As I like it

気の向くままに。。。 ダンス・バレエの関連トピックが一番多いかも。 by nao@momojrt020327

ミハイロフスキー劇場ガラ

2009年01月21日 | Ballet
「ミハイロフスキー劇場ガラ」
2009年1月21日(水)18:30開演 Bunkamuraオーチャードホール

第1部
「眠りの森の美女」よりローズ・アダージョ
音楽:P.チャイコフスキー
振付:M.プティパ
イリーナ・コシェレワ
コリパエフ、モロゾフ、カシャネンコ、ヴェンシコフ

「ばらの精」からの演目変更。コシェレワは特筆すべきところなし。

「人形の精」より
音楽:J.バイヤー
振付:S.レガート、N.レガート
サビーナ・ヤパーロワ、ヴャチェスラフ・チュチューキン、マクシム・ポドショーノフ

ワガノワ・バレエ学校のレパートリーとか・・・おもちゃ屋さんで真夜中に人形たちが踊るというお話のクライマックスで、フェアリー・ドール(=人形の精、「妖精の人形」とかの方が正しそうじゃないかな?)とピエロ2人のパ・ド・ドゥ。ヤパーロワは小柄でとっても華奢!ピエロの2人はなかはか良かったけど、メイクのせいでどちらがどちらか判別不能。

「ロミオとジュリエット」よりバルコニーの場面
音楽:S.プロコフィエフ
振付:O.ヴィノグラードフ
イリーナ・ペレン、アンドレイ・マスロボエフ

聞きなれないヴァージョンですが、ヴィノグラードフは1970年代にミハイロフスキー劇場の芸術監督を務め、この時に振付けたもののようです。ミハイロフスキー劇場で昨年10月30日から11月1日に上演されたそうです。凝ったリフトが盛りだくさんでなかなかロマンチックな振り付けでした。ペレンのジュリエットは素敵~。し、しかし、マスロボエフはノーブルな雰囲気なんだけど、ちょっと体のバランスが・・・(はっきり言って顔が大きすぎる!)で、入り込めなかった。

「せむしの仔馬」より“海と真珠の踊り”
音楽:C.プーニ
振付:M.メッセレル
アンナ・クリギナ、ユリア・チーカ、アンドレイ・ヤフニューク

「海」役の男性一人と「真珠」役の女性二人のパ・ド・トロワ。

「ドン・キホーテ」よりグラン・パ・ド・ドゥ
音楽:L.ミンクス
振付:M.プティパ
オクサーナ・シェスタコワ、ミハイル・シヴァコフ
ヴァリエーション:タチアナ・ミリツェワ

シェスタコワさん、昨日はやはりお疲れだったのか、パートナーが悪かったのか。彼女の踊りは本当に「磐石」。どこも危なげがなくて、完璧。フェッテの最後はやはりちょっとずつ顔の位置をずらしていって、最後に正面に戻るのを。彼女の十八番なのでしょうね。ミハイル・シヴァコフは大技はないけど、フィニッシュがとてもきれいで、決めポーズをバリっと決めていて好感。

第2部
「ムーア人のパヴァーヌ」(「オテロ」のテーマによるヴァリエーション)
音楽:H.パーセル (「アブデラザール、またはムーア人の復讐」より)
振付:J.リモン
ファルフ・ルジマトフ、イリーナ・ペレン、アンナ・ノボショーロワ アンドレイ・カシャネンコ

ルジマトフってやはり別次元のダンサーなのですね。指先からつま先まで体全体のラインがまったく違うんです。片手を上げるだけでも全身が美しい。体中に神経が行き届いてコントロールされている。圧倒的な存在感でした。

オペラの「オテロ」がベースで、登場人物はオテロ:ルジマトフ、デズデモーナ:ペレン、イアーゴ:カシャネンコとその妻エミリア:ノボショーロワの4人。ハープシコードが奏でるバロック調?な音楽と貴族のような衣装で、ゆっくりとしたダンスやムーブメントによって、イアーゴとオテロの対立やイアーゴと妻の陰謀-白いスカーフが誤解を生む道具として使われ、嫉妬からオテロがデスデモーナを殺害してしまう物語が展開されます。

