坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

仏教伝来の道 平山郁夫と文化財保護

2010年10月01日 | 展覧会
日本画家の平山郁夫さんは、シルクロードシリーズで人気を博し、最も広く知られる代表的な日本画家として活躍されましたが、昨年12月に79歳でお亡くなりになりました。その1年くらい前から体調を崩され、要職を退かれたりで、美術界に激震が走ったことが思い起こされます。その代表的なシルクロードの作品は、平山さんの壮大な画業の一断面であり、仏教伝来の道を辿るという大きな根幹がありました。
来年1月中旬から東京国立博物館で開催される本展は、平成12年に薬師寺玄奘三蔵院に奉納された「大唐西域壁画」全13面、全長37メートルの壁画が展覧されることが大きな特徴です。もう一つは、長年にわたって文化遺産の保護に尽力され、インドから中国を経て日本に伝来した仏教の道筋をたどり関連遺跡を旅する中で制作された作品や、ガンダーラやバーミヤンの美術品などを展示しかつてこの地から諸外国に持ち出された美術品を保護・公開して文化財の重要性を訴える平和への祈りが込められていることです。
・掲載画像は、記者会見で本展で展覧される仏教遺跡の説明をされる東京国立博物館の企画部長の様子です。
タリバーンによるバーミヤン大石仏破壊に抗議するその前後に描かれた作品など今日的なテーマが盛り込まれています。
●「仏教伝来の道 平山郁夫と文化財保護」/東京国立博物館
  2011年1月18日~3月6日

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