As I like it

気の向くままに。。。 ダンス・バレエの関連トピックが一番多いかも。 by nao@momojrt020327

「ストリクトリー・ボリショイ」

2009年02月27日 | Ballet
2009年 3月2日 (月) 00:40~04:00 BS2 クラシック ロイヤル シート
「ストリクトリー・ボリショイ」
気鋭振付家と伝統的バレエ団の葛藤

ストリクトリー・ボリショイ

出演ダンサー
ダーシー・バッセル
ニコライ・ツィスカリーゼ
ドミトリー・グダーノフ、スヴェトラーナ・ルンキナ、ルスラン・スクワルツォフマリーヤ・アレクサンドロワ 、アナスタシア・ヤツェーンコ ほ か

音楽 : アルヴォ・ペルト
振付 : クリストファー・ウィールドン
プロデューサー : マイケル・ナン
  〃 : ウィリアム・トレビット
演 出 : オリバー・マンツィ

[ 制作: 2007年, BALLET BOYZ ]


もっとも重要なバレエ・カンパニーのひとつであり、バレエの原点と密接な関係をもつボリショイ・バレエ。 モスクワでの創作的工程の詳細にわたる映像やバレエ界の著名な人物のインタビューをおりまぜながら、 「バレエ・ボーイズ」のマイケル・ナンと ウィリアム・トレビット(かつてのロイヤル・バレエのスター) により制作されたこの映像は、 世界でもっとも名高い芸術の確立のために、 創作における試行錯誤や試練を視聴者に臨場感あふれる模様で伝えている。

2008年国際エミー賞受賞作品
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おもしろかった!!

テレビ放送を意識してか、特にバレエに興味がない人でもわかりやすいような構成にしてあったと思います。ダーシー・バッセルの引退公演?の時のバックステージの様子を入れて、あの「ダーシーからも高く評価されている振付家」みたいなシーンを挿入してモスクワへの展開。

ボリショイのダンサーたちとのリハーサル風景やステージ裏、ロシアのバレエ団のカルチャーの違い、「スター」ダンサーの扱いの難しさ・・・ツィスカリーゼ様・・・

創作活動に入るが、なかなかうまくいかないのをウィールドンはカメラの前で正直に素直に告白していました。企画と撮影のバレエ・ボーイズが元ロイヤル・バレエ時代の仲間なおかげで、ウィールドンの素顔が出ていて良かったし、創作のプロセスがバレエダンサーならではの目線で展開されていくので、まさに「臨場感」があった。

最後に出来た作品「Misericordes」はとても素敵なものだった。ストーリーのない抽象的なものだけど、流れが良い。4組の男女とグダーノフのソロで踊りが展開される。女性のダンサーは同じデザインのシンプルなラインですそにドレープのあるロングドレスで、やや暗めのメタリック・カラーのグラデーション。グダーノフは当初のテーマだったハムレットっぽい衣装。ルンキナのコンテンポラリーを見るのは初めてだったけど、しなやかで素晴らしい。昨年来日できなくてとても残念!!

貴重なドキュメンタリーでした。永久保存版!



「ベネズエラの俊英ドゥダメルとユース・オーケストラ」

2009年02月20日 | Concerts
2月20日 NHK 芸術劇場 22:30~0:45

【特集】 
●「ベネズエラの俊英ドゥダメルとユース・オーケストラ」

2008年12月、ベネズエラから音楽ファン待望のシモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラが初来日した。音楽監督は同国出身の27歳の俊英グスターボ・ドゥダメル。南米ベネズエラに世界中が注視するオーケストラや指揮者が育ったことは、音楽関係者や愛好家にとっても大きなサプライズであった。
 その秘密はベネズエラの国家プロジェクトともいえる音楽教育システム「エル・システマ」にある。
 オーケストラのメンバーは貧困層出身がほとんどで、過去に犯罪に手を染めた若者もいる。
 しかし、彼らは音楽と出会うことで自らの生きる道を切り開き、音楽活動に生活のすべてと将来の夢を託すことに成功した。
 番組では昨年12月の記者会見やゲネプロの模様を取材するとともに、スタジオには「エル・システマ」に詳しい山田真一氏(音楽評論家)をお迎えし、「奇跡のオーケストラ」が生まれた背景を紹介する。

