りん日記

ラーとか本とか映画とか。最近はJ-ROCKも。北海道の夏フェスふたつ、参加を絶賛迷い中。

行っといたよ。

2010-02-04 21:37:16 | 映画
『アバター』3D、見にいってきました。

まず3Dスクリーン自体の感想を申しますと、
やっぱり眼鏡着用者にはダブル眼鏡はきついですね。
鼻で支えられないから、ずりっと落ちてくる。
終始手で3D眼鏡を支えなくてはなりませんでした。

見にいった映画館のスクリーンの方式はX-panDというもので、
どうも3Dスクリーンの中では評判のいい方ではないらしい。
私が一番イヤだったのは、画面が暗いこと。
仕様だったのかもしれないけど、暗くて細部がよく見えない。
薄暮の中で運転しているときのような、もどかしい感じ。
立体的に見えることによって得られる臨場感よりも
暗くて見えづらい方が大きくて、ストレスフルでした。

そして、3Dといっても、画面から飛び出して見えるというよりは、
スクリーンを一番手前として、その奧に世界が広がっていく感じなのね。
だから映像が自分に迫ってくる感覚は得られにくかった。

そもそも、映画が3Dである必要、私はあんまり感じなかったなぁ。
3D画像のもつ情報量は2D画像のそれよりも当然かなり多い。
だからといって見ている私たちがそれを全部受け取れるかっていったらそうじゃない。
脳内で勝手に情報がふるいにかけられて、自分が受け取れるものだけを受け取ってしまう。
ふるいにかけるのに忙しくて、私はなかなかストーリーに没入できなかった。
しかも自分でふるいにかけなくてはならないことで、
映画の醍醐味の一部が失われてしまう気がする。
どういうことかっていうと、
普通の2Dの映画は、3次元のものを2次元で表現するわけでしょ。
アニメでも実写でも。
そうやって、3次元のものを2次元に落とし込むとき、
そこで当然作り手側による取捨選択が行われる。
すると、そこに作り手の個性、品性、センスが表れる。
それこそが映像美であり、映画を観るときの楽しみの一つだと思うの。
3D映像だとそれがない気がしました。
3D映画はあれだな、遊園地のアトラクションの一つ、
15分くらいの短編でわーきゃー言いながら見るやつでいいな、私は。
そういえばディズニーランドにあったマイケルの「キャプテンEO」また見たいな。


ストーリーの舞台となる惑星パンドラの造形は、確かにすごかったです。
パンドラに暮らす異星人やクリーチャーたちも、動きがなめらかで自然。
最新技術はすごいんだのー。
いえ、すごいのでしょうが、私はその辺はあんまりワクワクしない方なので、
「ははー、すごいねぇー」で終わってしまう感じで、すみません。。。
作り手のご苦労は莫大なものであろうことはぼんやり感じるんですけどね。

私にとって映画を観るときに大事なのは、やはりストーリー。
ストーリーがよくないと、何がよくたってどんなに苦労してたって、
「よかった!!いい映画だ!!」って思えない。
その点では、『アバター』は……

※以下、ネタバレ。
 






























*******************************************************************************

もーーー、がっかり!!!

とっても単純な話なんです。
惑星パンドラには自然を畏怖し、自然と共鳴し、自然と共に生きる部族(ナビィ族)がいて、
居住地の森の奧にある巨大なご神木を信仰の対象としている。
その地下には貴重な鉱石の広大な鉱脈が広がっていて、
その鉱脈目当てに、目先の利益しか考えない輩と、
自分のジャマになるものを暴力で排除することしか思いつかない輩が地球からやってくる。
ナビィ族に立ち退きを説得するために主人公が送り込まれたが、
共に生活するうちに部族の生き方に惹かれるようになり、
族長の娘と恋に落ちる。
立ち退きの話が進まないことに業を煮やした地球軍は、
武力で蹴散らそうと、ブルドーザーと戦闘機で太古の森に攻め入ってくる。
地球軍からもナビィ族からも裏切り者と責められる主人公。
板挟みになった主人公は悩むが、やはり部族と共に生きようと心を決め、
彼らの先頭に立って地球軍と戦う。
苦戦を強いられたが結局はナビィ族が勝利を収め、
地球軍はすごすごと帰っていく。
主人公は人間である自分を捨て、部族の一員として一生を生きることを決めて星に残る。
おしまい。

西部劇と、スター・ウォーズ(アニメの)と、もののけ姫と、ナウシカと、ポカホンタスと。。。
あとなんだろうな、きっとまだまだあるな、
古今東西 語り尽くされてきたストーリーを、別に新しい視点でもなく、新しい切り口でもなく、
そのまま寄せ集めてつぎはぎして素直に脚本にしました、という感じでね。
手あかつきまくっとるなー、つまらんなー、と思いながら見てたんだけど、
まぁでも、それでもいいかとも思ったの。
いろんな映画を見てきた者からすれば手あかがついてると思えてしまうけど、
こういう物語を初めて見る人だっているんだから。
シンプルなストーリーは、手を替え品を替え、何遍語られたっていいか、と。
だけどそれも途中まで。

物語後半に入って、地球軍がブルドーザーでガーガー森に入ってきたとき、
ナビィ族はいったん森の奧に逃げ込む。
自然と共に生き、狩りで仕留めた動物の死にも涙し、
弔いの言葉を丁寧に唱えるような暮らしをしているナビィ族が、
暴力で自分たちの命・自分たちの森を脅かされたとき、どういう行動を取るのか
と思ったら。

暴力、なんですよねぇ。。。
戦うの。地球軍を相手に。
ナイフで刺し、弓矢で矢ぶすまにして。殺戮には殺戮で応じるの。

すっごい脱力感に襲われました。もう呆れちゃった。

途中で、夢中になって戦ってた族長の娘が、ふと我に返って、
周囲で殺し殺されていく敵や味方を呆然と眺める、
っていうシーンもあったので、
お、これは、「こんなことはまちがってる。守るためとはいえ、戦うべきじゃない」
っていう展開になるのかな、って思ったんだけど、そうならないで、
結局はそのままナビィ族が地球軍を制圧して、追い返して終わっちゃった。

……まだそんなことやってんの……
この9・11後の世界で……
何やってんだか……
そこから先進もうよ。
学ぼうよ。
娯楽映画だからとかそういうの関係ないよ。
バカかと思ったよ。

おバカはいいけど バカはダメだと思います。
そういうの、もういい。
特にこれは、一見するとお利口ちゃんだからなおさらわるいです。



最近映画見てほめてないなぁ。。。
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ボクが先生の一番弟子ですっ

