場所は、札幌市豊平区月寒東1条2丁目8-19。
どうしてこの店に入ったかというと、以前にも書いた最近読んでるブログの影響。
東京下町の焼き鳥屋さんを書いてるブログがあって、
それを書いてるブロガーさんがちょいちょい危なげなお店に入ってる、でもそれは先人がいて
味はもちろん雰囲気も楽しみに行くというもの。
そのブログを読むようになって、札幌にも下町風情の良いお店は無いかな~と思うことが増えた。
あるにはあるけど自分でも見つけたい気持ちが強く出て今回に至る。
お店の外にいたわたしの祖母年代のおば(あ)ちゃんがいて、なんとなく入りやすかった。
「どうぞ、どうぞどうぞ♪」こんな感じで招き入れてくれて中に入ると雰囲気は当たり☆
注文せずとも「ビール飲みなさい」と嬉しそうにすすめるおばちゃん。
店内に処狭しと貼ってある写真、札幌のアナウンサーと一緒に撮った写真であったり
スポーツ選手と撮った写真もある。中でも一番多かったのが「原日出子」の写真。
親戚の方がやってるお店でした、この話はお店を出るまで続いたので耳に残って、
家に帰って思わず「原日出子」で検索をかけるほどでした。
本名は「渡邊法子」さん。おばちゃんの姪っ子にあたるそうです、「のりこはね、」と
嬉しそうに話すおばちゃんが印象的。
そんな若かりし頃の「原日出子」さん。すごくきれい!さすが芸能人だよなぁと思いながら眺めた。
でもわたしご飯を食べにきたのであって、写真を眺めにきたわけじゃない。
説明をするおばちゃんを落ち着かせるのに大変だった。「そろそろ座りたい」とストレートに言って無事着席。
もうこの辺くらいからはずれを引いたと後悔放題、でもせめておいしく食べたい。
吹っ切りながらおばちゃんに「よし!何食べようかなー♪」と言うと、大変な一言が。
「おばちゃん昨日退院してきてね、冷蔵庫の中何も無いの・・ビールはあるよ♪」
アウトーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
「焼き物何かあったかな、ちょっと待っててね」と言って裏に消えたおばちゃん、
すると中から恐ろしい音が。
カーン!カーン!カツーーーーン......カーン!カーン!カツーン.....
この音が永遠に思えるほどに続いて、出てきたのがこちら。
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帰りたい。
でも帰らなかったのはおばちゃんが親切だったから。目の前にして帰るほどの勇気も無いし。
「ちょっとまだ、溶けてないけど2人前ね♪サービスしといた!」
ありがとうって言うべきだったの?愛想笑いをするのがやっと。
でも網を見てほしい、ピカピカにきれいでほこり一つ無い。
手入れしてるんだなぁと思いながらカピカピになった鶏胸肉を焼いた。
おばちゃんはミノと言ってたけど鶏胸肉だと思うよ・・でももう何がなんだかわからない。
もう飲もう!飲もう飲もう!と自分を慰め瓶ビール追加。
ちなみにビールはずーーーーーーーーーーーっと冷えてただけあってキンキン。
1本目のビールをグラスに注ごうとしたその瞬間カウンターの向こう側からスッっと伸びた手、
その手には大きめのマグカップが。
「おばちゃんにもちょっとちょうだい
」
眩暈クラス。
断れないよ、断れないよーーーーーーーー(号泣)!!!!しょうがなく開けた2本目のビールを注ぐと
もういいよとも言われず、またも永遠に注ぎ続ける錯覚に襲われ、ふと気付いたら
2本目のビールはすでに半分無くなってた。結果自分が飲んだビールは1本と少し、
注いだビールをおいしそうに飲むおばちゃん、すっかり呆れてなんかもう、
自分のグラスにビールを注いで残りは全部おばちゃんにプレゼント。
「おばちゃんね、日本酒とか全然飲めないの、ビールおいしいよね
」
いやもうおばちゃんじゃないよおばあちゃんだよ。なんて心で突っ込みながら飲んだビールは苦くて。
鶏胸肉はカピカピで。
なんとか半分食べたけどもう無理。
「おばちゃん、わたしお腹一杯になったよ、そろそろ帰るね」と言ったら、なんて寂しそうな顔!
「お腹空いてるんだもんね........ちょっと待ってて!」
さすがに食事で満足させることが出来なかったと判断したのか奥に消えたおばちゃん。
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「これね、夜食べようと思って昼間買ったの、食べなさい
」
いりません。とは言えず、賞味期限を凝視したのち食べることにした。
そして再び奥に消えるおばちゃん、手にはお皿が。過ごした時間が長かったのね、
おばちゃんが何を言うのか読めたわたし。差し出されたお皿を手に取りお弁当を半分に分ける。
ありがとうと言いながら受け取ったお皿に甲斐甲斐しくラップをかけるおばちゃん。
まさかお店でコンビニ弁当を食べることになるとは思わなかったけど、この弁当がまたおいしくて(涙)
せめて温めてくれると良かったんだけど、レンジとか無さそうだし。
(いやあるだろうけどおかしなことになってもいやなので言えません)
お会計は1,600円。お釣りが無いと言い出すんじゃないかと思い(失礼)2千円渡してお店を出た。
すごく喜んでくれて嬉しかった、とも思わず。お店を出て最初に浮かんだ言葉は「脱出」
自分の家だそうでお客さんがきたら良いなーと思いながら営業してるそうです。
原日出子さん、どうかまた再訪してあげてください。そんな願いを込めてUP