漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

嫌われ者

2012年03月14日 | 歴史

「人気」と云うのは移ろいやすいものだが、
歴史に名を残すような人物にもそれは有って、

五十年前なら一番人気だった大石内蔵助も今では低迷気味だし、

そのころはそれほどでもなかった坂本竜馬が急上昇、
テレビのお宝鑑定番組なんかでも、彼の遺品や手紙なんぞは驚くような高値がつく。

一方で、大物なのに一向人気が涌かないと云う人も居て、
例えば「山県有朋」などは、生前から現代まで一貫して人気が無い。

考えようによっては、
評価が安定していると云うことで、これはこれで堂々たるものかもしれないが。

その山県が、
日本の国会開設を前にして、
欧州諸国を訪問し、ドイツやフランスなど各国の議会を見て回った時の感想がある。
    
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いくつかの国で、上院や下院の状況を見て回ったが、

いずこも、冷静で思慮深い論は喝采を得ないで、
せっかちで過激な空論を主張する連中が差し当たりの人気を得ているような状態である。

しかもこれは、先進国ほどその傾向が強い。

また、行政府の実権は議会の行方に左右されやすく、
その議会で各政党は、互いに自己の利益ばかりを考えて言い張るので、

結果、有益な論は後回しとなり、国家のこうむる損害は莫大なものとなる。

国会は文明の成果などと云うが、
国政をもてあそびその被害を及ぼすところ、まことに嘆かわしいものがある。

今日、わが国の将来を考えると、
国会開設によって、ずいぶん予想外の困難をひきおこすだろうと覚悟しなくてはならない。

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国会嫌い、政党嫌いの山県の言うことですから、
そうとう割引して聞かねばならぬにしても、

当たっているところもあるとは思いませんか。
 
もちろん、だからと言って、
山県のように、議会や政党を否定するものではありませんが。






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