漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

尊王攘夷

2021年06月23日 | 歴史

私の子供のころ、
幕末を舞台とした漫画や小説は人気があり、

鞍馬天狗や月形半平太など、
架空の人物が活躍する勤王対佐幕の戦いを描いたチャンバラ物語でした。

勤王派と云うのは、
天皇を中心とした新しい国を創ろうとする勢力。

桂小五郎や西郷隆盛なども登場する、まぁ「ええモン側」です。

それに対し佐幕は、
徳川幕府を佐(たす)けると云う意味で、

おもに出て来るのは新選組、
当時の物語の中では、まぁ「悪モン側」です。

この場合、
別にええモンが正義で悪モンが悪だと云う分けではない。

どちらかと云うと、
幕末の争いに勝った方がええモンで負けた方が悪モンと云う分け方。

しかし国民全体の歴史への知識が深くなると、
そう云う単純な分け方の物語は次第に廃れて行き、

新選組を主役にした小説が読まれるようになったり、
尊王攘夷の思想が軍国主義につながったと云う批判も出て来たりしました。

このごろの大河ドラマやなんかでは、
かっての勤王は尊王となり「尊王攘夷」と呼ばれてますね。

攘夷と云うのは、
「夷(い)を攘(はら)う」、

つまり「夷と云う野蛮な外敵をやっつけ追い払う」と云う思想。

ですから、
今から思えば「尊王攘夷」と云うのは、

天皇に全権を集中し
外人なんぞは皆追い出してしまえと云う思想で、

とてもじゃないが「正しい考え方」とは言い難い。 (笑)

幕末の中でも、
当初は攘夷派だった薩摩や長州が、

外国の黒船を
追い払おうとして戦ったものの無残に敗れ、

彼我の戦力差を痛感してからは、いつの間にか開国派になってゆく。

つまり当初悪モンだった、
幕府の井伊直弼などがとった開国策を

攘夷の急進派で、
それを痛烈に批判していたはずの薩長が押し進めることになる。

まぁ、歴史の皮肉と云うヤツですな。

つまり、幕末と云うのは、
敵も味方もその思想が、僅かの間にコロコロと変化して行く。

その流れは急激で、
それに乗り切れない人たちは時代から取り残されることになる。

そう云う幕末史の機微を知る意味では、
今年の大河の主役渋沢栄一を追いかけることは有意義かもしれない。

 


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