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気の向くままに。。。 ダンス・バレエの関連トピックが一番多いかも。 by nao@momojrt020327

新国立劇場「シンデレラ」12/23 マチネ

2008年12月23日 | Ballet
新国立劇場「シンデレラ」
2008年12月23日 14:00- 新国立劇場

【振 付】フレデリック・アシュトン
【作 曲】セルゲイ・プロコフィエフ
【監修・演出】ウエンディ・エリス・サムス
【指 揮】デヴィッド・ガルフォース

【シンデレラ】さいとう美帆
【王子】マイレン・トレウバエフ
【義理の姉たち】保坂アントン慶 高木裕次
【仙女】本島美和
【父親】澤田展生
【春の精】丸尾孝子 
【夏の精】湯川麻美子
【秋の精】高橋有里
【冬の精】厚木三杏
【道化】グリゴリー・バリノフ
【ナポレオン】八幡顕光
【ウェリントン】市川 透
【王子の友人】陳 秀介 冨川祐樹 江本 拓 中村 誠

全体的なキャストのバランスとしては今日の公演の方が良かったです。本来は2ndキャストなのでしょうが・・・

さいとうさんは本日もすばらしくがんばって踊ってくれて、なんだか目頭が熱くなりました。3幕の最後のグラン・パ・ド・ドゥではちょっとお疲れな感じもしなくはなかったのですが、3幕の最初に舞踏会の余韻に浸るところでは全力で高速シェネをしていたりして、「そんなにがんばって、今日の夜もあるのに大丈夫なのかしら~」と思ってドキドキ。それにしても、1幕のほうきの踊りは本当にキュート。お姉さんの真似をして後ろ向きにガニマタちっくに踊るところがなんとも可愛らしい。そして、昨日は硬く見えたPDDもリハーサルを重ねたマイレン相手の安心感でしょうか、今日はのびのびとしていて良かったです。さいとうさんはこの演目で2003年に主役デビューしたそうですが、納得の当たり役と言えるでしょう。

そういえば、2幕でシンデレラが舞踏会に登場する時のマント(?)のレースのトレーンはやっぱり短い!長いのはロイヤルの専売特許なのかしら?2006年にコジョカルが新国立でゲストだった時も短いものでした。ロイヤルの方が階段の降り方もポワントが長くて、下を一切見てなくてドキドキものだったような。

ああ、そしてマイレン王子!!マイレンが主役を踊るところを観るのはこれが初めて。いつも脇にいるのにセンターにいるのがちょっと不思議な感じがしてしまったり。それから、衣装が暑いのか?前髪がすぐに乱れて落ち、額に張り付いてしまうのがちょっと気になりました。髪といえば、全員ズラの中で黒髪がちょっと違和感。主役だけズラじゃなくても良いんですねぇ。コボーは金髪だったから気にならなかったのですが。と、文句を書いてしまいましたが、マイレンは十分すぎるほど素敵な王子様でした!踊りは軽やかで優雅で文句なし。もちろん、サポートも上手。2幕ではシンデレラにどんどん惹かれていくのが良く表現されていました。3幕の靴をシンデレラに合わせるところの演技もシンデレラを見つけた喜びが伝わってきて・・・ マイレンをしっかり堪能できて幸せ~ 彼にはもっと主役を踊ってほしいっ!!

本日の四季の精は皆さんしっかり踊っていらして安心して観ることが出来ました。冬の厚木さんが素敵。彼女の白鳥はやはり良いかもと思いました。次回観てみようかな。

道化のグリゴリー・バリノフは道化らしい道化。昨日の八幡君は踊りは上手いけど何かちょっと感じた違和感は、体が細すぎてラインが美しくないことだったんだな・・とバリノフ君を見て思いました。義理の姉の妹の方の高木さんはもうひとつ自分を捨てきれていない感じが。こういうのはなりきってくれないとねっ!