【公演コーナー】 
①「グスターボ・ドゥダメル指揮
シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ演奏会」

<曲目> 「ダフニスとクロエ」組曲第2番(ラヴェル)

交響曲 第5番 ホ短調 作品64(チャイコフスキー)ほか

<出演> シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ
(管弦楽)

グスターボ・ドゥダメル(指揮)

<収録> 2008年12月17日 東京芸術劇場 大ホール


②「ベルリン・フィルのワルトビューネ・コンサート2008」

<曲目> 2008年のワルトビューネ・コンサートのテーマは「リズムの夜」。
南米作品を中心にしたプログラムをお送りする。

<出演> ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(管弦楽)

グスターボ・ドゥダメル(指揮)

<収録> 2008年6月15日 ベルリン・野外音楽堂


ハンブルク・バレエ「椿姫」2/19

2009年02月19日 | Ballet
ハンブルク・バレエ「椿姫 Die Kameriendame」
2009年2月19日 14:00~ 神奈川県民ホール

(2月18日と別キャストを青で表示)
マルグリット・ゴーチエ: シルヴィア・アッツォーニ
アルマン・デュヴァール: チャゴ・ボアディン

老紳士デュヴァール(アルマンの父):カーステン・ユング
プリュダンス:カトリーヌ・デュモン
ガストン:アミリカー・モレット・ゴンザレス
オリンピア:マリアナ・ザノット
ナニーナ(マルグリッとの侍女): ミヤナ・フラチャリッチ
公爵: ヨロスラフ・イヴァネンコ
N伯爵: ヨハン・ステグリ

マノン・レスコー: カロリーナ・アギュエロ
デ・グリュ: オットー・ブベニチェク
マノンの崇拝者たち: ピーター・ティングル、ステファノ・パルミジアーノ、キラン・ウェスト

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横浜で平日マチネ・・・・どうしても観たかったので、会社はさぼり!

しかしながら、昨日の衝撃がすごすぎて、正直心底は感動できなかったかな。逆の順番で観たかった。

シルヴィア・アッツォーニの演技も踊りも申し分なかった・・・。けど、「人魚姫」のイメージが強烈に頭にこびりついていて、彼女は「高級娼婦」という感じがしないのだ。彼女は小柄でかわいらしい、もしくは中性的な印象なので、幾人もの取り巻きを従える女王には見えなくて・・・最終幕でむりやり頬紅を塗りたくって観劇に出かけていく時はかなり家なき子のようだった・・・^^; 彼女の美しい金髪もちょっと違和感の一因だったかも。映像版のマリシア・ハイデも昨日のジョエル・ブーローニュも黒髪なので、そのイメージがこびりついているのだろう・・・。ただ、アルマンへの気持ち表し始めた第二幕以降の演技は素晴らしく、感情が良く伝わってきて、昨日より胸に迫るものを感じた。

しかも、アルマンのボアディン君がかわいい♪脚が長くてきれい。リアブコほどの激情ぶりではないし、演技に深みがなかったかもしれないけど、十分合格点な感じ。

マノンは昨日のブシュの方がうまかった。でも、今日のデ・グリュのオットー・ブベニチェクは圧倒的な存在感だった。アルマンがかすみそうな勢いで。最後の沼地の場面で息絶えたマノンを抱えて袖に下がっていく姿にマノンへの深い愛が感じられた。

細かいことですが、最初のマルグリットの肖像画がちゃんと金髪で、オペラグラスで見たら、これまたちゃんとアッツォーニのお顔で。こういうところも手を抜かないんだなーって感心しました。3幕でマルグリットが瀕死の状態で無理矢理「マノン・レスコー」を観にって、観客の一人をアルマンと間違えるシーンでも、ちゃんとリアブコとボアディンそれぞれそっくりな髪型にしていたし。こんなに細部にこだわるのにどうして音は違ったのかしらー? 一部生ピアノだったから、多少は良かったとしても。実際観ている時は作品にのめりこんでいたので、さほど気にならなかったと言えばそうですが。

パリ・オペラ座の公演はどんなだったんだろう。観たかったなぁ。3月にテレビ放映があるようなので、楽しみ!

