日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

花見の旅in信州 2017 - 勝利

2017-04-15 23:38:42 | B級グルメ
「山女や」にはそばも焼おにぎりもあり、それらで腹を満たすこともできました。しかし、呑んだ後に〆るならここがいいと思っていた店があります。一昨年世話になった「勝利」です。
前回訪ねたとき、専門店の味を期待するのは筋違い、呑み屋長屋の怪しげな雰囲気と、おばちゃんの客あしらいを楽しむ店だと評しました。実際、うどんはビニール袋で包装された市販品で、天ぷらも駅そばと大差のない作り置きです。しかし、鰹とも昆布とも違う、煮干しの風味を活かした出汁だけは印象に刻まれていました。いわゆる癖になる味わいとはこのことでしょう。おばちゃんの健在ぶりを確かめておきたいということもあり、再び暖簾をくぐった次第です。

勝利
松本市大手4-2-9
0263-32-8543
天ぷらうどん600円
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花見の旅in信州 2017 - 山女や

2017-04-15 22:03:27 | 居酒屋
危うく足をすくわれかかけたところを、奇跡の大逆転に救われました。久々に「山女や」の暖簾をくぐります。
前回はこの店を目指しながら満席で取り付く島がなく、結局「しづか」に落ち着きました。そして今回は図らずも逆の結果となりました。というのは、「しづか」にまさかの看板で振られてしまったのです。その時点で九時半を回ったかどうかというところであり、同じ時間帯に入ったことは何度もあります。しかし先月訪ねたとき、片付けが随分早く始まっていた記憶があります。最近看板を早めたのかもしれません。
松本では「しづか」と並んで絶賛してきた「山女や」ですが、満席、定休、臨時休業などで振られ続け、気付けば四年もの無沙汰となってしまいました。どれだけよい店であっても、いつでも気軽に寄れる店でなければ、自分にとっては意味がありません。前回も見事なまでの返り討ちに遭ったことで、この店に対しては見切りをつけていたところでした。そこで今回は脇目も振らずに「しづか」を目指したわけなのですが、そのようなときに限って逆の結果になるのが皮肉ではあります。
実は、「山女や」を一応のぞいてみたところ、案の定今回も満席で取り付く島がなさそうでした。いよいよ観念して他の店を探すことも一時は考えました。しかし、代わりにどこへ行くかと考えたとき、他の店との間には依然として隔たりがあることに気付きました。中町通りのBUNも悪くはないものの、品書きの郷土色、季節感については一歩譲るものがあります。前回世話になった「車」はどちらかといえば二軒目向けの店です。こうして逡巡していると、店先にタクシーが横付けされました。これは席が少なくとも一つは空くことを意味しています。走り去った後に再び店内をのぞいたところ、一つどころかカウンターの一辺が全て空いており、まんまとそこに収まるという顛末です。最近は遅い時間であろうと常に満席という状況が続いていただけに、僥倖としかいいようのない結果でした。

石畳の呑み屋小路に灯る赤提灯、古びた味のある店内の造り、地元客御用達の雰囲気など、この店のよさを挙げていけばかなりの数に上りますが、中でもこの店ならではといえるのが、隙間なく貼られた半紙の品書きです。今回再訪して気付いたのは、ただ多く貼るのではなく、配置と内容にも一工夫があるということでした。一見するとコの字型、しかし実はL字型という一風変わったカウンターのうち、L字の部分の頭上に沿って串焼きの品書きを一枚ずつ並べる一方、もう一辺からは季節料理の品書きを上下に何枚もつなげて垂らすというもので、しかもそちらの品書きはカウンターの内側を向いています。おそらくは、その向こう側にある二人掛けのテーブル席との間仕切りを兼ねたもので、品書きは残る二辺のカウンター向けということなのでしょう。これにより、カウンターのどこからでも全ての品書きが見える一方、テーブルとカウンターが区切られて、それぞれ気兼ねなく酒が呑めるという寸法です。
半紙を使うからといって、一枚に何品も書き入れることはせず、一品につき一枚が使われますが、だからといって文字を大きく書くわけではありません。枕詞のようなものとでもいえばよいのでしょうか。たとえば蕗味噌は「野の味」、山うどは「一足先に春の風味」、山葵菜ついては「安曇野の風味」、野沢菜は「信州冬の風物詩」といった具合に、郷土色と季節感がさりげなく込められています。定番の品についても「自家製」「特製」「しっかり煮込んだ」「コラーゲンたっぷり」など様々な枕詞が添えられていて、「山女や特製のタレに漬け込んだ」という唐揚げがいかなるものか想像するだけでも楽しいものがあります。もちろん能書きだけではなく、肴はどれもてらいのないおいしさで、なおかつ価格も良心的です。