アシュトン版「シンデレラ」は過去に3回観てますが、はっきり言ってこれまで「すごくおもしろかった!」とは思えなかったんですよね。3幕が物足りないと感じることが多くて。でも、今回は2日ともかなり楽しい!と思えました。さいとうさんのがんばりのおかげかな。

あ!オケの金管系!ホルンかな??良い所ではずしてくれて!こらっ!!昨日より今日の方がましでしたが。目立つだけに痛い。

参考:アシュトン版「シンデレラ」
2006年12月15日 新国立劇場「シンデレラ」(アリーナ・コジョカル&フェデリコ・ボネッリ)
2005年7月12日 英国ロイヤルバレエ「シンデレラ」(吉田都&フェデリコ・ボネッリ)
2005年7月12日 英国ロイヤルバレエ「シンデレラ」(ダーシー・バッセル&デヴィッド・マッカテリ)

新国立劇場「シンデレラ」12/22

2008年12月22日 | Ballet
新国立劇場「シンデレラ」
2008年12月22日 19:00- 新国立劇場

【シンデレラ】 さいとう美帆(ラリーサ・レジニナ代役)
【王子】 ヨハン・コボー
【義理の姉たち】  マシモ・アクリ 井口裕之
【仙女】 川村真樹
【父親】 石井四郎
【春の精】小野絢子
【夏の精】西川貴子
【秋の精】遠藤睦子
【冬の精】寺島ひろみ
【道化】 八幡顕光
【ナポレオン】 伊藤隆仁
【ウェリントン】 貝川鐵夫
【王子の友人】陳 秀介 冨川祐樹 江本 拓 中村 誠

そもそもアリーナ・コジョカルが観たくて買ったチケット。怪我のため代役となったのですが、その代役のラリーサ・レジニナは初日の公演中に足を痛めて途中降板。幕中の交替となったそうです。そんなこともあるのですね・・・それで、本日の主役となったさいとう美帆さんは今日と明日のマチネと同日のソワレという怒涛の3連投!ソフトボールの上野投手並みです。大丈夫なのでしょうか・・・

クリスマスシーズンということもあって、会場ではサンタやガラスの靴を持ってシンデレラを探す家臣の姿が。シンデレラのように変身するために、子供向けにネイル・サービスも。

さいとうさんのシンデレラはとてもキュート。踊りも丁寧で軽やかで音楽ともしっかり合っていて良かったです。ほうきを左右に履くときに同時に足をあげるのも軽妙。急なパートナリング、相手はコボーということで、緊張していたのでしょうか、コボー王子と踊っている時は動きが硬くなっていたように思いました。3幕の最後のバランスでグラリとした時はひやり。ソロの時の方が踊りはずっと良かったです。

コボーは容姿的にあまり好きではないのですが、さすがの気品。出てきた瞬間から王子様オーラを放っていて、下々の者(失礼)との違いが歴然。踊りも端正で正確、腕も脚も動きが優雅。サポートも包容力があって、これぞダンスノーブル。見直しました~。

義理の姉のマシモ・アクリさんは怪演(笑)。my best義理の姉はアンソニー・ダウエル卿だけど、かなり肉薄するレベルでした。最後のカーテンコールでも、主役より前に出ていて、拍手やブラボーのたびに自分へのものとして「まぁぁ・・・」とするところがまた笑えました。

仙女の川村さんはとても線が細い~ 同行のバレエをやってる友人はいまいちだったと言ってましたが。四季の精たちは春の精の小野さんがとても目を引きました。細かく複雑なステップを確実に音楽にのって軽やかにこなしていて、春の雰囲気にぴったりでした。が、夏から冬は全員ステップをこなしきれなくて、それこそ音から遅れ気味になったり、バランスを崩したり。ちょっといまいちでした。コール・ドはこれまた複雑な振り付けなのによく踊れていたと思います。

道化の八幡さんは踊りはとても良かったのですが、ちょっと華奢すぎて体のラインが美しく見えないのが難点かな。前のバヤデールのブロンズアイドルの時も同じように思いました。この手の役柄は筋肉隆々な人がキャストされることが多いせいかな。


ボリショイ・バレエ「明るい小川」12/9 その1

2008年12月09日 | Ballet
ボリショイ・バレエ「明るい小川」
2008年12月9日(火) 19:00~ 東京文化会館

音楽 : ドミトリー・ショスタコーヴィチ
台本 : アドリアン・ピオトロフスキー
     フョードル・ロプホーフ
振付 アレクセイ・ラトマンスキー
美術 : ボリス・メッセレル
音楽監督 : パーヴェル・ソローキン
照明 : アレクサンドル・ルプツォフ
振付助手 : アレクサンドル・ペトゥホーフ
指揮 : パーヴェル・クリニチェフ
管弦楽 : ボリショイ劇場管弦楽団