ハンブルク・バレエ「椿姫」2/18

2009年02月18日 | Ballet
ハンブルク・バレエ「椿姫 Die Kameriendame」
2009年2月18日 18:30~ 神奈川県民ホール

音楽: フレデリック・ショパン
演出・振付:ジョン・ノイマイヤー
舞台美術・衣装:ユルゲン・ローゼ

プロローグ付き全三幕(第一幕45分、第二幕40分、第三幕45分)

マルグリット・ゴーチエ: ジョエル・ブーローニュ
アルマン・デュヴァール: アレクサンドル・リアブコ

老紳士デュヴァール(アルマンの父):カーステン・ユング
プリュダンス:レスリー・ヘイルマン
ガストン:アルセン・メグラビアン
オリンピア:カロリーナ・アギュエロ
ナニーナ(マルグリッとの侍女): ミヤナ・フラチャリッチ
公爵: ヨロスラフ・イヴァネンコ
N伯爵: ヨハン・ステグリ

マノン・レスコー: エレーヌ・ブシェ
デ・グリュ: チャゴ・ボアディン
マノンの崇拝者たち: ピーター・ティングル、ステファノ・パルミジアーノ、キラン・ウェスト
 

凄い… あまりに素晴らしい… 大感激。

ノイマイヤーの「椿姫」は、ここ数年のガラで良く選ばれていた演目だったので、3つの主要なパ・ド・ドゥを部分的に観ていて・・・・全幕で観るのを熱望していた。過剰なぐらいに期待が膨らんでいた。しかし、その私の膨らんだ期待をはるかに超越した作品だった。

振付はこれでもかというほどリフトが多様され、主役以外の踊りも高難度の踊りが散りばめられている。にもかかわらず、踊りを観たというよりはドラマを観た・・・というのが実感。

作品そのものの素晴らしさに加え、本日のキャストがまた感激度を高めてくれた。リアブコのアルマンはものすごく情熱的・・・マルグリットへの愛をどんどん膨ませ、その後捨てられた(と思った)時の愛憎の気持ち、再び愛し合った時の喜び、再び捨てられて傷つき、その怒りが爆発してマルグリットへの侮辱につながり、マルグリットの死と真実を知った時に卒倒してしまうほどの絶望・・・ほとばしり出る感情いっぱいに踊り演じ・・・最後は御髪がぐちゃぐちゃ、シャツはよれよれに。

ブーローニュのマルグリットは、社交界の華らしい美しさと高慢さを備えていて、それがアルマンの愛によって段々とほぐされていき・・・華奢なだけに、咳き込んだり、アルマンに傷つけられるシーンが痛々しい。そして、第3幕の黒のパ・ド・ドゥで見せたの激しさ・・・この2人は踊りこんでいるだけに、息がぴったり一致していて、複雑なリフトの連続なパ・ド・ドゥのパートナリングも普通の演技のように感じられた。

幕後はものすごい大拍手とブラボーの嵐。会場ほぼ総立ち。


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神奈川県民ホールへは東横線~みなとみらい線で行くと、さほど苦もなくアプローチできた。ただし、平日6時半開演では、会社を若干早退するはめに・・・。

始まる前から幕が上がっていて、舞台左前方に「AUCTION」の立て看板、部屋の中には調度品が点在しており、すべて値段がついている。センターのソファの上にはマルグリットの肖像画が。

