坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

フェルディナント・ホドラー展  線の画家

2014年10月31日 | 展覧会
身体的リズムのある刻むような線の律動が画面に走っています。生のリアリズムを画面から発散せている。19世紀末のスイスを代表する画家、フェルディナント・ホドラー。気迫のこもったスケール感が魅力です。
待望のホドラー展が実現しました。近年ではフランスやアメリカでも相次いで個展が行われるなど、その存在にはあらためて国際的な注目が集まっています。
ホドラーは、世紀末の象徴主義に特有のテーマに惹かれる一方、身近なアルプスの景観を繰り返し描きました。また、類似する形態の反復によって絵画を構成し、人々の身体の動きや自然のさまざまな事物が織りなす、生きた「リズム」を描きだすことへと向かいました。
ベルン美術館をはじめ、スイスの主要な美術館と個人が所蔵する油彩、素描など約100点によりホドラー芸術に迫ります。
掲載作品は、〈悦ばしき女〉1910年 ベルン美術館

◆フェルディナント・ホドラー展/開催中~2015年1月12日/国立西洋美術館
 ・2015年1月24日~4月5日・兵庫県立美術館