ジーナ (ピョートルの妻) : エカテリーナ・クリサノワ
ピョートル (農業技師) : アンドレイ・メルクーリエフ
バレリーナ : マリーヤ・アレクサンドロワ
バレエ・ダンサー (バレリーナのパートナー) : セルゲイ・フィーリン
アコーディオン奏者 : デニス・サーヴィン
初老の別荘住人 : アレクセイ・ロパレーヴィチ
その若作りの妻 : アナスタシア・ヴィノクール
ガヴリールィチ (品質検査官) アレクサンドル・ペトゥホーフ
ガーリャ (女学生) : アナスタシア・スタシケーヴィチ
搾乳婦 : アンナ・アントロポーワ
トラクター運転手 : イワン・プラーズニコフ
高地の住人 : アントン・サーヴィチェフ
クバンの作業員 : バトゥール・アナドゥルジエフ
高地の住人たち : アントン・クズネツォーフ、セルゲイ・ゼレンコ、ロマン・シマチェフ、ロマン・ツェリシチェフ
クバンの作業員たち : ユーリー・バラーノフ、ワシーリー・ジドコフ、セルゲイ・ミナコフ、アンドレイ・ルィバコフ
ジーナの友人たち : アナスタシア・メシコーワ、クセーニヤ・ソローキナ、ヴィクトリア・オーシポワ、アンナ・ニクーリナ、 アンナ・オークネワ、チナラ・アリザデ

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楽しいバレエ!お話は、旧ソ連時代コルホーズ(集団農場)を舞台に、ここで働く若夫婦の夫が都会からやってきた興行団のバレリーナに一目ぼれしてしまうのですが、バレリーナは妻の古い友人。興行団と村人たちが協力して一計を案じ、夫に妻を見直させることに成功、ハッピーエンドというもの。

あちこちに笑いがいっぱい詰め込まれた構成ですが、おもしろいだけでなく、プリンシパルたちの踊りがしっかりと堪能出来る振り付け。バレエの演目なんだから、ちょっとここまでおもしろおかしくしなくても?と思わなくもないけど、とにかく間違いなく誰でも楽しめる作品であることには間違いない。

アレクサンドロワは先日の白鳥とは別人のようでした。踊りも表情もコメディアンヌっぷりも。これでこそ、マーシャ!。フィーリン相手だと伸び伸び踊れるのかな。思わず、先日はあまりにシュピレフスキーがひどすぎて、やる気が失ってしまったのでは・・・なんて。

フィーリン様のシルフィード・・・(爆)もちろん、最高!くくく。ジーナ役のクリサノワの踊りのシャープさにも惚れ惚れ。当初キャストだったルンキナもこんなに踊るのかしら・・・見たかったわ~

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曲が始まり、赤い幕が上がると、白いスクリーンに真ん中に地球儀、その周りに新聞の見出し?みたいなロシア語の活字が寄せ集めてあります。プログラムによると、旧ソ時代の機関紙『プラウダ』の見出しのようで、振り付けのラトマンスキーの皮肉だとか。

<第一幕>
スクリーンが上がると、そこは農場。麦畑?の上を飛行機やトラクターが行き交います。ジーナが本をかかえて登場。華奢で小さい。白地に青の小さな花柄のワンピースで妻というよりは少女のよう。夫の農業技師ピョートルが登場。チノパンに赤いシャツ。田舎くさい。アンドレイ・メルクーリエフの体系はなんだかメリハリがなくて好きになれないんだけど、この役には似合うかな(苦笑)。2人のPDD。息はぴったり。

集団農場の品質検査官ガヴリールィチは完全メタボなおとぼけ役。若草色の短いワンピースを着てしぐさなおきゃんな女学生のガーリャ、別荘住人など、個性的な人が次々登場して、最初はどれが誰かわからなくて目がキョロキョロしちゃいました。

皆が駅へモスクワの劇場からやってきた芸術慰問団を迎えに行くが、ジーナは本を読んだままお留守番。快活な夫ピョートルにはジーナのこういうところが物足りないのかな。そして、人々が大騒ぎしながら芸術慰問団を連れて戻ってきます。芸術慰問団のメンバーはバレリーナとそのパートナー、それにアコーディオン奏者(3名ともなぜか名なし)。