前回振られたときもそうだったのですが、今は跡取りがカウンターに立っています。店主は引退したのかと思いきや、跡取りと入れ替わる形で裏方に回っていました。とはいえ時折顔を出す店主に変わった様子はなく、一見無愛想な、しかしさりげない気配りを働かせる女将も健在です。先々のことを考え、跡取りに主役の座を譲ったのでしょう。この店が末永く受け継がれていくのであれば幸いに思います。
四年もの間にわたって振られ続け、いよいよ見切りをつけたつもりが、名店ぶりを再確認させられる結果となり、「しづか」との甲乙がつけがたくなってきました。入れるかどうかは運次第ながら、次回もこの店を念のためのぞいてみようかと思っています。

山女や
松本市大手4-8-2
0263-35-3139
1800PM-2300PM
日曜定休

花菖蒲二合・燗熟純米
お通し(油揚げ煮浸し)
串焼き二品
もつ煮
野沢菜漬
山葵菜おひたし
鳥の唐揚
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花見の旅in信州 2017 - 夜桜会

2017-04-15 21:25:26 | 甲信越
時間が押してきたため背に腹は代えられず、笛吹八代なる新設のICから松本まで高速道を飛ばしました。松本城の夜桜を見物し、只今一通り回り終えたところです。甲州で16度あった気温は一時10度を切り、松本市街では12度となっています。しかし湿度が高いのか、雨合羽は必要なかったかとさえ思える暖かさです。

松本城の夜桜は時間との戦いになりがちです。これは有料区画を開放しての「夜桜会」が九時で終わってしまうからで、去年は到着が遅れて間に合いませんでした。その教訓から、松本まで四の五のいわず高速道を飛ばしたわけなのですが、それでも終了30分前という際どい状況でした。
もっとも、結果としてはこれでよかったのかもしれません。というのも、以前訪ねたときもそうだったのですが、とにかく人出が多いのです。夜桜の混みように関する限りは高遠以上といってもよいのではないでしょうか。こうなってしまうのは、外周を囲む形でしか通路が巡らされておらず、なおかつ幅も非常に狭いため、大勢の見物客が数珠繋ぎで歩く形にならざるを得ないという理由によります。高遠と違って百花繚乱というわけではなく、要所要所に立派な枝垂桜が立ち、それと天守が重なるところが松本城の夜桜の見所です。つまり、絵になる構図はある程度決まっており、それを手早く撮ってしまえば、混み合った城内に長居する理由はありません。そのような向きには30分もあれば十分であり、結果的には過不足がなかったことになります。

まだ五分咲きにもならないと聞いていた松本の桜ですが、たしかに五分咲き以下の木もある一方で、ほぼ満開に近い木もありました。甚六桜の散りようからしても、今日の陽気で一気に開花が進んだのでしょう。城山公園とアルプス公園はさておき、松本城だけは見頃といってもよさそうです。これなら明日も相当混むでしょう。早起きして人出が増え出す前に回ってしまった方がよいかもしれません。
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花見の旅in信州 2017 - 甚六桜

