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気の向くままに。。。 ダンス・バレエの関連トピックが一番多いかも。 by nao@momojrt020327

東京バレエ「くるみ割り人形」 11/20 コジョカル&コボー

2009年11月20日 | Ballet
東京バレエ「くるみ割り人形」(全2幕)

振付: レフ・イワーノフ/ワシリー・ワイノーネン
音楽: ピョートル・I.・チャイコフスキー
美術: ニコラ・ベノワ


クララ:アリーナ・コジョカル
くるみ割り王子:ヨハン・コボー


【第1幕】

クララの父:柄本武尊
クララの母:井脇幸江
兄フリッツ:青木淳一
くるみ割り人形:氷室友
ドロッセルマイヤー:後藤晴雄
ピエロ:平野玲
コロンビーヌ:高村順子
ムーア人:小笠原亮
ねずみの王様:梅澤紘貴


【第2幕】


スペイン:乾友子-木村和夫
アラビア:西村真由美-柄本弾
中国:佐伯知香-高橋竜太
ロシア:田中結子-松下裕次
フランス:高村順子-吉川留衣-長瀬直義
花のワルツ(ソリスト):
矢島まい、渡辺理恵、川島麻実子、日比マリア
宮本祐宜、梅澤紘貴、安田峻介、柄本武尊


指揮: デヴィッド・ガーフォース
演奏: 東京ニューシティ管弦楽団
児童合唱:東京少年少女合唱隊


◆上演時間◆

【第1幕】 19:00 ~ 19:55

休憩 20分

【第2幕】 20:15 ~ 21:05


「初」ワイノーネン版。プログラムで勉強しようと思ったら、バージョンの違いに関する記述なしでした。残念。

ワイノーネン版は「クララの物語」で、クララを主演ダンサーが演じ、クララに助けられたくるみ割り人形が王子に変身して、不思議な世界で再びねずみたちと戦って勝利を上げ、クララにプロポーズ?→グラン・パ・ド・ドゥ、そしてすべてはクララの夢でした・・・と最も素直なストーリー展開。これはこれで楽しかった。
コジョカル&コボーの愛のあふれるPDDもこの演目にぴったりで、夢のようなひと時だった。堪能。


プロローグではクララの家のパーティに向かう人々が次々と登場。ドロッセルマイヤーがくるみ割り人形を小脇にかかえて、コケティッシュなステップで舞台を横切る。


紗幕が上がると、パーティ会場。ピンクっぽい壁画の中央にツリーも絵。これにはちょっとびっくり。このツリーは巨大な細長い三角形で、後に大きくなる時は上に引っ張り上げられるにつれ、下に余していた布がどんどん広がって大きくなるという仕掛けなのだが、あまりにシンプルな仕掛けに目が点になる。いや、別に良いんですけど。

走り回る子供たちの中に自然にコジョカルが。あまりに溶け込んでいたので、誰も登場の拍手ができないほど。この版のクララは他キャストとのからみが多いので、リハーサルが大変と聞いたが、彼らは前日に到着したらしいのに、コジョカルの演技に不自然さは感じられなかった。すごいなぁ・・・ 

ドロッセルマイヤーが見せる人形劇の人形たちはちょっとペトルーシュカっぽく、ピエロにコロンビーヌ(女の子の人形)にムーア人。みんな人形振りがうまい!
くるみ割り人形は人形(ぬいぐるみっぽい)と人がくるくる入れ替わる。が、人が演じる場合、最初の方の人形振りは当然主役のコボーではなく、別の人が演じる。
ドロッセルマイヤーはこともなげに人形を出したり片付けたりするが、もちろん体重を感じさせない。実際は重いだろうに。

この版のドロッセルマイヤーはミステリアスな雰囲気はあまりなくて、むしろおもしろいおじさんな感じ。壊れたくるみ割り人形を直して、フランツとクララを仲直りさせていくあたりはかなり良い人。このキャラだと存在感やストーリーへの影響度がかすむように思う。ま、でも、あくまでクララの物語としてはここのぐらいで良いのかしら?

クララがねずみたちに恐々スリッパ投げつけると、ねずみがやられた~とケイレン。くるみ割り人形が自らその仮面を取って、王子に変身。あら素敵王子様・・・と2人のPDDが始まる。2人で踊り始めると、ふとコジョカルの緊張がほぐれて世界になる。

バックの窓の夜空に雪が舞い始め、コボーの美しいマネージュに導かれ、雪のシーンへ。ここの雪の降らせ方は実に美しくて、今回の演出の中で一番気に入った。雪の精たちの踊りも幻想的で素晴らしかった。コーラス隊が舞台下手の花道に登場して歌うのもライブ感があって◎


第2幕は不思議の国への旅からスタートなのだが、これがちょっとちゃちまたくさい。紗幕でぼんやりと見せるようにしてあるが、ちょっとねぇ。王子とクララが船?を手漕ぎして舞台を横切るが、この船がいかにも・・・(苦笑)

後からドロッセルマイヤーの人形たちがお供に?、そして、またねずみが!まだ登場してきたのにびっくり。ねずみの王様が後を追え~!早く漕がんか~と家来のねずみたちの頭を望遠鏡でぽかすか殴るのですが、もぐらたたきみたいでおかしかった。

不思議の国のお城の前ではキャラクターたちがお出迎え。そこへねずみたちが・・・!! くるみの王子が勇敢にたたかう。ついにネズミたちを撃退、王子は奪取したねずみの王様の王冠を剣で掲げ、迫力のピルエット・ア・ラ・スコンドで勝利を高らかに宣言。そしてクララにその王冠をささげる。

各国の踊り。スペインの木村さんが素晴らしくかっこよかった。跳躍も高くて、指先足先まで美しくて。アラビアは西村さんは良かったけど、柄本さんが・・・グランバットマンの足がきちんと上がってないし、サポートも危うく見えた。中国はこれまた男性の方がいまひとつ・・・だったけど、次のロシアの松下さんがそれを一掃してくれました。すごいキレ!主役デビューを控えてパワー全開。フランスは女性陣が素敵。吉川さんはどんどん存在感が増している。花のワルツはちょっと・・・・4組のセンターがまたちょっとぎくしゃくとして見えた。

が、グラン・パ・ド・ドゥが始まったらまたまた別の至極の世界へ。
それはそれは夢のようなPDDだった。コジョカルの音楽を奏でているような腕と指先の柔らかな動きにうっとり。
また、コジョカルの淡いピンクベージュのチュチュがとても美しくて、オペラグラスで拡大してしっかり見てしまった。
こういうゲストで来る場合は衣装ってどうするんだろう。ロイヤルのものとはちょっと違うようだけど、東ババージョンなのかしら??と疑問に思っていたら、ロイヤルの衣装を作っていらっしゃる日本人のyoshiさんのブログに真実が。Yoshiさんオリジナルだった!

ところで、首を痛める前のコジョカルはポーズを決める時に首をきゅっ!と動かしてアクセントをつけていたが、復帰以降は極力それを抑えていると思う。長年の癖を直すのはそれは大変な努力であったろう。そのアクセントがなくなったからといって、彼女の踊りが変わったわけではなく、むしろ流麗になったように思われる。
そして、踊り自体の緩急もすごくなった。シェネの早いこと早いこと。後半になってもまったく衰えず。全幅の信頼をおいているパートナーに思いっきり飛び込むダイブの潔さは相変わらず。

あまりテンション上げずに望んだけど、かなり良い舞台だった。大満足。

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