バレリーナはふとジーナを見て立ち止まります。実は2人はかつて同じバレエ学校で共にレッスンに励んだ友人同士だったのです。

バレリーナはジーナにもう踊りは忘れてしまったのかと尋ねると、ジーナは「そんなことはないわ」と昔学んだステップを踊り始める。そして、バレリーナも一緒にシンクロで同じ振り付けを踊ります。競うように。ここでのクリサノワの踊りがとてもステップが軽快でフェッテもきっちり、手足の先までコントロールが行き届いていて、すばらしかった。正直、マリインスキーとの合同ガラでは??と思ったのだが、今日の踊りを見て納得。

ガヴリールィチとピョートルが登場。ジーナがバレリーナを紹介するやピョートルは彼女に強い関心を持ちます。とまどうジーナ。

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コルホーズでは、その年の優秀者の表彰が始まる。コール・ドの女性たちは原色系の色とりどりの花柄のワンピース。最初は目にうるさかったけど、複雑でユニークにフォーメーションが入れ替わっていくめまぐるしい踊りを見ているうちに見慣れました。男性陣は色シャツにチノパンっぽいパンツ。メルクーリエフを含めて、みんなスタイルが悪く見えました。メルクーリエフのソロ。

さて、選ばれたのは品質検査官のガヴリールィチ!景品の蓄音機が芸術慰問団からプレゼントされると大喜び。蓄音機をかかえて踊り始めます。この踊りがおもしろい~ ガヴリールィチはお笑い役です。

別荘の住人夫婦がやってきました。変わり者の夫と若作りの妻の踊りはユーモアたっぷり。最後にもぞもぞ妻が夫によじ登って何してるのかと思ったら、決めポーズでした。笑えました。

ジーナの友人たちの踊り。白鳥でパ・ド・トロワを踊ったアンナ・ニクーリナやスペインのアナスタシア・メシコーワがいて、踊りのレベルが高い!

バレリーナとバレエ・ダンサーの踊り。アレクサンドロワは白鳥の時と別人。これぞアレクサンドロワ。フィーリンのサポートのスムーズさ。このサポートがあれば、アレクサンドロワはこうも伸び伸びと踊れるわけですよ!フィーリンのソロも相変わらず脚のラインが美しくて惚れ惚れ。

アコーディオン奏者と女学生の踊り。この辺でやっとキャストの違いがわかってきました。アコーディオン奏者の振り付けは複雑でテクニックを十分にみせつけるもの。岩田さんで見たかったなぁ。

クバンの作業員たちと高地の住人たちの踊りはコサック・ダンス。最後にアレクサンドロワが連続ジュテでマネージュ。すごいスピードと高さの連続ジュテで圧巻。フェッテ、ピルエット、フィニッシュも完璧。

すっかりバレリーナの虜になったピョートルはバレリーナにこの後会おうと耳元でささやきます。そして、別荘の住人の夫も。妻のほうはバレエダンサーに。

夫の浮気心に落ち込むジーナ。バレリーナがそれに気づいて、訳を聞いてびっくり!自分にはそんな気は毛頭ないときっぱり。そして、浮気者たち(ピョートルや別荘の住人)をこらしめてやろう!とバレエダンサーやガヴリールィチ (品質検査官)、ガーリャ (女学生)などを加えて作戦を練り始めます。

(続く)

ボリショイ・バレエ「白鳥の湖」12/6 ソワレ

2008年12月06日 | Ballet
ボリショイ・バレエ「白鳥の湖 」
2008年12月6日(土) 18:00~20:35

音楽 : ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
台本・改訂振付・制作 : ユーリー・グリゴローヴィチ
原振付 : マリウス・プティパ,レフ・イワノフ、アレクサンドル・ゴールスキー
美術 : シモン・ヴィルサラーゼ
音楽監督・共同制作 : パーヴェル・ソローキン
照明 : ミハイル・ソコロフ
指揮 : パーヴェル・クリニチェフ
管弦楽 : ボリショイ劇場管弦楽団

オデット/オディール : マリーヤ・アレクサンドロワ
王妃 (王子の母) : マリーヤ・イスプラトフスカヤ
ジークフリート王子 : アルテム・シュピレフスキー
ロットバルト : パーヴェル・ドミトリチェンコ
王子の家庭教師 : アレクセイ・ロパレーヴィチ
道化 : ヴァチェスラフ・ロパーティン
王子の友人たち : アンナ・ニクーリナ,エカテリーナ・クリサノワ
儀典長 : アレクサンドル・ファジェーチェフ
ハンガリーの王女 : ネッリ・コバヒーゼ
ロシアの王女 : アンナ・レベツカヤ
スペインの王女 : アナスタシア・メシコーワ(ナターリヤ・オーシポワ代役)
ナポリの王女 : アナスタシア・ゴリャチェーワ
ポーランドの王女 : エカテリーナ・シプーリナ