2010-01-08 22:02:58 | 映画
ちびっちょと一緒に、『レイトン教授と永遠の歌姫』見てきました。
2010年、1本目の映画です。

大泉くんが主人公のレイトン教授の声を当ててるので
それ目当てで見にいったようなものだけど、
ゲームの方のシリーズ1作目をやったあとで
「レイトン=大泉くん」に慣れてしまい、あまり意識せずに見てしまった。
でもそれだけ大泉くんのアテレコがうまいということでもあるよね。
きっとね。うんうん。

ストーリーは……まぁこのぉ……
RPGのストーリーの域を出てないですね……
そして、過去の冒険活劇映画の諸名作と
ちょいーちょいオーバーラップするのが気になりました。
既視感の連続。

でも、ほかの冒険活劇とちがって、火器がまったく出てこないのには
好感を持てました。
悪いヤツ出てくるのに、ドンパチがまったくないの。
「古き良き英国」の時代にも拳銃くらいあったと思うのに。

(まぁその「悪いヤツ」も、冷静に考えればそれほど悪くないのよね)

堀北真希ちゃんが声を当ててるルーク少年がもうかわいくてかわいくて
どうしようかと思いました。
「それパズーでしょ!?」
「インディ・ジョーンズのあの子でしょ!?」
「だからそれ、パズーでしょ、ってば!!」
ってところは多々あるんだけど、もーーー許す。
かわいいから、かーさん許す。
真希ちゃんのアテレコも上手でした。
アテレコをさせると、演技のうまい下手が残酷なほどはっきりわかっちゃうね。
もう一人、若手超人気女優さんが声優として参加してるけど、こちらは……
あははは……
前にもこの人アニメ映画の吹き替えやってたけど……あははは……

とにかく!とにかくルークがかわゆかったです。この映画はそれに尽きるかも。




でね。いま、ひとつ気になってることが。

映画の冒頭は、最近出たゲームの方のレイトン最新作のラストシーンから始まるんです。
教授が最後の謎解きをして、「犯人は……あなただ!」
びしぃぃぃっ!と、ある人物にかっこよく指を突きつける。

……あれ。私、これからそのゲームやるつもりなんだけど。
思いっきりネタバレされちゃったの?これ……むむーーー???

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彼のいない世界

2009-11-13 21:32:23 | 映画
『THIS IS IT』、見てきました。


さびしい。

さびしい。

マイケル・ジャクソンのいない世界は、やっぱりやりきれないほどさびしい。



以下、内容にふれつつの感想です。
ぐっと下げます。






























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全篇これ、予定されていたロンドンでのライブのメイキングなんですね。
2時間あるから、
彼の生い立ちや周囲の人へのインタビューなんかも混ざるのかと思ってた。
でも、リハーサル光景をつぶさに見せてくれたことで、
よけいなVTRを混ぜるよりも、たぶんずっとしっかりと、はっきりと、
マイケル・ジャクソンがどんなアーティストだったのかがわかりました。

「ものをつくるひと」だったのですよね、彼。

ひとつひとつの音をチェックして、指示を出す。
ダンサーの振りをチェックする。
イメージを伝えて、自分がやって見せる。
ライブの中で使う映像をチェックし、
どういうタイミングで曲を始めて
何小節前奏を鳴らしてから歌い始めて
どこで仕掛け花火を点火するか、
といった細かいところまで、
すべての曲について自ら検討し、決めて、つくっていく。

偉大なパフォーマーであっただけではなく、
偉大なアーティスト、クリエイターでもあったんだ。

そのことが、この映画を観てはっきりわかりました。

わかると同時に、圧倒的な喪失感に襲われました。

私たちは、なんて人を失ってしまったんだろう。
これから先私たちは、マイケル・ジャクソンなしで生きてかなきゃならないんだ。
なんてことだろう。


どんなに素晴らしい人だったのかということは、
もう映画の最初の3分ですごく伝わってきます。

今回のライブのためにオーディションで選ばれたダンサーたちへの
インタビューでこの映画は始まります。

マイケルが亡くなってからのインタビューではなく、
おそらくはライブを映像化したときに使うつもりだったんでしょう。
ダンサーたちはマイケルと共演できることになってどんなに嬉しいかを
興奮気味で語っています。

マイケルのことを語る彼らの目の輝きといったら、もう!

こんなにも目を輝かせて嬉しそうに誰かのことを語る人たちを、
ほかに見たことがありません。

なんて愛されていたんだろう、と思ったらもう涙がボロボロ出てきて、
そのまま2時間ずっと止まりませんでした。

見れば見るほど、素晴らしい人なんだよ。


スタッフに対して指示を出したあとは、
必ず「Thank you」「I love you」「God bless you」を付ける。
一度など、苛立ったようにぶっきらぼうな短い指示を出したあと、
すぐに微笑んで、
「怒ってるわけじゃないよ。よくしたいだけなんだ。ありがとう」
とフォローしていた。
世界中に何億人のファンがいるスーパースターがですよ。
そしてファンが聞き慣れてる音とちょっとでもちがってはいけない、
その上でさらに素晴らしいパフォーマンスを提供するんだ、と、
伴奏のテンポや曲入りのタイミングなどを一切妥協せずに細かく合わせていく。
時間をかけて緻密にリハーサルを繰り返すその姿は、
ファンに対してもスタッフに対しても、誠実で、謙虚。
そして自分の音楽に対しては真摯で、情熱的。

ああもう、こうして書いてても涙が出てきます。

いやだ。
どうして逝っちゃったんだ。

いなくなっても彼は私たちの中で生き続ける とか、
そんな美しい心境にはどうしてもなれません。
ただただ、さみしい。

そして何より悔しいのが、
彼が生きているうちはそのことがわからなかったことです。
二十何年か前、マイケルのかっこよさに酔いしれたことが、
自分の中ではもう完全に「過去のもの」になってたことです。

バカですよねぇ、ほんとに……

ほんの少しでも生きてる時代が重なってたことに感謝すべきなんだと思います。

でもいまは、ただたださみしい、口惜しい。
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クド…カン…?マツ…ケン…?

2009-10-08 22:43:25 | 映画
『カムイ外伝』を見てきたのです。

原作:白土三平
脚本:宮藤官九郎、崔洋一
監督:崔洋一
出演:松山ケンイチ、小雪、佐藤浩市、伊藤英明、小林薫、ほか



んー…… ぬあー…… あれぇ……?
と、終始首をかしげながらの鑑賞となりました。


以下、短い感想。ネタバレはありませんが、未見の方は先入観入っちゃうですよー











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生ぬるいんですよ。
エッジが効いてない。
キャラが立ってない。
クドカン色もどこにもない。

なんでだー?なんでこんなんなったー??

