坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

「和展」ちぎり絵の魅力とは

2010年04月18日 | 展覧会
4月21日(水)から25日(日)まで、東京・上野の森美術館で第19回「和展」が開催される。主催は日本和紙ちぎり絵協会。全国の和紙ちぎり絵作家で構成されている公募展である。「日展」ならぬ「和展」とは、どんな内容の展覧会なの? と思われるはず。和紙と言えばある程度厚みのある手触り感のある肌合いを思われるだろうが、現在ではごく薄い和紙まで、絵の具ほどの色のバリエーションで揃えられている。この展覧会は、その絵の具替わりの和紙をさらに剥いで濃淡の調子をつくって重ねて、風景や人物画、静物画を描いた作品が並ぶ。「これが和紙で全部手で剥いだり、ちぎったりしてできた作品?」と初めて会場に訪れる方は、個々の作品に近寄ってじっくり鑑賞。大きさは30号、50号と広がっている。私は機関紙の編集と記事執筆を長年担当させて頂き、その優しい風合いは油彩や水彩とはまた異なる魅力があることを年々感じてきた。審査員のお1人である日展の日本画家の三谷青子氏は「貼っていく潔さ、大胆さに魅力があります。」とちぎり絵ならではの技法と素材に賛辞を送られている。控え目であるが、しっかりと立っている日本女性(今は懐かしい?)のような作品群に会いに来ませんか。

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