開演5分前のブザーが鳴って、「5分後に開演いたします。開演のブザーはございませんので・・・」のアナウンスに「変わったアナウンスだなぁ」と思いつつ、着席してプログラムなどをめくる・・・ちょっと空気が変わったなと目を上げたら、舞台向かって左端から黒尽くめの女性が舞台に出てきている。客席の照明はついたままで、音楽もなし。あれ始まったの??客席の照明落とさないの?手違い??とりあえず、客席からざわめきが消え、皆舞台を見始めた。

登場したのはマルグリットの侍女ナニーナ。とても沈んだ面持ちで、ゆっくりと歩き、中央のソファに座り、置いてあったマルグリットの肖像画に手をかける。彼女はマルグリットをとても慕っていたのか?それとも哀んでいるのか・・・??

競売人と作業員、品物を見に来た人が部屋に入ってきたところでようやく客席の照明が落ちる。客席も品物を見に来た客の気分にする・・・ことを狙った演出なのかな??

品物を見に来た客の一人が置いてあったピアノを弾き始める。録音テープによる公演だけど、部分的に生ピアノのサービスがあってうれしい。

マルグリットゆかりの人々-公爵、老紳士デュヴァール、N伯爵も競売の噂を聞き、やってきてマルグリットの死を現実のものと知る。マルグリットは本当に孤独のうちに死んだのだ。

そこへアルマンが走りこんでくる。噂を聞いて駆けつけたのか。AUCTIONの立て看板の内容(フランス語で日付とマルグリット・ゴーチエ云々・・・と、おそらくマルグリットの死に際して・・・というような記述があったのだろう)を見て、愛する人の死が事実であることを知って気絶する。

父に助け起こされて、アルマンは気を取り戻す。父にしがみつく。その視線の先に見物客が体に当てていた紫のドレスが入る。アルマンはドレスを乱暴に奪い取り、ドレスをみつめる。「これは、初めて言葉を交わした日にあの人が着ていたドレス・・・」その日の記憶がよみがえる。

to be continued...

ハンブルク・バレエ「人魚姫」 2月15日ソワレ

2009年02月15日 | Ballet
ハンブルク・バレエ「Die Kleine Meerjungrau - 人魚姫」 
2009年2月15日 18時~ NHKホール

詩人: イヴァン・ウルバン
人魚姫/詩人の創造物: シルヴィア・アッツォーニ
エドヴァード/王子: カーステン・ユング
ヘンリエット/王女: エレーヌ・ブシェ
海の魔法使い: オットー・ブベニチェク

人生初?の同日マチネ&ソワレ。この演目でやるか?って感じだが、返って良かった思う。この難しい作品はとても1回では理解できないだろうし、消化不良のままではつまらないだけで終わってしまっただろう。すぐに見るからこそ、「そういうことだったのか」と思えることもある。詩人と王子がマチネと同キャストだったため、キャスト違いの妙はそれほどなかったかもしれないが、別キャストの人魚姫を見た後でのアッツォーニの人魚姫を見ることが出来たのも良かった。

比べるならば、エレーヌ・ブシュの人魚姫はアッツォーニに比べるとどこか人間の動き捨てきれていない感じがした。人魚の時は表情がなく、毅然とした感じ。アッツォーニの人魚はまさに魚。そして表情が豊か。黒子にリフトされて泳ぐ姿は、本当に魚が体をくねらせて泳ぐようだし、腕の動きはヒレそのもの。ブノワ賞受賞も納得。

アッツォーニは小柄なので、人間の姿になってからは、宇宙人の子供のような感じで、王子にとってはペットみたいな存在だったのも無理ないなという感じ。王子への愛の表現はブシュの方が真実味があったようにも思った。

エレーヌ・ブシュは素顔はとても美人で気品があり王女にぴったりだった。とても背が高いので、詩人、王子、黒子さんたちは、マチネ、ソワレとまったく違う人魚姫のサポートが大変だったろうなぁ。(実際にかなり大変だったとカーテス・ユングが肝バニーのブログに書いいた・・・多分。)