パヴァーヌは、イタリアを起源とする、男女のペアにより威厳のある行列を作って踊られる、ゆったりとした舞曲の意

第3部
「エスメラルダ」より
音楽:C.プーニ
振付:M.プティパ
エカテリーナ・ボルチェンコ、ニコライ・コリパエフ

よくガラで観られるPDDではありませんでした。エスメラルダは恋心を抱いた相手に婚約者がいることを知り、失意の中で踊り子として祝いの踊りを踊る・・というシーンで、ボルチェンコは終始悲しそうな表情を浮かべて踊っていました。全幕としてレパートリーにしているのはミハイロフスキー劇場だけらしく、内容がわからないだけにガラの中ではちょっと唐突な演目かも。

「スパルタクス」よりアダージョ
音楽:A.ハチャトゥリアン
振付:G.コフトゥン
イリーナ・ペレン、マラト・シェミウノフ

昨年新製作された版とのこと。スパルタクスと恋人ワレーリア(グリゴローヴィチ版ではフリーギア)のアダージョ。片手はないけど複雑リフトいっぱい。マラト・シェミウノフは身長195cmでスタイルも良い。ペレンは万能でなんでもこなしちゃう。

「アダージェット」
音楽:G.マーラー
振付:N.ドルグーシン
ファルフ・ルジマトフ

さっきあれほどルジマトフの体に感激したのに、疲れてしまって集中できませんでした。

「海賊」第3幕より花園の場&第2幕より
音楽:R.ドリゴ他
振付:M.プティパ/V.チャブキアーニ

メドーラ: オクサーナ・シェスタコワ、ダリア・エリマコワ、エカテリーナ・ボルチェンコ
アリ: アントン・プローム、ヴャチェスラフ・チュチューキン、アレクサンドル・オマール、ファルフ・ルジマトフ
ギュリナーラ:タチアナ・ミリツェワ

キャスト表をもらった時に、なんでメドーラとアリのところにいっぱい名前が書いてあるんだろう???と思ったら、ちょっとずつ踊って交替していき・・・最後のコーダではサプライズでルジマトフがアリで登場。会場が大いに沸きました。

花園の最後にシェスタコワが初めて乱れたところがあって、足を怪我したんじゃないかとひやり。最後まで踊っていたから大丈夫だったのでしょうが。

総じて、ミハイロフスキー劇場のレベルが確実にあがったように思いました。食わず嫌いはいけませんねぇ。

奇才コルプの世界

2009年01月20日 | Ballet
奇才コルプの世界
2009年1月20日(火) 18:30 Bunkamuraオーチャードホール

まず、公演のタイトルがすごい(笑)。誰が考えたのでしょう。普通に「コルプ・ガラ」とか「コルプ&フレンズ」にならないのは、コルプのキャラのせいなのでしょう。しかし、まさに「奇才」っぷりが全開な公演でした。

構成は、第一部は怒涛のコンテンポラリー、第二部はクラシックなPDD・・・だけど最後はお笑い、第三部は新作コンテ。うわ~すごいコルプ・・・で始まって、中でほっと一息?つかせて、最後にまた自分の世界に引き戻すといった感じ。エンディグも凝っていて、彼の魅力を堪能いたしました(笑)。(←どうしても(笑)がでてしまう)

チラシのように配られたプログラムに作品解説がちゃんと書かれていたのがありがたい。ということで、ちゃんと書いておこう!


第一部
「白鳥」 Swan 
音楽:C.サン=サーンス 振付:R.パクリタル
イーゴリ・コルプ(マリインスキー劇場バレエ プリンシパル)


のっけからコルプ・ワールド炸裂(笑)。ダークな色のよれよれのコートに帽子。暗い舞台の奥から前に進んできて、目がいっちゃってる表情。笑み。そのコートと帽子を剥ぎ取ったら、ぼろきれ?のほとんど腰蓑だけ状態のレオタード。いかれた表情で踊り始め、音楽が始まります。よれってるようで、手足やポーズの美しさが隠し切れない。これを「瀕死の白鳥」の音楽でやるからまたすごい。あまりの個性に圧倒されました。多分他の皆さんも。お隣のおば様はこの世界についていけず、拍手なしでした。


「カジミールの色」 Kazimir's Colours 
音楽:D.ショスタコーヴィチ 振付:M.ビゴンゼッティ
エリサ・カリッロ・カブレラ(ベルリン国立バレエ 準ソリスト)/ミハイル・カニスキン(ベルリン国立バレエ ファースト・ソリスト)


