マクロビオティックな歯医者さんの食と暮らし                   食養塾 無何有庵の日々

無(む)と空(くう)の癒しの時間の中で、心食動息の一つ一つを共に考えていきたいマクロビオティックなスペース。

帯津良一先生「場の養生塾」第4回開催しました。

2015年05月07日 14時25分55秒 | 心食動息の医療現場を目指して
連休のど真ん中、3日、4日の二日間で帯津三敬病院名誉院長の帯津良一先生の「場の養生塾・高松」第4回を開催いたしました。

1~3回までは、五色台での合宿スタイルでしたが、今回は玉藻城の中の飛雲閣を全館貸し切りの贅沢な環境の中、初日は「生き方」について、二日目は「逝き方」についてと、テーマを分けての開催となりました。

初日は、帯津先生の他、宗教心理学の第一人者・岡野守也先生、五色台喝破道場の野田大燈老師をお迎えして、それぞれの分野からのアプローチで、「生き方」についてのお話をいただきました。

開催とともに、帯津先生の新呼吸法「時空」のエクササイズからスタート。











解剖・発生学の三木茂夫教授の「生命形態の自然誌」をヒントに生まれたと言う「時空」は帯津先生が創造した宇宙に繋がる呼吸法で、太極拳にも似たような身体の動きをしながらの、ゆったりとしたとても気持ちのいい呼吸法です。三木教授は、香川県丸亀市のご出身で、私もとても尊敬している先生で、その著書にたくさんの学びを頂きました。なんだか、こんなところで繋がっているのが嬉しくも思いました。





瞑想しているような感じで、30分ほど身体をほぐしてリラックスしたところから講座が始まりました。

トップバッターの岡野先生のお話は、「つがりに気づく、つながりを築く」というお題で、コスモス心理学で学ばせて頂いている内容のお話でした。終了後、たくさんの方からとてもいいお話だった、宇宙と繋がり、関わりのある人が皆親戚と思えてきたのがうれしかったとご感想を頂けました。
意外に年配の方から気づきを得ることができたとのご意見が多くてびっくりしました。

岡野先生の後に、私の「気づきのワーク」をさせていただきました。
目に見えない世界のことをモデルになっていただいたご参加者さんを通して、皆さんと一緒に体験していただきました。普段感じている心の中の思いが、いかに、他者に影響を与えているのかということを知っていただき、できるだけ自分自身から発するい思いを幸せの波動に変えることが大切だということが感じていただければうれしいです。また、「形」を大切にすることで、「気」が入りパワーが増幅するということも体験していただきました。
日頃の暮らしの中でお役に立てていただければ幸いです。

その後は曹洞宗の老師、喝破道場の野田大燈和尚さまに「生きる」というテーマで、大燈氏の体験を元にお話していただきました。



ラストは、お待ちかね帯津先生のお話でした。



帯津先生のお話は、まるで江戸落語を聞いているような小粋な語り口調でとても軽快な感じです。とても偉大な先生なのに、全くえらぶった所のない、とても親しみやすい優しさにあふれています。
テーマでもある「粋な生き方」そのもので、小さなことに頓着せず、おおらかに生きていくことの大切さを学ぶことができました。





夜は、ご希望者とともに、クレメントホテルの20階のフィオーレで交流会をいたしました。



始終和やかな雰囲気で、とても楽しい時間でした。







翌日は、朝から大燈和尚様と座禅の時間をいただき、その後、調和道丹田呼吸法のエクササイズからスタートいたしました。











前日は、午後から雨模様だったのですが、そのおかげもあって、飛雲閣の大書院から見えるお庭の風景は透き通った空気感で、とても気持ちがよかったです。



朝の講座のスタートは、前日に続き大燈和尚様のお話でした。
二日目は「逝き方」がテーマ。
法話というよりは、27歳で出家された老師のこれまでの経験をいろいろ楽しくお話くださり、敷居の低い解りやすいお話でした。

ラストの帯津先生のお話の間に、院長が足指のお話をさせていただきました。
アームテストをして足の踏ん張りの強さをはかり、その後ひろのば体操をしたら、あら不思議、ほとんどの方が踏ん張れましたとのお声をいただきました。











健康に生きてこそ、逝き方も上手なはず。毎日続けていただくことが大切です。

帯津先生には「本望な逝き方」についてお話しいただきました。





本望な死に方の希望をいくつか思い描いて置くことが大切というお話がとても軽妙で、面白おかしく印象に残りました。
帯津先生も、いくつかの死ぬ時はこうでありたいという希望のパターンをお持ちだそうで、一番いいのは仕事帰りにワクワクしながら酒場に立ち寄りのれんをかきあげたその時に「ウッ」と倒れるのがいいのだそうです。でも、人生そうそう思惑通りに行かないから、他のパターンも用意しておいた方がいいと。
それで、帯津先生は、病院の回診の時に廊下を歩いていて、「ウッ」と倒れかかったところに前を歩いていたナースが振り返り、その胸の谷間に顔をうずめて死ぬ(笑)というのが理想だそうです。人間は何歳になっても色気を忘れてはいけないと笑っておっしゃられておりました。
なるほど、男も女も、粋でなくては生きている意味がない。やっぱり帯津先生のお話は、川越の小江戸な雰囲気にあふれておりました。
「逝き方」をテーマにしておりましたので、全国からがんの方や病気の方も来られていたのですが、始終笑いが絶えない会場で、
「玄米菜食なんてしない方がいいんだ!」ってあっけらかんとおっしゃる帯津先生の魅力にあふれておりました。

終会後は、ご希望者のみで、車座座談会をいたしました。









ご参加の方は、ほとんどが病気で悩まれている方でしたので、とても深いワークとなりました。
高松の藤塚町の高橋クリニックの高橋先生が進行をしてくださり、全ての方がそれぞれの不安や悩み、帯津先生への質問など、2時間があっという間に過ぎました。

帯津先生は、ホリスティック医学の権威ではありますが、現代医学を否定するものではなく、あらゆる可能性を許容しながらいかに生き生きと生きいることが出来るのかを伝えてくださいます。あれはダメ、これもダメというのではなく、これはいい、こちらもいいという風に、可能性を否定せずに日々の診療をされておられて、マクロビオティックで陥りやすいダメダメモードと対照的です。
だからこそ、患者さんも生きがいを見出して、明日につなげていく力を持てるのかもしれません。
とても勉強になりました。

すばらしい時間を共有させていただきました、全ての方に感謝です。
また、チラシなどの配布にご協力いただきました皆様にも、心からお礼申し上げます。ありがとうございました。

さて、来年のことをお話いたしますと鬼が笑うといいますが、来年の「場の養生塾香川第5回」開催は、同じ飛雲閣にて、5月14日(土)、15日(日)に開催いたします。
皆さん、ぜひ、ご参加くださいませ。
















今年も、帯津良一先生の講座を開催いたします。

2015年03月27日 12時34分01秒 | 心食動息の医療現場を目指して
昨日は、「21世紀養生塾香川」の例会で、5月の帯津良一先生の「場の養生塾」の開催に当たっての細かな打ち合わせでした。チラシを1万枚刷ることになり、たくさんの方のご参加をいただければと思います。
今回のテーマは、「生き方」と「逝き方」について、それぞれ2日に分けての講座となります。

生きにくい世の中になり、若い方の将来が見えないとか、子育てがしにくいとか、人間関係がうまくいかないとか、夢の実現に希望が持てないとか、たくさんのお悩みをお持ちの方が増えていると聞きます。また、鬱などの心の問題を抱える方も多く、自殺者の総数は内閣府の発表でH26年度で2万5427人だそうです。1日に70名近くの方の命のともしびが消えているという数字です。

