日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

この季節の楽しみ 2020(14)

2020-08-01 08:18:53 | 野球
岩手で地区予選が始まったのは先月の一日でした。独自大会は今日から実質二月目に突入します。例年ならほぼ終戦を迎える時期ではありますが、週末に試合が集中する今季はまだ盛りです。公式サイトで配信される中継は76試合、先々週を頂点にして次第に減ってきてはいます。その代わり、戦いが進むにつれて好試合が増えてきました。ざっと挙げても星稜対金沢、静岡商静岡、智弁和歌山対市和歌山、明徳義塾対高知商といったところです。開幕早々松山商、今治西、宇和島東、川之江が揃い踏みする愛媛も捨てがたいものがあります。端末の前に釘付けの週末はもうしばらく続きそうです。忙しくなる前に週明けの五日間を振り返ります。

・第26日(7/27)
去る週末の雨により順延された試合を含め、13大会60試合が戦われました。その中でまず目を引いたのは、西東京で出た6回コールドの試合です。試合成立が7回終了時点となる高校野球の原則からすると、降雨あるいは日没でのコールドは考えられません。6回で終わるとすれば、10点差以上の試合に限られるはずでした。ところがその試合に限って8点差だったのです。
まず考えたのは、5回以降は10点差以上、7回以降は7点差以上でコールドという原則に、本大会に限り6回で8点差以上という特例が加えられた可能性です。ところが、開幕からの試合結果を改めて振り返ると、6回コールドとなった他の試合はいずれも10点差以上がついていました。たとえば、先週の金曜にあった筑波大駒場対日大鶴ヶ丘戦についていうと、4点差で迎えた6回裏に日大鶴ヶ丘が一挙6点を挙げ、その時点で試合終了という経過です。8点差がついた時点で試合終了だとすると、最後に3点、あるいは満塁本塁打が出たのであれば辻褄は合うものの、本塁打の記録はありませんでした。つまり、6回までは原則通り10点差がついた時点でコールドということになります。
真相は今季に限り採られている時間制の仕業だったらしく、都連盟のサイトにも「大会規定で6回終了」とあります。報道よりもこちらの方が正しいと判断し、このblogでも6回終了ということにしておきました。それでもなお解せないのは、試合開始から終了まで、2時間24分しか経っていないことですが、どのみちすぐに時間は切れていたでしょう。仮に続行したところで時間切れが目に見えている状況では、二時間半に満たなくとも打ち切る決まりになっているのかもしれません。
もう一つ特筆すべきは福井の準々決勝です。8対8でタイブレーク式の延長戦に突入し、10回と11回に両軍2点ずつ取り合った後、12回に福井商が大量6得点を挙げ、その裏も抑えて逃げ切るという経過でした。両軍合わせて30得点のうち、14点は延長戦で記録されたものです。野球を似て非なる競技に変質させる、タイブレークの歪みが見事なまでに現れた一戦でした。

・第27日(7/28)
前日に続いて試合数はそれなりに多く、15大会68試合の開催でした。青森の決勝をもって北東北の県大会は終結。壱岐は8強で散りました。橋で地続きの島から出た大崎が勝ち残ってはいるものの、九州の離島勢もこれにて事実上の終戦となります。福岡では開催された2試合がいずれも再試合に持ち込まれました。両軍無得点のまま、7回降雨コールドで引き分けるという結末も同じです。

・第28日(7/29)
ほぼ前日並みの16大会59試合の開催でした。暗い世相を映し出す不戦がいくつか出た今季、極めて異例の没収試合がありました。不戦と違い、記録の上では9対0として扱われます。それを含めての試合数です。
不測の事態に配慮して、ベンチ入りできる選手を例年よりも増やしたり、試合毎に選手を入れ替えられたりする措置が採られたことは既報の通りですが、大阪では後者の仕組みが採られました。30人まで登録でき、その中から出場する20人を試合毎に選べるというものです。例年なら背番号をもらい損なう選手にも機会が巡ってくるという、一見すると好ましい仕組みが、この試合ではかえって仇となりました。初戦に出られなかった選手を代わりに出場させるつもりが、当日出る選手の中に入れ忘れるという手違いが起きたからです。その結果、規則の上では出るべからざる選手を出場させてしまい、優位に進めていた試合が一転して没収試合になるという顛末です。今季の特殊事情が招いた悲劇でした。

選抜無敗記録を保持する飯田OIDE長姫は、2回戦最後の試合で散りました。連休初日にあるはずだった二戦目が四日連続雨で流れ、翌日ようやく戦われるも今度はノーゲームに終わり、中一日でようやく決着するという顛末です。
もう一つ特筆したいのは、大阪大会で実現した渋谷対成城の一戦です。球史に残る名選手を生んだ、しかし高校野球界では無名に等しい両校同士の対戦は、一度とはいえ甲子園の土を踏んだ渋谷に軍配が上がりました。

・第29日(7/30)
14大会で試合があり、不戦を除く50試合が戦われました。それまでに不戦となった3試合はいずれも東海地区だったため、関東地区での不戦は初です。初戦が雨で順延され、待たされている間に露見するという状況は、岐阜で出た第一号と同じでしたが、あちら以上にたちが悪いのは、「関係者」の感染が理由とされていることです。野球部員でないばかりか、生徒ですらない一個人が感染したことを理由に、いわば連帯責任を負わせるという理不尽な仕打ちでした。次代を担う若者のために、よりよい社会を遺して行くのが大人達の役割にもかかわらず、長年にわたり踏襲してきた「古い生活様式」という既得権を守るため、球児らに責任をなすりつけている現状は嘆かわしいばかりです。

