージャー」を育成する施策の方が、お金の使い方としては、はるかに有効なのではないか。

タウンマネージャーの育成と派遣、ということは、実際に地方自治体の施策テーマになり始めているようである。しかしながら、その成果が目に見えて上がっているという話はまだ聞かない。それは、街づくりという目標が、抽象的、遠大すぎて、関係者を束ねようにも雲をつかむような話だからではないか。

街づくりにおいて関係者の意思統一ができるきっかけとなるのは、多くの場合、「大規模商業施設反対」「高層マンション建設反対」など、共通の「敵」ができた場合である。明確な目的とゴールができた時に始めて、組織が生まれ、機能し始める。

反対運動というのは一つの例だが、いずれにしてもまずは、ステップを踏んで、一段階ずつ、明確な目的とゴールを設定することが必要である。最初のステップとしては、例えば「空き店舗を減らす」という目的で十分ではないか。空き店舗を数える、空き店舗が生じたならば直ちに代わりのテナントを探し回る。街の空き店舗情報を集約化してわかりやすく不動産情報流通に載せる、空き店舗の状況について毎月数字を共有する。組織の「情報ハブ」としてタウンマネージャーは必須、NPOなどを利用してともかくタウンマネージャーを一定期間置くようにする。

まちづくりのような遠大なテーマであればこそ、「段階論」「ステップ論」の共有が必要である。



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