初見だと思っていたら、2005年7月のエトワール・ガラで観ていたらしい・・・ フィットネスウェアのような衣装。カブレラは小柄で細いのに強くて柔らかで、まさにしなやかな踊り。2人のパートナリングも良く、次々と複雑なリフトやステップを鮮やかに繰り出していて、終了後、客席からはすかさずブラボーが飛びました。

作品のタイトルのカジミールとは、キエフ生まれの抽象画家で、振り付けにはストーリーはなく、その作品あるいはその人をイメージしたしたものだとか。テンポが良い振り付けだったので、最後までじっくり見入ってしまいました。


「デュエット」 Duet 
音楽:A.コレッリ 振付:D.ピモノフ
ヴィクトリア・クテポワ(マリインスキー劇場バレエ ソリスト)/イーゴリ・コルプ

コルプのお気に入りなコリオグラファーに頼んだ新作?男女2人のもろく壊れやすい世界と、愛の力によってそれを保っているのを表しているとか。あまり印象に残らない作品でしたが、コルプってサポートが(も)すごくうまいんだなぁと感心。


「道」 Road 
音楽:J.マスネ 振付:D.クリャービン
ナタリヤ・マツァーク(キエフ・バレエ ソリスト)

マツァークのために振り付けられた作品。タイスの瞑想曲に乗せて、クラシック・チュチュのような衣装で軽やかに舞台中を舞っていたのが印象的。華やかでありなが大きな苦痛も伴うバレリーナとしての人生を表したもので、最後にビスチェにふわりとしたオーガンジーの飾りをビリビリと剥ぎ取り、苦しそうな表情をみせて再び踊りだす辺りでそれが表現されていたんですね。


「Something to say」
音楽:C.マルセル 振付:S.セルゲイエフ
オグルキャン・ボロヴァ(シンシナティ・バレエ プリンシパル)


赤の背景の前に出てきたのは、上半身裸で黒いパンツに黒のダンスシューズ、そして口には黒のガムテープの男性! ガムテープを張ったまま激しく踊ります。びっくり。あの空中1回転半キックもそのままでやってるし!苦しくないの?? 音楽が佳境に入ったところで、ガムテープをひっぺがして、叫ぶ・・・!倒れこんで、もだえる・・・起き上がった時には胸に血のりが。激しい作品です・・・

「レダと白鳥」 Leda et Le Cygne 
音楽:J.S.バッハ 振付:R.プティ
草刈 民代/イーゴリ・コルプ

コルプの腕づかいが素晴らしい。長い腕で、肩も肘も恐ろしく柔軟。白鳥そのものの羽ばたき。マシュー・ボーンのSwan LakeのThe Swan/Strangerをやったらどんなだろう・・・との思いが頭をよぎりました。コルプ君は初めてのプティ作品ということで、すごく気合が入っていたように見えました。そしてやはりサポートがうまい。コルプばかり観ていて、草刈さんをまったく観てませんでした(幸い?)。

私はコルプの白鳥にいたく感激したのに、客席からブラボー飛ばず。なぜ? 


「眠りの森の美女」よりグラン・パ・ド・ドゥ Grand Pas de Deux from "Sleeping Beauty"
ヴィクトリア・クテポワ/ヴィクトル・イシュク(キエフ・バレエ ソリスト)
音楽:P.チャイコフスキー 振付:M.プティパ

クテポワは身長がすごく高くて美しい・・・けど、踊りはもう一つ・・・大きいからか動きが音楽から遅れてみえるし、上半身も硬い。サポートのイシュク君が大変そうでした。イシュク君はこれを踊るためだけに来たのかな?ちょっとお気の毒。

「グラン・パ・クラシック」Grand Pas Classique
音楽:D.オーベール 振付:V.グゾフスキー
ナタリヤ・マツァーク/ミハイル・カニスキン


マツァーク素晴らしい!これでソリストなの??スタイルは良いし、テクニックもあるし。振り付けはちょっとドン・キっぽい感じ。衣装もドン・キの黒ヴァージョンって感じ。レーシーなチュチュだけど、黒でとても洗練された感じ。カニスキンもすごかったけど、マツァークがすご過ぎて。フェッテではシングル→ダブル→両手を挙げてアラスコンドの繰り返しを余裕で。

休憩時に手元にあったキエフの11月公演の先行予約のチラシをじっくり見てしまいました・・・前回の来日公演はまったくスルーしたけど、観るべき??