抑揚のない・・・と思っていた音楽だったが、マチネは私が寝ていただけだった(苦笑)。全体的に暗いのは変わりないけど。ヴァイオリンがとても重要な旋律を奏でるため、わざわざ著名な?ヴァイオリニストを招聘していた。テルミンの音はやはりかなり微妙な響きだった。

マチネは舞台に向かって左側のブロックで、ソワレは右側のブロックで見たが、左側からの方が良かった。物語が左前方で展開することが多く、左から見ていると、主役を観ていても、自然と舞台全体が目に入るのに、右側からだと、主役を観ていると舞台奥が視界に入らなくなってしまうのだ。変な発見だった。

ソワレの方はちゃんと最初から最後まで集中して見ることが出来たのだが、結局泣けなかった。エンディングの手前ではぐっときたけど、最後の美しいシーンのおかげで、私の気持ちもここで救われるのかも。奥が深いわ~ノイマイヤー作品!

ハンブルク・バレエ「人魚姫」 2月15日マチネ その2

2009年02月15日 | Ballet
浜辺で脚を奇妙に曲げたポーズで倒れている人魚。不恰好でいかにも脚の扱いに不慣れな姿勢。目覚めて、自分の手足が人間になったことを喜ぶが、歩こうとすると激痛が走り、よろよろと倒れこむ。

王子が浜へゴルフの練習!にやってきて人魚姫に出会う。奇妙に思いながらも、哀れみを覚え、自分の白いコートを脱いで裸の人魚姫にかけてあげる。

場面が変わって船の上。リゾート気分な人々の中で、白いコートに包まれたまま、車椅子で押されている人魚姫の姿はかなり異質な存在。初めて目にする人間社会をおびえながら不思議そうに見ている。そこへショッキングピンクのパンツスーツを着た華やかな女性が登場。美しく成長した王女だ。王子は一気にとりことなり、王女と踊る。人魚姫は思わず立ち上がり、王子の側に近寄り気づいてもらおうとするが、王子の視界には入らない。詩人はそんな人魚姫の姿を後ろから寄り添うようにいたり、止めようと手を差し伸べたり。彼の創造物であり、彼女の思いが届かないことを知っているだけに切なそう。

裸でうろうろする奇妙な少女に船員たちがセーラー服を着る。その不恰好さをおもしろがるが、人魚は仲間に入れた喜びから初めて笑顔をみせる。王子も笑っている。王子が王女の元へ行こうとする。人魚姫がそれをさえぎる。「もっと私を見て。」そんな人魚姫に王子はお決まりの親愛の情を示すいたずら-鼻をつまんで、ちょんとつつき、軽くあごをアッパーをして、王女の側へ行き、キスをする。それを目の当たりにした人魚姫は気絶してしまう。暗転。幕。

ようやく第一幕が終わり。長くて辛かった~

第二幕。黒の背景の中に白く小さい小部屋があり、中央の椅子に正気ではない表情で人魚姫が横座りしている。人間になりたいと願った時に憧れた王女の制服を着てトゥシューズを履いている。狭苦しい部屋の中でもがく人魚姫。閉所恐怖症なのだ。そして、海の幻想をみる。確かに大海で生きてきた人魚姫が閉所恐怖症になるのは納得できる設定。

王子と王女の結婚式。上部には変形の長方形をやや斜めに吊り下げた真っ白な天井。左端の大きな円状のくりぬきからは、いかにもルイスポールセンと思しきおおきな白いペンダントライト(シャンデリア?だけどかなりモダンなデザイン)。これは初演がデンマークだったためかな?? シンプルでモダンな舞台装置に参列者のドレスのビビットな色使いとモダンなデザインが際立つ。おっしゃれー。

