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午前10時、アラバスタの国が平和を取り戻し、新たな歴史を刻む祝典と王女ビビの「立志式」が始まった。
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ビビは"始まりの日"を思い出していた。
イガラムから、アラバスタを陥れようとする地下組織があるという話を聞いたあの日、国の為にじっとしていられず、イガラムを説得して地下組織に潜入を決めた。あの時イガラムと約束したたった一つの事。
「死なない覚悟は、あおりですか?」
何度も何度も死にそうになり、諦めそうになり、悔し涙に溺れてしまいそうになった自分を守り、戦い、諦めるなと励まし続け、どんな暗闇にも希望があることを教えてくれた仲間との出会い・・・。
ビビは国民に向けて話しだした。
「少しだけ、冒険をしました。それは暗い海を渡る"絶望"を探す旅でした・・・。国を離れて見る海はとても大きく、そこにあるのは信じ難く力強い島々、見た事もない生物、夢とたがわぬ風景。並みの奏でる音楽は、時に静かに、時に激しく、弱い気持ちを引き裂くように笑います。
暗い暗い嵐の中で一隻の船に会いました。船は私の背中を押してこう言います。『お前にはあの光が見えないのか?』
闇にあった決して進路を失わないその不思議な船は、踊る様に大きな波を越えて行きます。海に逆らわず、しかし船首はまっすぐに・・・たとえ逆風だろうとも。そして指を指します。『みろ、光があった』
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やがて歴史はこれを幻と呼ぶけれど、私にはそれだれが真実。そして・・・・・・・・・・・」
そこでビビ王女のスピーチは止まった。
王宮前広場では、ビビに扮しているのがイガラムだとばれて、民主のブーイングを買っていた。ビビ王女の姿は、王宮のどこにもなかった。
約束の地、アラバスタ東の港「タマリスク」では、ビビの放送を聴きながら麦わらの一味は”仲間”を待っていたが、放送を聞いて、ビビが王女である事を選択したことを悟り、アラバスタを静かに後にしようとした・・・その時、「みんなァ!!!」という懐かしい声が船に届いた。
ビビとカルーは、王宮を抜け出して「タマリスク」へ来ていたのだ!!!
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麦わらの一味はビビが来たことに、喜びを隠せずに歓迎し、早速ビビを乗せる為に寄港の準備にとりかかった。
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だが、ビビは言う。「お別れを言いに来たの!!」
ビビは電電虫を手にとって、麦わらの一味に向かって精一杯に叫んだ。
「私・・・一緒には行けません!!!今まで本当にありがとう!!!冒険はまだしたいけど、私はやっばりこの国を愛しているから!!!!!だから、行けません!!!!」
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ビビの言葉に絶句して悲痛な顔をしていたルフィは、その想いを聞いて納得した。「・・・・そうか!」
ビビは言葉を続けようとするけれど、ルフィ達との冒険の日々を思い出して涙があふれ、言葉につまった。流れる涙をぬぐうこともせず、ビビは言葉を絞りだした。
「私は・・・私は・・・ここに残るけど・・・!!!いつかまた会えたら!!!もう一度、仲間と呼んでくれますか!!!?」
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ルフィがビビに大声で応えようとした時、ナミがその口を塞いだ。メリー号を追ってきた海軍の船が近くにいて、ビビの存在に気付いている。ここで、アラバスタ王女と海賊が”仲間”である事を悟られると、ビビは"罪人"となる。
「このまま黙って別れましょう」ナミはそう言ってビビのいる岸に背を向けた。
メリー号から返事がない・・・。自分が船を降りたことで、もう自分は麦わらの仲間ではない・・・ビビは悲しみに立ち尽くした。
だが、次の瞬間、ビビの目に飛び込んできたものは-------------
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これから何が起こっても、左腕のこれが"仲間の印"だ
アラバスタに入る時に、皆の腕に刻んだ”仲間の印”!!!あの時には自分達はもう”麦わらの一味”で、仲間だったんだとビビは泣いた。
アラバスタの岸で、ビビとカルーもその左腕の"仲間の印"を高く、高く突き上げた。
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ゴーイング・メリー号は仲間に別れを告げ、新たな冒険に旅立って行った。
「出航~~~~!!!!!」
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