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1 総数

  平成26年中における自殺者の総数は25,427人で、前年に比べ1,856人(6.8%)減少した。
性別では、男性が17,386人で全体の68.4%を占めた。

2 年齢階級別自殺者数

  「60歳代」が4,325人で全体の17.0%を占め、次いで「40歳代」(4,234人、16.7%)、
  「50歳代」(4,181人、16.4%)、「70歳代」(3,508人、13.8%)の順となっている。

3 職業別自殺者数

  「無職者」が15,163人で全体の59.6%を占めて最も多く、
次いで「被雇用者・勤め人」(7,164人、28.2%)、「自営業・家族従業者」(1,840人、7.2%)、
「学生・生徒等」(874人、3.4%)の順となっており、この順位は前年と同じである。

4 原因・動機別自殺者数

  原因・動機が明らかなもののうち、その原因・動機が「健康問題」にあるものが12,920人で最も多く、
次いで「経済・生活問題」(4,144人)、「家庭問題」(3,644人)、「勤務問題」(2,227人)の順と
なっており、この順位は前年と同じである。
  (内閣府 HP自殺の統計より)

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自殺をするまででなくても、何か悩みをかかえて毎日を明るく元気に健康に暮らすことができずにおられたり、ひとり問題を抱えたまま身動き取れないでいたり、社会の未成熟さがゆえに、個々の人々が苦しんでしまうことが多い環境になりました。

子育て一つとっても、核家族の部屋の片隅での社会から孤立した母と子の関係性は、どう考えても健全とはいいがたいものです。

これらは、大きな事件へと発展することも、もう珍しいことではなくなっているように感じるこの頃です。

もっと生きやすくするためにはどうすればいいのだろうか?どのような社会とのかかわりを持てばいいのか?様々な疑問をクリアする必要があります。

また、生きるといっても、生き方の質も満足のいくものでなければなりません。

第一日目は「生き方」をテーマに、ホリスティック医学の第一人者である帯津良一先生、元牧師で、哲学・心理学者の岡野守也先生、五色台喝破道場の野田大燈和尚さまが、皆さんと一緒に「生きる」ことを考えていきます。

そして第二日目は、「逝き方」がテーマ。
帯津先生は、帯津三敬病院において、多くのがん患者さんに向き合う仕事をされてきました。死に直面しなければならない時、人はどうすれば本望な最期を得ることができるのか?帯津先生が一生をかけて取り組んでいるテーマです。

生まれたその日から、私たちは死にむかってのカウントダウンがはじまることについてあまり考えることなく暮らしています。それは、当人も家族も、歳を重ねたり、病に襲われてはじめて死にゆくエンディングについて考えるようになります。

その時、初めて死を意識しますが、未知のこれから起きるであろう「死」をどのように受け止め逝くことができるのかは、不安や恐れでなかなか整理することが難しい問題です。

肉体が亡びることで次なるステージに旅立つ魂にどんな喝采を送ることができるのでしょうか?

本望な「逝き方」をするための<終活>について、じっくりと見つめ、語り合ってみてはいかがでしょうか?
介護をされておられる方にも、とても充実した時間となることでしょう。
世の中の平安を祈ってきた野田大燈和尚さまにもサポート頂きます。


「生き方」「逝き方」は相反するテーマに思いますが、実はどちらも人生を全うするということに変わりがありません。むしろ、連続した時の流れであり、一つのドラマ、ヒストリーなのです。

<気>、<場>、<呼吸>、<思い>、<祈り>・・・・・physical(カラダ)とmental(ココロ)とspiritual(精神・魂・脳)のハタラキを豊かにしてくれる時間を共有しながら、ワタシ自身を味わってみてください。
きっと、素敵な気づきが生まれてくることでしょう。

ゴールデンウイークの中日ではありますが、新緑がまぶしい玉藻城の一角、国の重要文化財でもある「飛雲閣」を貸し切っての贅沢な講座です。

それぞれのテーマによってのご参加もできますし、両日とものご参加もできます。
遠方からの方の宿泊については各自でご用意なさってください。
両日とも、軽い運動ができるような楽な服装でお越しください。また、足指の体操もいたしますので、素足になりやすいソックスでお越しください。
横になって聞いていただいても構いませんので、ブランケットなど必要な方は各自でご用意ください。
託児はありませんが、子どもさん連れでのご参加も可能です。

詳細はチラシをご覧ください。









鼻で息してますか?足指ひらいてますか?

2014年11月14日 10時42分27秒 | 心食動息の医療現場を目指して
今朝は「香川県丸亀市倫理法人会」さまの経営者モーニングセミナーにて、当院併設の無何有庵の松見千奈美がお話しさせていただきました。
子どもからお年寄りまで共通して抱える現代病、「口呼吸」と「足指のゆがみ」がテーマでした。

松見歯科では10年以上前から、口腔内の問題にも繋がり、口輪筋の衰えや鼻腔内の炎症により生じる「口呼吸」に着目して、パタカラ(口輪筋を鍛える装具)、チューペット(唇の力を向上させるもの)、そして鼻洗い、口テープ(ルシータ)など、いろいろ取り入れて、取り組んできました。そんななか2008年に「あいうべ体操」という本に出会い、さっそく新たに歯科治療に取り入れ6年半。同時に足指の大切さにも着目することで多くの方が足指に問題を持っていることに確信をいたしました。

ということで、歯科とは関係ないように思われるかもしれませんが、実はとても繋がりがあるようです。
口呼吸は、虫歯や歯周病、歯肉炎、歯の着色などだけではなく歯並びの問題をもひきおこしますし、歯並びの悪い方は、必ずと言っていいほど足指の歪みが生じています。
例えば甘いもの好きな方は、虫歯の多発というのは一般的にも認知されておりますが、そのような方は必ず足の小指の側方(外側に)捻転しています。また、肉や魚、チーズなどの多食により、足の指がぎゅっとちぢみハンマートゥと言われる頑張り足指になりやすいようです。さらに歯並びは足の指の並び方に非常に似ていたりします。

そんなことで、松見歯科では歯医者でありながら、耳鼻科のようだったり、整形のようだったりと言われながら、鼻呼吸にこだわり、正常な足指にも注目しながら歯科治療の一環として検査、改善に取り組んでいます。

今回はそんなことを40分という短い時間ではありましたが、実演も取り入れながらお話させていただきました。

鼻呼吸へのアプローチとしては、現状の舌の位置の確認したあと、あいうべ体操をするとその位置が格段に上方に変化することを体験していただきました。
そして、鼻洗い、口テープについても知っていただきました。
足指を広げることで踏ん張りが変わることを、アームテストをしながら、ふらつく現状とひろのば体操後、しっかりと踏ん張れることも、みなさんの目の前で実演いたしました。

朝早くから、みなさんにひと運動していただきながら、興味をもっていただけたようで、なんとか務めを終えることができました。

今回のお話は、松見歯科でも、できれば企画してお話し会をしていきたいと思います。

また、来年2月1日(日)17:00より、アルファあなぶきホール小ホール棟4階大会議室にて、アイウベ体操、ひろのば体操の考案者でもある、福岡のみらいクリニック院長 今井一彰先生をお招きしての講演会を開催させていただきことになりました。
ぜひ、素晴らしい講演となりますので、お時間を空けて、ご参加いただきますよう、ご案内申し上げます。

