
雪崩に巻き込まれたのは、ルフィ達と、ビッグホーンの村だけではなかった。ドクター.くれはを探していたビビとウソップも、また雪崩に巻き込まれながら、一命を取り留めていた。

ビビとウソップは、医者を探している途中で、寒中水泳中に迷子になったという、上半身裸のゾロに出会う。ビビは、この連中のバカさ加減に、ナミが倒れたのは精神的疲労ではなかろうか・・・と思った。
ビビ、ウソップ、そしてゾロが雪崩被害直後のビッグホーンの村にたどり着いた時、村はなにやら騒がしかった。重傷を負ったドルトンが雪に埋もれているというのに、ワポルの部下の兵士達が救出を許さないのだ。
上半身裸のゾロは、事情は知らないが、ワポルの部下の兵士を敵だと認識するや否や、一人で全部の兵士を倒し、ちゃっかり兵士のコートをいただいてほくほくした。裸では寒かったらしい。

ビビ達が探していた医者は、すでに城に戻っていた。
チョッパーは、標高5000メートルのドラムロックを素手で登ってきた人間を拾ってきたと、ドクトリーヌに見せた。ルフィは全身凍傷になりかけ、サンジはアバラ6本と背骨にヒビと出血多量の重傷、そしてナミは毒が全身に回って今にも死にかけの重体だった。
全身凍傷と疲労で体が動かないはずのルフィが、血まみれの手でドクトリーヌの腕を掴んだ。歯がガチガチと音をたてて揺れ、言葉にならなかったが、必死に「ガチガチガチガチ・・・・うう・・なカバ(仲間)・・・ダンダよ」と声を搾り出して仲間のことをお願いした。


ドクトリーヌは、「わかった、助ける」とこの素性の知れない瀕死のよそ者と約束した。チョッパーは、仲間の為に命を張る人間の姿というものを、初めて見た気がした。
どれくらいの時間が経ったのか、ナミが目を覚ましたとき、暖かな部屋のベッドの上だった。看病してくれていたのは、青い鼻の小さな2本足で歩く、しかのぬいぐるみのようだった。

そして診療してくれていたのは、「ドクトリーヌ」こと、Dr.くれはだった。ナミは太古の島で、太古の虫「ケスチア」という有毒のダニに噛まれ、感染していた。通常このダニに刺された者は、並の苦しさではない様々な症状に苦しんだうえ、5日目には死亡する。
ナミは感染後3日目であり、あと2日遅ければ死んでいた。先を急ぐと城を出て帰ろうするナミに、ドクトリーヌは、ナミにあと10日、少なくともあと3日の入院を強制した。

ここでの滞在を余儀なくされたナミは、ドクトリーヌに、しかのぬいぐるみのようなものは何かと尋ねた。「あいつが何かって?名前はチョッパー、ただの青っ鼻のトナカイさ。ただし、【ヒトヒトの実】を食べて、”人の能力”を持っちまっただけさ。あいつにゃあ、あたしの”医術”を全て叩き込んであるんだよ。」と説明した。
その頃チョッパーは、すでに元気になっていたルフィと、サンジに”おいしそうな肉”として、城中を追い掛け回されていた。
