りん日記

ラーとか本とか映画とか。最近はJ-ROCKも。北海道の夏フェスふたつ、参加を絶賛迷い中。

映画『クライマーズ・ハイ』 感想

2008-07-17 23:21:03 | 映画
 この表紙好きだな

原作:横山秀夫
監督:原田眞人
出演:堤真一、堺雅人、高嶋政宏、他


見応えのある映画でしたなー。
がっつり「観た!!」という気にさせてもらえます。
骨太というのでしょうか。
面白かったです。
堺雅人さんがすごくよかった! 名優!


以下、作品の内容に触れています。未見の方はご注意下さい。













********************************************************************

新聞の紙面を実際に作っていく「編集局」。ビルのワンフロア全体を占める大所帯の部署。
その描写がリアルでとてもよかった。
パンフレットによれば、50人に上る局員の一人一人を、
エキストラではなくすべてオーディションで選んだ役者を使い、
それぞれの役職や人となり(性格や家族、趣味など)の裏設定を細かく決め、
カメラのフレームに入っていない人を含めた全員が
局の中でそれぞれの役になりきって演技をしたそう。
何本も電話をかけて情報収集に当たる者、原稿をガシガシ書いている者、
メモを片手に突然走り出す者、険しい顔をして他社の新聞をにらむ者、
お茶を配る者、タバコ片手にニヤニヤと雑談する者、
ヒソヒソと密談をする者、ただボーッと宙を見つめている者、
ソファで仮眠する者……

本物の新聞社もこうなんだろうなぁ、と思わせる。
セットの中でエキストラがワヤワヤ適当に動いているんじゃなくて、
本当に大事件で殺気立っている新聞社をちょっとのぞかせてもらっている、
という気にさせる。
これはなかなか面白かったですね。

局内の描写以外でも、
新聞社の向かいのホテルのロビーでゴロゴロと仮眠をとっていたり、
料亭が記者たちのたまり場になっていて、
懐石料理を囲んでいる部屋からほんのちょっと離れた別の部屋では
若い記者たちがじゃらじゃらと麻雀卓を囲んでいたり。

驚いたのが、編集局vs販売局の戦争。
「……これは戦争になるな」って、比喩的な意味かと思ってたら
ほんとにげんこつ握ってわーってなだれ込んできて、
ワーワーとっくみあいになって、人海戦術でバリケードつくって。
気性、荒い荒い(笑)。出入りですか?って感じ。
あそこは面白かったなぁ。


もっと驚いたのは、ほんの二十数年前なのに、現場に飛んだ記者との連絡手段が何もなくて、
泥だらけになって何時間もかかって下山してきて、
電話貸してくれる民家を探して駆けずりまわったりしてたこと。
無線機持ってない、なんて、ほんとに?!
(たまたま持っていかなかったんじゃなくて、新聞社全体として、持ってない。
上がそういのキライだから買ってくんないって、アホか?!)
小学生が携帯持ってる現在からは、想像つかないですね。
昭和……遠くなったなぁ……


この、堺雅人演じる佐山記者が現場に行くくだりは、もっとじっくりやってほしかったな。
想像ですけど、原作やテレビドラマではここはもっと時間割いてたんじゃないですか?
佐山記者と神沢記者がどんなに大変な思いをして現場の山に登ったか、
そして現場で見た光景がどんなに悲惨でどんなに衝撃的なものだったか、
もっと見せてほしかった。


でね、その代わり、これはそんなに要らないんだよな;と思ったのは、
原作の横山秀夫さんお得意の、男同士の意地の張り合い、メンツの張り合い、
「オトナの事情」の薄汚さを描く部分。
結局さ、どんなに小難しいこと言ったって、
要は自分がイチバンじゃなきゃ気がすまない、コドモ同士のケンカでしょ。
「社長に気に入られている」とか
「後輩のクセに自分を差し置いてスクープ抜いたことがある」とかいうくだらない理由で
こちゃこちゃと主人公悠木をいじめて、
悠木はそれにいちいち反発してカッカ怒って。
横山秀夫さんの出世作「半落ち」を読んだときにも思ったんだけど、
せっかくいい主題を扱ってるんだから、そんなオトコどものくだらないケンカは、
まぁいいじゃないですか。
「くっだらな~い、ばっかみた~い、どーでもい~」ってなっちゃいました。

