日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

東北縦断花見の旅 2019続編 - てっ平

2019-05-04 22:36:31 | 居酒屋
10時の閉館に合わせて谷地頭温泉を辞去。電停まで歩くと、ほどよい間合いで湯の川行の終車が出るという寸法です。その電車を松風町で降り、函館では久々となる一献を傾けます。
道内四大都市の中でも、函館はなじみの酒場がとりわけ乏しいところです。教祖が激賞する「粋花亭」は繁華街から離れており、なおかつ一見客が飛び込めるような店ではないと聞いています。同じく教祖推奨の「煉瓦亭」は、さすがと感服させられる店だったものの、女将の引退により店仕舞いし、一度訪ねただけに終わってしまいました。そのような中、数少ない心当たりの一つが「てっ平」です。
ベテランの店主が一人で仕切る小さな店で、カウンター中心の客席と、大きな黒板にぎっしり書かれた品書きが印象に残っていました。しかし、それとて何度も通い詰めたわけではありません。以前訪ねたときは探しあぐねて、立ち退きにより閉店したと勝手に思い込んで退散しました。昨秋訪ねたときも到着が遅く、一杯やる時間は全く残りませんでした。久々に機会を得た今回、まずはここだと考えていた次第です。
その黒板は横書きで5列。1行につき10品ほどあるため、全部で50前後ということになります。店の規模と、店主一人で仕切ることを考えるとかなりの数です。ししゃも、ホッケ、アスパラ、飯寿司を始めとして、北海道らしい品々が目立ちます。海峡を隔てただけでこうも変わるかと感心させられました。
眉の太い店主は一見すると無愛想。しかし、阿吽の呼吸が効くところは浅草の「ぬる燗」の店主を彷彿とさせます。余所者は珍しいのか、かなり前に訪ねたことをなんとなく覚えてはいたようで、それを口火に二言三言会話することはできました。そろそろ看板という頃合いを見計らって、もう一品なら作れるがとの一言も。ありがたく言葉に甘え、アズキナのおひたしをいただいて締めくくりました。

てっ平
函館市若松町18-16
0138-22-7330
1730PM-2400PM
日曜他不定休

サッポロクラシック
二世古
お通し三品
刺身ちょい盛り
アスパラ天ぷら
アズキナお浸し
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東北縦断花見の旅 2019続編 - 谷地頭温泉

2019-05-04 21:47:37 | 温泉
函館公園から谷地頭温泉は一本道で徒歩三分です。夜桜の消灯を見届けてから乗り込みました。馬鹿の一つ覚えではありますが、今回ならではの収穫もあります。立派な丸太の屋根を奢った、五稜郭を模った露天風呂の脇で八重桜が咲いているのです。一昨日の一度限りと思っていた花見の湯を、再び体験できるとは思いませんでした。

★谷地頭温泉
函館市谷地頭町20-7
0138-22-8371
600AM-2200PM
第二火曜定休
入浴料420円
泉質 ナトリウム-塩化物泉(中性高張性高温泉)
泉温 65.1度
pH 6.4
湧出量 毎分330リットル
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東北縦断花見の旅 2019続編 - 函館公園

2019-05-04 21:11:16 | 東北
函館で夜桜といえば五稜郭よりここです。電車に乗って函館公園にやってきました。
起伏のある園内に遊歩道が巡らされ、眺めに変化がある上に、背後に鎮座する函館山、園内に点在する由緒正しき洋館との取り合わせも絵になる場所です。昼の眺めもさることながら、夜桜も甲乙付けがたいものがあります。投光器がごくわずかにあるのを除けば、街灯と提灯主体の夜桜で、弘前のそれとは比べるべくもありません。それでも記憶していた以上に楽しめました。小坂にしてもそうでしたが、各地の名所で投光器がLEDに次々置き換えられて行く中、橙色の街灯と提灯による自然な明かりに情緒を感じるとでも申しましょうか。下北でこれに匹敵するものがあるのでしょうか。この夜桜をもう一晩眺めることができるという点で、函館へ来てよかったと早くも納得させられました。
気がかりだったのは、そもそもまだ桜が咲いているのかということです。五稜郭の花吹雪は5月4日の予想でした。実際に「散り始め」となったときには相当散っているのが経験上分かっています。それだけに、ここの桜もどうかという考えがあったのです。こうして青柳町の電停から歩いていくと、まだどうにか見頃と思えるソメイヨシノがありました。ただし、風に吹かれて大量の花吹雪が舞っているところでした。風といっても、一昨日に比べればどうということはないものです。それでもこれだけ散って行くのは、取りも直さず潮時を迎えているということに他なりません。
風は一貫して谷地頭の方から吹いてきます。そのせいか、青柳町に近い方ではまだ辛うじて見頃の木が残る一方、谷地頭の側では葉桜同然の木が多いようです。全体を通じてみると、弘前に着いた晩かその翌日あたりの眺めに近いでしょうか。弘前の場合、その後が結局晴れなかったため、花盛りを明るいうちに見届けることはできませんでした。しかし今度は引き続き晴の予報です。限られた範囲ながらも、実質最後の花見を楽しめるかもしれません。
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東北縦断花見の旅 2019続編 - 顛末記

