日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

春まだ浅い信濃路へ 2019 - 山女や

2019-03-16 22:12:20 | 居酒屋
ほぼ一年ぶりの松本となれば、二軒目も奇をてらわずに行くまでです。続いては「山女や」の暖簾をくぐります。
「しづか」よりも古くから愛用してはきたものの、一筋縄ではいかない店です。一軒目へ向かう途中で通りがかると、縄暖簾の奥に満席の店内が見えました。そろそろ落ち着くかと期待しつつ戻るも、状況は全く変わっていませんでした。腹ごなしを兼ねて松本城を訪ね、10時の消灯を見届けてから三たび向かうと、カウンターの角に辛うじて空きが出ており、片付けが済むのを待って入店という結果です。
最初に通りがかった時点で、最近裏方に回っていた店主がカウンターに立っているのが見えました。跡取りは裏方に戻っており、さらには新入りのお姉さんも加わっています。よく見ると、女将が腕を吊っているのに気付きました。しばらくの間、女将のできることが限られてくることから、手伝いのお姉さんを呼び、分担も見直したということなのでしょうか。しかし、それ以外に何一つ変わったところはありません。
「しづか」の焼鳥、野沢菜ほど特筆すべき肴まではありません。しかし、酒は信濃錦一本、つまりいずれも純米酒です。半紙を使い、枕詞とともに一品ずつ綴られる品書きは、信州の郷土色と季節感に満ち、眺めているだけでも楽しいものがあります。快活な店主と無愛想な女将、体格のいい跡取りらによる家族経営の雰囲気も上々。自分が思う居酒屋の理想形がこの店にはあります。
口コミの評価は決して高くないものの、地元客で夜な夜な賑わう店内が、店の真価を何よりも雄弁に物語っているとはいえないでしょうか。知る人ぞ知る穴場であってほしいと思う名店です。

山女や
松本市大手4-8-2
0263-35-3139
1800PM-2300PM
日曜定休

西駒・将棊頭
お通し(油揚げ煮浸し)
串焼き三品
もつ煮
山葵の葉のおひたし
ざるそば
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春まだ浅い信濃路へ 2019 - しづか

2019-03-16 20:32:53 | 居酒屋
先週末に喜多方を訪ねたとき、四ヶ月も間が空けば迷うことなく「ひさじ屋」だと申しました。それと同様、一年近くも間が空けば、何はさておきここしかないと思っていました。「しづか」の暖簾をくぐります。
一昨年の花見の際に訪ねたところ、看板で振られるという経験をしました。後になって知ったのは、早仕舞いしたわけではなく、看板が一時間繰り上がったということです。10時が看板ということは、遅くとも八時台の後半に入った方が無難ということになります。ただし、花見の旅はどうしても慌しくなりがちです。松本城の夜桜も見物すると、九時を回ってしまうのは避けられません。それだけに、十分な余裕を持てるこの時期に、腰を据えて一献傾けたかった次第です。
その狙いはおおむね的中したものの、誤算が一つだけありました。当店自家製の野沢菜漬がなかったのです。信州ならどこへ行ってもいただけるものとはいえ、瑞々しさではこの店の野沢菜漬の右に出るものはありません。先週訪ねた「籠太」では、焼鳥、塩辛、塩豆腐を三種の神器と評してきました。それと同様、当店で三種の神器と思うのが焼鳥、おでんと野沢菜漬です。その一つを欠いたのはまことに痛いものがあります。せめてもの救いは、こちらの落胆ぶりを見透かしたかのように、おしんこの盛り合わせが差し入れられるという心憎い気配りがあったことです。それを肴に残った酒をいただいて辞去するという顛末でした。

ちなみに、着席するなり気付いたことがあります。若主人が裏方に回っており、初見の青年が代わりを務めていたことです。大女将にどことなく似た雰囲気の風貌からして、もしかすると跡取りなのかもしれません。大女将が健在のうちに、少しずつ修行をさせていこうということなのでしょうか。今回野沢菜を逃してしまったことにより、花見の折にも再訪する可能性が濃厚となりました。そのときに真相のほどをたずねてみるのも一案でしょう。

