マレーシア航空機の事故
マレーシア航空機の事故はなかなか墜落現場の海域が特定できない。 海域が絞られたらボイスレコーダーの捜索。回収がはじまる。 そこで私が以前書いたボイスレコーダーの回収の記事を載せます。
深海からのフライトレコーダの回収
...
多くの乗客を載せて飛行する航空機の事故は事故原因を究明するために多くの情報を必要としている。 重要な情報は事故を起こした航空機の中に残されているブラックボックス(フライトレコーダとボイスレコーダ)を回収することだ。 今回はこれまで海へ墜落した航空機のフライトレコーダの回収について紹介したい。
2009年5月31日にブラジルのリオデジャネイロからパリへ向けて飛び立ったエールフランス447便には乗客216名、乗員12名の228名が搭乗していた。 使われていた機体はエアバスA330-200型機である。 離陸して3時間半後に機内の与圧が低下したと連絡して消息を絶ってしまった。 事故後5日目から墜落海域で大規模な捜索が22日間行われ、海面から51人の遺体、機体の残骸や乗客の遺品などがみつかった。
フランスは447便のフライトレコーダを回収するべく墜落現場の海底地形に詳しい情報を持っているアメリカのウッズホール海洋研究所(WHOI)に調査を依頼した。 調査海域は水深2000mから4000mの起伏に富んだ地形で広域捜索が難しい場所であった。 このためWHOIは米海軍と共同開発した捜索用曳航体REMUS 6000を3機、3隻の海洋調査船M/V Anne Candies、M/V Seabed Workerなどに搭載して捜索を行った。
REMUS 6000は長いケーブルで降ろされ左右600m合計1200mの海底を音響(サイドスキャンソナー)で捜索し、人工物が見つかれば近寄って映像で海底に捨てられたゴミか機体の残骸かを目視で確認できる最新機器である。 海洋調査船は捜索海域内を網羅する側線に沿って低速で運航するという捜索を続けた。REMUS 6000は連続20時間の調査が行える。 長時間の捜索が行われては一旦揚収されて調査データの読み取りや整備が行われ、再度降ろされて捜索が行われる。 機体の残骸らしきものが発見されるとマニピュレータを備えた海中ロボットCURV21が投入される。 そして機体の残骸場所へ近づき、海底に一部埋もれた残骸をマニピュレータで掴んで海中ロボットとともに回収するやり方である。
このような地道な捜索活動が行われて4航海目の執念でエールフランス447便のフライトレコーダが3900mの海底から回収された。 この回収は5月1日で事故後2年がかりの大捜索であり、タイタニック号の発見に匹敵すると専門家は評価している。
これまで海へ墜落した航空機のブラックボックスの回収は幾つか成功している。1987年にはモーリシャス沖水深4268mに沈んだ南アフリカ航空機のブラックボックスがROVの「GEMINI」(水深6,000m)によって回収された。 1985年にはアイルランド沖に沈んだインド航空機のブラックボックスを水深2042mから回収した。さらに1983年には冷戦の中大韓航空機がソ連のミサイル攻撃で墜落し、米海軍が捜索期間3ケ月、80億円もの経費を使って大規模に捜索したが回収できず、後にソ連からブラックボックスを回収していると発表があり、ソ連の海底捜索技術の高さが証明されたことがある。もっと見る
マレーシア航空機の事故はなかなか墜落現場の海域が特定できない。 海域が絞られたらボイスレコーダーの捜索。回収がはじまる。 そこで私が以前書いたボイスレコーダーの回収の記事を載せます。
深海からのフライトレコーダの回収
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多くの乗客を載せて飛行する航空機の事故は事故原因を究明するために多くの情報を必要としている。 重要な情報は事故を起こした航空機の中に残されているブラックボックス(フライトレコーダとボイスレコーダ)を回収することだ。 今回はこれまで海へ墜落した航空機のフライトレコーダの回収について紹介したい。
2009年5月31日にブラジルのリオデジャネイロからパリへ向けて飛び立ったエールフランス447便には乗客216名、乗員12名の228名が搭乗していた。 使われていた機体はエアバスA330-200型機である。 離陸して3時間半後に機内の与圧が低下したと連絡して消息を絶ってしまった。 事故後5日目から墜落海域で大規模な捜索が22日間行われ、海面から51人の遺体、機体の残骸や乗客の遺品などがみつかった。
フランスは447便のフライトレコーダを回収するべく墜落現場の海底地形に詳しい情報を持っているアメリカのウッズホール海洋研究所(WHOI)に調査を依頼した。 調査海域は水深2000mから4000mの起伏に富んだ地形で広域捜索が難しい場所であった。 このためWHOIは米海軍と共同開発した捜索用曳航体REMUS 6000を3機、3隻の海洋調査船M/V Anne Candies、M/V Seabed Workerなどに搭載して捜索を行った。
REMUS 6000は長いケーブルで降ろされ左右600m合計1200mの海底を音響(サイドスキャンソナー)で捜索し、人工物が見つかれば近寄って映像で海底に捨てられたゴミか機体の残骸かを目視で確認できる最新機器である。 海洋調査船は捜索海域内を網羅する側線に沿って低速で運航するという捜索を続けた。REMUS 6000は連続20時間の調査が行える。 長時間の捜索が行われては一旦揚収されて調査データの読み取りや整備が行われ、再度降ろされて捜索が行われる。 機体の残骸らしきものが発見されるとマニピュレータを備えた海中ロボットCURV21が投入される。 そして機体の残骸場所へ近づき、海底に一部埋もれた残骸をマニピュレータで掴んで海中ロボットとともに回収するやり方である。
このような地道な捜索活動が行われて4航海目の執念でエールフランス447便のフライトレコーダが3900mの海底から回収された。 この回収は5月1日で事故後2年がかりの大捜索であり、タイタニック号の発見に匹敵すると専門家は評価している。
これまで海へ墜落した航空機のブラックボックスの回収は幾つか成功している。1987年にはモーリシャス沖水深4268mに沈んだ南アフリカ航空機のブラックボックスがROVの「GEMINI」(水深6,000m)によって回収された。 1985年にはアイルランド沖に沈んだインド航空機のブラックボックスを水深2042mから回収した。さらに1983年には冷戦の中大韓航空機がソ連のミサイル攻撃で墜落し、米海軍が捜索期間3ケ月、80億円もの経費を使って大規模に捜索したが回収できず、後にソ連からブラックボックスを回収していると発表があり、ソ連の海底捜索技術の高さが証明されたことがある。もっと見る