坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

カポディモンテ美術館展の見どころ

2010年04月28日 | 展覧会
〈仏像女子〉が話題になっているのだから〈美術史女子〉(男子がいてもいいんですけどね)がいてもおかしくない。美術検定に応募する人数は結構な数にのぼる。そんな美術史好きな人にお勧めの展覧会が相次いでいる。6月26日から3ヵ月国立西洋美術館で開催される「カポディモンテ美術館展」もその一つ。ナポリの街を見下ろす丘に建つ荘重な趣の宮殿は、歴史あるブルボン家の宮殿で、16世紀を中心にしたコレクションの一般公開のため今に美術館として受け継がれている。国立西洋美術館と言えば、あなたも前庭のロダンの彫刻の前で写真撮ったことあるでしょう。世界遺産の候補にもなったことがあるフランスのル・コルビュジエの設計。カラヴァッジョを始めとしてバロック絵画の人気が高まっているが、光と影のコントラストを強調した構成。人間味のある辛辣な表情など現代に通じるものがあるのでしょう。本展の華とも言うべき代表的作品が、パルミジャニーノ「貴婦人の肖像(アンテア)」。暗闇をバックに鮮明に浮かぶ美しい肖像のモデルは、画家の愛人だったとか。豊かな、でも上品な装飾を施したドレスとともに彫像的なタッチで丹念に掘り起こした肖像画は愛の賜物か。やっぱり愛は世紀の芸術を生み出すのですね。

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