しづか
松本市大手4-10-8
0263-32-0547
1200AM-2130PM(LO)
日祝日定休

アルプス正宗・大雪渓
お通し(ジャガイモきんぴら)
大根
トマト
焼豆腐
やきとり三本
お新香
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春まだ浅い信濃路へ 2019 - 春は名のみ

2019-03-16 20:02:06 | 甲信越
暮れなずむ西の空を追いかけつつ、八ヶ岳へ向かって広域農道をひた走り、長坂から塩尻までは中央道を飛ばし、そこから高台を行く県道を北上。240km弱を走破し松本市街に入りました。宿の大浴場が入替制で7時50分までと知り、手早く一風呂浴びてきたところです。
日中の気温は14度近くまで上がりました。しかし、先週末と違って日射しがない分、体感温度はわずかに下がり、ほうとうをいただいたとき以外は長袖で過ごしました。日が暮れるとたちまち気温は下がっていき、諏訪盆地へ下りる手前で早くも0度に。岡谷では小雪が舞い、塩尻で下りるまでには止んだものの、県道沿いのところどころに残雪がありました。松本市街の気温も2度しかありません。会津よりもこちらが寒く、さらに雪まで残っているとは意外でした。
天候に多くを期待できない状況で決行したのは、往年の名曲に「春は名のみ」と唄われた、信濃路の早春を久々に体感したかったからでもあります。その目的はひとまず果たせたといってよいでしょう。去年の花見以来となる松本の夜についても楽しみです。
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春まだ浅い信濃路へ 2019 - 不老園

2019-03-16 16:59:46 | 甲信越
その後甲府の不老園を訪ね、この日最後の客となって辞去したところです。
市街を見下ろす小高い丘に開かれた梅園を訪ねるのが、早春の恒例行事の一つです。しかし、今回はいかんせん天候が冴えず、主役の梅が絵にならないのはもちろんのこと、富士山もアルプスも見渡せません。偕楽園に比べて早咲きの木が多いのか、盛りも少し過ぎています。曇り空が次第に暗くなる中、お客は次第に引けて行き、ついには貸切状態になりました。行き交う人の姿も消えた園内で、どこからともなく聞こえてくるカラスの声が物悲しげでした。
この先も、梅を眺める機会はまだまだあるでしょう。しかし、北国では桜の開花と重なるため、梅はその影に隠れてしまいます。梅が主役という状況は、おそらくこれが最後です。必ずしも有終の美とは言い難い、やや淋しげな結末にはなったものの、先月の静岡以来、長きにわたり楽しませてくれたことに感謝します。
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春まだ浅い信濃路へ 2019 - 小作

2019-03-16 14:51:51 | B級グルメ
晴れれば新車に置き換えられた「あずさ」を撮りたいところでしたが、この空模様では仕方がありません。朝食もとらずに出たため空腹感が限界です。石和の市街に入ったところで腹ごしらえを済ませていきます。立ち寄るのはお約束の「小作」です。
去年は飛騨へ向かう途中に訪ねたところ、二時台にもかかわらず待ち客がおり、敬遠せざるを得ませんでした。それだけに、今回もかなり混んではいないかが懸念材料でした。こうして現地に乗り込んだところ、かなり収容力のある駐車場が一台分しか空いていません。嫌な予感を抱きつつ暖簾をくぐると待ち客が。しかし去年と違ったのは、大人数の先客が次々に出てきたことです。その片付けが済むのを待って入店という結果でした。天気が冴えない分だけ人出が減り、お客が引けるのも早まったということでしょうか。ほうとうが出てくる頃にはかなり空き、悠然といただくことができました。
去年はあえなく敗退し、一昨年は鳥もつ煮をいただいたため、ほうとうをいただくのは実に三年ぶりということになるようです。松本のカリーなどと違って、毎回必ずいただきたいと思うほどの中毒性はないものの、長らく間が空いた今回、いただくならほうとうしかないと思っていただけに、どうにか入れたのは幸いでした。1150円を安いと思うかどうかは人それぞれでしょう。しかし、沢山の根菜、野菜を使ってこの値段なら、十分良心的だと自分は思います。甲州では鳥もつよりもほうとうだと再認識した次第です。