「海賊」よりパ・ド・ドゥ Pas de Deux from "Le Corsaire"
音楽:R.ドリゴ 振付:M.プティパ/V.チャブキアーニ
オクサーナ・シェスタコワ(レニングラード国立バレエ プリンシパル)/オグルキャン・ボロヴァ

ボロヴァはさっきの空中1回転半キックからすると、かなりのテクニックの持ち主で、さぞかしすごいアリであろうとの予測をしつつ。確かにワザはすごかったけど、全体的に荒っぽい。踊りにエレガントさがないから踊りではなく体操になってしまう・・・サポートも下手だし。ちょっと好みではなかったです。シェスタコワも先日の全幕の方が良かったです。組み合わせに無理があったせいでしょうか。


「ザ・グラン・パ・ド・ドゥ」 The Grand Pas de Deux
音楽:G.ロッシーニ 振付:C.シュプック
エリサ・カリッロ・カブレラ/イーゴリ・コルプ


生で観たのは初めてでした。以前観たものは映像でさらに編集してあり、余計に滑稽さがデフォルメされたものだったので、それと比べてしまうと迫力不足になってしまうのですが、それにしてもコルプの多才さには脱帽。表情もおもしろかった!これってほんとに実力のある人がやるからおもしろい作品なのですよね。

この作品はもともとシュツットガルトの常任振付家がジルベスター・ガラのために作ったものだそうで、そう言えば、私が観た映像もシュツットガルトのアリシア・アマトリアンとジェイソン・レイリーでした。ということで、元シュツットガルトのエリサ・カリッロ・カブレラにとっても馴染み深い作品だったわけですね。


「シーソーゲーム~ブランコのふたり~」 Two on a Swing
ユリア・マハリナ/イーゴリ・コルプ
音楽:J.S.バッハ/C.ヴァルガス 振付:R.パクリタル 


この公演ためにコルプがコリオグラファーに発注したオリジナルのようですが・・・むむむ。難しい~。作品解説がものすごく親切に書いてあったので、そんなもんなんだ・・・と思いながら観れましたが。「扉は必ず・・・」的な作品かなぁ。苦手なタイプ。でも、いいんじゃないですか?コルプのガラなんだもの、俺様ワールド全開で。という気持ちで最後まで乗り切りました。

恥ずかしながら、ユリア・マハリナの生舞台は初見・・・べ、別の演目で観たかった。

カーテン・コールでは、コルプが役からなかなか抜けられないようで、呆然とした表情のまま。あまりの陶酔ぶりに最後は観客から笑いが起きていたほど。

エンディングでは、参加ダンサーたちが黒のドレスやシャツ・パンツ姿に。普通の服だと皆さんさらにスタイルの良さが際立ちますね~。クテポワはスーパーモデルみたい・・・「タンゴ」が流れてそれぞれが音楽に合わせて軽く踊っていると、コルプ登場。彼も黒なんだけど、ちょっとヒップホップ?っぽく崩した感じの衣装。大きくゆっくり手足を動かして踊る。変なんだけどかっこいい~。最後は舞台奥中央に大きな月の絵が映し出され、その前には脚立とピアノ線。コルプ君は月に向かって飛んでいってしまいました-幕-

最後まで笑わせてくれます。すごい人だわ、コルプ君。絶対日本での人気急上昇間違いなし。



  

ミハイロフスキー劇場バレエ「海賊」1/16

2009年01月16日 | Ballet
ムソルグスキー記念ミハイロフスキー劇場バレエ(レニングラード国立バレエ)
「海賊」 全3幕4場プロローグ付
2009年1月16日(金)18:30~ Bunkamuraオーチャードホール


コンラッド(海賊の首領): アルチョム・プハチョフ
メドーラ: オクサーナ・シェスタコワ
アリ(海賊): イーゴリ・コルプ(ゲスト・ソリスト)
ギュリナーラ: タチアナ・ミリツェワ
ランゲデム(奴隷商人): デニス・モロゾフ
セイード・パシャ(トルコの総督): アンドレイ・ブレクバーゼ
ビルバンド(海賊): アレクサンドル・オマール

フォルバン: エレーナ・モストヴァーヤ、アンナ・ノヴォショーロワ、オリガ・セミョーノワ、ニコライ・アルジャエフ、ロマン・ペトゥホフ
アルジェリアの踊り: エレーナ・モストヴァーヤ
パレスチナの踊り: オリガ・セミョーノワ
クラシック・トリオ: イリーナ・コシェレワ、ダリア・エリマコワ、ヴィクトリア・クテポワ

指揮:ミハイル・パブージン
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団
タイム・スケジュール: 第1幕40分 休憩20分 第2幕40分 休憩20分 第3幕30分

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正式名称はミハイロフスキー・オペラ・バレエですが、未だに日本公演では正式にレニングラード国立バレエという名称を使っていますね。いくら馴染み深いとは言えそろそろ(旧レニングラード)にしても良いのでは??