3羽の白鳥 : ネッリ・コバヒーゼ,ユーリヤ・グレベンシチコワ,ヴィクトリア・オーシポワ
4羽の白鳥 : チナラ・アリザデ,ユーリヤ・ルンキナ,スヴェトラーナ・パヴロワ,アナスタシア・スタシケーヴィチ
ワルツ : オリガ・ステブレツォーワ,ヴィクトリア・オーシポワ,アレーシヤ・ボイコ,アンナ・レベツカヤ,カリム・アブドゥーリン,デニス・サーヴィン,ウラジスラフ・ラントラートフ,エゴール・フロムーシン

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むむむ~!! 結論から言うと、かなり満足できなかった舞台でした~!!! ボリショイ、ガラで何度も素晴らしい黒鳥を見せてくれているマリーヤ・アレクサンドロワの白鳥、超美形のアルテム・シュピレフスキーの王子ということで期待が過剰になっていたせいもあるとは思いますが、それにしても・・・

最大の要因は、アルテム・シュピレフスキーの王子だったと思います。グリゴローヴィチ版は王子にハイライトしていて、王子の踊りが多いのに、その肝心の踊りがまったくもってイマイチ。ミスはしないのですが、大した踊りもしないのです。目を引くところがまったくなし。どうして、これでボリショイのプリンシパルなの??と疑問が沸き起こって渦巻き・・・

そして、グリゴローヴィチ版もちょっと違和感のあるところが多々。特にエンディングは通常の曲をカットし、1幕?の音楽を持ってきたために、幕が下りて来たときに、「え?こ、これで終わり??」とびっくり。尻切れトンボのような幕切れでした。

<第一幕>
王子の誕生日祝い。背景は渋めの金と黒で壁面が描かれて、宮中の一つの間のようです。人々の衣装も同じような色合いでゴージャス感たっぷり。センターに降りている同系色のスクリーンが舞台を狭くしていて邪魔な感じ。

王子登場。いきなりソロ。シュピレフスキー王子はやはりハンサム。だけど、こんなにがっしりタイプだっけ?踊りはまぁ無難だけど、ジャンプしても足を打ち鳴らしてなくない?他の日を観ていないので、わからないけど、王子が出番が多いからセーブした振り付けになってるのかしら?と頭の中に???がよぎる。

この???が「それはないでしょ」に変わったのは、パ・ド・トロワ。大概のバージョンでは女性二人と男性一人の王子の友人3人で踊り、3人のテクニックにほほ~となる場面です。グリゴローヴィチ版では男性の友人はいなくて、これを王子が勤めるのですが、王子の踊りがま~とにかく見ごたえなし。王子の友人のアンナ・ニクーリナは軸がまったくぶれない完璧な回転を見せ続け、さすがボリショイ・・・とやっと気分が盛り上がった後に王子が踊るとまた意気消沈。パートナリングも単純で複雑にころころ入れ替わり立ち替わり・・・みたいな軽快さもない。すっかり拍子抜け。

道化のヴァチェスラフ・ロパーティンは素晴らしかった!テクニックはもちろん、なおかつとても動きが優雅。コール・ドの中に美少年発見☆ そして、ワルツの男性陣の中にも超美形君が。ちょっと心を立て直す。

家臣たちが登場。王子に剣をささげます。続いて王妃が登場し、王子にネックレス状の勲章?を与え、騎士に任じます。通常だと王妃が王子に贈る誕生祝いは狩りの道具なのですが、そうでない訳は後でわかりました。

乾杯の踊り。王子は一人物思いに耽ります。この辺りの演技は悪くはないんですけどね~。

宴が終わり人々が去って王子が一人になると、暗くなった舞台の奥からロッドバルトが登場します。王子の影のように同じ振りを躍ります。まるで王子を操っているかのように・・・そして、ロッドバルトは王子に白鳥たちの幻影を見せます。ここでセンターの邪魔な(笑)スクリーンが活躍します。スクリーンが上がることによって王子はその夢の世界に入っていきます。と、ここでいきなりオデット登場!