あーこれは私の趣味がそうだってだけで、「ばっか、横山作品が人気あるのは
そこのところにみんな惹かれるからじゃないか!」って方もいらっしゃるでしょうね。
うーん、そうなんだろうな~って私も思いますよ。
ただ、私はそこはあんまり興味がないってだけです。
若くてかわいい男の子同士の意地の張り合いは見てて楽しいけどね、
いい年したおっさんのそれはあんまり見たくないのだ



中盤はいまいったような「いじめられて怒鳴りまくる悠ちゃん」メインで話が進むので、
あーこりゃ私には向かんかった。。。と思いながら見てたのですが、
「事故原因のスクープをものにできるか」っていうエピソードが主軸になる後半は、
がぜん面白くなってきた。
堺雅人演じる佐山記者も活躍するし。

堺雅人の何がよかったって、いいオッサンが子供じみたケンカばっかりしてるのを尻目に、
そこからは一歩離れたところで、自分のやりたいこと、やるべきこと、やるべきだと信じたことを
ちゃんとこなしている、そんな一本芯の通った男の演技。これがよかった。
命がけでものにしてきた「現場雑感」を、オッサンたちのケンカの巻き添え食って
ボツにされてしまったけど、
いつまでもそれにとらわれることなく、自分の得意技を使ってスクープの裏をとる佐山記者。
ボツになったときの怒りに燃える目もよかったし、
現場で悲惨な光景を見てきた記者がショックから立ち直れないまま
急死するという最悪の結末を迎えたのに、
同じ光景を見た佐山記者はひょうひょうと事故のレポートを続ける、
その強靱さをさりげなく表現しているところもよかった。
そしてラスト近く、事故調査委員会の委員長に突撃取材するところがかっこいいv
その機会を窺って山中で張り込んでいるとき、
ペアを組んだ新人女性記者に「怖くて足が震えている」といわれて、返すセリフがまた♪

「心配すんな。ザイルでオレとつながってる」

キャー

ベタっていえばベタだけど、でも、キャー


これが例えば福山雅治とか木村拓哉が言ったんだったら何とも思わないんだけど、
あの、童顔なのになんだかじじむさい、
笑ってるのに泣いてるような困ってるような、
ちょっとはっきりしなさいよアンタ!って揺さぶってやりたくなるような、
そんな人が言うもんだからさぁv

ああ、あの一連のシーンはよかった。
佐山記者があんなにかっこよく裏をとったスクープなのに
結局一面を飾れなかったのは本気で残念だ。
ちぇー、悠木のおくびょーもん!なーにが「チェック、ダブルチェック」だよぉ。


そんなわけで、面白かったです。

「篤姫」見てないんだけど、いまから見ても話わかるかな。
堺雅人さんにすっかりロックオンだ!


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7 コメント

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Unknown (観世)
2008-07-18 01:19:36
りんさん、
篤姫では、堺さんは…先週お亡くなりに……
一足遅かったよーん。
先々週とか、ものすごく良かったのにぃ~。
せめてまだちょっと生きている、土曜の昼の再放送をご覧ください。

クライマーズ・ハイ、私も見ました。
私は遠藤憲一さんが想像以上に良かったです!
しかし、ホント、ほんの20年前なのにね。無線とか、電話とか、なー。
あれが普通だったんだもんなー。
来てるな、未来!! というべきなんでしょうかね、現在は…。
Unknown (桃戸千)
2008-07-18 07:19:34
なー、観世さん 遅いよなー
もうここ2~3週泣いた泣いた>篤姫

あっ、堺雅人@家定にメロメロの桃戸千ですこんにちは

もう見たんだークライマーズハイ
いろんな人の感想聞いて
TVの方が良かったとか
雅人さんの役はTVの南朋さんの方がいい
とか、色々感想聞いてちょっとひるんでました
でも、りんさんの感想を読んで
やっぱり見に行きます!!
待ってろ!雅人!
はじめまして、 (name)
2008-07-18 11:53:20
「クライマーズ・ハイ」をキーワードにお邪魔しました。壁紙も同じでビックリです(笑)

