去年、映画館以外の場所(オフシアター)で上映された映画がどれくらいあったかも、よく知らない自分…
でも、観たのが外国映画6本だけ(日本映画は1本も観てない)というのは、やっぱりサビシイです。
新型コロナ禍の影響というだけでなく、せっかく上映されても体調その他で行けなかった記憶が多く、それも残念で…(シクシク) でも、主宰者さんたちはもっとずっと大変だったと思います。
それにしても、集中できなかったのか何なのか、いつも以上に記憶がアヤフヤ。
もう「1年分のひとこと感想」は、今回は止めにしようか…とも思いましたが、それもなんだかスッキリしない。気を取り直して
「とにかく書くだけ書こう!」
で、「モタモタひとこと」になりました(^^;
(以下、ほぼ鑑賞順)
『おじいちゃんの里帰り』(監督・共同脚本:ヤセミン・サムデレリ 2011 ドイツ=トルコ)
孫息子を演じる男の子があまりに可愛いのと、日本語タイトルのニュアンスで、内容の深さ、幅広さが見過ごされたら残念だな…なんて、つい思ってしまうような映画。ドイツがいかに多民族国家になっているかをこういう映画で目にするたび、私はいつも自分の頭の古さを痛感させられる。
な~んて書くと、いかにも真面目・深刻な作品みたいだけれど、実際は(日本語タイトル通り)「トルコからドイツに移住して50年」というおじいちゃんが、家族全員で「里帰り」を決行した顛末を描く「家族」映画。屋外で皆が宴会をするラストシーンでは(おじいちゃんの深謀遠慮だの何だのがよくわかって)不意に涙が込み上げてきたのを覚えている。(エンディングロールで、原題が「ようこそ、ドイツへ」といった意味らしいと知って尚更…)
『北の果ての小さな村で』(監督・撮影・共同脚本:サミュエル・コラルデ 2017 フランス グリーンランド語・デンマーク語)
ドキュメンタリーかと思うほどリアルな作りの映画で、「登場人物すべてを本人が演じている」と後からチラシを見て知って納得。私はこういう映画が元々好きなんだと思う。(この映画を観たのは去年の7月だけれど、今となると『ノマドランド』以上にドキュメンタリー的だったことになるかも)
とにかく村の人たち一人一人の存在感、まっすぐに相手を見つめる目の力と、その立ち居の自然さ(何と言っていいかわからない)に感動した。
(オーロラを見ながら「口笛を吹くとついてくる」と言われた後の、若い教師の行動が微笑ましくて… 私もいつかオーロラの下で、口笛吹いてみたいな~って(^^))
『巡礼の約束』(監督:ソンタルジャ 2018 中国)
チベットの文化も現実もほとんど知らない私は、こういう映画で「ほんとにこんなこと(五体投地での聖地ラサへの巡礼)今もする人が珍しくないんだろうか…」と感じても、「いくらなんでもそんなことないよね」とは思わない。あまりに知らないことだからだ。
ただ…「生者が死者と共に生きている」文化は、熱心な浄土宗信者だった祖母と暮らした子供時代に、私のどこかにも染み込んだのかもしれない。巡礼の途中で出会う人々の親切さも、昔の日本の田舎を思い出させるようで、私はさほど違和感を感じないままずっと観ていたと思う。万人向きとは言えないけれど、個人的にとても印象的だった1本。(感想を書くつもりが書けなくて…ショゲた(^^;)
『ガーンジー島の読書会の秘密』(監督:マイク・ニューウェル 2018 フランス=イギリス)
「読書会」という言葉が素敵で、上映を楽しみに待っていたら… 実際は「読書会」よりも、ヒロインを取り巻く3人の男性の方が記憶に残った…という作品。3人3様に、それぞれの繊細さを見せ魅力的で、「男性たちよりヒロインの方がやや無神経に見える」瞬間も(^^; 物語の展開は予想通りだけれど、主役のリリー・ジェームズがあまりに美しいので、(細部の不自然さなんてどこへやら)納得させられてしまった感じかも。