ワイヤーアクションの処理や小舟で海に出るシーンのCGやサメ退治の大きい帆船のCGが
なんだかお粗末で、最初は効果を狙ってわざとチープ感出してるのかと思ったくらい。
(パンフレットを見るとどうもちがうみたい。リアルさにこだわったって??ウソー。)

小林薫や佐藤浩市の使い方が中途半端。せっかくいい俳優さん使ってるのに。

そして松山ケンイチくんは…
トーク番組などに出ているときの彼は、黙って立ってるだけで独特のオーラがあって、
しゃべらせるとかわゆらしくって、とっても魅力的なのに、
役の人物を演らせるととたんに精彩を欠くような気がしてしかたがない。
今回も、アクションはエラく頑張ってたし、
常に死と隣り合わせで追われ続ける者としての研ぎすまされた雰囲気はよく出てたけど、
抜け忍の悲しみや、それでも生き抜こうとする強い意志はあまり伝わってこなかった。
原作読んでないけど、この二つがこの作品のテーマなんじゃないのかなぁ。
けど届いてこなかったなぁ。
最後に流れる倖田來未の歌も興醒めだったなぁ…

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映画 『ナイトミュージアム2』

2009-09-03 11:23:51 | 映画
脚本:ロバート・ベン・ガラント&トーマス・レノン
監督:ショーン・レヴィ
出演:ベン・スティラー、エイミー・アダムス、オーウェン・ウィルソン、ハンク・アザリアほか



……うん、まぁ……

私としては、ベンを大きなスクリーンで見られればそれでよかったの。

作品自体の出来にはあんまり関心がなかった。
「2」だし。

だから「ああ、ベン・スティラーってやっぱりキュート♪ 面白かった♪」
ってそれだけ言って終わりたかったのですが。




※以下、ネタバレほんのちょっとだけしつつの、酷評です!
 楽しかった面白かったという方はお気を悪くすると思う……ごめんね。
 
 






















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『ダイ・ハード』シリーズを思い出しました。
低予算で撮りたいように撮った映画が思わぬヒットを果たしたので
つい続編を作っちゃったけど、
ヘタに舞台を大きくして話も大きくして興行成績意識しながら作ったので
前作の魅力がメタメタに損なわれちゃって「1」のファンがっかり……のパターン。

決してヒーロータイプではない、ちょっと情けない男が
限られた空間の中で異常な状況に陥って、ほかに頼る人もいなくて、
「なんでオレがこんな目に…!?」って言いながらも思わぬ才覚と体力を発揮して、
状況を打開して最後には悪いやつを懲らしめて、
なんだかちょっとだけかっこいい男になってエンドロール。
これが「1」。
「ちょっと情けない男」「限られた空間」「ほかに頼る人なし」「一人で孤軍奮闘」
この要素が最初の作品を面白くしてたのに、
続編ではそれが全部なくなってるから、作品としての魅力が大きく損なわれてる。
『ダイ・ハード』とおんなじです。

舞台大きくしなくていいんですよ。
スミソニアンの規模のでかさを結局生かしきれてないじゃない。

ちっさい話でいいんですよ。
世界征服を阻止する? インディ・ジョーンズじゃないんだから。
そのわりにその世界征服を企む悪役は悪役としての迫力に欠けるから、
全然緊迫感がないし。
(ちょっととぼけた悪役にしたかった、という意図はわかる。
でもそれならその代わりに何か緊迫感を生む要素を盛り込んでくれなくちゃ。
例えば「1」の悪役も迫力なかったけど、
その代わりに「博物館を飛び出してしまった展示物たちを朝までに連れ戻さないと、
みんな灰になって消えてしまう」
というタイムリミットを設けてハラハラ感を生んでいた。
そういうの、「2」ではないんだもん。)

主人公は情けない男のまんまでいいんですよ。
発明した商品がたまたま大ヒットして金持ちになってるのはいいとしても、
ちゃらんぽらんさが消えているのはなぜ。
めったに真剣になることのない男が途中から真剣になるから面白いんでしょ、かっこいいんでしょ。
最初から「頼れるキャラ」ならつまんない。
ラリーはそういうキャラじゃなかったはず。
ベンの魅力が発揮されない。

主人公は一人で戦わなきゃですよ。
女の相棒なんて要らないよ。
一緒に戦うことになる理由が希薄だからこの役の存在自体がとってつけたよう。
それに演じたエイミー・アダムスがかわいいから、ベンの魅力がかすむじゃない……
二人のあいだの淡いロマンスも余計。
説得力ないし。
いきなりキスすんな!あたしのベンに!(私情。)

新キャラ投入しすぎですよ。
前のキャラもそのまま使ってるからキャラかぶり過ぎちゃって
結局どっちつかずになってるじゃん。
(T-Rexとダイオウイカ、ジェデダイアとカスター将軍、モアイ像と考える人、
セオドア・ルーズベルトとリンカーン、猿と猿 などなど)


全体的に、舞台が派手になった分、主人公の存在感が薄まって、
ベン・スティラーの魅力が十分発揮されてなくて、がっかりでした……

前作の魅力を継承して、さらにそれをふくらませるような続編ってなかなかないもんですね……
難しいのはわかるけどさ……しょぼん。



あ、一つだけ「ベン~♪ベンだ~♪好き~~~vvv」って思えたシーン。
物語最初の方で、スミソニアンの太った警備員と言い争いするところ。
あの会話が噛み合わない感じ、なのにばーっとまくし立てて相手を煙に巻く感じ、
ガンプレイさながらに懐中電灯をクルクル回すというやけに決まった所作。
相手の警備員の声がエレキコミックやついくんそっくりなのも面白かった。
あれが「ベン・スティラー」なんだよぉ、ほとんどあそこだけなんだもんなー

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映画 『南極料理人』

2009-09-02 20:45:36 | 映画
原作:西村淳『面白南極料理人』
脚本・監督:沖田秀一
出演:堺雅人、生瀬勝久、きたろう、高良健吾、豊原功補、ほか


堺さんのまなざし、生瀬さんの呼吸の見事さ、きたろうさんのかわいさを
堪能できた作品でした。

監督さんはこれが劇場用長編映画デビュー作だそう。
「なんとなくおかしい、くすくすと笑っちゃう」シーンを撮るのが得意みたい。
そういう場面の連続でした。

平均気温マイナス50度、1年のうち4ヶ月は太陽が昇らず闇に閉ざされる。
低温のあまり、ペンギンやアザラシはおろか、ウィルスさえ生存できない世界。
そんな、ある意味異常な環境で共同生活を送る8人のオトコたちの日常は、
特に大事件も起こらず、憎悪だの歓喜だのといった派手な感情が渦巻くこともなく、
和気あいあいのような、そうでないような、
辛いような、楽しいような、
結局なんということもなく、淡々と過ぎていく。