今日のご縁に感謝。
みなさまにも良き一日となりますように。







小学校から抱えてきた不調。

2014年08月06日 14時38分56秒 | 心食動息の医療現場を目指して
私にとっては、初診カウンセリングで初めてお会いする患者さま。
なので、カウンセリング前には、歯科衛生士とカンファレンスを行います。

歯科的な問題だけであれば、要点をチェックすれば大方の状態を把握することができますが、心身の問題を併せ持っておられる方については、入念な打ち合わせとなります。

患者さまの膨大な資料をもとに、その方の主訴、口腔内の状態、その他の検査の結果などを入念にチェックさせていただき、さらには、その方の職業や、年齢、家族構成、現病歴や既往歴、初診検査の時の様子や、些細な会話まで、場合によっては、その方の書かれた予診表の文字や、当院を受診されるまでの経緯なども、事細かくあらゆる面における情報収集の上、大まかなカウンセリングの方向性を見出して、歯科衛生士とともに挑みます。

院長は、院長判断を必要とする事柄以外には基本的にはこの段階での介入はあまりありません。

今回のケースは、歯科衛生士から歯科的な問題よりも、別な問題を抱えていると告げられて、精神的フォローの必要性を強く感じながらのカウンセリングとなりました。

主訴は、小学生の頃に転んで上顎前歯1-1を折り、歯根部の根幹治療の後差し歯となりました。
この差し歯は歯冠部が繋がったタイプのもので、厚みも幅もとても大きく作られご本人の歯の大きさには全く合っていない物が入っておりました。
当時小学生だったこともあり、十分に状態を把握できず、大きな差し歯は口腔全体を圧迫し続けたのですが、大人になったら大きさも合うようになると歯科医に言われ、不具合を不具合として扱われずに30歳を超えるまで、我慢してきたようでした。

差し歯を入れた時に頭の中に音が響いたという表現をされ、そこから、カラダがへんになってしまったことを涙ながらに訴えられました。でも、歯科医も、ご両親も、小学生の言葉故に、大きな問題とは捉えてはくれず、訴えても訴えても、信用してくれなかったとのことでした。
挙句の果てには、あまりにも訴え方が悲痛なため、精神疾患の扱いをされ、言っていることが妄想だとか幻想だとか、酷い扱いをされてこられたのだそうです。

「私は正常なんです!信じてください!」

そうおっしゃられた患者さんに、長い間の苦悩を感じました。

そんな経緯のなか、噛み合わせの不具合、虫歯、歯肉の退縮などの問題は、全てこの前歯から始まったと思いこんでおられました。

前歯の事に関しての不具合はごもっともであり、そこから来る口腔内全体の交合の不調、確かに補綴物の不適合(被せ物が合っていない)による二次的カリエス(虫歯)など、歯科治療の不備による原因もあるのですが、ご本人由来の自己責任もあることを理解してもらわなくては、いくら対処療法的に万全な歯科治療を施しても、この方の根本的治癒には繋がらないと感じました。

食事のコントロールができず甘いものが大好きなこと、鼻呼吸ができておらず、口がいつも開口していること、柔らかいものをたくさん食べてきて噛む力がついていないこと、ご自身の問題を他者の問題にしても何も解決はしないことなど、など。

もちろん、それらのことも、口腔内の不具合と密接に関係していますから、責任の線引きはできませんが、今起きている問題を、しっかりご自身の問題と捉えて、ご自身がどう取り組むかということを覚悟しなければ、自費診療の当院で高額の費用を使って、現時点での口腔内の問題だけを取り除いても、心の持ちようは変わらず、人生の大きな変遷とはならないことをお話しさせていただきました。

久しぶりの3時間かけてのカウンセリングとなりました。

これまでのことは一旦、終わりにしましょう。ここで、どこが誰のせいだとどんなに声をあげても、今の現状を変えることはできないこと。それから、大切なことは、歯科的な問題の解決は、我々からするとそんなに大きな問題ではなく、日常的に起き解決してきている問題であり、難しい治療は何もなく、不具合をよい具合にすることに難題は何一つないということをご理解頂くようにお話しいたしました。

難しい歯科治療ではないだけに、この方の人生を大きく変えてしまった小学生の時の前歯の差し歯治療は、本当に責任を問われてもおかしくないものだとは思いました。30歳を超えて、就職もできず、人前に出るのが苦手で、人間関係がうまくいかず、結婚も諦めかけているのです。ご本人の責任ももちろんありますが、こんなことがあってはならない症例の一つでした。

口腔内の問題を細かく説明し、どのように解決するかその方法をご理解いただき、今、カラダに起きている様々な不具合を検査データとともにお話しをし、今後の治療方針をご提案いたしました。

じっくりと話を聴き、患者さまの苦しさに共感して、まずは全てを受容し、その上で、ご本人の意志を確認し、一緒にやっていけるのかどうかをお互いにしっかりと見極めることができて初めて治療に入ります。

治療をお引き受けできるかどうかは、患者さまご自身の取り組む姿勢によります。
ご自身で病気に向き合おうという姿勢が無い限りは、よい結果は見出せません。

松見歯科が目指す医療は完全治癒です。
それは二度と同じ問題を起こさないというこです。

それには、患者さま、術者が同じ方向を向き取り組まなければ実現は不可能なのです。

この患者さまは、とても感情の揺れが大きく、それだけ大変で来られたのだと思いますが、
最後は、身を乗り出して治療計画に耳を傾け、甘い物を断つこと、しっかりご自身の問題だととらえることなど、決心してくださり約束をしてくださいました。

きっとよい方向に向かわれることを感じることができました。

歯科衛生士には、まだまだ心の動揺は出てくるだろうから、治療、心身のケアに問題が出た時には、もう一度カウンセリングする方向でいくことを指示しました。

ここに載せた写真は、医療関係者や、当院の患者さまであれば、この方がどのくらい大変な状況にあるかをご理解いただけると思います。積年の苦しみが、このような数値を叩き出します。
できるだけ早くストレスフリーな状態にして差し上げたいと思います。







































スタッフの影の活動

2014年06月26日 16時18分25秒 | 心食動息の医療現場を目指して
昨日は、夏のボーナス査定のための発表会でした。

年2回の発表会では、半期の仕事を通して感じたこと、学んだことをまとめて
患者さまにフィードバックするためのツールやデータの検証、症例の総括などをいたします。

それらをもとに、ボーナス査定の参考にするのですが、
スタッフの技術や精神的な成長の確認にもなり、患者さまのケアの時間とは違うスタッフの仕事の一面を感じる瞬間でもあります。
このような普段見ていただくことのない場面が、患者さまに役立つ治療に繋がっていきます。

現在受付の担当としておなじみになってまいりましたメディカルコンシェルジュ 喜田は、スタッフとしてようやく一年を迎えようとしております。
彼女の仕事は受付業務だけに収まらず、患者さまと診療室のパイプ役として、また、松見歯科が取り組んでいる自然医食におけるお手当やフットケアなどの部門も順次担当して参ります。
すでに、足からの健康サポートとして、官足法、足心道、ひろのば体操、ひろのばソックスなどを用いて足の診断、ケアを始めています。また、あいうべ体操や鼻洗い、その他の自然なお手当のアドバイザーとなるべく勉強中でもあります。

今回は、足のケアについて、患者さまが手にとってわかりやすいように、ファイルを作成いたしました。
とてもわかりやすい内容に仕上がっておりますので、ぜひ待合室でご覧になってお役に立ててくださいね。