2017-04-15 18:30:44 | 甲信越
その後三時過ぎに出発し、中央道を勝沼で下りました。目当ては甚六桜です。
出発時刻はおおむね想定の範囲内だったものの、そこから先が誤算でした。自宅から中央道方面へ向かう場合、永福から首都高に乗るのが通例のところ、甲州街道が四谷の方から大渋滞しており、首都高に乗るまでの段階で一時間を消費してしまったのです。西日が次第に傾く中、明るいうちに立ち寄れる名所はと考えたとき、浮かんできたのがここでした。西向きの高台というお誂え向きの条件もあり、五時半に着いたときには桜が淡い西日を浴びていました。その光景をしばし眺めた後、六時の時報とほぼ同時に日が沈んでいったところです。

これが一昨年以来の再訪です。前回は、大分散ってはきたもののまだ十分見頃という状況でしたが、今回はそのとき以上の、昨日の都内をもはるかに凌ぐ花吹雪が舞っています。しかし、これだけ散っても遠目にはまだ満開に見えるということは、今日の陽気で一斉に散りだしたのかもしれません。西日を浴びた姿にしても花吹雪にしても、短い時間ながら印象的な光景に出会えたのは幸いです。
再訪して気付いたのは、ここで夜桜も鑑賞できるということです。それも、提灯だけではなく投光器も使った、かなり絵になりそうな夜桜です。ならば暗くなるのを待ちたいのはやまやまながら、そこまで長居すると今度は松本の夜桜が終わってしまいます。ほどほどのところで切り上げ、再び中央道に乗るつもりです。
結果論ではありますが、信州にさえこだわらなければ、明日日帰りでここに来れば十分だったともいえます。それなら早起きして近所をもう一周することもできたでしょう。この期に及んでなお引きずるとは、相変わらず往生際の悪い人間です。もっとも、「迷ったら出ろ」と常々申している通り、迷ったときには兎にも角にも出ておけば、まず後悔はしないものです。来てよかったと実感できる場面に、一つでも多く出会えることを期待しています。
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花見の旅in信州 2017 - 未練

2017-04-15 11:45:08 | 関東
近所を一周して自宅に戻りました。土俵際で踏みとどまってきた桜も昨日から一気に散り始め、朝と昼で比べても眺めの違いは明らかでした。一夜明けるとさらに眺めが変わっており、早咲きの木は葉桜同然、遅咲きの木も花と若葉が五分五分で、見頃は完全に過ぎ去った感があります。開花から四度目の週末にして、ようやく巡ってきた花見日和だけに、あと一日待ってくれればと思うのは人情です。しかし、そこまで望んでは罰が当たるというものでしょう。最初の週末、寒さに震えながら仲間と花見をしたのが随分昔のように思われます。長きにわたって楽しませてくれたことに感謝している次第です。
咲いてから散るまでの一部始終を見届けて、これで心置きなく旅立てるかと思いきや、この期に及んでもなお未練を断ちがたいものがあります。ソメイヨシノがあらかた散り、写真に撮って絵になる光景こそほとんどなくなったものの、一気に散ったこともあり、境内に積もった花びらは見事でした。遅咲きの山桜はまだ満開で、八重桜も少しずつ咲き始めています。それでいながら見物客は皆無に近く、山桜を見上げるベンチで風に吹かれるひとときは上々でした。これなら明日もう一周するにもやぶさかではなくなってきます。
それにもかかわらず、見頃にはまだ早い信州へわざわざ行こうとするのは、翌週以降東北に転戦するためだと昨日申しました。言い換えると、東北も遅咲きであってくれれば、信州は来週末に回して、大型連休から東北へ行くという選択を採っていたでしょう。しかしこれは意味のない仮想に過ぎません。実質的には、信州を見送って都内に残るかどうかという問題です。毎年行っている以上、今年は見送ってもよかろうという考えが成り立つ一方で、年に一度の恒例行事を見送れば、その時点で二年の間が開くわけであり、人生の残り時間を考えると少なからぬ損失になります。仮に信州を見送ったところで、見納めが一日延びるに過ぎないことからしても、未練を残しつつ旅立つのがよかろうと考えています。
野暮用の時間を考えると、出発は早くとも二時頃になりそうです。しかし日の入りはかなり延びてきているため、場合によっては甲州の名所にいくつか寄ることはできるかもしれません。土手沿いの桜にもう一度だけ挨拶してから甲州街道を下ります。
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