原作となったエッセイは、準備段階(食材をそろえる)の苦労とか、
低温で気圧が低い故の苦労とか、
食材が限られる中でのメニューの工夫とか、
閉ざされた環境で長期間暮らす辛さとか、
その辛さをやり過ごすための工夫とか、
そういった「へぇぇ……!」ってなるエピソードがたくさん語られるんだけど、
映画ではそれを特に声高に描くわけではない。
もちろんそういった描写もあるけれど、それがメインなのではなく、
おそらく監督が撮りたかったのは、
8人のオトコたちが共同生活を送る中で
なんとなく家族のようにしっくりとまとまっていく、その空気。
なんだと思います。
それを退屈だと感じる向きもあるだろうけど、私は好きだったな。



ただ。ただ一つ、注文を付けるとすれば。

各シーン、各ショット、十二分に間をとってゆったりと撮る作風なのはわかるんだけど、
全部、ほんのちょっとだけ長すぎる気がした。
例えば堺さんが何気なく部屋に入ってきて、部屋の中の光景に驚いて、
目を見開いてポカンとするシーン。
ポカンとした表情をしばらく撮ってから、問題の部屋の中の光景のショットになるんだけど、
堺さんのアップショットの時間がちょっとだけ長すぎる。
こっちは何に驚いてるのか早く見たいから、ちょっとだけイラッとする。

あるいは、本当は料理人として越冬隊に参加するのは主人公の先輩だったのに、
赴任直前に交通事故に遭ってしまい、代わりに主人公が行くことになる、
という回想シーン。
その先輩はずっと南極に憧れていたとか、
主人公は不本意ながら半ば強引に行くことになってしまったとか、
そのへんの描写が丁寧すぎて、やはりちょっとじれったくなる。
回想シーンなんだし、もっとポンポンと見せてよ、って思う。

独特の間やテンポ、というよりもただ単にテンポが悪いだけ、
と感じてしまう箇所がいくつかあって、そこが少し残念だった。


とはいえこの監督さんの笑いのセンスや語り口、私はたぶん好きだと思うので、
次回作にも期待します。



きたろうさんがね、ほんっとにかわいくてね。
あとおにぎりがおいしそうだったね。
堺さんが握ったのならどんなんでも食べたいけどね。
盛りつけをするときの真剣な堺さんの顔が素敵でした。
あと音楽がよかった。(ユニコーンの阿部さん)
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映画『ハリー・ポッターと謎のプリンス』

2009-08-28 21:31:36 | 映画
やっと見にいけました。
行けないうちに終わっちゃうんじゃないか、
終わらないにしても字幕版は夜だけの上映になっちゃうんじゃないかと
ヒヤヒヤでした。
(『ナイトミュージアム2』(字幕版)が早々に夜だけの上映になっちゃったんだよね~
見にいけるかなぁ・泣)


原作:J.K.ローリング
脚本:スティーブ・クローブス
監督:デイビッド・イェーツ
出演:ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトスン、トム・フェルトン、
   アラン・リックマン、ヘレナ・ボナム=カーターほか



少しですがネタバレあります。
映画を観てない、あるいは原作を読んでいない方はご注意ください。



















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けっこう詰め込まれてましたねぇ。
それがいいのか悪いのか、よくわからないなー。
クィディッチのシーンなど、原作で好きなところが多く入ってるのは嬉しい。
でもその分、もっと描くべきところが薄まっちゃってた感もある。

ホルモンに振り回されるハリーたちが前面に押し出されてる脚本でしたね。
魔法使いといえども17才は17才なんだ、というね。
みんなかわいくて、よかったです。

そして恋だなんだと浮かれる子たちの中、
一人秘密の任務を背負って暗い目をして暗躍するドラコぼっちゃんがよかった。
出番は思ったほど多くなかったけど、キーパーソン的描かれ方がおいしかった。
最後に泣きじゃくるぼっちゃんがかわいかったです。
今回珍しくかっこいい役割担ってるのに、やっぱり情けないんだよなー(笑)
かわいいです。

幼少期・少年期のトム・リドル、2作目のときに出たのとちがう子を使ってましたね。
今回の方がトム・リドルっぽくていい、と思いました。
顔立ちは美しく愛くるしいのに、目が異様に冷たい、という感じがよく出てた。
特に11才のトム・リドルをやった子、そんな年からあんな目ができちゃっていいんでしょうか。
ちょっと心配。

あと今回、シェーマスの爆破シーンが復活してたのが個人的にとても嬉しかったです。
そうだよー、シェーマスは爆発して顔まっ黒にしてくんなきゃ。
ハリポタ映画を観た気がしないですよ。(そこまで?)


もっと描いてほしいんだけどなぁ、という点については、長くなるのでやめときます。
無い物ねだりな気もするし。




さぁ、いよいよ最終章ですね。

ちょっと心配です。前篇・後篇に分けるようだけど、
原作は、前半3分の2まではわりと展開が単調じゃありませんでした?
映画的な見せ場に欠けるというか。
どういう構成にするんだろう。
まぁ、その料理のしかたが楽しみでもある。

そして安堵もしてます。
いやー、間に合ったよね。
主要キャスト、子ども組も大人組もほとんどすべて変更なしでこれたもんね。
3作目でどぎゃーん!と大人っぽくなったじゃないですか、主役トリオ。
どうなることかと思いましたよ。
大人組もどんどん年とってくし。
こうなると、1・2作目で校長を演じたリチャード・ハリスさんが亡くなってしまったのが
返す返すも残念です。
リチャード・ハリスさんのダンブルドア、好きだったー
おかげで現在の、マイケル・ガンボンさんのダンブルドア、
どうしても「あ~あ……」と思っちゃいます。
刷り込まれちゃったんですな。
東野英治郎さん以外の黄門さまはどうしてもニセ黄門さまにしか見えないのと同じです。(私だけ?)
リチャード・ハリスさんのダンブルドアで、6巻原作冒頭の、
ダンブルドアがダーズリー家を訪れるシーンが見たかったなぁ。。。

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映画 『ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢』

2009-08-03 13:52:24 | 映画
原作:ニック・パーク
脚本:ニック・パーク、ボブ・ベイカー
監督:ニック・パーク
制作:アードマン・アニメーションズ


『ウォレスとグルミット』シリーズ、初めて見ました。

面白かった!!