ところで、このバレエ団の公演を観るのは4~5年ぶり。記録に残してないのですが、最後は「白鳥」を観て、群舞のがたいのよさやバラバラさにがっかりして観に行かなくなったように思います。でも、ルジマトフが芸術監督になってからかなりレベルアップしているようですし、今回はマリインスキーのコールプがゲストなので、重い腰をあげてみました。

海賊という演目のせいか客席には空席が目立ちました。が、始まってみれば予想以上にレベルの高い見ごたえのある舞台でした!

全体的な構成はマリインスキー劇場のものに近いものでした。ABTとは音楽も違いました(奴隷市場など)。 

コンラッドのプハチョフは今ひとつ脚や腕使いが雑に見えましたが、メドーラのシェスタコワが素晴らしかった!プロポーションも美しいし、踊りも優雅。チュチュ姿の美しいこと。

期待のコールプのアリはかなり大人しめ。踊りも少し切れがなかったような。アリの衣装は上半身裸なので、意外に華奢なんだな・・・と思いました。もうちょっと筋肉隆々かと思い込んでいたので。赤のハーレムパンツに腕の金の飾りなどが奴隷とは思えないほどゴージャスでしたが、演技はあくまで控えめに。でも、洞窟のパ・ド・トロワの後に舞台の左端でなぜかふてぶてしく?脚を投げ出して座っていたのが、らしいものの謎でした。

ランゲデムのデニス・モロゾフは長身でかなりテクニックもすごくて、空中1回転半ひねり?を連続で決めていたのに、本日のお客さんがついてきてなくて、反応薄だったのがお気の毒。

ビルバンドのアレクサンドル・オマールもすごくバネがあって、軽快な踊りをみせていました。アルジェリアの踊りのエレーナ・モストヴァーヤはエキゾチックな容姿ですごく引きつけられました。コール・ドのスタイルもすごく良くて揃っていて、以前の印象はまったくかき消されてしまいました。最後のパシャの夢の中(のはずだけど、ここの切り替えは正直よくわからなかった)の花園のシーンはこれぞロシア・バレエといった美しさ。

こんなことなら白鳥も観れば良かったとちょっと後悔。でも東京フォーラムのホールAだったしなぁ。そう言えばオーチャードホールも久しぶりでしたが、傾斜のなさに改めてびっくり。14列でしたが、まだ目線が舞台の足元なぐらい。

東京バレエ「眠れる森の美女」

2009年01月08日 | Ballet
東京バレエ団「眠れる森の美女」
2009年 1月8日(木) 6:30 pm 東京文化会館

振付・演出: ウラジミール・マラーホフ/マリウス・プティパ
装置・衣装: ワレリー・コングロフ

オーロラ姫: ディアナ・ヴィシニョーワ
デジレ王子: ウラジーミル・マラーホフ
リラの精: 上野水香
カラボス: 高岸直樹
フロレスタン国王: 永田雄大
王妃: 坂井直子
カタラビュット/式典長: 野辺誠治

【プロローグ】
妖精キャンディード(純真の精): 矢島まい
妖精クーラント<小麦粉>(活力の精): 乾友子
パンくずの精(寛大の精): 高木綾
カナリアの精(雄弁の精): 佐伯知香
妖精ビオラント(熱情の精): 田中結子
妖精のお付きの騎士: 松下裕次、長瀬直義、宮本祐宜、横内国弘、梅澤紘貴、柄本弾

【第1幕】
オーロラ姫の友人: 西村真由美、奈良春夏、吉川留衣、渡辺理恵
      森志織、福田ゆかり、村上美香、阪井麻美
4人の王子: 木村和夫、中島周、平野玲、柄本武尊

