イコンのもとに


在宅介護16年が終了後、やっと自分のために生きられる。イコンも描いてます。ブログは書いたり書かなかったり、気分で。

不変の金

2015年04月06日 | イコン
病院のつきそいで、病室内で描いていますと
臨機応変に描けるものが必要で、
同時進行で何枚か描くようにしました。

昨日は、これ、金箔を病室内で貼りました。





金箔は一度貼りつくと、丈夫なもので、
さらに金属用のスプレーをしっかりかけておきますと
持ち歩いていても剥がれたりはしません。
私のは二重貼りです。
イコンを持ち歩くときには、
大判のハンカチや、古いスカーフや風呂敷で包んで
画面上で結ぶと絵の部分が守られて
さらにプチプチの緩衝材で簡単な袋を作り
それに包んだイコンを入れて持ち歩いています。





このウラジーミルの聖母は、
マリアとイエスの顔部分が、もとのオリジナルで
あとの身体や手は後の加筆だそうです。
聖像破壊運動がありましたから、
顔部分だけでも残っていたのは幸いだったと
加筆した画家も思っていたに違いないと考えます。

聖ルカの顔や手ですが、
このベースの色まで描けば、
あとはハッチングをするだけです。
イコンは下にくるベースの色さえしっかりできていれば
ほとんど完成に近いのです。
つまり、色の組み立てが日本画と似ていて
原始的な描画方法ですから、難しい手法はありません。
そうでなければ、
脈々とイコンが受け継がれてはこなかったと思っています。
一度覚えてしまえば、
単純な作業、単純な描画方法、
そうでなければ、
千年近くも描き方が受け継がれてはこないと思います。

ほとんど素人がイコンを描く場合には
黄金背景が必須条件ですから
洋金箔でなく、純金箔を必ず貼る。
洋金箔より純金箔が価格が高くても
純金箔の方が絵が立派に見えますから
自分の絵のまずさを純金箔がカバーしてくれます。
その場合、鏡面にこだわらない。
鏡面にこだわり過ぎて、
描くのが嫌になる方がこまりますから
鏡面はプロのイコン画家がこだわればよく、
素人は金箔がまずなんとか貼れた状態でいいのではないかと思っています。
多少、シワになろうが、破れようが、
全くこだわらないことにしています。
金箔貼りは時間が問題で、勢いをつけてさっさと貼ります。
風さえなければ、私はどこでも貼れます。
病室は乾燥していますから
非常に作業しやすい環境でした。

純金箔は変色しない。
不変の世界を表すのが金箔ですから
だからイコンや仏画は黄金背景なのです。
それを、白石孝子さんのイコン教室では
すぐに変色する洋金箔、
しかも洋金箔シールを使ったので
私は非常に違和感を持ちました。
すぐに、洋金箔シールを使うのは辞めて
自分で純金箔を貼りました。

イコン教室というのは、
まず金箔貼りの指導からするものだと思っていましたが
全く違う指導で、浅い指導方法だなと思ったわけです。
仏画の指導は金箔押し、金箔貼りは必ずありますから。
オリエント美術館のイコン教室で
洋金箔シールを使うなんて、
子供だましのような指導だと思いました。
黄金背景を知っているはずの
プロのイコン画家が純金箔押しの指導をしなかったわけですから
さらに、教室内で洋金箔シールの独占販売を自慢していましたから、
それだけでも、信用はなくなります。

少しの純金箔など、たいした金額ではありません。
みんなで分ければ、純金箔は1枚300円ほどで
小さなイコンの光背のみなら、ひとつのイコンは貼れます。
純金箔は虫やカビを防ぐ効果もあると私は思います。
洋金箔は純金箔の代わりにはなりません。
洋金箔は変わるものですから
不変のイコンに使うなんて考えられません。
洋金箔を使うイコン画家は、ケチだとしか思えませんね。
仏画家で洋金箔を使っている画家に
まだ出会ったことはありません。
シワになっても、破れても
純金箔は黄金背景です。
黄金背景は純金箔に決まっています。

今回、
イコンって、ささっと描いた方がいいなと思いました。
自分の感情を深く込めて描かない方が
絵の技術としては成功します。
感情を込めるのは、そのイコンを所有する人物であって
描き手が感情を入れ込まない方がいいのです。

ですから
「イコンを生活の糧に金に変えてはならない」と言われているのは
聖像画を売るようなことはしたらいけない、
イコン=金銭ではない、と言う意味と
生活のあらゆる俗物的な欲とイコンは同じではない、
人間の欲とイコンは同じ場所には全くない、
つまり「イコンは天国の窓である」と言われていることと同じ、
と言う意味があるのではないかとわかりました。

描いてみないと理解できないことがありますね。
私はイコン画家でもなく、
仏画も好きですし、
自分の絵も描きますから
非常に不良のクリスチャンですが、
絵描きの眼差しから見た信仰のあり方は理解できると思います。

仏画ももう一度、勉強のしなおしをせねばなりません。
祖母の言っていた「絵描きは絵だけ描いていればよい」は
祖母の大師匠の鏑木清方の考えでもありますから、
私もそれに従おうと思います。

「絵描きは絵だけ描いていればよい」には続きがありまして、
それは、
「絵描きは絵だけ描いていればよい。
政治、宗教に口出しするな」なのです。
政治は政治家に
宗教は宗教家にまかせればよく、
絵描きは絵を描くだけをしなさい、ということです。

イコン画家は千年前からしてきたことをすればいいだけです。
独占販売を自慢した洋金箔シールを生徒に買わせて使わせるなんて、
自分勝手な判断をするイコン画家だと思いました。
今でも、あの画家の指導ほど 低レベルなものはないと思っています。

できましたら、
イコンや仏画を描くときには
純金箔を使ってくださいね。
箔貼りは覚えてしまうと案外簡単なものです。
自分の貼り方を身につけるといいのです。
金の持つパワーで聖像も仏像も
うまく描けるように私は思います。
画家は画材に助けてもらえばいいのです。
画材があるから、
絵を描くのを後押ししてくれます。
画材は画家の生命です。

















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