★小作 石和駅前通店
笛吹市石和町窪中島73-3
055-263-5421
平日 1100AM-2030PM(LO)
土日祝日 1100AM-2100PM(LO)
かぼちゃほうとう1150円
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春まだ浅い信濃路へ 2019 - 甚六桜

2019-03-16 13:42:43 | 甲信越
今一つの天候をどう生かすかと考えたとき、大日影トンネルの遊歩道がまず浮かびました。ところが老朽化のため緊急閉鎖との立看板が。駅前の甚六桜とEF64だけ定点観察して切り上げるという顛末です。
木によっては蕾に早くも緑色が差しており、都内の桜と比べても大差がありません。この先の気温にもよるものの、あと十日前後で開花といったところでしょうか。いよいよ春間近と実感する光景です。
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春まだ浅い信濃路へ 2019 - 勝沼ぶどう郷駅

2019-03-16 12:40:22 | 甲信越
先週よりもさらに遅れてしまいました。只今勝沼ぶどう郷駅を訪ねています。
明け方に一旦目覚めたものの起き上がれず、ようやく旅仕度を始めたのが九時過ぎです。しかしその後も逡巡を繰り返すうちにますます遅れが拡大し、自宅を出たのは11時近くになってからでした。幸い流れは比較的よく、勝沼で中央道を下りるという経過です。

大幅な出遅れの原因は、大きく分けて二つあります。まずは天候です。今日は終日晴、明日も場所を選べばそこそこ好天との予報だったはずが、改めて確かめると何とも微妙になっていました。昼過ぎに曇って通り雨が降り、翌日は昼前から夕方まで雨というものです。そう分かった時点で、松本までわざわざ行くべきかどうかが俄かに懐疑的となってきました。
もう一つは体力面の問題です。正月からほぼ休みなく活動してきた疲労が積もりに積もり、前日早めに休んでも、翌朝起き上がれないという状況が続いています。しかも次回は中三日で久々の遠征を控えています。帰着の翌日はどうしても疲れが出てしまうものです。前日も出発に向けて休息しなければならないことを考えると、実質的には中一日しかありません。快晴を期待し難い状況で強行するより、あえて一日休みを設け、身の回りの野暮用を片付けて、次回に万全を期した方がよいように思われてきたのです。
それでも結局強行したのは、昨春行き損なったという事情によるところが大です。仮に前年行けていれば、見送ってもよい状況でした。去年に続いて今年もということになると、仮に来年行けたとしても三年ぶりとなってしまいます。体力、気力があと何年続くかを考えても、三年以上の間を空けたくはありません。二日とも雨で全く使えないならともかく、晴れ間も一応期待できる状況で、むざむざ見送ることはできなかった次第です。

こうして出てきたはよいものの、出発以来空は一貫して曇りがちです。現在地でも、時折薄日が射す程度に過ぎず、彼方に連なるアルプスの山々も判然としません。出発前に中継映像を確かめた限りでは、甲府市街に青空が広がっていました。直ちに出発していれば、おそらく昼前までは好天だったのでしょう。迷っている暇があるなら、四の五の言わずに出ていればよかったわけであり、「迷ったら出ろ」の格言通りとなってしまいました。
もっとも、今更嘆いたところで取り返しがつきません。天候にかかわらず活動は続行します。南アルプス、八ヶ岳を始めとして、雪山の眺めについては多くを期待できないものの、万全ではないなりの使い道を模索していくつもりです。
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