受付窓口にて、いろいろなご相談を承っておりますので、お気軽にお声をかけてください。



歯科衛生士の筒井は、待合室の掲示のリニューアルのための掲示物を作成いたしました。



自宅にて、こつこつと手作りで作成したものです。

子どもが見てもわかりやすいように、イラストもたくさん使ってサラサラ血液になるためのツールをいくつか作って来てくれました。

松見歯科のスタッフたちは、診療室でのOJT以外に、各種セミナーの受講や歯科衛生士の勉強会などのOFF-JTにも積極的に自発的に参加しておりますが、自己啓発としての読書や、このようなツール作りは、まさに患者さまに向いて仕事をしていなければできないことです。
主婦でもある筒井が、仕事が終わって、ご主人の晩ごはんの支度などの家事をこなし、そんな忙しい時間の合間を縫って、作ってくれた手作りポスター。
ぜひ、診療室の壁でご覧ください。きっとお役に立てると思います。

ベテラン衛生士の今川は、患者さまの臨床を通じて、問題定義をしてくれました。









皆さんは顎骨壊死という言葉をご存知でしょうか?
昨今、骨粗鬆症の薬として処方されるビスホスホネート系薬剤の投与によって引き起こされる顎の骨に起きる腐骨の発生が問題になっておりますが、一般の方には耳に新しい言葉かもしれません。

この顎骨壊死の原因は、これらの薬害だけではなく、歯科医院において気軽に受けてしまっているレーザー治療によるものがあるということ、そのことがまだまだ周知されておらず、レーザー治療の危険性について、メリットばかりが先行していて、多くの医院が考察なく取り入れていることの問題についてまとめてくれました。

今度の歯科衛生士の勉強会にて発表する予定で、さらにデータの収集、考察、解析を進めてくれるようになっております。

歯科衛生士と言う仕事は、患者さまと直接対話しながら、患者さまが抱えておられる問題をいかに歯科領域に囚われずにあらゆる領域まで視野を広げて、しっかりした知識と技術、そしてホスピタリティの精神を持って関わっていくかという、とても大切な仕事です。
ですから、スタッフたちは、難しい医学書などにも目を通したり、薬学などの知識も得たりしながら、患者さまの健康管理を目指しております。

どこにも負けないスタッフのスキルとチーム力は、こうした皆様に見えないところでの、ONー0FF、INーOUT両軸を生かした学びに支えられているのです。

さぁ、夏のボーナス、スタッフに感謝を込めて支給したいと思います。






































虫歯の方がまし???小さな違和感。

2014年01月30日 12時53分45秒 | 心食動息の医療現場を目指して
昨日は午後から歯科衛生士の勉強会で休診でした。
2か月に1回、いくつかの医院さんと集って、症例発表や、参考図書の音読、先輩衛生士の技術指導などを実施しております。

2時から6時まで、びっしり勉強した後は、楽しい懇親会。
ここでも、その日の発表のことや、今後の勉強の内容などの話も持ち上がり、勉強の延長線となりますが。

私は、いつも、この夜の部から参加。
昨夜は「ぶつ切りたんちゃん」というお店ですと、夕方に連絡が入り、な~んとなく、そんな予感がしておりましたが、はい、ガッツリお肉なお店でした(^_^;)
ただ、感心したのが、野菜がたっぷり。しかも、玉ねぎ、大根、キャベツ、青ネギ・白髪ネギ、レモン・・・・。ちゃんとお肉の毒消しとなるようなお野菜が添えられていて、まぁ、気休めな感じではありますが、普段食べることのない牛のはらみやら、店の名のとおり、タンシチューやら、タンの塩焼き、鶏の唐揚げやせんざんき、手羽などを少しいただきました。

そんなことはさておき、懇親会が終わるとお開きなのですが、いつもお世話をしてくださっているベテラン衛生士さんの慰労会もかねて、参加の院のドクターたちとで、2次会に行くのが常となります。
ここでも、やっぱり歯科の話がメインで、情報交換にもなり、いろいろ勉強になります。

そして、昨夜。
歯科衛生士の症例発表に出た患者さんの話となり、小さな違和感を抱きました。
歯医者でもなく、歯科衛生士でもない、素人だから持った違和感かもしれません。

症例に出てきた患者さんは、60歳を超えた男性なのですが、非常にプラークだらけの方だったそうで当然虫歯はあったそうなのですが、ぺリオ(歯周病)がなくこれだけプラークがついているのに骨吸収が起きていないのはすごいことだという話でした。まぁ、そうかもしれませんが、虫歯は・・・?

虫歯の問題より、ぺリオの問題がないことの方が大切だと思えるような内容の話に、疑問を持ち、質問をしてみました。

「虫歯になって、治療するということは、歯を削り異物をいれるということだからかなり体にとってリスクだし、もとには戻らない。とすれば、改善できるぺリオの方が良くないですか?もちろん、ぺリオに問題がなかったことは良かったことだとは思いますが・・・」
と、聞きましたら、帰ってきた答えは、
「虫歯はすぐだけど、ぺリオは大変だから、そりゃ、ぺリオの問題が無かった方が絶対に言いに決まってる」という内容でした。

?????

そうなの?

もちろん、重度の歯周病は改善するのに時間もかかりますし、大変ですが、食事改善やブラッシング、口腔内管理により、ポケットもずいぶん回復します。ぐらぐらだった歯も動揺がなくなり、歯を失うリスクはかなり少なくなります。
それに比べて、虫歯は、ご自身の歯を削り、下手すると神経も失い、喪失は取り返しが突きません。

そんな話、私の疑問を、今朝のミーティングに出して、松見歯科としての見解を院長、スタッフに問うてみました。

結局は、自費診療と保険診療の違いによる治療の内容の相違にあるのかな?という話になり、具体的にいろいろ知ることができましたので、ここに書いておこうと思います。

院長いわく、虫歯も歯周病も、どちらも大変であることには変わらないという前提でのお話しです。

まず、虫歯治療は保険でその大小にかかわらず1本1200円くらいの治療です。窓口で患者さんに360円をいただき、国保や社保の保険機関に残りの840円を請求して支払を受けるというものです。

当院で院長が虫歯を削るのに、30分位を見込んでいます。その後、詰め物を衛生士がしますので、大体全部で1時間くらいの時間を要します。院長が30分、歯科衛生士は削っている間のアシストも含めて詰め物をするまでに1時間の時間を空けます。つまり、合わせて1時間半です。
保険の医院さんで、1200円でこの対応をしてほしいといってもとても出来るものではありません。
となると、できるだけ時間をかけずに治療をしなくては、院経営が成り立たなくなります。

当院での治療の内容は、まず院長が全過程をマイクロスコープを使い、歯を削りますが、

<タービン>    
歯を削るといえばこれ キ~ンというあの音のする機械です
風車に圧縮空気を送り込み 歯を削るポイントを高速回転させます
歯の表面の硬い部分を削る時に使用します
回転が速いため痛みも生じ、保険の治療ではほとんどの場合麻酔が必要になります
神経に熱をもたらし、神経を失うリスクも生じます
松見歯科では、神経に近い部分には使用しませんし、もちろん、麻酔もいたしません
呼吸法と合谷のツボを押しながら痛みの軽減を図りながらも、多少の痛みを感じていただくことで
削りすぎて神経を死なせてしまわないように配慮します   

<エンジン>   
電気モーターでチップを回転させます
低速のため コロコロ・ガリガリした音のする機械です
歯の表面の硬い部分は削れませんが回転力が強いため 奥の方のムシ歯を除去するときに主に使用します