ビジュアルの雰囲気から、子ども向けかつ「ほのぼのまったりいいお話」な
アニメだと思い込んでたんですよ、いままで。
ちゃんと見たこともないのに。
だけど今回の新作のタイトル、『ベーカリー街の悪夢』でしょ。
このパロディセンス、漂うひとをくったようなとぼけた感じ、
これはもしかして当たりかも?と思って見に行ってみたらビンゴ。
全然お子様向けなんぞではなく、
一見地味だけど細かいとこ見つけてくすくす笑うのが好きなオトナこそが
見て喜ぶ映画でした。

ものすごく細かいところまでこだわって作ってるんだよね~
クレイアニメなんだけど、質感の表現がすごい。
女の人が自転車に乗ってるシーン、着ているワンピースの裾がヒラヒラと風にはためくのね。
それがホントに軽いのよ。
粘土でできてるのは見てわかるんだけど、
でも本物の布のように軽くそよそよとはためいて見えるの。
冒頭のシーンでそれを見て、「すげぇぇぇぇ……!!」ってなりました。

そういうアートワークの素晴らしさに加えて、ウォレスとグルミットのキャラクターそして関係性がいい。

ウォレスが飼い主、一人暮らしの発明家、グルミットがその飼い犬なんですけどね
(あ、そんなこと知ってる?
いや、村野はどっちがどっちなのかすらあいまいだったんすよ…)、
ウォレスがもう、どうしょもないの。
ドジで、惚れっぽくて、おっちょこちょいで、うすぼんやりで、あわてん坊で、だまされやすい。
まさにトラブルメーカー、しかも本人にその自覚なし。
で、対するグルミットがもう、スーパーすごいの。
教養があって(愛読書はドッグストエフスキー)、
科学と工学にも精通していて(月ロケットを1日で作り上げる)、
注意深くて思慮深くて行動力があって勇気がある。
しかも寡黙。
(ウォレスは終始一人でぺちゃくちゃしゃべっているけど、グルミットはワンとも吠えない)

そのしょーもない性格ゆえにしょっちゅうトラブルに陥るウォレスを、
そのたびにグルミットがその素晴らしい才能で救い出す。
ウォレスはグルミットがいないと日常生活も満足に送れないのに、
全然それに気づくことなく、グルミットをかわいい飼い犬としてしか見てない。
それに文句を言うでもなく、寡黙に淡々とウォレスの面倒を見てやるグルミット。

最初はグルミットかわいいなーと思って見てたのに、
最後には「グルミット、なんて頼りがいがあるの……かっこいい……」ってなってました。


今回の新作は短編で、新作のあと、これまで公開された短編3作品も上映されます。
その中の2作目『ペンギンに気をつけろ!』が特にかっこいいんですよ、彼。
えーこんなとぼけたビジュアルなのに?と思うでしょうが、ウソじゃないから。
ゼッタイ惚れるから。
「頼りがいのある男」がきらいじゃない限り、「かっこいい…v」って思うから。


  頼れるオトコ、グルミット。


だまされたと思って見てごらんなさい。
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映画 『蟹工船』

2009-07-29 22:37:31 | 映画
『蟹工船』

原作:小林多喜二
脚本・監督:SABU
出演:松田龍平、西島秀俊、皆川猿時、野間口徹、ほか




カニの臭いが、しなかった。



以下、ネタバレありの感想です。未見の方はご注意ください。
あ、辛口です。。。















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原作は未読、この監督さんのことも全然知らない状態で、西島さん目当てに見てきました。

帝国主義の思想に覆われ始めた昭和初期の日本。
ロシアの領海ギリギリのところでカニを捕り、
そのまま船内でゆでて身をほぐして缶詰に加工する「蟹工船」。
何十人もの労働者たちは何ヶ月間も船内に閉じこめられ、
巨大なゆで釜のそばでボイラーを焚き、
ベルトコンベアーで際限なく運ばれてくる真っ赤にゆであがった何千匹ものカニを
ひたすら殻を外し身をほぐす。
そしてこれまたベルトコンベアーで運ばれてくるできあがった缶詰を
木箱に移し、運び、積み上げる。
何日も、もしかしたら何ヶ月も、一度も風呂に入ってないであろう労働者たちは
薄汚れ、疲れから口数少なく、みな痩せて眼だけがギラギラ光っている。

……なんだけど、なんだか薄っぺらい。
工船内部のセットはすごくよくできてたけど、
その中で動いてる人間たちが「労働者」に見えない、「役者さん」に見えちゃう。

労働者たちの目を覚まさせ、団結させようと動く松田龍平のリーダーシップに説得力がない。
その松田龍平が動くきっかけとなる中国人の言葉にも、説得力がない。

すべてを台詞で伝えようとしたからだと思う。
積み上げるエピソードがなく、台詞だけのやりとりだから、薄っぺらく見えちゃう。

パンフレットに、監督は「言葉の力を信じて、劇中で直接的なメッセージをたくさん放つ」
と書いてあったんだけど、言葉だけぽんと投げられても気持ちは動かない。
最後の結論だけをデジタル的にパッと見せられても、説得力はない。
メッセージを発した人物がどういう経験をしてきたどういう人間なのかが
わからないと。

監督が伝えたかったメッセージを台詞として言う役割はすべて
松田龍平演じる労働者のリーダーが負っているんだけど、
このキャラクター、原作にはなくて、まるまる映画のオリジナルなんですって。
原作では労働者たちを集団として捉えて、その集団がある状況の中で
一つの意志を持ち、団結し、動き出す様を描いてるんだって。
ああ、薄っぺらいのはそのせいかも、と思いました。
リーダーにまつわる部分が妙にほかと分離してる感じがしたんだ。
リーダーの描写・台詞が映画の大部分を占めるのに。

お目当ての西島秀俊さんは、その労働者たちを監督する「浅川監督」。
顔に大きな刀傷があり、血のしみがたくさん付いた白いコートを翻して、
手にしたムチで容赦なくぴしぴし労働者を打ち据えながら船内を闊歩する、
という、鬼軍曹みたいな役どころでした。

