坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

遠藤利克展 原初の力と対峙する

2010年07月29日 | 展覧会
私たちの身の回りのものや風景においても、現代では人工的なものに身をまとっています。自然と言ってもそれは人の手の入った自然であり、古代的、原初的な自然の成り立ちに触れる機会は稀と言えるでしょう。青森の白神山地や屋久島の奥深く分け入ると、霊験あらたかな趣に触れることもできるかもしれません。
掲載作品 巨大な木の塊で炭化した黒々とした肌合いに重量感を感じさせます。遠藤利克さんが1970年代より一貫して追求する水、木、土、火といった原初的な素材を用いて、「円還」シリーズに代表される幾何学的な形の作品のひとつです。
遠藤利克さんの宇宙観、人間存在のエネルギーを現代に掘り起こす展覧会が開かれます。一貫した視点がどのように進化しているか楽しみです。

●「遠藤利克展ー欲動⇔空洞」
  アートフロントギャラリー/8月17日~9月5日/Tel 03-3476-4869

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