2019-05-04 19:29:03 | 北海道
投宿して落ち着いたところで、今朝からの顛末を振り返っておきましょう。そもそもの発端は昨日の晩です。禅林広場で夕景を見届けた後、翌日の移動に備えるべく地図を開きました。下北半島を周回するにあたって、大まかな経路を調べておく目的があってのことです。しかしここで早くも挫けかけました。半島の東側から北上する場合、八甲田を越えて七戸まで行く経路が順当です。自分にとっては何度も走ったなじみの経路でもあります。しかし同時に思ったのは、あそこまで走っても、まだ半島の付け根にすら至らないとのかということでした。さらに北上してむつ市街に至っても、経路によってはそこから大間崎までが100kmあります。それらを走り切るのが楽しみというより、むしろ遠い、大変だという感覚がありました。そこで何かがおかしいことに気付いたのです。
月並みな言葉を借りれば、どこか遠くへ行きたいという心情こそが旅の原点です。しかし、これでは遠くへ行くことが楽しみではなく大仕事に変わってしまっています。一方、改めて函館に最大三泊できると想像したとき、素直に楽しみだと思えました。そもそも函館がまずかったのは、早朝に弘前を出てフェリーに乗らなければならないことと、寒い中キャンプをするしかなさそうな宿泊事情の二点です。しかし、前者については妥協の余地がないわけではありません。そもそも早朝に出ようとしていたのは、そうすることにより昼過ぎまでには現地につき、あちらでの持ち時間が実質半日延びるからです。それを捨てれば昼過ぎの便でもよく、十分名残を惜しんでから出発できます。宿泊事情も前夜に比べて多少なりともましでした。函館に宿泊できる前提なら、再考の余地は十分あると判断したのが夜桜の頃です。
ただしそれは唐突に出てきた考えでもあります。一晩頭を冷やしてみて、翌朝改めて照会し、宿とフェリーを両方押さえることができれば、函館へ行けという思召しと受け止めることにして、そのまま一旦休みました。こうして翌朝照会すると、宿には空きがあったものの、残念ながらフェリーが満車との回答。一旦諦めかけるも、直後に新たな着想が浮かびました。車を置いて身一つで渡るというものです。車を渡す場合、連休明けを一日休み、現地に三泊するのが前提でした。ただし、好天を期待できるのは今日明日の二日で、その後は多くを期待できません。そうだとすると、函館に二泊だけして、翌日の便で帰るという手はあり得るのです。
我ながら名案ではあったものの、なおも決断できなかったのは10連休という特殊事情によります。青森港の駐車場が満車という事態も想定されるからです。ともかく港へ行ってみて、状況を確かめるしかなかろうと考えたのが黒石にいた時点です。しかし、実際には港ではなく青森駅へ向かいました。駅前に車を置き、一杯やってからフェリーに乗れば丁度よいと気付いたからに他なりません。あとはその通りに行動して現在に至るという経過です。

そのようなわけで、朝から昼頃まで秒読みの判断に追われ続け、すっかり消耗してしまいました。時間切れが迫る中、熟考することもできずに打った手であって、これが最善手なのかどうかまだ確信が持てません。実際、これでよかったのだろうかと思った場面も何度かあります。
雲一つない平板な眺めはおおむね想定の範囲内ながら、視界は航海中一貫して良好でした。こちらを見送るかのように、真後ろにいつまでも鎮座する八甲田山がとりわけ印象に残りました。明日もこれだけ視界がよいのなら、見晴らしのよいところへ行ってみたくなるというものでしょう。混雑必至の函館山はともかくとして、きじひき高原、城岱スカイラインなど候補はいくつか挙がってきます。しかるに車を渡せなかったのが惜しまれるというわけです。
往復の航送料は浮くものの、青函フェリーの料金で考えれば、実質二万ほどの違いにすぎません。同じ車格のレンタカーを二泊三日で借りたとすれば、ほぼ同じだけの料金はかかります。そう考えればあながち高いともいえなかったのです。行動範囲の制約をいきなり感じ、下北に行っていればよかったかという考えも一瞬頭をもたげました。
しかし、あくまで花見の旅として考えた場合、下北ではやや半端という考えはありました。残りの日数でどこへ行くかと考えたとき、丁度よかったのが下北だったということです。弘前をよい形で締めくくった後、それを承けるに値する旅先はと考えたとき、函館の方がふさわしいともいえます。函館へ来てよかったと思えるものを、一つでも多く持ち帰れれば幸いに思います。
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東北縦断花見の旅 2019続編 - 函館駅

