
最近食養相談を受ける中で特に感じることは、水の摂りすぎということです。一日に1ℓ~2ℓの水分を摂っている方が多くその多くの方が健康のため、無理して水を摂っていると言います。
マクロビオティックでは、水分の摂取は喉が渇いたら口を湿らす程度に水分を取り、決して多飲してはいけないと学びます。これは玄米菜食を実践する中で、必要十分な水分がご飯やおかずから摂取できるからです。水分の多飲によって、腎臓に負担がかかり、耳鼻科系、泌尿器科系の病気を招いたり知らず知らずのうちに冷え性やむくみの問題を抱えてしまうことになるからです。
特に現代女性の多くは陰性過多(甘いもの、果物、アルコール)により身体が陰性に傾いているにも関わらず、水分を飲まなくてはいけないと強迫観念にさいなまれ
一生懸命水分を補給してしまう代償として病気を招いていることが多いです。
確かにゲルソン療法などは、水分や生ジュースを一日に2ℓぐらい飲みなさいと言われますが、ゲルソン氏がドイツ人で自らが病に犯され、食により克服されたときの食事療法がゲルソン療法で、あくまで肉食過多の方に有効な療法といえると思います。
最近「病気にならない生き方」でベストセラーとなっている新谷弘実先生もゲルソン療法実践者のようで、その著書にはやはり水分を多く摂るように書かれておられ、また、サプリメントやコーヒーエネマ洗腸などをすすめておられ塩分を控える指導をしますが、マクロビオティックの観点から見ると真反対、ウ~ンと、首をひねりたくなってきます。
しかし、新谷先生のご活躍の場はアメリカであり、やはり肉食文化で有効であることがわかります。肉食過多での食生活においては、血液の粘りをとり動物性タンパクの消化を助けるためには野菜の酵素も多く必要になるわけですが、玄米菜食を続けていく上では、過ぎると上記のような病気を招いてしまうのです。
現に、肉食過多の現代人は片方で陰性過多の飲食で陰陽バランスをとっている場合が多く、体質的にも陰性に傾きがちな方が多い中、結果的に水分の多い食事を心がけると思わぬ病気を招いてしまっていることが多いのです。
甲田式食事療法においても玄米菜食でありながら、青汁を多く飲み水分をびっくりするぐらい飲む指導がなされますが、この療法においては運動量もかなり多く、頷ける点があります。
玄米菜食による食事療法は、本当に色々あります。マクロビオティック、ゲルソン療法、甲田式、西式、森下式、千坂式などなど・・・。
指導の内容はさまざまです。しかしどれもが共通している5つの点があります。
①玄米を食べる。
②菜食
③動物性食品の排除
⑤ノンシュガー
⑥ノンケミカル
水分の取り方、塩の取り方など細部では全然逆の指導がなされますが、どの療法も病気が治る、治ったという方が大勢いらっしゃいます。
これは何故か?
これは病気の陰陽、身体の陰陽により、これらの療法の指導内容の細部の陰陽がぴったり合えば、どの療法でも良くなるのは当然で頷けるわけです。
それではどの療法でもいいのか?と思われるでしょうが、そうではない落とし穴があります。いつまで継続するかという観点が抜け落ちているからです。ゲルソン療法も、肉を多く摂っていらっしゃる方には始めはとても有効で病気の改善も見違えるほど進みます。しかし玄米菜食をしていきますから、身体は陽性から中庸と移行しさらに続けることで陰性と変化します。ここで水分が多く塩分控えめとなると、今度は陰性の病気を招いてしまう結果となるのです。
マクロビオティックの素晴らしさは、身体の変化に応じて陰陽の使い分けをしていきます。肉食過多(陽性)の場合の食事、甘いものなどの取りすぎている方(陰性)の食事をしっかりと区別し、さらに体質を中庸に保つために、食事内容も変化してシフトさせます。ですから、食事療法を進めていく上で理にかなった結果が出てくるわけです。
あくまで私見ではありますが、コーヒーエネマやゲルソン療法について安易に(説明不足)取り上げているマクロビオティックの雑誌がありますが、十分マクロビオティックを理解した上で初めて雑誌に取り上げる意味が見えてきますが、マクロビオティック初心者ではそこまでの理解力を求められません。どうぞ、情報キャッチするときのアンテナを常に良い位置に置き、雑音に戸惑わない確かな知識を学んで欲しいと願います。
そして、上記のどの食事療法も素晴らしい面が多くあり学ぶ点があります。ご自身が望む療法しか見えない盲目的なことではなく、柔軟に良いところを受け入れるしなやかさも必要です。そして、見極めるのはご自身であることを忘れてはいけません。自力本願で、病と闘うことが大切です。