日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

四谷赤坂麹町 - おく谷

2020-08-18 20:44:31 | 居酒屋
一時はあれほど世話になったにもかかわらず、途中から縁遠くなってしまったのが荒木町です。次に行くならここしかないと決めていました。久々に「おく谷」の暖簾をくぐります。
足止めされた初期の頃は、この店に頼り切りでした。多くの店が休業に追い込まれ、残った店も持ち帰りのみの営業に切り替えて糊口を凌ぐ中、店内で呑めるほぼ唯一の選択肢がここだったからです。明かりどころか人影すらもまばらだった荒木町で、孤軍奮闘するこの店を見殺しにはできなかったという事情もあります。しかし、再開する店が増えるに従って荒木町からは足が遠のき、この店にも無沙汰をして現在に至りました。再訪は五月の下旬以来です。
その間全く寄りつかなかったわけでもありません。何度か足を運んではみたものの、ことごとく明かりが消えた後だったのです。その様子から窺われたのは、引き続き九時には明かりを落としている可能性です。「自粛」が叫ばれ続けた頃も明かりを消さなかった代わりに、「要請」が緩和されても看板を無闇に延ばしはしなかったということでしょう。結果としては賢明な選択だったともいえます。
感染者を日毎に数え、元の木阿弥と目くじらを立てる連中はいるのかもしれません。しかし、街中が死んだようだったあの頃を思えば、元の木阿弥などではないと自分は思います。今夜も二つあるテーブルがいずれも埋まるそこそこの盛況です。徹底した「自粛」によって病原体との「聖戦」を支えるという狂った思想が見直され、持続可能な方策を人々が考え始めたことは紛れもない前進です。ほとぼりが冷めるのは当分先のこととしても、この状態は保っていきたいものだと切に思います。

おく谷
東京都新宿区荒木町8
03-3351-6451
1800PM-2230PM(LO)
日祝日定休

酔鯨
お通し(油揚としめじの煮物)
真鯛昆布〆
稚あゆ南蛮
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