【第3幕】
ルビー: 西村真由美
エメラルド: 阪井麻美
サファイア: 岸本夏未
ダイヤモンド: 奈良春夏
シンデレラとフォーチュン王子: 井脇幸江-木村和夫
フロリナ姫と青い鳥: 吉川留衣-中島周
牡猫と子猫: 河合眞里-平野玲
赤ずきん: 森志織

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ヴィシニョーワお久しぶり!昨シーズンは確か怪我をしてABTの舞台を降板したりしてましたよね。登場した瞬間溌剌としたお姫様オーラに目が釘付けになりました。腕も脚もすごく筋肉質だけど、動きがしなやでやわらかく・・・ 上野さんがリラの精で出てきた時に「やっぱり違うわ」と思いましたが、ヴィシニョーワはもっと違いました!本当に腕の動きは全然違います!踊りは丁寧に、バランスでは無理をせず?、随分抑え目に踊っていたように思いました。

一方、マラーホフ王子は踊りとしては今ひとつ。ヴィシニョーワと踊るのが久しぶりだから?ちょっとうまくタイミングが合わない場面がしばしば。3幕のPDDのフィッシュ・ダイブで最後ちょっとぐらついてしまったり。ソロはもっとひどくて、トゥール・ザンレールはすべて回転不足。90度ぐらい足りなくて、もう1回飛んで次のポジションに入るとか。もちろん、動きや体のラインはエレガントそのものなのですが。

妖精たちの踊りはステップがよく揃っていて、観ていて実に気持ち良かったです。リラの精の上野さんは、これまで比較的苦手だったけど、丁寧で安定した踊りで、今日はとても好感を持ちました。ド派手な衣装なので顔の濃さが目立たなかったためかな?? 

カラボスの高岸さん・・・存在感は圧倒的だけど、おどろおどろしさがちょっと足りなかったです。もっとおおげさに高笑いするとか、表情を大胆に変化させて欲しかった。そして、踊りよりも演技中心なので、高岸さんにはもったいない感じ。リラの精を恐れていて、リラの精ににらまれるとひぃぃぃ~って退散しちゃうし。マラーホフ版でのカラボスはちょっと中途半端な感じ。3幕の最後にすべてを止めてしまう演出はユニークでした。そう言えば、プロローグでの手下たちの踊りの振り付けは変わっていて、通常のジャンプや回転して踊りを見せるのですが、妖精たちが阻止しようと踊るのをサポートするだけ。手下たちはあまり踊りの見せ場がなくて、かわいそう。

2幕はかなり削って短くなっていたと思います。リラの精と旅しないし、カラボスとの戦いもあっさり。眠りは長いので、確かにここはこのぐらいが心地よいかも。

3幕の宝石たちの踊りも素晴らしかった!特にダイヤの奈良さん。きらきらでした。キャラクターにはシンデレラが登場しますが、井脇さんとは意外なキャスティング・・・と思ったら、直前にキャスティングが変わったようです。フロリナ姫には去年?からコール・ドの中で目をひいていた吉川さん。最近どんどん主要な役にキャスティングされてきています。とてもかわいらしかったです。

マラーホフ版の特徴はかなり独創的な舞台美術でしょう。シュツットガルトの壁画も変わっていましたが、私はこちらが好みでした。全体の色使いもかな。

舞台奥から脇に置かれた鉄?のフェンスにはバラが蔦わせてあり、王宮の庭園を表現しています。舞台装置の切り替えはほとんどなくて、このフェンスは終始置かれていて、天井のシャンデリア?と思っていたものが降りてくると、檻?になって眠るオーロラを囲って守ります。これはかなり大掛かりな装置でした。

プロローグではフェンスの手前には大きな球状の植え込みが7個等間隔に置いてあります。球状の植え込みを半回転させると、中から妖精が♪意外な登場が受けました。カラボスも同じように登場したのには驚いたけど。だから植え込みは7つあったのね。妖精たちから姫へのプレゼントも色とりどりのリボンをかけたボール状のパッケージ。とっても凝ってます。

プロローグの終わりに幕が下りますが、これがまたフェンスとそれにつたうバラをモチーフにした模様が描かれており、とても美しい。その前で、付け狙うカラボスからリラの精が守りながらオーロラが成長していく過程が演じられます。これはシュツットガルトのハイデ版にもありました。