本を読む前に映画を見てしまったので、正直ちょっと難しいところも多かったのですが…
20数年前の新聞社の描写が緻密で素晴らしかったし、
血と汗と涙の結晶?ともいえる記事を世に送り出すために奔走する新聞記者たちの姿に、感動したり。。いい作品でしたよね。

堺雅人演じる佐山記者、ポイント高かったですね!報われず残念でしたけれど…
マジかぁ! (りん)
2008-07-18 20:32:21
~観世さん
ぐわっ、そうなんですかっ!
あーそっか、それで今週はなまるカフェに出たりしてたのかぁ。
うわぁん、泣きたかった!
堺雅人さんの家定で泣きたかったよぉ!

遠藤さんの役で一つわからなかったのは、
悠木ととっくみあいの喧嘩したすぐ次の日から、
急に会議でさりげなく悠木の味方したり
スクープ待ちの共同戦線を張り始めたりしたところです。
その間の描写が抜けてません?
遠藤さんのせいではないですけどね。


~桃戸さん
おおお、そんなによいのですね、堺さんの家定。
ああ、悔やまれる

私は原作読んでないしNHKのドラマも見てないせいか、
映画で十分楽しめました。
大森南朋さんは泥くさく男くさく情熱的にあの役を演じたのかなぁと
想像してるんですが、そうだとすると、確かに
堺さんの演技が物足りなく感じられちゃうのかも、と思います。
でも私は堺さんの、淡々とした中に時折ちらりと見せる
ジャーナリスト魂がかっこよかったなぁ。
何より、現場から帰ってきて堤真一をにらむあの目つき。
あの目をぜひ桃戸さんに大スクリーンで見てほしいですv


~nameさん
こちらこそ初めまして!
コメント、ありがとうございます!

わー、おそろですねv 
初めてテンプレ同じ方とお会いしました♪

編集局内の地位関係が最初なかなかつかめなくて、
ちょっと混乱しましたね。
あと、「オオクボセキグン」って、映画見終わってパンフ見るまで
なんのことやら全然わかりませんでした。
でも長さを感じさせない、観客をぐいぐい引っぱる力のある作品で、
堪能しました。
あとで160分あったと知って驚きました。

もしよろしかったら時々遊びにいらしてくださいませ
Unknown (ふう)
2008-07-21 14:42:20
もともと大森南朋さん好きで
先にドラマの方をみた印象が強いので
つい堺さんの佐山さんが「優しく」見えて
しまいました。
ただ、ドラマと映画はどちらが上という事は
なくて、それぞれの良さ
ドラマは「静かな迫力」、
映画は映画ならではのスケールの大きな
迫力がありました。
良かったら見比べてみて下さいね。

映画での社内の様子、エキストラではなく
50人の役者さんが、それぞれの部署の
一日の仕事の流れを把握した上で、その時間の
必要な仕事、事件が起きた時の動きを
やってていたそうです。
そういうところは、さすが映画ですね。
また、今のように携帯やPCが普及していれば
この様なドラマは起きなかったのかなと
思うと・・まさに昭和は遠くなりにけり(笑)
考えられないですもんね、
通信手段のない取材・・。

でも、確かに見ごたえのある映画でした。
これはやはり大スクリーンで見るべし!

Unknown (りん)
2008-07-21 21:21:09
~ふうさん
大森南朋さんの佐山記者、ぜひ見てみたいです。
迫力あったんだろうなー。

いま、堺雅人さんの「あの目」が脳裏から消えなくなって
若干困っています。
ギャップ。ギャップにやられたよ~~~
好きになっちゃったよ~~~
なのに今日の昼間に出ていたという番組、二つとも見逃したよ~~
日航ジャンボ123便ソ連自衛隊核攻撃惨事 (アッキードF19で小沢一郎を撃退希望)
2018-09-14 06:58:25
日航ジャンボ123便ソ連自衛隊核攻撃惨事における たくさんのJAL123便の元気な生存者及び、ご搭乗の昭和天皇が、日本の埼玉県警察の警察官らの襲撃(日本語で おまわりさん?らの手により)により
p://www.marino.ne.jp/~rendaico/ainugakuin/e0011938_16494167[1].jpg
といった惨憺たる虐殺死体と化した

一方、救助に奔走したのは米国のみであった

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