坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

写実の可能性と大いなる挑戦ー新規収蔵展

2012年09月05日 | 展覧会
千葉市の昭和の森に隣接した緑豊かな環境のなかに建つホキ美術館。
写実専門の美術館としてオープンして今年の秋、2年を迎えます。現代の写実画派の超絶技巧の醍醐味を味わおうと、首都圏はもとより地方の遠方からの観客も多く来場。
民間の美術館ならではの描き下ろしの大作をお披露目するなど特色が生かされています。掲載作品は、現在開催中の名品展(11月11日まで)から、生島浩さんの「Card」2005年。
生島さんは、ウィーン他に5年滞在し、フェルメール作品などを模写し続け古典技法を取得し、自らの表現に生かしています。
11月下旬から開催される新規収蔵展では、生島さんを含め、女性美の大家、森本草介さん、人間存在の深淵を描く野田弘志さん、優麗なヨーロッパの古城などの風景で知られる羽田裕さん他、未発表の新作約20点と、新規収蔵品約20点、計40点を中心に、60点の作品が展覧されます。
17世紀のフランドル・オランダ写実画や近代のスペイン写実派、またはアメリカのスーパーリアリズム表現など、現代のリアリズム画家は幅広く写実派の技法を研究しつつ、日本の感性を織り込みながらリアリズム絵画を探究しています。
女性美が一つの大きなテーマとなっていますが、フォルムの曲線の美しさなど、日本画の裸婦に通じるような清潔感を感じさせます。

◆写実の可能性と大いなる挑戦ー新規収蔵展/11月21日~13年5月19日
 ホキ美術館(千葉市緑区)
☆現在開催中の〈現代の写実。ホキ美術館名品展〉は下記に巡回します。
 ・12月12日~12月31日/大阪・阪急うめだ本店「阪急うめだギャラリー」