坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

トリックアートの世界展ー不思議のいろいろ

2010年05月11日 | 展覧会
「トリック・アートの世界展」だまされる楽しさと題した展覧会が、損保ジャパン東郷青児美術館で(7月10日~8月29日)開かれます。ちょうど夏休み期間で、家族、友人たちといろんな絵画の面白さを楽しんでほしいということで、トリックをキーワードとしています。トリック・アートといってもさまざまで、古代ローマの邸宅にも壁に描かれたもう一つの部屋への入り口。今では鏡を使って部屋を広く見せたりしますが、家主の遊び感覚もあったのでしょうか。私たちの視覚には、盲点や錯覚がいかに多いか、バラエティ番組などでも取り上げられています。ルネサンス時期に確立した画面の遠近法も、われわれが窓から実際に風景を見るような錯覚をつくりだす精妙なトリックと言えるかもしれません。この展覧会においても代表的な画家、美術家たちが虚と実が交錯するもう一つのリアリティの世界を巧みに映し出してくれます。上田薫「なま玉子」スーパー・リアリズムを突き詰めていくと、やっぱりどこか変? 正統な写実技法の奥の深いこと・・・。

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