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りん日記

ラーとか本とか映画とか。最近はJ-ROCKも。北海道の夏フェスふたつ、参加を絶賛迷い中。

映画『アフタースクール』 感想

2008-06-01 21:53:59 | 映画
脚本・監督:内田けんじ
出演:大泉洋、佐々木蔵之介、堺雅人、田畑智子、常盤貴子、伊武雅刀


先週の木曜日、見に行きました。

まずは、ネタバレなしの感想から。
ただ、この俳優さんは良かったとか悪かったかとか言ってますので、
先入観持ちたくない方はスルーしてください。





蔵之介さんがとにかくステキ!!
この崩れてやさぐれた雰囲気が、特にこの荒んだ目つきが、たまらな~い
ドラマではきちんとして真面目な役が多いみたいだけど、
この人はこういう荒れた人物を演じさせるとステキなのよ~♪
(去年、『憑神』を見て思いました。)
うっとりしてスクリーン眺めてました。


大泉くんは、うーん。。。
テンションが高い演技に定評のある(?)彼ですが、
今回監督さんに要求されたのは「抑えた演技」だったそうで。
でもねー、ちょっと。。。ホントにただ「抑えただけ」に終わっちゃった、というか。
あまり印象に残らない、「大泉洋を見る喜び」が味わえない演技だったなぁ。
いろいろと仕掛けのあるストーリーなので、
「このときのこのセリフは観客にはこう聞こえるけど、本当はこういう気持ちでいっている」
という場面が多かったらしいのです。
で、しょっちゅうそれがわからなくなって、監督にいちいち確認しながら演じてたそうなんです。
(大泉くんだけじゃなくて、蔵之介さんも堺雅人さんもそうだったみたいなんですが。)
そういう難しい台本だから、結局深く理解できないまま、役にすっぽり入り込めないままやったので、
中途半端な演技になってしまったんじゃないかなぁ。
大泉くんの持ち味が生かされないまま、本人も何かやりづらいな…?と思ったままで
終わってしまった感じです。
いつものテンションを抑えるなら、逆に抑えることで
新しい魅力が引き出されればよかったんだけどね。
それには至ってなかったです。
あ、あくまで村野がそう感じた、というだけだけどね。
「洋ちゃん、かーこいー」って場面もあんまなかったしな。
かっこいい役なのに。



さて。ここから先はネタバレありの感想です。
映画未見の方は、ゼッタイ読まない方がいいですよ。
反転しますので、読む方はクリックアンドドローでお願いします。
あ、携帯でご覧になってる方は反転表示がされないようなので、気をつけてくださいね。




→→→ あのね、ダマされるダマされる、って宣伝であんま言わない方がいいと思う。
ダマされて「うわーっ、そーだったのか!!」ってなった方が楽しいから
「ダマされないぞ」と身構えて見ることはこの映画じゃなくても普段からしないけど、
あれだけ「ダマされるダマされる」いわれりゃ、どうしたって無意識にでも
心構えができちゃうじゃないですか。
登場人物すべてが、いま観客に見せている顔とは別の顔を持っている、
セリフの一つ一つ、出来事の一つ一つを額面通りに受け取ってはいけない、
って先入観もちながら見るじゃないですか。
でも、あれだけ堂々と「ダマされるぞ~」って宣伝するってことは、
先入観をもって見てても、それでも予想以上のダマシが仕掛けられてるんだろうって
期待するじゃないですか。

んー……

ま、すべて最初から先が読めた、とはいわないよ。
(でもそういう人もいるかもしれないね。)

だけどさー……

もっと二転三転して、もう、何が本当なんだか、誰が味方なんだか、わかんないっっ
ってなるのかと思ってたら、ひっくり返しは1回だけなんだもんなー。
それもわりと早い段階であったから、絶対このままでは終わらないはず、
さらにもう1回や2回はある、と思って見てたら、そのまま素直に終わるんだもんなー。
結局裏があったのは神野と木村だけでしょ?
北沢や大黒社長や片岡組長は最初から最後まで見かけどおりだったわけでしょ?
物足りないなー。
この程度の「ダマシ」なら、過去にいくらでもありましたよ。

それにそこに至るまでに張ってあった伏線が、いかにも「伏線でござい」って顔をして出てくるので、
「あー、これ伏線だな」ってすぐにわかる。
だからあとで種明かしをされても、それほど驚けない。
「ああそこね、うん、ヘンだなと思ったんだよね」って納得はするけど、
「えぇーっ、そこかよ!全然気づかなかった!!」ってのがあんまりない。

木村と一緒の写真を撮られた女が神野の妹だったのにはびっくりしたけど、
「あゆみ」は彼女じゃなく美紀なんだろうな、って気づいてた人は多いだろうし、
会社とヤクザと政治家のつながりに気づいた木村が何か仕掛けようとしてるのかな、
って見当つく人もわりと早い段階でけっこういると思う。

細かいところで「ああ」と思ったところはあるけど(指輪のところとか)、
「観客をダマす映画である」と宣伝してるわりには、ダマす力が弱いです。
あんなふうに宣伝しなきゃいいのに。



そして、監督さんがこの映画でしたかったことは、「観客をだます」ことそのものよりも
「昔からよく知ってると思っている友達だけど、果たして本当にそうなのか」
という不安を描きたかったんだと思うんだけど、
「だます」構造をとったことで、そのことがかえって伝わりにくくなっちゃってると思う。