これが……悲しいほどハマってない!
全然迫力ない!
怖くない!
「この人、いまはこんな鬼軍曹みたいにふるまってるけど、
それは何か理由があってのことで、ホントはそういう人じゃないんじゃないかしらv」
なんて思わせちゃう。
(いえ、特に西島さんの草食なまなざしのファンってわけじゃない人も
きっとそう思うはず。)
浅川監督はものすごーーく残忍で冷酷で、
口では「お国のためお国のため」って帝国主義に凝り固まってる人のように見えるけど、
その実ただ人をいじめたいだけなんだっ、鬼ッ!って思わせなきゃならないのに、
全然そんなふうに見えませんでした。。。
外見のギャップが効果を生むんじゃないかと「あえての」キャスティングだと
パンフレットに書いてありましたが、失敗だと思います。。。


リーダーを失っても、個々が立ち上がってそれが大きなうねりとなって
自然に団結して権力に向かっていき始める、というラストシーンはなかなかよくて、
「おお、終わりよければすべて良し、かな」って思いかけたのに、
その瞬間にかかるあの音楽はなんですか!
あのシーンであの音楽は軽すぎないですか。もーガッカリ。
そしてやたらシンボル旗をばっさばっささせる演出も、
古いし『20世紀少年』みたいだからやめた方がよかったんじゃないかなぁ。
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DVD(映画)『20世紀少年-第1章-終わりの始まり』

2009-02-24 12:27:32 | 映画
監督:堤 幸彦
原作:浦沢 直樹
出演:唐沢 寿明/豊川 悦司/常盤 貴子/香川 照之ほか
公開:08年08月


原作をまだ全部読んでないのだけど、
この『第1章』で語られてる部分はクリアした様子なので、
見てみました。

(エピソードが語られる順番が原作と映画とでは多少違うので
ぴったりと何巻から何巻までが第何章、とは言えないんだけど、
この『第1章』の場合は原作10巻まで読んでいれば、
少なくとも原作でまだ読んでないところを映画にネタバレされた、
ということにはならないようです。)

以下に記す感想は、映画・原作共にネタバレはありません。


登場人物の全員を、外見が原作とそっくりになるようにキャスティングしたのは、
原作のイメージを壊さないよう、
そのままそっくりスクリーンに写し取りたくてのことだったんだろうと思う。

だけど、世界観は……?

1970年代初頭、高度経済成長期に少年時代を過ごした主人公のノスタルジー。
はっきりとは思い出せないながらも甘美なはずの思い出。
だけど主人公ケンヂたちのその記憶は、忌まわしいものと結びついている。
そのせつなさ、残酷さ。

原作に魅力があるのは、たぶんそこでしょ?

ただ単に、世界征服を企む悪と闘う正義のヒーローの物語なだけじゃなく、
そういうのが読者の「身につまされ感」を誘うから、
こんなに人気があるんじゃない?

映画は残念ながら、そこを写し取ることができてなかったですよ。。。

いくらそっくりなキャストをそろえて、絵コンテを原作どおりにおこして作っても、
脚本や演出・演技によってきちんと世界観を再現してくれないと、
映画見た人は納得しないと思います。

入れ物だけそっくりに作るのに一生懸命で、中身を入れ忘れちゃった感じ。



あと、キャストは確かにそっくりで原作のイメージどおりだけど、
逆に全員、役になりきってないように思えた。
観客サービスのためのゲストキャストの寄せ集めにしか見えなかった。


うーーん、似ててもダメ、似てなくてもダメ、難しいもんだねぇ。。。




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映画『ベンジャミン・バトン-数奇な人生』 感想

2009-02-23 21:35:05 | 映画



監督:デビッド・フィンチャー
脚本:エリック・ロス
原作:F・スコット・フィッツジェラルド
出演:ブラッド・ピット/ケイト・ブランシェット/タラジ・P・ヘンソンほか



80才の体で生まれ、年と共に若返っていく男が
普通に歳をとる女性を愛したとき、
何が起こるのか。
お互いのジレンマ、愛情はどう変化していくのか。


以下、ネタバレしています。
未見の方はご注意ください。





























*************************************************************************

年を経るごとに若返って美しくなっていく男。
年を経るごとに年老いて衰えていく女。

「あなたは若々しくなっていくのに、私は醜くなっていく。
それでもあなたは私を愛せるの?
私は歳をとるのが怖い」
と悩むデイジーに、
「永遠なものはある。君に対する僕の愛情は変わらない」
と誓うベンジャミン。

ところが、デイジーが二人の子どもを身ごもると、
今度はベンジャミンが悩み始める。
「だんだん若返って子どもになっていく僕が、
いい父親になんてなれるわけがない。
このままいけば、君は二人の子どもの面倒を見なければならなくなる。
それはムリだ」
デイジーはそんなことはない、あなたとずっと一緒にいたいと言うが、
子供が生まれて少し経ったある日、
ベンジャミンはこっそり二人の前から姿を消す。
そしてデイジーも出ていくベンジャミンの後ろ姿を見ながら、
結局止めることができなかった。

このあたりの二人の心情の変化、「そうだよなぁ」と共感しながら、
とても面白く見ました。

人生について・老いるということについて・死ということについて。
見たあとにいろいろなことを考えさせる、いい映画だった。
と、思う。



ただなーーー、それだけに、いろいろ「あーー残念だなー;」と思うところも
多い映画だった。


主人公ベンジャミンは80才の体で生まれて、成長と共に若返っていくわけです。
ただ、体の大きさは、赤ん坊の大きさで生まれて、
普通と同じ速度で成長していく。
だから成長期が終わるまでは、外見の特徴は老人だけど、
体は子どもの大きさなの。

そこをどう撮影したかというと、
体の小さい俳優さんに動きを演じてもらったのちに、
顔の部分だけCGで老人の特殊メイクを施した
ブラッド・ピットの顔に差し替えたそうなんですね。

そのせいだろうか。
外見は老人なのに中身は子ども、というのがさっぱり表現できてなかった。

外見は年とっていても脳は子どものはずだから、
演技の力で、目に見えるこの人は年寄りなのに、なぜだかそう見えない、
好奇心いっぱいのみずみずしい感性を持った子供に見えてしまう、
というふうになっていればよかったんだけど、そうは思えなかった。
体は別人、特殊メイクのせいで顔の表情も出しづらいとなれば、
ブラッド・ピットじゃなくたってどんな名優だって、演技が難しいよね。
だから仕方がないんだけど、そこが残念だったなぁ。

その他、ヒロインの若い頃が、特殊メイクのせいなのか顔が能面のようで
どうも魅力的でなく、そのためベンジャミンの恋に共感できないとか、
ベンジャミンの体の外見的な特徴は逆行していても、
機能的にはどうなのかがいまひとつはっきりしないとか、
いろいろ見ていて気になるところがありました。
映像化する際に必要な、原作の小説にはない裏設定の詰め方が
甘かった感じがします。