衣装もデザインも色使いもかなり個性的でした。プロローグでの登場人物の衣装はすべて紫~ピンク系。女性のスカートも男性のズボンもバルーン型でみな金~ピンク!のヅラ。いつもは日本人のかぶる西洋人の髪色のヅラは大変違和感があるのだけど、衣装のインパクトがあまりにすごくて、ピンクのヅラが不思議とマッチして見えました。特にカタラビュットの衣装は王様より立派に見え、野辺さんえらくお似合いでした。

第1幕では、コール・ドの衣装がサーモン・ピンク系に。ここからヅラがなくなりますが、黒髪にこの衣装はちょっと合わない。特に男子。第3幕ではまたピンク系になるのですが、ヅラなしなので、これがまたちょっと日本男子にはきつい色でした。


ジルヴェスター2008 & ニューイヤー2009 コンサート

2009年01月05日 | Concerts
もしかして、ご覧いただいている希少な方々・・・ 明けましておめでとうございます!!

この年末年始はジルヴェスター(ドイツ語で大晦日の意)やニューイヤー・コンサートを堪能しました。ライブで観たのは東急ジルベスターコンサートだけでしたが、つまらない年末年始の特番番組を見るよりは録画でもこういったものを見るのも良いものですね。歳をとったのかなぁ~。

まずは、

東急ジルベスターコンサート2008-2009
12/31(水)23:30-00:45 テレビ東京
指揮:井上道義
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

1. バレエ「くるみ割り人形」から「ロシアの踊り」(チャイコフスキー)
2. ラプソディー・イン・ブルー(ガーシュイン)
 ピアノ:小曽根真
 バレエ:上野水香
3. オンブラ・マイ・フ(ヘンデル)
 ソプラノ:森麻季
4. インプロヴィゼーション
 ピアノ:小曽根真

5. バレエ「ロミオとジュリエット」から「モンタギュー家とキャピュレット家」(プロコフィエフ)
6. ツィゴイネルワイゼン(サラサーテ)
 スケート:荒川静香
7. 「ジャズ組曲」より「ワルツ第2番」(ショスタコーヴィチ)
 バレエ:上野水香、高岸直樹

エンディング:「海を越えた握手」(スーザ)


初めて観ましたが、それなりにおもしろかった!カウントダウンはどきどきしました。新年になる瞬間に曲を終わらせなくてはいけないというカウントダウンです。指揮者はタイマーを持っているようですが、実際にはなかなか難しいですよね。ライブなだけに。そういう意味では今年はちょっと失敗。最後のジャン!がはみ出しちゃいました。が、許容範囲でしょう。

カウントダウンの曲では、舞台奥のステージでは上野水香さんが踊りました。このために高岸さんが振り付けたのだそう。実際の舞台よりお化粧が自然で赤いドレスが良く似合っていて、とても素敵でした。が、肝心の踊りは、カウントダウンが気になって観ていられませんでした!!ちょっともったいない!

別会場で生中継で荒川静香さんがスケートで踊るというのもありましたが、イナバウアーもやってくれたりして、踊りはとても素敵でしたが、会場が別なだけになんだか唐突な印象。

唐突と言えば、西村雅彦さんの司会も滑ってましたねー。もうちょっと普通で良かったのにね。アナウンサーさんはよくフォローしていてえらかったです。

このカウントダウンは病み付きになりそう♪これからは毎年これだわん♪


ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ジルヴェスター・コンサート 2008


1. キューバ序曲 ( ガーシュウィン作曲 )
2. 弦楽のためのアダージョ ( バーバー作曲 )
3. 「アメリカの古い歌」
   1. 船頭の踊り
   2. ちらし
   3. 遠い昔
   4. ささやかな贈り物
   5. ねこを買ってきた ( コープランド作曲 )
4. 高速機械で早乗り (Short Ride in a fast machine)   ( ジョン・アダムス作曲 )
5. 「星空に消えて」 から 「星空に消えて」 ( ワイル作曲 )
6. 歌劇「ポーギーとベス」 から
   「サマータイム」 ( ガーシュウィン作曲 )
7. 歌劇「ポーギーとベス」 から
   「ベスよ お前はおれのもの」 ( ガーシュウィン作曲 )
8. 「パリのアメリカ人」 ( ガーシュウィン作曲 )

ソプラノ : ポリーヌ・マレファンヌ (5~7曲目)
バリトン : トーマス・クヴァストホフ (3, 7曲目)
管弦楽 : ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指 揮 : サイモン・ラトル