いくらあいつはそんなヤツじゃない、と思おうとしても、
古い友達が何かやばいことに関わってたらしい、
幼なじみでもうすぐ子供が生まれる奥さんを裏切ってるらしい、
ということがわかってきて、不安や不信に苛まれる神野。。。
と見せかけておいて、実はちがったわけでしょ?
(まぁ、実際、オレの妹と何やってんだ、という不信感は芽生えてたワケだから、
見せかけだけじゃないんだけど。)

でも、この状況を額面通りに受け取っちゃいけない、と思いながら見てると、
そういう神野に感情移入できない。
神野の不安を観客にも感じてほしいなら、神野の側には嘘がないようにしないと。
観客を裏切るのじゃなく周り中すべての人間に裏切られる設定にしないと、
神野自身が友達を疑って不安になる気持ちが観客に伝わらない。


結局、「だます」のも「友達が知らない人に見えてくる不安を描く」のも
両方やろうとして両方失敗してるように思えます。

観客をだます方はあきらめて、神野は実際に何も知らなかった、という設定でつくればよかったのに。

だますならだますで、もっと徹底的にやればよかったのに。



あ、あと、木村と神野こそが実際は仕掛けてる側の人間だった、って途中でわかったとき、
おぉ、平凡な教師とサラリーマンという顔をもちながら、
ヤクザと大企業相手に何か仕掛けようとしてるやばい人間だったのか、この二人!
って、ワクワクしたの。
なのに結局、主体は警察で、二人はコマになってるだけ、ってのも、
非常にガッカリしました。
あれでとたんに、ストーリーに対する興味が半分になった。
 ←←←



そんなこんなで、要するに、思ったよりずーっと「ふつう」な筋運びで、
正直、あんなに宣伝するほどの映画ですか?という感じでしたねぇ。。。
例によって、私の期待が大きすぎたんでしょうかねぇ。。。
何も先入観なしに見たら、素直に面白いと思ったかもしれないです。


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3 コメント

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鋭いなあ (ふう)
2008-06-01 22:25:24
私も木曜に見てきたばかり。
りんさんの感想は、いつも鋭いというか
・・なかなか「深く読んで」おられますね。
私なんかまんまと
「甘く見てダマされちゃいました」(笑)
確かに、蔵之介さんには、
今回かなり「もって」いかれました
その点で大泉さんがちょっと薄くなっちゃったかな?
でも、こういう感じ、その筋(どの筋?笑)の
好きな人にはなかなか興めるのでは?って
かなりpushしてます

内田監督の前作「運命じゃない人」
かなり面白いってすすめられて
今レンタル待ち。
でも、ほんとに今邦画が面白いよね。
「アネックス」だの何だの動き出す前の
空白期間をしばらく映画で埋めるのだ!

そうそう、仁さんの新番組7月から
始まるって。NACSのシゲさんとだよ(驚)
「ザ・クイズショウ」
でも、関東のみらしい・・。
仁さん、働くねえ・・。
相方さんは何してるんだろうねえ。



返信する
ええーーーー (プー子さん)
2008-06-02 14:41:24
シゲちゃんと・・・!?(驚)<ふうさん
なに、関東ってのみ・・・って。
関西にも仁ラバーはごっちゃりいるってーのー!
(くっそー ギリギリ静岡でやんねーかな…)

えっと
『アフタースクール』ネタバレ読んでなーいよー
絶対観てやるんだー そしたら読みにくるからね☆

プー子さん、あの3男の顔が・・・ものすごくタイプです(ぽっ)
こう箱の中に3匹入れて、
手をつっこんで一匹だけつかみ取りして、
「あ、コレか~ やったー」みたいな、な?
わかる?わかる?
どれが当たっても嬉しい、みたいな、な?

そういう、邪な気持ち満々で映画館行ってくるよ。
いつになるか分かんないけど…。
返信する
Unknown (りん)
2008-06-02 18:53:04
~ふうさん
大泉くんは三人の中で一番色がついてない役だから
不利といえば不利なんだけどね。
でも、それを差し引いてもやっぱちょっと物足りなかったかなぁ。

私の中で、「贔屓にしてるから厳しく見る対象」と
「贔屓にしてるから甘く見る対象」とがあって、
そのちがいがどこから来るのか我ながらよくわからないんだけど、
大泉くんは前者です。
ラーメンズでいえば、仁さんは後者。
賢太郎さんは。。。いわなくてもわかるよね(笑)。

>「アネックス」だの何だの
>相方さんは何してるんだろうねぇ。
ふうさん。。。若干イヤミくさく聞こえるのは気のせい?(笑)

>仁さんの新番組
が7月から始まるって言われたってさー、
おいら、離島に住んでるんだい。
ハナっからリアルタイムでの放送なんて期待してないやい。
(「死ぬかと思った」と同枠だっていうじゃないですか。
あれ、こっちで放送なかったもんねー)
シゲちゃん出るから、数ヶ月たったらこっちでもやるとは思うけどね。


~プー子さん
三人とも全然違うけど、私も三人とも好き。
(堺雅人さんは今回初めてちゃんと見たんだけど。
かわいかったよv)
蔵之介さん。。。生で見たくなったよーかーっこいーよー
でものりぴーと出てる車のCMはキモチワルイよー(笑)
主にヨコシマ目的で見るくらいの気持ちで行った方が、楽しめると思います。
返信する

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