<5倍速(低速)コントラ> 
ギアによりエンジンの回転数を5倍にした機械
ジーっという感じの音がします
タービンとエンジンの良いとこをあわせ持っています

<ハンドインストゥルメント>
機会を使わずに、器具により手作業で削ります



と、いうようにマイクロスコープを使い、削り方も使い分けながら、出来る限りの細かな作業を行います。
(院長から、肉眼で削って、マイクロスコープで覗くと、必ず削り残しがあるということを聞きました。もちろん、これらの細かなプロセスが出来ないとなると、反対に削りすぎることも多々起こって、神経まで死なせてしまうことにもつながります)

また、白い詰め物のコンポジットレジンは、エナメル質、象牙質との親和性が違い、接着にムラができますので、それぞれに親和性を高めるためのお薬を塗布し、接着ムラを極力ゼロに近づけるよう、積み上げ方式による詰め物の充填を行います。とても時間のかかる内容になります。

これらの治療を、1200円でするとなると、時間給800円の学生アルバイト並みですが、実は院長、歯科衛生士二人での800円ですから、「院長、マクドナルドでアルバイトしてもらった方がいいかも?」となってしまいます。
もちろん、そんなわけには参りませんから、保険対応してくださっている医院さんは、出来るだけ治療を簡素化して時間をかけないようにしなくてはなりません。

表現が悪いかもしれませんが、ざっと削り(削りすぎ、削り残しのリスクが高まる)、ぶちゅっと詰め物を充填する・・・というイメージになります。

患者さんからすれば、保険を使って、ちゃんとしてよ!ってことになるのかもしれませんが、それは、あまりにも虫のいい話になるわけです。ご理解いただきたい点です。



と、いうことで短時間の治療となり、反対に、「簡単」「大変ではない」というイメージを持っているのかもしれないねという話になりました。


歯周病については、保険治療では、食指導などに時間をかけても点数につながらないので、ひたすらプラークコントロールとブラッシング、口腔内の掃除に重点を置くことになり、食との関係性を重視する治療が経済的にできず、根本的解決に至らないため、滅菌などの治療が開発されたりして適応しますが、なかなか成果がでてきません。時間もかかり、大変難しいという見解になるようです。

なぜ、私が疑問を持ってしまったのかと言うと、普段松見歯科での治療しか見てきていないので、歯周病は良くなる、治る病気という松見歯科の臨床に基づいた感覚でいたからなのかなと、改めて気づきました。

多くの歯科関係者は、歯周病がプラークコントロールやブラッシング、口腔内管理以外に、食の改善(玄米を食べる、口の前で糖化しているものを食べない)が大きなウェイトを占めていることに目をつぶらなくてはいけない診療報酬制度という鎖でがんじがらめにされている(しかも自費と保険を併用してはならない『混合診療の禁止』という法律がある)結果、虫歯、歯周病の治療についての見解が当院と大きく別れたということなのかもしれないなぁということです。

全国の歯医者さん、歯科衛生士さんの様々な取り組みや思いがあると思います。
上手に共有しあって、高めていけたらいいなぁと感じた夜でした。


                                    
                               やっぱり予防が一番!じゃぞ。




































初診カウンセリング

2011年09月29日 19時46分55秒 | 心食動息の医療現場を目指して
今日の患者さまは71歳の女性でした。
昨日、歯科治療の初診検査を受けられて、その後の初診カウンセリングでした。

久々の3時間に及ぶカウンセリングとなりました。

普段は病状に応じて、1時間から1時間半の時間でのカウンセリングですが
今日は、付き添いに娘さんがお二人来られての状況で、ご自身と娘さんにしっかりとお伝えしなくてはいけませんでしたので、結果的に午前中フルの3時間という時間になりました。

患者さまご本人は、13年前に胃がんで胃の摘出をされていて、検診中のご様子では少し心もとない感じのご様子でした。問診でストレスの有無をお伺いすると、当院での受診自体がストレスになっているとのことでした。

結果は中度から重度の歯周病と虫歯の多発、歯肉炎、口呼吸、咬合力低下、口唇閉鎖力低下などなどの問題がありました。

主訴は、他院で抜歯と言われ、歯を残したいのでご来院とのことでした。

結果的にはご自身の21本の歯の内、1本も抜く必要はなく、8020ならぬ、80歳で21本の歯を目指して行くことになりました。

ただし、現在の口腔内環境では実現は難しく、私たちのプロのオフィスケアにプラス、毎日のブラッシング、食改善を併せて実施することで、歯を残すことができることをお話いたしました。

これで3時間もはかかりません。
ご質問にも丁寧にお応えしながらの時間です。

松見歯科での初診は、口腔内検査としまして、ポケットの検査、虫歯、出血、歯石、動揺の遊無、歯肉の状態、歯を支える骨の状態、抜髄後の根管の状態、歯並び、咬合、咬合力、口唇閉鎖力、呼吸状態、唾液量、開口量、唾液のPh、血球検査、白血球の5分類検査、姿勢バランスチェック、足指検査、口腔内写真、レントゲン、必要に応じて、血圧、血糖などの検査を行います。
検査時間は2時間ぐらいです。

その後それらのデータをわかりやすい資料にお作りして、日を改めて初診カウンセリングを開催いたします。

本日はそのカウンセリングでした。

歯周病について、虫歯につて、根幹治療について、歯肉炎について、磨き残しについて、ひとつひとつ資料や実際の写真、レントゲンを用いてご説明いたします。
歯科材料についての話しや治療方法についてのご説明もこの時間にいたします。
その後、治療費、治療時間などのご説明をいたします。
さらに、食事記録に基づいて、あるいは問診票での現病歴、望診法などの東洋医学を用いて、現在の体調などをはかり、食事の改善のお話をいたします。現病をお持ちの方については、お手当法や食事療法のお話をいたします。今回は、爪の着色がひどく、肝臓のお手当法をお話いたしました。

また、水を飲んだ方がいいという情報をそのまま実践なさっておられ、1時間おきにトイレにいくとのこと。
水の適正な飲み方の指導などもさせて頂きました。


その後、治療に入りますが、多くの場合は、食事指導、ブラッシング、治療の優先順位で、治療が始まります。
場合によっては料理教室に入っていただきます。

また、初診プログラムの中に、食改善のお話「理のコース」を必須で受講していただきます。
何故、玄米がいいのか、なぜパンの常食は危険なのか、甘みの害についての3本柱をお話いたします。
こちらは3時間~4時間、玄米ご飯の炊き比べ(圧力鍋、炊飯器)で、朝ごはん、昼ごはんんのモデルとなる食事のポイントをお話させていただきます。
もちろん、試食を兼ねたランチ付きです。

今日は緊張でストレスと言われていました患者さまご本人も、大変納得をしていただきまして、お帰りにご予約をされて帰られました。
娘さんお二人も、充分ご納得していただけたようで、本当によかったです。

80歳で21本の歯を残せますように、私たちも一丸となってサポートいたしますね。




































涙があふれて止まりませんでした。

2011年02月08日 22時54分42秒 | 心食動息の医療現場を目指して
歯界展望という業界誌があるのですが、
1月号に載っていた臨床の写真を見て、涙が後から後からあふれて止まりませんでした。

「ここまできてしまったのか?」

という思い。

「この娘はどう生きていくのだろうか?」

という絶望感。

悲鳴をあげたくなりました。

<不正咬合の病因と病態生理>









14歳の少女の口腔内です。
無舌症でもあります。

2枚目は下額と上学のコンピューターグラフィックス。
3枚目は横顔。あどけない顔のシルエットがなおさらに涙を誘います。
4枚目は、正面と上頭部からのCT画像です。

幸い日常の生活で摂食、咀嚼、嚥下に支障なく顎口腔機能は鋏状になった上下歯列や口蓋に接する下顎臼歯と周囲軟組織が連携して営まれているのではとの推測でした。
発語にわずかな異常が見られる程度だそう。

それにしても、これは見るに堪えない状態です。
無舌のためか、歯は舌側に倒れこみ、上下の噛み合わせは全くないようなアンバランスさです。

大阪の三浦クリニックの三浦直樹先生が小児科医の頃、産科の立会出産でのっぺらぼうの赤ちゃんを3例取り上げたという話を十年近く前に聞いたことがあります。

このような子どもがとても増えているということを、本来ならばもっと周知しなくてはならないことなのかもしれません。

顎口腔機能の初期発達は不正咬合の発症にどのように関わるのか?