2019-05-04 19:02:49 | 北海道
四時間近い航海を終えて函館に到着。海上では風が吹いて飛沫を浴び、その点では青函フェリーと大差のない結果に終わったものの、客室後方の壁際である程度避けられたのは助かりました。
市内へ向かうバスの乗り場に、相当数の状況が殺到するのを見て即座に避け、歩いて七重浜の駅へ移動。キハ40に二駅揺られて函館駅へ向かいました。ここで懐かしい車窓が現れました。右に弧を描きつつ函館駅の構内に進入するにつれて、右前方に鎮座していた函館山が左の方へ移動していき、ほぼ正面に重なったところで止まったのです。新幹線の開業により、北海道への汽車旅が不便かつ高額なものに成り果ててからというもの、北海道を列車で訪ねる機会は事実上失われてしまいました。函館駅に降り立つことは、二度とないかもしれないと思っていました。それが思わぬ形で実現したことにより、この車窓をもう一度眺めることができたのは幸いです。

★七重浜1825/1165D/1835函館
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東北縦断花見の旅 2019続編 - ブルーマーメイド

2019-05-04 14:45:23 | 東北
青森駅前の駐車場に車を止め、1483km走ったところで東北編は完結となりました。ただし、今回の北海道はおまけのようなものに過ぎません。表題はそのままで活動を続行します。駅からバスで港へ移動し、函館行のブルーマーメイドに乗船したところです。
車を航送する場合、料金に圧倒的な優位性がある青函フェリーの独擅場となります。単身で行く今回は、津軽海峡フェリーを久々に選びました。これがおそらく十年ぶりです。このような選択に至ったのは、わずかな差額で設備に歴然とした違いが出るからでもあります。離島航路に毛が生えたような青函フェリーの中型船に対し、こちらに就航するのは二回りほど大きい船です。船体の違いは当然ながら接客設備の充実ぶりにも反映されます。加えて違うのは甲板からの眺めです。昨秋乗った青函フェリーの場合、視界が効くのは側方に限られ、飛沫もひどくて甲板に立ち続けるのはやや難儀でした。しかしこの船では側方から後方の全方位に視界が開けます。高さがあるため飛沫の影響も少なそうです。
天候は引き続き快晴で遠景は鮮明、雲も全くありません。雲一つない快晴などと形容しても、実際には上空にないだけで、低い空には所々雲が出ているものです。ところが、今回はどちらを向いても全く雲が見当たりません。こうなると、眺めとしては平板になり、撮っても絵にはなりにくいと予想されます。西から風が吹いてくるのも気になるところです。しかし、これだけの晴天は滅多にありません。体力の続く限り甲板に立ちます。
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東北縦断花見の旅 2019続編 - 大黒寿司

2019-05-04 11:57:30 | 居酒屋
浪岡までよされラインこと県道13号線、そこから国道7号線を経由して青森市街に入りました。ここで遅い朝兼昼をいただきます。訪ねるのは大黒寿司です。
結論から申しますと、ここで一杯やってから函館行のフェリーに乗ります。これは車を置いて単身で行くということでもあります。下北へ行くつもりがこうなったのは、話せば長い事情によるのですが、朝から急展開して秒読みの判断に追われ続け、今はともかく一息入れたい気分です。なじみのカウンターでちびりちびりとやる度に、安堵の溜息が漏れてきました。
二月に訪ねたときはまさかの臨時休業に足をすくわれました。その借りをどこかで返したいとは思っていたのです。しかし、このような形になるとは全く予想できませんでした。

大黒寿司
青森市新町1-2-6
017-722-6480
1100AM-2200PM
祝日除く火曜定休

亀吉・田酒
みがきにしん
すずこ
すしランチ
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東北縦断花見の旅 2019続編 - 時代の流れ

