MT MANIAX

苦難の時にこそ、われわれは隣人に対して寛大であらねばならない。そうしていれば世界はわれわれにとって寛大なものになるはず。

ソーメンを食べました

2008年07月06日 | 日記
 今日もカンカン照りの暑い日でした。わざわざブログに書くこともないのですが、久しぶりにソーメンを食べました。自宅から歩いて20分ほどのところにある日本食料理屋へ行きました。店について冷やしソーメンと野菜天ぷらを注文。この組み合わせは、暑い日の昼飯の最強タッグの一つであると思います。
 ソーメンはよく冷えていてコシもありました。麺つゆの味が心配だったのですが、普通に日本にあるソーメン用の麺つゆと同じ味でほっとしました。野菜天ぷらはニンジン、シイタケ、タマネギ、ピーマン、かきあげでした。個人的にはシソの葉もあれば最高だったのですが、中国でこれだけの野菜天ぷらが揃えば満足できました。
 暑い日に元気が出る昼飯を楽しめました。

食品全般を対象としたトレサビ制度についての心配点

2008年07月06日 | 日記
 見過ごせない新聞記事を発見。読売新聞の「履歴管理制度、食品全般に拡大…政府が検討」という記事と、時事通信の「食品全般に生産履歴を拡大=偽装多発で記録保管を義務化-政府行動計画案」という記事です。いずれも配信日は7月5日です。
 これらの記事の概要は、ずっと続いている産地の不当表示問題を受けて、政府が食品全般を対象としてトレーサビリティ制度を拡大するというものです。BSE問題の後、牛肉について導入されていましたが、これが全食品に拡大するというものです。
 トレーサビリティとは、ここ5年ぐらいの食品業界のキーワードの一つです。トレサビというように略すこともあります。いまさら説明することもないと思うのですが、言葉の意味を整理してみます。

trace 足跡をたどる、さかのぼって調べる
 ↓
traceabile (起源・跡を)たどれる
 ↓
traceability 物品の流通経路を生産段階から最終消費段階あるいは廃棄段階まで追跡が可能な状態

 この意味を受けて、ある加工食品の原料段階までさかのぼることを「トレースする」と言うこともあります。
 私は日本の畜肉系食品に疎いのですが、牛肉のトレーサビリティ制度では、日本の牛すべてに個体識別番号がつけられ、データベースに情報が蓄積されるシステムであったと記憶しています。
 今回、牛肉だけではなく全ての食品を対象としていることが気になっています。気になっている点は、システムの「入り口」と「出口」についてです。「入り口」とは原料産地のことであり、「出口」とは消費者が最終商品を購入する時点のことです。
 一つ目の気になる点は「入り口」です。どの範囲までを原料産地とするかということです。牛肉の場合、個体の大きさが比較的大きく、基本的に野生ではなく、人工的に出産、飼育されたものが多いためトレーサビリティとしての「入り口」が比較的容易であります。豚や鶏などの家畜、家禽も牛肉と同様に可能であると思います(牛肉よりも大変そうですが)。
 魚はどうでしょうか。養殖ものであっても個体識別番号をつけることは不可能です。一尾、一尾の魚に番号などつけられません。そうなれば個体ではなく産地が入り口になります。しかし、魚にとっての産地とは何でしょうか。魚が生まれた海域のことでしょうか。多くの場合は水揚げされた海域になると思います。養殖ものの場合は生まれた海域を特定することはできますが、天然ものの場合は生まれた海域を特定することは極めて困難であると想像できます。よって養殖ものの方が素性がはっきりとしており、天然ものは生まれも素性も分からないものになります。「入り口」の範囲の設定が難しくなります。
 植物の場合も、個体識別番号をつけるのは、ほぼ不可能です。米に個体識別番号をつけると、5kg入りの米の袋の中に、はたしていくつの稲の米が入っているのか把握できないといけません。これは無理でしょう。そうなると、穀物や野菜は、どう考えても栽培された田畑を一つの単位として「入り口」として設定できる最小単位です。しかし厳密に考えると、「入り口」は収穫された時点のことなのか、それとも栽培が開始されるよりも前の時点、つまり種の時点のことを指すのでしょうか。種の時点ということは、どこで栽培された種であるのか、親の世代にまでさかのぼらなければならないのでしょうか。考えるだけでぞっとします。
 トレーサビリティは「出口」についても気になります。「出口」とは消費者の購入時点のことです。トレーサビリティのシステムで蓄積された膨大なデータを消費者に公開するのか否か、政府はどのように考えているのでしょうか。牛肉と同様のシステムであるならば、消費者が自由に知ることができるシステムになると思います。
 それでは消費者は、どのようにしてこれらの情報を知ることができるのでしょうか。情報を公開する目的は、消費者が選択できる機会を与えることだと思います。つまり、消費者が購入する直前までに生産履歴を確認できるシステムにならなければいけません。
 商品一個一個の包装や一括表示に、膨大な全生産履歴を掲載することは不可能です。包装のスペースには限界があるからであります。
 ということはインターネットを活用するしかありません。いろいろなスーパー、コンビニ、商店などに生産履歴を確認するための端末が必要になります。全食品を確認できる状態にするためには、一つの店舗にいくつの端末が必要になるのでしょうか。
 「入り口」と「出口」以外にも色々な気になる点があります。外食店が対象となるか否かということです。外食店が対象になると、例えば小さなラーメン屋でも同様の生産履歴確認用の端末が必要になります。ラーメン屋の親父さんが、今日のラーメンの材料に使った食材のデータを毎日毎日、入力しなければなりません。また、屋台はどうなるのでしょうか。お客さんが履歴を確認できるようにするため、端末を屋台に置かなければなりません。
 新聞の記事の論調では、わりと簡単に「食品全般に拡大」と書かれていますが、少し考えただけでも気になる点が山ほどあります。きついなあ、というのが本音です。結局、全部の食品に導入するのは不可能ということになり、導入できないところが法律の抜け穴になると思います。
 導入できたとしても、そのコストは価格上昇によって消費者に跳ね返ってきます。技術的に可能なトレーサビリティですが、ものすごい手間と時間が必要になるためです。加工食品の場合、他の工業製品と比較すると、単価がダントツに安いことが特徴としてあげられます。その安さを維持できるとは思えません。零細企業ほど苦しむことになると思います。導入するのであれば、よっぽどよく考えられたソフトウェアを政府は食品業界に提供しなければならないと思います。
 最後にもう一つ、気になることがあります。ある食品の生産履歴が明らかになった場合、その食品につぎ込まれたノウハウが簡単に丸裸になる可能性があることです。特殊な製造工程が行なわれない食品の場合、その食品の特徴は原料の種類と割合によって決まります。どんな原料が使われたのか分かってしまうことは、食品メーカーにとっては死活問題です。この点が考慮されるのかどうかも心配です。
 色々と心配になる点を書きましたが、これらは食品メーカーの保身のために書いているのではありません。よっぽどうまくトレーサビリティを導入しなければ、食品業界が業界として成立しなくなる可能性がありますので心配なのです。