花の名前・木の名前・名前の由来

草花や木についている名前の由来。誰が付けたか分からないけど、知って納得のもの、「?」のもの、いろいろあって、面白い。

フジバカマ(藤袴)・サワフジバカマ(沢藤袴)

2013年11月06日 | 草花・植物

☆.:*:・''・:*:.☆.:*:・''・ フジバカマ(藤袴)・サワフジバカマ(沢藤袴) キク科ヒヨドリ属 ☆.:*:・''・:*:.☆.:*:・'

奈良時代、香料として唐から輸入したものが野生化した。
葉は3裂する。全部の葉がそうなるとは限らないが、必ず3列の葉が含まれる。

仲間の「ヒヨドリバナ」は、花の色が淡い紫を帯びることがるが、殆どが白。
「サワヒヨドリ」は、茎が分かれず、直立して、頭頂部に1房の花をつける。

乾燥させると桜餅の葉のような芳香を放つ。
(茎や葉のクマリン配糖体が加水分解され、オルト・クマリン酸が生じるため)

「秋の七草」と、源氏物語の「藤袴」からの印象で、庭にぜひ欲しいと思って1本植えたものが、随分と増えた。
こんなに増えるのに、絶滅危惧種に指定されるのは「乱獲」のせい?

花言葉「ためらい」。咲始めはそんな感じもあるが、満開からあとは……。   2007.10.20仙台市「サワフジバカマ」

◆花を乾燥させて、お茶、匂い袋、入浴剤などに使ってみた。逆さにつるしておくと、ドライフラワーになる。

≪別名≫ 香草(漢名)、蘭草(漢名)、香蘭、王者香
≪名前の由来≫ 花の色が藤色で、花弁の形が 袴(はかま)のよう。花の中の筒状花を引き抜いて、逆さにすると、藤色の袴と二本の足に見えるという記述があります。試してみましたが、この形を作るのは難しい。
 ※渡来時は「蘭(ラン・ラニ)」という名前だったが、程なく「ふじばかま」の名前で呼ばれるようになった。

≪薬草としてのフジバカマ≫
■◆■・蕾をつけたものを採取し、2.3日干し、乾燥させてたものが生薬「蘭草」。煎じたものを、糖尿病の予防と治療に、1日数回お茶代わりに飲む。蓮銭草(カキドウシ)、枇杷葉、タラボク(タラノキ)を混ぜて煎じたものは、より効果がある。
■◆■・利尿■◆■・入浴剤 :補温、肩こり、神経痛、皮膚のかゆみなどには、蘭草適量を、布袋に入れて鍋などで煮出してから、風呂に入れて入浴。かゆい場所があれば、この布袋でこする

薬草の参考サイト  フジバカマ

≪香料としての利用≫ 「香草」の別名もあるくらい、香りが利用されたようです。
・乾燥させた藤袴を香袋に入れ、十二単にしのばせる。
・干したものを、水に入れて洗髪。
・防虫剤芳香剤
・戦場に赴く時、藤袴の香を兜に焚き込める。
・中国では、邪気払いに、花の一枝を女の子の簪(かんざし)にしたり、香袋(かおりぶくろ)として身につける。
 
≪山菜としてのフジバカマ≫
花が菊のようにして食べられそうに見えるが、食べられるとした記述はない。
平安時代はお茶として飲まれていたという記録がある。乾燥させて飲むとかすかな香りがある。

2013.11.05追記
先にUp済みのブログを見た方から画像は「サワフジバカマ」との指摘を受けました。
指摘を受けるまで「サワフジバカマ」の存在を知リませんでした。
「サワフジバカマ」は「サワヒヨドリ」と「フジバカマ」が交雑されたものを園芸種の「フジバカマ」として流通させたもののようです。繁殖力が強く、野に逸出してしまい河原や草地で見るのはこの「サワフジバカマが多く、
本来のフジバカマは、野生で見ることは少ないそうです。
我が家の「サワフジバカマ」は随分前のものなので、入手経路が分からなくなってしまっています。
「サワフジバカマ」の特徴は茎が赤く、葉がすべて3裂しています。
http://park15.wakwak.com/~ooyabuen/fjbkm8.html頭花の違いもあるようです。
詳しくはhttp://park15.wakwak.com/~ooyabuen/fjbkm.html">こちらを参照してください

.。o○○o。.  .。o○○o。  ≪文学にみる藤袴≫ .。o○○o。.  .。o○○o。
最初に思い浮かべるのは、万葉集の
「芽子の花 尾花葛花矍麦の花 女郎花また藤袴 朝貌の花   山上憶良
(萩の花 芒 葛花 撫子花 女郎花 藤袴 桔梗)が、万葉の時代から現代まで、秋の七草としてのゆるぎない位置をしめている。

源氏物語30帖「藤袴」では、御簾の下から1本の藤袴が差し出されていることから、庭か近くの野辺にあったものだと思う。
光源氏の使者として玉鬘を訪れた夕霧が、藤袴の花に託して、贈った歌。持っていた蘭(ふじばかま)の花を、御簾(みす)の下から中へ入れて、
 
「おなじ野の 露にやつるる藤袴 哀れはかけよ かごとばかりも」
 「たづぬるに 遥けき野辺の露ならば うす紫や かごとならまし」    
(かえし)
 
★むらさきの ふぢばかまをば見よといふ 二人泣きたき ここち覚えて 
(与謝野晶子)

 ★古今集の3歌はいずれも香りを詠っている

・なに人か きてぬぎかけし藤袴 くる秋ごとに野べをにほはす     藤原敏行
(着ていた服を脱いで掛けたのは誰? 秋が来るたび野辺に良い香りを漂わせて)

やどりせし 人のかたみか藤袴 わすられがたき 香ににほひつつ      紀貫之
(家に泊って行った人の残した形見か、藤袴。忘れがたいと香を残して)

・ぬししらぬ 香こそにほへれ秋の野に たがぬぎかけし 藤袴ぞも   素性法師
(誰のものかはしらねども、野に香が匂う。藤袴を脱ぎかけていった。)

 

 


 

 

 



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2 コメント

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Unknown (にんじんおじさん)
2013-11-07 09:09:13
なつかしいと言うか、まず目にすることの
少ないフジバカマ。
ほんと
「ご無沙汰してます」って
ご挨拶したいほど。
だのに、七草って言えばすぐ思い浮かべる花。
不思議だ~。
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自生はみかけませんね。 ()
2013-11-17 11:58:31
里に近い山では「ヒヨドリバナ」はよく見かけますが、「フジバカマ」は見かけたことがありません。
こんな有名なのにと思います。
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