2019-05-04 10:22:27 | 東北
花見の旅で黒石を訪ねるのは久々です。ただし桜はとうに散っています。目的は違うところにありました。フィルム機の電池が切れ、急遽調達せざるを得なくなったのです。
本来は充電式のバッテリーパックを使う機種で、市販の電池は使いません。ただし、今回のような長旅では電池切れを起こす場合が稀にあります。そのようなときのために携行しているのが、市販の電池を使える予備のグリップです。使用頻度の低い充電器をいちいち携帯しない、フィルム機特有の装備でもあります。ところが、今回はその予備用までが切れかかっていた次第です。
久々に買おうとしたとき、事情が一変していることに気付きました。かつてはどこでも買えたはずの電池が、コンビニはもちろんのことスーパーにもドラッグストアにも見当たらないのです。そうなると、ヤマダ電機かキタムラが頼みの綱ということになります。黒石にヤマダ電機があったため、早速駆け込んだのでした。
カメラが売れないという話を耳にして久しくなります。誰でも彼でも携帯端末で写真を撮る習慣が定着した結果、残ったカメラはさらなる高機能化を迫られ、専用の充電池でなければ動かせない代物になりました。リチウムイオン電池一つで動く機種など、今やほとんどないのでしょう。時代の流れを実感する一幕です。
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東北縦断花見の旅 2019続編 - 高架橋

2019-05-04 09:03:57 | 東北
岩木山を一望できる快晴を生かすべく、もう一度弘南電車を撮ることにしました。本日やってきたのは尾上高校前の高架橋です。
昨日訪ねた二ヶ所では、いずれも電車の背後に岩木山が鎮座していました。それがここでは真横に変わります。高架橋に直交する形で構えると、目の前を横切る電車が岩木山に重なるという仕掛けです。手前に田圃が広がっており、水鏡、稲穂の時期がとりわけ絵になる場所でもあります。いずれも既に撮っており、今回それを超えるものは期待すべくもないように思えます。それでも立ち寄ったのは、水鏡の時期とは当然ながら残雪が違うからです。例年よりも多い雪が鮮明に見分けられる今回、改めて撮る価値はあろうと判断しました。
その狙いはおおむね的中したものの、さらなるおまけがつきました。橋脚の隙間から、赤っぽい花を咲かせた並木が見えているのです。背の高さと枝振りからして八重桜かハナモモでしょう。再訪したからこその収穫がもう一つ増えました。
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東北縦断花見の旅 2019続編 - カプセルイン弘前

2019-05-04 08:32:40 | 東北
年に何度か弘前に泊まる中でも、花見の時期はカプセルイン弘前の独擅場となります。宿代がとりわけ高騰するこの時期、カプセルホテルの存在は地獄に仏というべきものです。今年から観桜期に限り千円割増とはなったものの、その程度ならむしろ良心的ともいえます。弘前に五連泊するという芸当は、この宿があるからこそ実現したものに他なりません。
多少の幅をもって開花の時期を予想し、暦の巡りも予想しつつ日程を組んで行くと、弘前に最速でいつ着くか、最長ではいつまでいるかが読めてきます。それ応じてここを押さえ、想定よりも遅れたり早まったりすれば、その分を解約するというのが例年の流れです。しかし、今年については最速で28日だろうと予想しながらも、その日だけどうしても押さえられずに翌日からの宿泊となりました。その結果、花盛りをあと少しのところで逃したことは既報の通りです。それでも何だかんだで満喫し、六連泊で押さえたうちの五泊分が活かされました。
前回もそうだったかどうか、滞在中は毎日同じカプセルが割り当てられました。旅程に応じて適宜短縮できるよう、一泊ずつ予約をしたにもかかわらずです。いわば名寄せをすることにより、連泊となる場合は適宜調整しているのでしょう。たかがカプセルとはいえども、毎日同じ場所が使えるのは想像以上に便利でした。何から何まで世話になったことに感謝します。
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東北縦断花見の旅 2019続編 - 九日目

2019-05-04 07:54:28 | 東北
おはようございます。五泊六日にわたった弘前滞在もこれにて打ち止めです。別れの挨拶がてら禅林広場を訪ねました。一昨日まだ五分咲きだった長勝寺のカスミザクラが満開を迎えています。参拝客の姿もない早朝の境内、小鳥のさえずりだけが聞こえる中、朝日を浴びて輝く桜が印象的です。
弘前の花盛りを明るいうちに眺めることは叶いませんでした。しかし、それ以外は何もかも満喫できたという実感があります。一点の曇りもない岩木山に送られての去り際の美しさを含め、思い残すことは何一つないと言い切れる結果です。今年も長きにわたり楽しませてくれたことに感謝します。
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