顎顔面の成長に関わる顎口腔機能は、胎生12~12.5週にはすでに口唇閉鎖と嚥下反射、22週には口唇突出、24週には吸啜(きゅうせつ)反射が見られ始めます。出生後の授乳に必要な機能や反射はすでに胎児期に獲得されているということなのです。

胎児期に異常がない限りは機能と形態がバランスのとれた状態で発育のスタート地点となります。

これだけでも、いかに胎児期の初期の母体の状態(食生活や精神状態など)が大切かということがよくわかると思います。

新生児期(乳前歯萌出前期)の授乳と嚥下は、上と下の口唇と口の周りの表情筋の収縮、舌の前後運動のコンビネーションによって成しうるものです。生後5~6カ月の乳前歯萌出時期(離乳準備期)になると閉口筋と舌骨上筋群のリズミカルな動きにより舌は離乳食を口蓋へ押しつける成熟型の咀嚼パターン(上下の動き)へ進化します。
つまり、授乳期の舌運動は蠕動運動、離乳開始期には前後運動、離乳後期は上下運動となるわけです。

生後10カ月~1歳の離乳後期(乳臼歯萌出開始期)になると、上下の乳前歯が生え揃い、食べ物を前歯で噛み切って取り込む摂食機能が獲得されます。

また、乳臼歯の萌出がはじまり、口角は咀嚼側が収縮するとともに舌は左右に動き(側方運動)、食べ物を歯槽堤に運び、歯茎に乗せ上下の歯茎でつぶし、咀嚼の機能が獲得されます。

嚥下は挙上筋により下顎が挙上されて上下の歯の咬合により固定され、舌尖は口蓋に接する成熟型に発達します。

しかし、不正咬合となる子どもには、舌突出などの様子が見られることが多く、舌背は口蓋まで十分に挙上されません。多くの不正咬合に付随する舌突出は咀嚼、嚥下機能の発達から考察すると授乳のための未熟な舌運動が残遺したもので、舌機能の発達の段階で上記の運動が十分学習できなかったものと考えられます。

最近の児童の歯列弓の形態は上下ともに幅径が狭小化し、特に下顎第一大臼歯(6歳臼歯)の舌側傾斜が著しく見られます。上下臼歯が舌側傾斜し、歯列弓が狭窄すると、咀嚼機能が低い乳前歯萌出から始まる歯列の成長過程において、舌が十分に挙上できなければ上顎の発育不全が、側方運動ができなければ上下歯列、歯槽の側方への発育不全、下顎臼歯の舌側傾斜が起こると考えられます。

<不正咬合になるとどうなるのか?>

生まれたときから始まる摂食、咀嚼、嚥下の学習過程で、舌の上下、側方運動、下顎運動の機能が発達せず、舌の前後運動が残遺した未熟な咀嚼、嚥下運動が上顎の未発達、上下歯列の狭窄、下顎臼歯の舌側傾斜を起こします。上顎の狭窄と高口蓋は、鼻道を圧迫し、慢性の鼻閉や鼻のアレルギー、アデノイド(扁桃肥大)と密接に関わります。

これは、上顎にお未発育により上気道が狭窄しての上気道障害です。
上気道は呼吸、嗅覚、発声などの機能とともに、扁桃など生体防御システムに密接に関与しており、上気道障害の口呼吸が、扁桃肥大や鼻アレルギーの一因となるのです。

口呼吸による開口は、頭蓋の後方回転、頸椎は前方傾斜し、上下歯列、歯槽の舌側傾斜と上顎前歯のフレーアウトを促進させ、下顎は後下方へ回転して成長方向が変異します。この高頸部の形態変化は乳歯列から混合歯列期であっても睡眠時無呼吸症を発症してしまう傾向にあるのです。

これは、いつもココロビオティックセミナーでお話させていただいているDr.プライスの「食生活と身体の退化」に見る、顎歯列の問題に通じる症例でした。

ほとんど受け売りの記事ですが、
大きくうなずく事例でしたので、備忘録として書き留めておきたいと思います。














健康顎歯列育成法松見メソッド 歯並び 子ども 拡大床 香川 高松 抜かずに並べる 隙っ歯 子どもの歯 大人の歯 歯医者 



オーソモレキュラ―医学 勉強会

2010年07月13日 21時31分38秒 | 心食動息の医療現場を目指して
日曜日は主人と一緒に(というか、主人にくっついて)大阪で開催されたオーソモレキュラ―医学の勉強会に参加してきました~。


『オーソモレキュラ―』とは、まだ一般的にはあまり聞きなれない言葉ですよね。

『分子栄養医学』とか、『分子矯正医学』などと訳されているものです。

特にビタミンやミネラルなどの
微量栄養素の摂取により、薬を使わずに病気を改善治療しようというものです。

私どもがかかわっている歯科の分野では、
砂糖が原因とされる虫歯や歯周病のみではなく、
同源と考えられる鬱や統合失調症、引きこもり、パニック障害など、ココロの問題にも日常的に出会います。
また、癌や糖尿病などの生活習慣病、難病、様々です。

私達は患者さまが持つ様々な問題が、西洋医学による対処療法だけでは問題解決しないことを日々の臨床で知っています。
だからこそ、食の見直しによるアプローチをしてきました。

20年以上も前から、砂糖の常食に警鐘をならし、その危険性を訴えてきました。

そして、大沢博先生の著書「食源性症候群」に出会い、ますます、確信を持って、患者さまに指導してまいりました。

しかし、食事改善だけではスピード感が得られない、あるいは、今困っている問題を即座に解決しにくいということは、否めません。

そんな中、ココロの問題を抱えた患者さまのお一人に大沢先生の様々な著書を紹介し、そこから、今回のセミナーの講師である溝口徹医師を知りました。



溝口徹医師は、

『「うつ」は食べ物が原因だった』をはじめ、

栄養と病気に関する著書をたくさん書かれています。


診察においても、サプリメントを中心とした栄養指導で
多くの患者さまをケアされています。


サプリメント?
生命のない薬とどう違うのか・・・。
多くの疑問とわだかまりと、そして、好奇心により
主人の後ろにくっついて、まる一日の勉強会に参加することにしました。

実は、この会、ドクター対象の内容なので、
果たしてついていけるのかなぁ~って思いながら
ま、解らなかったら「寝ちゃおぅっと」って、と~っても楽天的に行っちゃいました(笑)