感動しました。

録画していたので、3日になって食事の支度をしながら流し見するつもりで再生を始めたら画面に釘付けに。

冒頭にスピーチをするために出てきたトーマス・クヴァストホフの姿を見て正直びっくり。短い手、低いというか明らかに障害のある身長。しかし、歌声を聴いてその歌声の美しさ、力強さにさらにびっくり。

声楽家にはうといので、全然知らなかったのですが、クヴァストホフはドイツ最高権威のアルバム賞であるエコー賞と二度のグラミー賞を受賞した世界最高レベルのベースバリトンなのでした。サリドマイドによる障害を持って生まれたのですが、天賦の才能と両親の愛と信頼によって、世界でも有数のバリトンとして成功を収めることができたそうです。

トークも結構お上手らしいのですが、ライブ中継で同時通訳が入らなかったため理解できなかったのが残念。再放送の時に訳をつけますみたいなテロップが (-"-)でましたけど。ウィーン・フィルほど人気がないせいでしょうか?再放送観てやる~

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ニューイヤー・コンサート 2009


- 第1部 -
1. 喜歌劇「ベネチアの一夜」 序曲 [ベルリン版] ( ヨハン・シュトラウス作曲 )
2. ワルツ「東洋のおとぎ話」 作品444 ( ヨハン・シュトラウス作曲 )
3. アンネン・ポルカ 作品117 ( ヨハン・シュトラウス作曲 )
4. 速達ポルカ 作品159 ( ヨハン・シュトラウス作曲 )
5. ワルツ「南国のばら」 作品388   ( ヨハン・シュトラウス作曲 )
6. ポルカ「百発百中」 作品326 ( ヨハン・シュトラウス作曲 )
 
- 第2部 -
1. 喜歌劇「ジプシー男爵」 序曲 ( ヨハン・シュトラウス作曲 )
2. 喜歌劇「ジプシー男爵」 入場行進曲 ( ヨハン・シュトラウス作曲 )
3. 宝のワルツ 作品418 ( ヨハン・シュトラウス作曲 )
4. スペイン風ワルツ ( ヨーゼフ・ヘルメスベルガー作曲 )
5. ザンパのギャロップ 作品62a ( ヨハン・シュトラウス父 作曲 )
6. アレクサンドリーネ・ポルカ 作品198 ( ヨハン・シュトラウス作曲 )
7. ポルカ「雷鳴と電光」 作品324 ( ヨハン・シュトラウス作曲 )
8. ワルツ「天体の音楽」 作品235 ( ヨーゼフ・シュトラウス作曲 )
9. ポルカ「ハンガリー万歳」 作品332 ( ヨハン・シュトラウス作曲 )
10. 交響曲第45番「告別」 から 第4楽章 ( ヨーゼフ・ハイドン作曲 )

管弦楽 : ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指 揮 : ダニエル・バレンボイム


第2部の宝のワルツではバレエの映像が流れますが、マラーホフが出てきてびっくり。振り付けを担当したそうです。その後、ポルカ「ハンガリー万歳」でもバレエ映像が。曲目にはないのですがラストでの「美しき青きドナウ」は男女3人ずつの子供が背中に羽をつけた衣装で、最初は会場の廊下で?最後は実際に会場の中に入ってきて踊ります。まぁ~みんなほんとに美形でスタイルばっちり・・・将来のスター候補たちですね。

プログラムの最後の曲はいつも何かしら趣向がこらされるということですが、今年のハイドンの「告別」は、そもそも領主の都合で家族と別れて仕事をさせられている楽団員の不満を上手く伝えるために楽団長ハイドンが考えた演出・・・ということで、楽曲の最後になると一人また一人と演奏家が去っていき、最後に指揮者一人になる、という趣向。それらしく、次々と演奏順を終えた楽団員たちが楽器抱えて本当に出て行っちゃいます。指揮者のバレンボイムが最後に残った2人のヴァイオリンの一人の横に座って、頭をよしよししたりして「君は行かないよね」みたいな。でも、演奏が終わると彼も申し訳なさそうに行っちゃいました(笑)。結局一人取り残されたバレンボイム。悲しそうな表情で会場を笑わせてました。

さて、ベルリンとウィーン・フィルはまだじっくり観ていないので、追々また録画を観て堪能しようと思います。