ただ第二次世界大戦時のイギリスについては、ドラマでも映画でも、知らないことによく出合う。単純な「戦勝国」なんてあるはずないけど、イギリスも危ない橋を渡ってたんだな… と、その度思う。
『シェイクスピアの庭』(監督・主演:ケネス・ブラナー 2019 イギリス)
とにかく、ケネス・ブラナーはシェークスピアが本当に好きなんだなあ…と。
写実的で実在感のある、生身のシェークスピア像を作ろうとして、もしかしたら「自分と等身大」の人物像を作ってしまったのかも… なんて不遜なコトも考えた(^^;
妻から20余年の不在を批判されると「俺の稼ぎで食ってこられただろう!」なんて口走るような夫。それでも若き日の憧れの美青年(だった)サウサンプトン伯との再会には心躍らせ、しかし本心を僅かに漏らした瞬間、貴族である伯爵からは(当然ながら)手酷い拒絶に遭う詩人…
妻も次女も文字は読めないまま。なのに最愛の息子が書いたと思っていた詩の数々は、息子の作品ではなく、その死の理由も彼は誤解したままだった… そういう晩年の「実人生」を想像してブラナーが書き上げて、「こんなのでどうでしょう?」と尋ねているようで… シェークスピアへの彼の恋文?みたいな気がした映画。
『僕たちのラストステージ』(監督:ジョン・S・ベアード 脚本:ジェフ・ポープ 2018 イギリス=カナダ=アメリカ)
「伝説のコメディアン、ローレル&ハーディ」は知らないけれど、この「ラスト・ステージ」は1953年(私が生まれる前年)のこと。こどもの頃TVで見たコメディー番組は、この映画に出てくるような(素朴な?)観客を想定して、こういうドタバタの繰り返し!で出来ていた記憶がある。そういう番組を見て育った私は、今となるとその頃に戻りつつあるようで… ギャグのユルさも、全体に溢れる作り手たちの(このコンビに対する)敬愛の念も、本当に伸びやかに感じて、心地よかった。
2人を演じた俳優さんたち(スティーヴ・クーガン&ジョン・C・ライリー)の両方に、なんでもいいから主演男優賞あげたいと思ったのを思い出す(^^)
(映画の内容とはほぼ無関係ですが備忘用に載せておきます)
http://blog.livedoor.jp/hayasinonene/archives/55336359.html「映画を観にいったつもりが…」
(いつだったかお茶屋さんが仰ってた
カワウソさんみたい)
そういえばナイルもあったんですよね。
早く観たいなあ。
第4波、ひどくならないうちに来ないかなあ…
(良くできた楽しい映画に飢えてます)
「おじいちゃんの里帰り」は、一度は素材代の関係で上映を諦め、安くなってからはコロナで延期となり、上映までが長い道のりでした。あまりにも素朴なタイトルで損をしているようにも思いますが、ストーリーテリングの自由闊達さは、フェリーニ並みの面白さでした。敗戦後のドイツの復興を、海外からの移民たちが下支えしてきた、という背景も知ることが出来ました。
今年はオフシアター・ベストテンの選考会はありませんでしたが、ムーマさんの挙げてくれた作品には、どれも一票を投じたと思います。そして、すぐに10票を使い果たしてしまったことでしょう。
どの映画も、人を見ることの喜びを教えてくれるような作品で、これも人との距離を近くに感じたいという、コロナの功罪でしょうか。
ガビーさんとこばっかりになりました。
化学物質過敏の関係で、リスクのある会場からは
足が遠のく…ということも、実はあります。
(美術館ホールが一番、リスクが低いと感じるのです
小さい会場はそもそもダメ…というのもあります)
でもそれ以上に、「観たい」と思うような外国映画を
毎回上映して下さるお陰です(^^)
選考会があったら、私もこの6本全部に投票します。
10本も観てないから…(^^; じゃなくて
「観に来られて良かった!!」と思う作品ばかりでした。
本当にありがとうございました。