8強までで打ち切りとなる京都では、龍谷大平安が最初の椅子を勝ち取りました。1回戦から3回戦までそのまま数え、次がいきなりブロック決勝という、いささか唐突にも思える幕切れでした。
和歌山ではまたもや謎のコールド試合が出現しました。和歌山商が初回にいきなり11点を挙げ、守っては5回を零封したものの、試合はそのまま続行され、14対1で7回コールド勝ちという結果でした。翌日の箕島戦でも、やはり5回で11点差がついたにもかかわらず、7回まで戦われるという珍現象が起きています。7回以降のコールドは原則通りの扱いでも、5回以降で10点差以上というもう一つの条件が、本大会では撤廃されているのかもしれません。世知辛いご時世を反映し、試合を短縮するための施策が随所で採られる今季、あえて逆行する措置を採った理由が気になります。

・第30日(7/31)
週末を前に試合数は若干減り、不戦の1試合を除く10大会39試合が戦われ、そのうち3試合が決勝でした。不戦の1試合は知る人ぞ知る名門、大鉄改め阪南大の出場辞退によるものです。何から何まで理不尽だった前日の不戦と違い、二試合とはいえ戦った後だったのがせめてもの救いではありました。しかし、数百人、場合によっては千人単位が出入りする教育機関で、感染者が出たことの「連帯責任」を負わせる理由があるのかという疑問は残ります。例えば数百人、千人単位の事業所で感染者が出たとき、その事業所が即封鎖されるとは限らないからです。
古豪津久見は四日の間に三試合を勝ち抜いて、昭和末年以来となる夏の県大会制覇を果たしました。5校あったシード校のうち4校が8強までに姿を消すという波乱続きの大会で、唯一勝ち残った大分舞鶴とも決勝まで当たらない強運に恵まれたという事情はあります。とはいえ、6試合のうち4試合が1点差という接戦を、ことごとく勝ち抜いたのは天晴れでした。

★青森大会決勝
 八戸学院光星5-8青森山田
★群馬大会1回戦(7/27)
 前橋商11-0前橋
★東東京大会
・1回戦(7/27)
 立志社11-2大島
・2回戦(7/28)
 関東一24-0深川
 共栄学園10-1岩倉
・2回戦
 東京成徳大高0-10x二松学舎大付
・1回戦(7/30)
 上野学園6-2昭和鉄道
 開成13-2葛飾商
 東亜学園不戦勝-不戦敗昭和第一
・2回戦(7/30)
 目黒日大27-0高輪
・2回戦(7/31)
 開成3-8東亜学園
★西東京大会
・1回戦(7/27)
 早稲田実5-6八王子
 瑞穂農芸7-15x八王子桑志・山崎(6回終了)
・1回戦(7/28)
 玉川学園2-9x日大桜丘
 八王子実践0-5早稲田実
・2回戦(7/29)
 南平6-7国分寺(7回終了)
 日大桜丘16-0武蔵野北
 武蔵村山10-7中大付(8回終了)
・2回戦(7/30)
 八王子桑志・山崎0-9府中西
・3回戦(7/31)
 府中西1-11x早稲田実
 日大桜丘4-1錦城
★長野大会
・3回戦(7/27)
 松本深志9-0南安曇農
 長野5-1長野工
・2回戦(7/29)
 岡谷工9-6飯田OIDE長姫
・3回戦(7/30)
 阿智2-3x諏訪清陵
 伊那弥生ヶ丘1-4岡谷南
★福井大会準々決勝(7/27)
 福井商18-12金津(延長12回)
★京都大会
・3回戦(7/29)
 菟道0-4北稜
・Aブロック決勝(7/30)
 龍谷大平安7-0京都成章
・Bブロック決勝(7/31)
 鳥羽1-5乙訓
★大阪大会
・3回戦(7/28)
 大阪星光学院0-10x興国
・2回戦(7/29)
 明星5-0東住吉総合
 渋谷13-0成城
 美原9-0八尾
・2回戦(7/31)
 大体大浪商13-3堺
・3回戦(7/31)
 浪速不戦勝-不戦敗阪南大
★和歌山大会
・2回戦(7/27)
 新宮7-8x箕島
・2回戦(7/29)
 星林4-6和歌山高専
 南部龍神1-4日高
 向陽3-4高野山
・2回戦(7/30)
 日高中津8-4和歌山南陵
 紀央館1-14和歌山商
・3回戦(7/30)
 海南4-5x初芝橋本(延長10回)
・3回戦(7/31)
 和歌山東5-0有田中央
 田辺1-6桐蔭
 箕島16-0串本古座
★徳島大会2回戦
 生光学園9-4池田
★高知大会準々決勝(7/29)
 高知東工1-9岡豊
★福岡大会
・福岡地区3回戦(7/28)
 福岡第一0-0福岡工大城東
・北九州地区準々決勝(7/28)
 九州国際大付0-0自由ヶ丘
・筑後地区準決勝(7/29)
 久留米商5-0祐真
・福岡地区3回戦
 福岡工大城東4-0福岡第一
・北九州地区準々決勝
 九州国際大付5-1自由ヶ丘
 門司学園5-1戸畑工(延長10回)
★佐賀大会
・3回戦(7/28)
 有田工3-6龍谷
・3回戦(7/29)
 佐賀西6-1武雄
・準々決勝(7/30)
 佐賀西0-7x龍谷
★長崎大会準々決勝(7/28)
 鹿町工7-3壱岐
★大分大会
・準々決勝(7/28)
 日本文理大付6-8津久見
・準決勝(7/29)
 柳ヶ浦1-2津久見
・決勝(7/31)
 大分舞鶴1-2津久見
★鹿児島大会準決勝(7/27)
 鹿児島玉龍1-2国分中央
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