本日の晩酌 - BETTAKO

無闇な「自粛」には断固として反対です。そのような立場に相反するようではありますが、「自粛」を叫ぶ勢力よりもはるかに動いていないという事実があります。三月の下旬を最後に一歩も都内を出ておらず、それどころか山手線内から出たことすらほとんどありません。交通機関を使ったのは六月の下旬が最後、鉄軌条を使ったものには四月初旬からただの一度も乗っていないという徹底ぶりです。「新しい生活様式」という名の一時的な「我慢」が叫ばれ、どこへ行っても行動に制約を受ける世知辛いご時世、わざわざ生活圏外に出る意欲が湧かないとでも申しましょうか。ただし、車で乗り付け酒と肴を持ち帰れるならその限りではありません。BETTAKOが二月ぶりの登場と相成りました。
一連の騒動が表面化して以来、三度にわたって訪ねたものの、常連客で賑わっている状況は同じでした。死活問題に直面した飲食店を支援するという観点に照らすと、当店に関する限り差し迫った事情はなく、自分ごときがしゃしゃり出る幕ではないようにも見受けられます。とはいえ、近年では年の瀬の挨拶がてら訪ねるのがせいぜいだった当店に、しばしば通えるだけの余裕が生まれたことは、足止めがもたらした数少ない恩恵の一つです。
今回とりわけ秀逸だったのは鰈のなめろうです。白身のなめろうという物珍しさもさることながら、薄切りにしたはんぺんと重ねるように盛り付けて、淡泊さ、軽やかさを引き立てるという着想は天晴れでした。ただ切って出すだけではなく、常に一手間加えようとする工夫の跡には毎度感心させられます。仮に自身が近所に住んでいたとすれば、日参するにもやぶさかでない一軒です。足止めがさらに長期化しようとも、それなりに楽しめそうな気がします。

★BETTAKO
東京都北区滝野川6-84-10
03-5394-8033
平日 1600PM-2130PM(LO)
土日祝日 1500PM-2130PM(LO)
月曜及び第一火曜定休(祝日の場合営業し翌日休業)

さつまおはら
冷しすり流しの揚げ夏茄子添え
かつおのたたき和え
かれいのなめろう