講義では、血液検査データの読み取り方、
栄養分析の方法など、まるで生化学の講義のようでした。
案外、わたしでも解る内容で面白かったです。

やはり日本人に多いのは、ビタミンB群と
亜鉛(あえん)の不足。

それに不適切な油脂や糖質の摂り方です。

松見歯科で、いきないサプリメント療法を取り入れる事は
ありませんが、栄養分析の考え方を身につけることで、
さらに具体的な食事指導ができそうです。
マクロビオティックの範囲が広がる気がしました。

また、臨床ありきの当院では、溝口先生の元で元気を取り戻されているたくさんの患者さまがいらっしゃることについて見過ごすことのできないことではあるなぁって思いました。

まだまだ、勉強と研究が必要のようですが・・・・。

一日講師を務めるのは、何の苦も感じないのですが、
一日講座を受けるのは、結構疲れるものですね。

脳が今、ウニになった気がしています

























涙があふれて・・・

2010年02月08日 21時27分03秒 | 心食動息の医療現場を目指して
今日の午後、先日食養相談にこられた男性が突然来られました。

食養相談の日の前から、毎日何度もお電話がかかってきて、
相談の後は、診療室の電話番号をお知らせしましたので、診療室に毎日何度もお電話がかかってきておりました。

先週の土曜日に、どうも、大腸と直腸にガンが出来ていると告知されたとのことで、
今すぐにも会いたいとのこと。
それで、昨日日曜日でしたが、昼一番のアポイントをお約束いたしました。

昨日の朝、ご本人からの電話で、薬を飲み間違えて、血圧が上がっているとのことで
キャンセル。電話口で、呼吸法を一緒にして、様子を見ることにしたのです。

休み明けには、もう、入院しかないようなことを仰られていたので
どうなるのかなぁって思っていたら、今日、菓子折りを持って、徳島から片道2時間近くかけてこられたのです。

昨日はすみません・・・それを伝えたかったとのことでした。

菓子折りは、丁重にお断りしてお持ち帰りいただきましたが、
暫くお話を聞きました。

先日の相談から、生姜シップ、里芋パスター、そして、玄米を毎日食べ始めたそうなのですが、昨日から、やっと便がでたそうで(便秘が続き15日くらいは出ずに、浣腸などでだしていたそうです。でも、出血がひどくて、便をだすのもとても辛かったようです。)

それで、やっぱり自然に治したいとのこと。

しかし、3ヶ月前にクモ膜下出血で倒れられて、奇跡的にカラダの障害が回復してきているのですが、それでも、言語と記憶の機能が少しだけ障害があります。
お話していて、全てを時系列に整理したりするのが大変です。

一つ一つ、ゆっくりと整理しながら、自然療法のいいところ、リスク、いろいろお話いたしました。

彼は、60歳をこえておられますが、本当に純粋な目をされていて、
私にすがる思いでいらっしゃるのがわかります。
でも、わたしが病気を治すのではないこと、しっかりと、現状を受け止めて、ご自身の体の治癒力を信じることなどをお伝えすると、ポロポロ涙をながされました。

じっと、抱きしめてあげたくなりました。

とにかく、私に出来る限りの事はさせていただくけれども、
どんな治療法を選ぶのかはご自身であることと、病気を治すことが出来るのはあなただけなのだということを話ました。

わたしから、そのことを<話す>ということは、ある意味、突き<放す>ことでもありますので、本当に辛い瞬間です。

それでも、頑張りましょうねっていいますと
「頑張ります」って力強く仰っていただいて、お帰りになりました。

次のアポイントは11日の祝日。お仕事をお持ちの奥様と一緒にきてくださいとお願いいたしました。

命をもうあきらめたほうがいいのか、でも、死にたくない、もっと生きていたいという思いが交錯して、本当にお辛いキモチが響いてきました。

神様、どうぞ、助けてあげてください。
おねがいします。














長崎に、松見歯科<よい歯を作り隊>出動~♪

2009年10月22日 23時56分09秒 | 心食動息の医療現場を目指して
生ゴミリサイクルで元気野菜を作ろう~(→それはこどものお腹畑を作ろう~ってこと♪)の吉田俊道さんが協力される、ハウステンボスのイベントに
松見歯科も参加いたします!

佐世保 10月31日(土)~11月3日(火)
ハウステンボスにてファーマーズマーケット


(↓ここからは、大地といのちの会のHPから抜粋です)

大地といのちの会が協力するのは、
●いのちをいただく食の体験ラリー(スタッフ総出)
●お味噌作り(中尾・平川)
●食べて学ぶセミナー(吉田・中尾・武内)
●香川県松見歯科による食と健康のお話(実際に実演で採取した血液を見ながらのお話あり)
●スイーツコンテスト審査員(中尾)
皆様お誘い合わせの上、ご参加お待ちしています。会員の皆さんにはハウステンボス入場割引券を今月号通信で郵送します。スタッフとして参加いただく方は入場無料です。

**************************************
ボタニカルフェア2009「ファーマーズマーケット」
地元生産者、NPO法人と共同開催
~ この土地だから味わえる長崎の新鮮野菜や果物を来場者に販売します ~

ハウステンボス(所在地:長崎県佐世保市 以下HTB)と長崎県北地区農産物直売所ネットワーク(代表:本城益男)、JAながさき西海(代表理事組合長:豊村茂樹)、NPO法人「大地といのちの会」(代表:吉田俊道)はHTB場内にて、

10月31日(土)~11月3日(祝)の4日間、その日に採れた地域の新鮮な野菜や旬の果物を紹介・販売する「ファーマーズマーケット」を開催します。

HTBボタニカルリゾートが目指す植物と共にある持続可能な暮らしの中で不可欠な存在である地元産食材。とりわけHTBが位置する長崎県佐世保市周辺は豊富な山海の幸に恵まれ実り豊かな秋を迎えています。

この度、「HTBボタニカルフェア」の開催にあたり地の野菜や果物を食べて元気に暮らすライフスタイルを提案したいというHTBの想いに対し、長崎県北地区を中心に採れたての農産物を提供している長崎県北地区農産物直売所ネットワークやJA西海、そして佐世保市を中心に命・環境・食育のネットワーク作りを目的に活動しているNPO法人「大地といのちの会」にご賛同いただき共同開催する運びとなりました。

期間中は地元で採れた新鮮な野菜や果物の販売やセミナー、体験教室を通じ、「地産地消」の価値や「安心・安全」のあるべき形をご来場のお客様へお伝えします。

HTBはこれからも地域との連携により、全国そして世界に通用する地元資源を再発見し広く伝えていくことで観光業のみならず地域全体の活性化に貢献していきたいと考えています。

                  記

( 開催 概 要 )

日 付 : 平成21年10月31日(土)~11月3日(火・祝) ※4日間

主 催 : ハウステンボス㈱、長崎県北地区農産物直売所ネットワーク、JA長崎
        西海、NPO法人「大地といのちの会」

テーマ : 食べよう 地元の元気野菜

内 容 : 「オーガニック」「地産地消」「健康・安全」「フードマイル」などハウスボスボタニカルブランドの
      約束に共感いただいた地元生産者による朝採り野菜や旬の果物を来場者に販売する
      「生産者市場」を開催します。

参加団体 : 長崎県北地区農産物直売所ネットワーク(県北地域)、長崎県農協青      年部協議会(長崎市)、山中牧場(佐世保市)、大地といのちの会       (佐世保市)、よかばい相浦(佐世保市)、よかところ(西海市)、      おおむら夢ファームシュシュ(大村市)