そのせいか、デイジーと結ばれ一緒に暮らすようになる前の、
ベンジャミンの前半生が退屈だったー。すごく長く感じた。
もっとそこ、うまくつまんでくれたらありがたかったなー。
老いや人生・永遠について考えさせるには、
前半生を丹念に描いてみせることが必要だったのかもしれないと
思わないでもないんだけど、それにしても長かった。。。
映画館で見てよかった。
家でビデオ見てたら最後まで見てなかったかも。


ところで若いヒロインの魅力がいまひとつと上で書きましたが、
その代わりケイト・ブランシェットさんは、
歳をとるほど、シワが増えれば増えるほど、美しく魅力的になっていて
驚きました。
特殊メイクなしだったのはどの時点だったのだろう。
何歳なんですか、この方。
実年齢よりおそらくずっと上だろうというところになっても、
すごくおきれいでした。



あ、アカデミー賞の結果が出ましたね。
「ベンジャミン・バトン」は美術賞・メーキャップ賞・視覚効果賞の3章受賞。
うん。なるほど。うん。
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DVD(映画)『幸せのレシピ』

2008-12-16 08:52:13 | 映画
幸せのレシピ

脚本:キャロル・フックス
監督:スコット・ヒックス
出演:キャサリン・セタ・ジョーンズ、アーロン・エッカート、アビゲイル・ブレスリン



美人だけど気が強くて完璧主義、仕事に誇りを持つあまり、
周囲との軋轢を生んでしまうことが多いヒロイン。

一見ちゃらんぽらんでふざけてばかりのようだけど、
実はハートが暖かくていざというときには頼りになるセクシーな男。

強い女性に見えるけど実は寂しくて誰かに寄りかかりたいヒロインは、
ふざけた印象のその男に最初は反感を持つけれど、
ふとしたことからその暖かさ・頼もしさに触れて、反発しつつもひかれていく。

二人の距離はどんどん縮まり、幸せをつかみかけたに思えたが、
あるとき、誤解がきっかけで大げんか、男はヒロインの元から去っていく。

ヒロインは後悔するが、持ち前のプライドがジャマして素直に追いかけられない。
二人はこのまま決別してしまうのか?

そうこうしているうち、ヒロインに大きなトラブルが降りかかる。
パニクるヒロイン。そこへ颯爽と登場して見事ヒロインを助けだす男。
本当の愛がどこにあるかようやく気がついたヒロインは素直な心をさらけ出して、
二人はめでたく復縁。
いつまでも幸せに暮らしました。  とさ。  めでたしめでたし。



はあ。時間の無駄しちゃった。
見ても見なくてもまったく影響のない映画だった。
「料理」で人を幸せにする映画だと思ったから見たんだけど、
別に料理はストーリーに関係なかった。
おいしそうとも思わなかったなぁ。

筋運びもキャラクター造形も演出も。すべてがあまりに凡庸、見るべきところなし。
ただハリウッド式ラブストーリーのお手本みたいな作品ではあるので、
そういうのをいままで一度も見たことなければ面白い、かな。
ヒロインが、母親を亡くした姪を預かって、最初はかたくななその子と
だんだん心を通わせていく、っていうサイドストーリーもあるんだけど、
それも「子ども好きな男の人って素敵よねv」と思わせる道具にしか
なってないと思いました。

その子役の女の子が、一緒に借りてきたDVD『リトル・ミス・サンシャイン』の
主役をやってた子だったので、偶然だったからちょっとびっくりした。



あ、真剣な顔で料理をするキャサリン・セタ・ジョーンズは美しくて、
そこはよかったです。
シャンプーのCMの彼女はなんだかいかつくて
見かけるたび「オトコ女…」と心の中で呟いてたんだけど、
この映画の彼女は女らしく美しく、それでいて凛としていて素敵でした。


見終わってから知ったんだけど、これドイツ映画のリメイクなんですね(『マーサの幸せレシピ』)。
原作はもっと陰影のある話なんだろうなぁ。
それをハリウッド式に、ベッターーーと暖色で塗りつぶしちゃったんだろうなぁ。。。

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DVD(映画)『リトル・ミス・サンシャイン』

2008-12-15 09:05:50 | 映画
リトル・ミス・サンシャイン

脚本:マイケル・アーント
監督:ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス
出演:グレッグ・キニア、トニ・コレット、スティーヴ・カレル、アラン・アーキンほか
2006年公開作品



決してブサイクではないけれど、太めの体型で大きな眼鏡をかけている9才の少女オリーブ。

ニーチェにかぶれ、憧れの空軍パイロットになれるまで口をきかないという『沈黙の誓い』を立て、
9ヶ月間家族とも筆談で最低限の会話しかしていない15才の兄。

何かというと「負け組にはなるな」が口癖で、物事を勝ち負けでしか考えられない父。

家族思いだけどどこか空回り気味、父とは寄ると触るとケンカばかりの母。

ヘロインの悪癖がやめられなくて老人ホームを追い出され、
ポルノ雑誌が大好きで口が悪いがオリーブとは仲良しの祖父。

プルーストの研究学者でゲイで、失恋のショックから自殺を図り、
一人にしておけないのでしばらく一緒に住むことになった叔父(母の兄)。

オリーブが少女対象のミスコンテンストに出場することになったため、
この一家6人でアリゾナからカリフォルニアまで1000キロ以上を車で旅する物語。


祖父とオリーブだけは仲良しだけど、それ以外はお互い相手の気持ちが全然わかってなくて、
自分の考えを一方的に相手に押しつけたり、自分の殻に閉じこもったり。
最初から解り合おうとする気がないみたいなこの家族。
最初の一家で食事をするシーンや旅が始まったばかりの車内のシーンは、
ほんとにイライラするの。
自殺未遂起こして入院して、退院してきたばかりの叔父に
父は「弱いから自殺するんだ」と言い放つし、
祖父は15才の孫に「セックスだ、できるだけたくさんの女とやるんだ」なんてけしかけるのを
両親にいくら制止されてもやめないし、
兄は本当に一言もしゃべらず誰とも目を合わせず、そこにいるのにいないみたい。
父と母はことあるごとに、いや何もなくても、すぐに怒鳴り合いを始める。

