日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

四谷赤坂麹町 - タキギヤ

2020-08-19 20:29:59 | 居酒屋
連投は久々です。昨日の今日で荒木町にやってきました。「タキギヤ」の縄暖簾をくぐります。
当店には「おく谷」以上に長らく無沙汰をしてきました。最後に訪ねたのは去年の九月、つまり一年近くも間が開いたことになります。「月肴」を始め、騒動が契機となって出会った店もいくつかある中、当店を素通りし続けてきたのは、休業期間が長かったという事情によるところが大です。自粛自粛と騒がれ始めた時点から、見舞いを兼ねてなじみの店を回りました。その目的はおおむね達成されたものの、行けずに終わった店もあります。その一つとなったのが当店です。お上による強硬策が採られると報道されたその晩、矢も楯もたまらずに荒木町へ急行したものの、店の明かりは消えていました。長きにわたる休業を経て、ようやく再開したのは六月になってからです。しかしその後も、混み合っているのを見て敬遠したり、早仕舞いで振られたりして機会を逃し続けてきました。その結果、今の今まで延びてしまったという経緯があります。
二月近くにわたって休むという決断ができたのは、他店に比べて切羽詰まった事情がなかったからなのかもしれません。そのように思うのは、再開後もすこぶる順調そうだからです。何度か前を通ったものの、店は平時と変わることなく繁盛しているようでした。見舞いがてら訪ねるという目的は果たせなかったものの、その必要はそもそもなかったということです。それだけに、一日も早く訪ねたいと逸っていたわけではなく、昨晩は脇目も振らず「おく谷」へ向かいました。しかし、無欲の姿勢が結果としては奏功しました。店先に乗り込むと、一つだけ出た空席を女将が片付けているところだったのです。仮に10分早ければ、あえなく振られていたでしょう。
それだけでも十分幸運ではありますが、よかったことがもう一つあります。空いたのが一番手前の席だったことです。客観的には店主が立つ奥の方が上席で、玄関側は末席ということになるのでしょう。しかし今夜に関する限りそうでもありません。開け放たれた玄関で縄暖簾と風鈴が揺れ、向かい側の公園からは秋の虫の声が聞こえてきます。昨晩通りがかったとき、扉は閉め切られていました。要はそれだけ暑かったということです。今夜訪ねたからこその一幕でした。

タキギヤ
東京都新宿区荒木町7 安藤ビル1F
03-3351-1776
1700PM-2100PM(LO)
日祝日及び第二除く土曜定休

酔右衛門
諏訪泉
お通し二品(出汁・いんげん胡麻和え)
小肌
トマト土佐酢
甘唐焼びたし
穴子の煮こごり
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