時間 : 10:00~16:30
    *期間中7:30~9:00の間、ホテルヨーロッパ前にて宿泊者向けに    「朝市」も開催予定。

会 場 : ハウステンボス場内 アレキサンダー広場 他

備 考 : お客様からのお問い合わせ窓口 「ハウステンボスボタニカルフェア事務     局」TEL 0956-27-0917(担当:中平・園田)


九州の皆さん、是非、遊びに来てくださいね~♪












食べものの力・人の力。自由になるってこと。

2008年11月27日 00時37分03秒 | 心食動息の医療現場を目指して
夏頃から当院に来られている患者さまで、
「潰瘍性大腸炎」という病気で大変ご苦労をなさってこられた女性がいらっしゃいます。

初診の折の、初診カウンセリングでは、本当にお辛そうで、
生活も寝たり起きたりで、毎日下痢をされている状態でした。

何を食べても、受け付けなく、カラダは痩せる一方。

家業の手伝いもとても続けることができず、家にいても子育てどころか、食事作りもママならず、主婦としても自信を失いかけておられた状態でした。

「潰瘍性大腸炎」は難病指定とされる大変な病気です。

彼女は、元来とても素直な性格の女性で、私たちの食指導を信じて、本当にしっかりと実行してくださいました。
よく噛む、マクロビオティック食事法の徹底、呼吸法、自律神経免疫療法(爪もみ)などなど、ご自身でできることをしっかりと実施されたのです。

その結果は、ご想像通りです。

たった、4、5ヶ月で、彼女はクスリも飲まなくてよくなり、健康を取り戻されたのです。
もちろん、油断はできませんが、毎日が楽しくてしょうがないと仰います。あきらめていた二子への妊娠・出産に意欲を持ち始めました。
そして、何より、食事の自由を手に入れたのです。

そのことにより、家事はもちろんご主人の仕事もしっかりと手伝うことができるようになりました。お会いす時は、いつもニコニコされているのです。

<食事の自由>

桜澤先生がおっしゃられた、何でも食べられる自由って、こういうことだったのかもしれないと思います。

彼女は、まだまだ、食事の制限はあるのですが、そのことを一つも苦にしている様子はありません。
前と比べれば、こんなに自由はないのでしょう。

ご自身の努力で体調を改善なさる患者様をみていますと、見ている私達にたくさんの事を教えてくれる、素晴らしい力もお持ちになるようです。

本当に、素晴らしい気づきをくださって、ありがとうございます。








自然医食フォーラム通信連載より

2006年07月17日 23時26分48秒 | 心食動息の医療現場を目指して

パーキンソン病克服大作戦

Sさん(78歳)は10年ほど前からパーキンソン病に罹り、歯科治療には奥様がタクシーに乗せて抱えるようにしてご来院なさっておられました。以前お元気でいらっしゃる時は、とてもよくお話をされ楽しい方でした。しかし、病気はそんな素敵なSさんの笑顔をも奪い年々体を動かす事もままならなくなりました。

2004年に入って、Sさんの病状はますます悪化しついに寝たきりとなってしまいました。歯科治療が中断したまま2、3ヶ月が過ぎましたので口腔内の点検のため往診を致しました。口腔内の問題もさることながら、やはり病状の悪化には目を伏せたくなるものがありました。何よりも、高齢となった奥様の介護姿は気の毒としか言いようがありません。身の回りのお世話から食事まで全介助です。よく見ると奥様の手は細かく振るえが起きており、ご主人のSさんの後を追っかけているようでした。

当院で自律神経免疫療法を導入し始めたのは2003年でした。Sさんのパーキンソン病も自律神経の乱れを整えれば改善が見られるのではと考えた私たちは、外部スタッフの鍼灸マッサージ師の大田先生と薬剤師で漢方にも詳しい大西先生とチームを組み、免疫療法の実施と服用中の薬の見直しを実施致しました。

自律神経免疫療法を週2回、往診にて行い始めると目に見えてお元気になって行くSさんの姿がありました。薬も漢方に置き換えられるところは漢方に、減らして行けるところは減らし、薬の量もうんと少なくする事ができました。うつろだった目に力がつき、全く無表情で無言だったのが少しの会話が出来るようになったのです。しかも驚く事にひと月経った頃には、もう一度来院できるまでに回復したのです。

 玄米ご飯は数年前から実施されておりましたが、骨粗鬆症予防に牛乳は欠かさず、肉や魚もたんぱく質が必要と頑として菜食に反対の姿勢をとられていた奥様も、Sさんの病状の変化にやっと私たちの言っていることにウソがないと判断されたようで、少しづつ食事の改善も始まりました。奥様の貧血と冷え性は、梅醤番茶と豆味噌の味噌汁を実行する事でひと月かからずに改善され、ますます食の大切さを実感されたようでした。

 現在、毎週木曜日にSさんご夫婦はご来院なさります。Sさんが診療台の上で背中を伸ばすストレッチをしている間、奥様は丹田呼吸法をされ、Sさんの呼吸法やパタカラ(口の周りの筋肉を鍛える装置)、手足の運動が済むとお二人とも自律神経免疫療法を受けタクシーで帰られます。Sさんはソックスが自分ではけるようになったりコートに手を通す事がができるようになったり、調子のいいときはおしゃべりもたくさんできるようになりました。このことは、木曜日に参加されているほかの皆さん(皆さん元気で明るいのですが本当は重病を抱えている方ばかりです)に大きな励みとなっています。

 最後の最後まで諦めない、それが私たちの信条。心食道息の医療現場では様々な不思議が起き始めています。

自然医食フォーラム通信 連載より

2006年07月16日 18時48分52秒 | 心食動息の医療現場を目指して

ごはん、米(よね)、どんぶりの役割

 松見歯科診療所の裏にある食養塾無何有庵には、よく小さなお客さまが訪れます。小児の歯科診療はだいたい2~3才から始まります。しかし、いきなり診療台に座れるわけはなく、まずは歯医者さんが怖いところではないことを知ってもらうことが優先です。親御さんと離れて、たった一人で見知らぬ機械の一杯ある診療室に立ち向かうにはどう考えても勇気が必要です。
そこでご対面するのが、犬の「ごはん」と「米」、猫の「どんぶりことドンドン」です。すでに涙目になっているちびっ子の顔を舐めてもらい、柔らかいビロードの毛をおそるおそるさわってみると、どんな子も少し心が緩みます。「ドンドン」の前で歯科衛生士のお姉さんの膝に座り歯磨きの練習がスタートします。最初は歯ブラシをくわえるだけ。次回は「ごはん」と「米」にご挨拶して、「ドンドン」と遊んでから歯ブラシをちょっと動かして・・。そうこうすると、ようやく診療台に座ることが出来るようになります。バキュームやエアで思いっきり遊んで器具にも慣れてきます。ようやく、「お口を大きく開けてぇ」と衛生士の呼びかけに安心して応えてくれるようになるのです。検診がおわったら、また無何有庵の住人たちに挨拶して上手くいけば『お砂糖の入っていないおやつ』をゲットできます。
子どもたちは、虫歯なんか作らなければ痛い思いなどすることがありませんから「歯医者は楽しいところ」と認識するのです。
 「ごはんと米見せてぇ」「ドンドンと遊んでもいい?」「おばちゃんおやつ頂戴!」と今日も小さなお客様は元気にやってきます。おじいちゃんやおばあちゃん、パパ、ママについて来ては裏で遊んで帰る常連さんもいます。どうも無何有庵の犬や猫は、子どもたちの応援団として立派な役割りを果しているようです。