「家族の再生の物語だ」という予備知識は持ってたので、
何か事件が起きて家族が一致団結するんだろうな、どんな事件かな、
と思いながら見てたんだけど、
例えば銀行強盗の逃亡犯にジャックされるとか、
なにげなく抜かした大型トレーラーに執拗に追い回されるとか、
そういったドラマチックなサスペンスフルなことは起きない。
でも、映画的には大事件じゃなくても、家族にとっては「事件」。
小さくても「事件」が起きるたび、家族は自然に協力し合って解決する。
解決するたび、ぎこちないを通り越してトゲトゲギスギスしていた車内の空気が
柔らかくなっていく。
バラバラだったそれぞれが、少しずつ手を伸ばして、
最初は指の先だけちょっとふれあい、
それからぎゅっと手を握り合い、
次に肩に手を置き、
最後は全員でがっちり肩を組んで一つになる。

その過程がとても自然に描かれていて、とてもよかった。
起こる事件のいくつかはちょっと現実離れしてるけど、でもウソくさくない。

最後、「(比喩的な意味で)全員ががっちり肩を組む」シーンは泣けてしまった。
最初のシーンでは想像もつかない、いい家族。


いい映画でした。

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DVD(映画)『めがね』

2008-11-26 21:08:45 | 映画
監督・脚本:萩上直子
出演:小林聡美/もたいまさこ/光石研/市川実日子/加瀬亮
2007年9月公開作品





以下、内容についてネタバレがあります。
映画『かもめ食堂』についても内容について言及してますので、未見の方はご注意ください。


















**************************************************************************

うー、ぬ、ぬ、ぬ…………

どうしよう、全然いいと思わなかった……

昨日書いたように、『かもめ食堂』はとてもよかったのに。

『かもめ食堂』のファンの人が、同じように自分も
「説明は一切ないけどそれが逆に心地いい、何とも言えない空気感を持った」映画を作りたくて、
マネして作ってみたけど結局マネはマネに終わってしまった。。。みたいな感じ。


『かもめ食堂』は、何も説明してないのに妙に説得力があった。

サチエがフィンランドくんだりで食堂を開いたことについては、
理由は明かされないけれど、
サチエとその食堂がフィンランドの街にしっくり溶けこんでる感じがするから
納得できる。

ミドリがフィンランドにふらりとやってきたことについても、
その理由ははっきり明かされないけど、まぁ、なんか旅に出たくなったんだよね、
ってことはわかるし、
サチエの食堂を手伝いながらしばらくこの街にいたくなったことも共感できる。

かもめ食堂が最後に繁盛するようになったことも、
その経緯は描かれないけど、サチエの出す料理がみんなを惹きつけたんだよね、
ってことがちゃんとわかる。
お店の前を通ると、いつもコーヒーとシナモンロールのいい香りが漂ってるし、
グラスやカトラリーがいつもピカピカに磨かれている、
そんなお店が繁盛しないわけないもの。


翻ってこの『めがね』。

あいかわらず説明がないのは同じ。
それはいいんだけど、登場人物の心の動きに説得力がない。

初めは島の人になじめなくて(なじむ気もなくて)、何をすすめられても
「いえ、けっこうです」しかいわなかったタエコが、
最後にはみんなと一緒にサクラさんのかき氷を食べ、メルシー体操をし、
さらには翌年の春にまたこの島に戻ってくる。

その変化のきっかけはハマダを出てもう一つの宿に行ってみたけど、
そこがハマダよりもさらに自分の肌に合わないところだったので
またハマダに戻ってきたことだと思うんだけど、
「ここよりはハマダの方がマシだ」と思うのとハマダに馴染むのとでは
まだまだ距離がある。
その距離を私なりに埋めて、馴染んだタエコに共感することができなかった。
馴染んだことにホッとして、「よかったね」とは思うけど、
どうしても「でも、なんで?」と思っちゃう。

サクラさんの異常な人気ぶりにもいまひとつ共感できなかったし。
(私もかき氷苦手だからかしら。
なぜみんなそんなにサクラさんと自転車の二人乗りしたいの??)

キーワードである「たそがれる」っていう言葉にしても、
何度いわれてもどうしても違和感を感じてしまう。
ああ、私もこういうとこに行って「たそがれ」たいなぁ、と思えない。
「たそがれる」って言いたいだけなんじゃないの?って思っちゃう。



ううーん。

『かもめ食堂』と一見そっくりなのに、なぜこんなにちがっちゃったんだ!
何がちがうの??
どーにも説得力がないんだよなぁー……
説明はしてくれなくても、納得はさせてほしいです。
「わかんないけど、わかんなくていいや」っていう納得の仕方でいいんです。
『めがね』にはそれがなかったです。

脚本・監督も同じ人、出てる人も同じなのに、なぜだぁぁぁ
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DVD(映画)『かもめ食堂』

2008-11-25 22:06:59 | 映画
監督・脚本:萩上直子
出演:小林聡美/片桐はいり/もたいまさこ
2006年3月公開作品





以下、内容についてネタバレしています。










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誤解を恐れずに言うと、思った以上にないない尽くしの映画でした。

説明がない。
ストーリーがない。
ヤマ場がない。
オチもない。

だけど……退屈しなかった。
心地よかった。

サチエがなぜフィンランドなんて場所に食堂を開いたのか、
ミドリがなぜ「目をつぶって地図を指さしたらここだった」なんて
でたらめな方法で選んだ場所に旅行に来たのか、
いっさい説明はない。
突然わら人形なんていう、この映画の雰囲気にそぐわない不気味な小道具が出てきたり、
留守中に前に同じ場所でお店をやっていた男の人が厨房に忍び込むなんていう
よくわからないエピソードがあったり、
開店以来しばらくお客が一人も来なかったのに、映画の最後ではいつのまにか
大繁盛するようになっているんだけど、そうなった過程はとりわけ描かれてなかったり。

不親切といえば不親切。
ストーリーを語る気なんか全然ないみたい。

ふだんだったらこういうタイプの映画、好きじゃないの。
独りよがりだよなー、そんなのに付き合ってらんないよ、って思う。

だけど、この映画ではそれが正解、と思えた。
説明しないのが、この作品の最大の魅力だ。
「なんで?」って思わないこともないんだけど、次の瞬間、「ま、いっか」って思っちゃう。
この映画が醸し出す空気が、
淡々としていて、清々しくて、ゆったりしてて、細やかで、気持ちいいの。
それに浸っていると、「なんでって別に、そうなんだからそれでいいじゃん?」って、
何もかもをあるがまま受け入れられるような透明な心持ちになれる。


『西の魔女がしんだ』(映画)を思い出しました。
日常の細々としたことを、手間を惜しまずていねいに、しかもムダなくやって、
そこに喜びを見いだす。
西の魔女の暮らしとサチエさんの暮らしは似ている。


フィンランドに、行ってみたくなりました。
観光に行くのではなく、暮らしてみたい。
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