ええ~??登場の音楽は??パ・ド・ブレで出てこないの??衝撃。あれよあれよという間に第二場*になだれ込み、心の準備が出来てなくて、いきなり始まった二人のPDDに気持ちが入らない・・・

* 訂正 二幕ではなく、第一幕第二場でした。本プロダクションは全四幕ではなく、二幕四場としてあるのでした!

要は、グリゴローヴィチ版では狩りに行って湖のほとりで白鳥たちに出会うのではなく、すべては純粋な愛を追い求めたお馬鹿な(とは言ってないけど)王子の幻の世界の出来事なわけです。し、しかしオデットの登場のパ・ド・ブレをカットしてしまうとは・・・白鳥のお楽しみその2を奪われた感じです。(その1はパ・ド・トロワね)

アレクサンドロワの白鳥。もともと容姿が美しい白鳥タイプではないので、地味な印象。王子と初めて目が合った時におびえて、足をふるわせる動きが細かい。

コール・ド登場。足音がほとんどない~!さすがです。でも、4羽の白鳥はちょっとバラついていたし、3羽の大きい白鳥は真ん中の大きい人が大きいだけに遅れて見えました。そこが気になって、ちっともネッリ・コバヒーゼを見てなかった・・・不覚。

白鳥と王子のPDD。なんかサポートもねぇ。やっぱりエレガントさが足りない。最後のオデットのソロはとても良かった。アレクサンドロワは早い動きの方が目を引きます。王子の誓い。キスを交わします。ここで白鳥たちの中に紛れてオデットが消えてしまった!と思ったら、また姿を現し、パ・ド・ブレで退場。ようやくが見れて、ほっ。


<第二幕>
儀典長とファンファーレ隊のマント?が一幕の赤から鮮やかなブルーに。道化のマネージュ。ここは大技連続で会場が沸きます。

王妃の登場、続いて各国の花嫁候補とお付きたち。花嫁候補は男性のパートナーがいなくて、全員トゥシューズを履いていて、ソロを踊ります。ハンガリーのネッリ・コバヒーゼがとても軽やかでエレガントでした。スペインの踊りは跳躍が多く、ナターリヤ・オーシポワがキャストされていたのも納得の振り付けでしたが、代役のアナスタシア・メシコーワもエネルギッシュでとても良かった。そして、スペインだけが男性陣を従えていて、4人のイケメン君(多分一幕のワルツのメンバー?)の踊りもおいしかった。

ここでファンファーレで王子登場だったような。王女の踊り見てなかったの??王女たちと踊るけど心ここにあらずな王子。気もそぞろな演技は得意だね(いやみです)。王妃にこの中から選びなさいと促されて、王子が拒否すると、王女たちが自分のお付きたちにすがりつくようによよと泣き崩れたのが笑えました。

ファンファーレ。オディール&ロッドバルト登場。だけど、いつまでも泣き崩れていた王女に目が行っていて、登場の瞬間を見逃してしまいました・・・ そして、黒鳥のお付きが登場。これは珍しい演出。

アレクサンドロワのオディールは抑え目な印象を受けました。ガラとは違って、全幕の流れにそっているためでしょうか。最初はひたすら冷たい表情、そして徐々に薄笑いを浮かべていく。今日はあまり調子が良くないのでしょうか、ヴァリエーションや32回転の最後でバランスを崩すところが見られました。 シュピレフスキー王子はやはりダメダメ。目を引くところがなさすぎる~ トゥール・ザンレールはもちろん回りきれてないし。

王子はすっかり騙されてオディールとの結婚を誓う。それまで抑えていたアレクサンドロワが一気に表情を変えました。さすが~。

二幕一場の終わりにわわわ~と全員いなくなって、王子は突然また夢の中へ?幕が下りることもなく通常の4幕の音楽が始まって、いきなり白鳥さんたち登場。だから、そんなにすぐに気持ちが切り替えられないんだってばっ!

王子はちょっとロッドバルトと戦ったり?するのだけど、オデットをリフトしてセンターのスクリーンの後ろへ。オデットはリフトされたままがっくりと息絶えます。呆然とする王子。ここの音楽がね~いつものエンディングの音楽をカットして1幕?の音楽を使っていたのですよ。幕。すぐに拍手は出ませんでした。

他の日観れば別の感想を持ったのでしょうか?でもグリゴローヴィチ版はもういいや・・・