坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

スペインの巨匠 ミロ 色踊る版画

2011年11月25日 | 展覧会
来年で開館10年を迎える川越市立美術館は、蔵造りで知られる街並みにあった建物の外観になっています。
孤高の原野などを描いた相原求一朗など、川越ゆかりの作品を収蔵し常設展を開設するとともに、企画展も随時開催。
現在開催中のミロ展は、初期の版画のシリーズを含むミロのライフワークともなった版画制作の晩年までの作品145点が展覧されています。
日本でもファンの多いミロ。ピカソ、ダリと並んで20世紀スペイン絵画を代表するホアン・ミロは、初期シュルレアリスムグループの重要な仲間のひとりで、先導者のブルトンをはじめとするシュルレアリスムの詩人たちと親交をもちました。ダリと同じくスペインのカタロニア地方の出身でバルセロナの美術学校に学んだミロは、パリで出て詩人仲間から多くの影響を受け、その中にトリスタン・ツァラもいました。
本展では、1928年の初期の版画シリーズ「一羽の小さなカササギがいた」から1940年代の「独り語る・トリスタン・ツァラの詩」のシリーズなど、表紙などを飾った興味深い作品が展示されています。
ミロと言えば、太陽、月、星、女など自然の存在を奔放な造形力で構成した作品が代表的ですが、故郷のカタロニアの風景や大地、農場などは生涯を通じてミロのイマジネーションの源泉となっています。
「一羽の小さなカササギがいた」には、原色鮮やかな魅力と軽やかな遊戯性があいまっています。

◆スペインの巨匠 ミロ 色踊る版画/開催中~12月11日/川越市立美術館

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