長すぎる「ひとこと感想」その4。
観た直後のメモには、「予想していたのとちょっと違って、これは結構、“深くて重い”内容の物語。原題の意味するところも、エンディング・ロールに流れる同タイトルの歌も。」。歌はきれいさっぱり忘れてしまったけれど、原題(“UP IN THE AIR”)のアイロニーは忘れられない。
「バックパックに入らない(人生の)荷物は、一切背負わない」と人前で講演するほど、しがらみ抜きの身軽な人生を送ってきた主人公は、企業のリストラ対象者に解雇を通告するプロフェッショナル・・・という設定が鮮烈。二度と会わない相手に対して、職業上のテクニックでコミュニケートするだけの彼は、一人で全米を飛び回るそういう日常が気に入っていて、1000万マイル貯めて機長に祝福の言葉をもらうという無邪気な夢を持っていたりする。
“UP IN THE AIR” が日常であり、深い意味では人生のスタンスでもあるような人・・・そんな彼が、妹の結婚式に渋々帰郷するのをきっかけに、少しずつ地上に降りざるを得なくなる。「自分と同じ種類の人間」と感じて、いつもどおり「空き時間を一緒に楽しむ」つもりだったセクシーなキャリア・ウーマンに本気?になったり、疎遠だった実家の家族との関係が、偶然も重なってもう少し温かいものに作り替えられたり・・・。
でも、人生はままならぬもの。彼が「血の通った人間関係」だの「人の温もり」だのに目覚めた途端、彼が一番避けたかった、しっぺ返し?のような現実が待っていた・・・。
キャストが秀逸。 ステレオタイプから遠い、いかにも現代的で、しかも(その人なりに)血の通った生身の人間と感じさせる人物造形が、とても良かった。
ジョージ・クルーニーは、どんな映画でもごく自然に見える人なので、これまで私は「いい俳優さんなんだな~」としか思ってこなかったけれど、今回はその自然さ(つまりは演技力)をとても新鮮に感じた。決して冷たい人でも悪い奴でもない、ただUP IN THE AIRで生きてきたためにちょっとだけコドモっぽい主人公を、柔らかな感受性を感じさせる風情で、とても魅力的に演じている。
キャリア・ウーマン役のヴェラ・ファーミガは、すっきり割り切れたオトナの女の魅力と、ちょっとした心の揺らぎ(だったんだと私は思う) を上手に見せていて、大好きになった。
でも、私にとって一番面白かった?のは、「期待の女性新入社員」役を演じたアナ・ケンドリックかもしれない。彼女のある種変わった、でも自分自身に忠実?な姿は、器用な主人公に欠けているモノを逆に照らし出しているような気がした。
個人的には、1000万マイルの目標を達成した主人公が、挨拶に来た機長に向かって、なぜか夢が叶った喜びを感じない・・・と語る場面が記憶に残る。
彼はもうUP IN THE AIRな人間ではなくなってしまったのだ。人間が暮らす「地上」に降りて、遅ればせながらその喜びや痛みを(ほんの僅かでも)直に知ってしまったからには、もう「知らなかった」頃には戻れない・・・その苦さが、なんとも言えなかった。
だから、ラスト・シーンも忘れられない。幾分重たげな足取りで、慣れた飛行場の構内を行く彼は、「ごく普通の社会人の日常として 」歩いているのだとわかる。「空を飛んでいればよかった」時代が終わってしまったことを全身で語っているようで、未だに空中を浮遊している?私にとっては、非常に「深くて重い」ものがあったんだと思う。
どこがどうとは言えないけど
好きです。
そう、深いですね。
ちょうど1年前に観た映画の感想、今頃書いてます~(^o^)。
書くのは全然上手くない(日本語習いたての外国の人が書いたみたいや~っていつも思う)んですが
この映画は少しでも内容を「紹介」したくて
チラシとか見ながら、一生懸命思い出して?書きました。
私もほんとは、「どこがどうとは言えないけれど」、でもなんとなく好き・・・っていう作品なんです。
ただ私の場合は、主人公の"コドモっぽさ"に親近感があるもんで
ちょっと思い入れが出来ちゃったのかも(^o^)。
上手だな~(^^♪
観たくなっちゃいますもん
ジョージクルーニーという俳優さんは
結婚恐怖症らしいですね
付き合ってる彼女が結婚と言い出したら
別れると聞いた事があります。
彼自身「バックパックに入らない(人生の)荷物は、一切背負わない」を地で行く人かも?ですね
褒めて下さってありがと~ヽ(^o^)丿
>ジョージクルーニーという俳優さんは・・・
そうなんだ~(納得)。
どこか(パンフレットか何か?)で、「この映画の主人公は普段のジョージ・クルーニーそっくり!って言ってる人がいたんです。
その時は、ほんとかなあ・・・なんて思ったんですが
なるほどホントだったんですね~(^o^)
お知らせが遅くなり越年しましたが、昨年最後の拙サイトの更新で、こちらの頁をいつもの直リンクに拝借したので、報告とお礼に参上しました。
僕は少し稚気が過ぎるような気がしたのですが、「ステレオタイプから遠い、いかにも現代的で、しかも(その人なりに)血の通った生身の人間と感じさせる人物造形」は確かに魅力でした。
「幾分重たげな足取りで、慣れた飛行場の構内を行く彼は、「ごく普通の社会人の日常として 」歩いているのだとわかる。「空を飛んでいればよかった」時代が終わってしまったことを全身で語っている」とのラストシーンは、意味深長でとても興味深かったですね~。
今年もどうぞよろしくお願いします。どうもありがとうございました。
直リンクとご報告、いつもありがとうございます。
「稚気が過ぎるような」主人公が
(そこはかとなく同種族の?)私としては他人事じゃないというか(^_^;
個人的にもイロイロと、記憶に残るものがあった作品でした。
ところで今年も近々、オフシアター・ベストテン選考会の参加募集があるそうですね。
2012年に観た映画を、それまでにざっと振り返ってみたかったのですが
なんせ「アタマの中がミゾレ状態」で、全然手につきません(^_^;。
でも、ヤマさんの名司会を見に(聞きに)
当日行けたらいいなあ・・・と願っています。
何はともあれ、こちらこそ
今年もどうぞよろしくお願いします(^o^)。