坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

ボストン美術館 日本美術の至宝

2011年11月16日 | 展覧会
何やら物思う人、それとも何か探し物?初冬の気配漂う上野公園の一角。奏楽堂から東京藝大へと続く道筋は、両側が学生たちの彫刻が点在するプロムナードになっています。
来年、春、東京国立博物館開館140周年を記念して開催される〈ボストン美術館 日本美術の至宝〉の記者発表会がある同館の平成館に向かう途中の景色です。
ボストン美術館と言えば、東洋美術の殿堂と知られ、質の高い日本コレクションは、当館草創期に在職し、明治期に日本画の復興を唱えたアーネスト・フェノロサや岡倉天心が東洋美術コレクションの礎を築きました。
80年代にもボストン美術館の日本絵画展が開催されましたが、今回特徴的なことは、日本びいきの大コレクターであったウィリアム・スタージス・ビゲローのコレクションが修復を終えて初公開されることです。
中世の仏像や仏画をはじめとして、長谷川等伯の水墨画、若冲の初期の鸚鵡図、平安時代の「平治物語絵巻」、光琳「松島図屏風」などが一堂に里帰りするなど見どころはたくさんあるのですが、本展の一押しは、江戸の鬼才、曽我蕭白の雲龍図のお目見えです。



東博の絵画・彫刻の田沢室長が展覧会の見どころを説明しているところです。「雲龍図」は5年前から修復を開始し、襖からはがされた状態であったため門外不出となっていましたが、このほど関係者の尽力で世界初公開が実現します。エネルギーみなぎるド迫力の雲龍図が春の空を駆けのぼります。

◆ボストン美術館 日本美術の至宝/12年3月20日~6月10日/東京国立博物館 平成館
 http://www.boston-nippon.jp/


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