白い軍服の王子とウェディングドレスの王女が入ってくる。王女の長いヴェールの裾を6人のピンクの3段フリルのドレスをきたブライドメイドたちが持っている。そのブライドメイドの中に一人ヨタヨタと体を震わせながら歩く人魚姫が。初めてトゥで踊るシーンが出てくるが、まったくぎこちなくて、不恰好。隙を見て王子に近づき、海の底でしたように貝殻を耳に当てさせ、思い出させようとする。一瞬王子が海の世界の記憶を戻しそうだったところで、王女に手をかけられ、現実に戻ってしまい、王女と立ち去ってしまう。

再び悲しみに襲われる人魚姫に近づいてきたのは海の魔法使い。王子の帽子をかぶり、上半身には人魚姫の尾ひれの袴を巻きつけている。通りすがりに帽子を取り、それをナイフで突き刺す。「王子を殺せば元にもどしてやろう。」激しく首をふる人魚姫。

海の魔法使いと魔法の影、人魚姫の姉妹たちの踊り。ピンクで逆立てたような短い髪だったり、奇抜なデザインの服を着ていたのが人魚姫の姉妹たちだったのだが、原作では姉妹たちが長い髪を切ってナイフを手に入れたんだった。自由奔放に踊る海の生物たちを四角い狭い部屋に固まって眺める人間たちとのコントラストがおもしろい。

詩人がナイフを拾い上げ、震えながら人魚姫に差し出す。海の魔法使いがそれを奪い取って人魚姫に渡すが、人魚姫は床にたたきつけて必死で拒絶する。そこで魔法使いは反物のように丸めた尾ひれを人魚姫に渡す。これは私の・・・震えながら広げていくと、中からナイフが。海へ帰りたいという気持ちが高まり、人魚姫はナイフを手にしてしまう。

招待客たちが帰り、王女も部屋へもどっていった。王子はと言えばプレゼントでもらったゴルフクラブで試し打ち。そんな王子に、人魚姫はナイフを振りかざしてよたよたと近づくが、ぶつかってナイフを落としてしまう。動揺する人魚姫。なのに、王子は「これ何??」と言った後、ナイフを振り回してみたり、ドン・キのバジルの狂言自殺のように自分の胸にナイフを突き刺す真似をして、ナイフをわきに挟んで倒れ、死んだ振りしているする。どこまで脳天気な王子。様子がおかしい人魚姫を踊りに誘う。そして、ふと嵐の後の浜辺で王子に人工呼吸しているシーンの再現のようになり、王子が何か思い出したように人魚姫を見つめる。人魚姫も見つめ返し、2人の距離が近づき、唇がふれそうになった時・・・王子は例の-鼻をつまんで、ちょんとつつき、軽くあごをアッパーをして、おやすみーと去っていってしまう。なんて、かわいそうな人魚姫!!

絶望の底に落ちてしまった人魚姫。トゥシューズを脱ぎ、投げつけ、ブライドメイドのドレスを剥ぎ取り、かつて尾びれを立てたように脚を立ててみる・・が崩れ落ちる。そして、あの白い部屋の中でのたうちまわる。「もう戻れない!戻れない!!」そして力尽きて倒れる。

部屋の奥から詩人が現れる。倒れている人魚姫を見て、持っていた本を落とす。人魚姫に覆いかぶさるようにして、2人がゆっくりと起き上がる。それと同時につり天井がどんどん下がっていき、2人の足元の高さまで降りてきたところでやや手前に傾き、若干のスロープとなる。2人がそこにゆっくりとすすみ、シンクロしてゆっくりと踊る。背景はすべて暗くなるが、足元や周囲に小さな光が灯り始める。スロープがゆっくりと上昇し、2人は星空の中に昇華していく。ヴァイオリンのソロの音色だけが響く中、幕。

しばらくの静寂の後、大喝采。

ハンブルク・バレエ「人魚姫」 2月15日マチネ その1

2009年02月15日 | Ballet
ハンブルク・バレエ「Die Kleine Meerjungrau - 人魚姫」 
2009年2月15日 13時~ NHKホール

演出・振付・舞台装置・照明・衣装: ジョン・ノイマイヤー
音楽: レーラ・アウエルバッハ
指揮: サイモン・ヒューウェット
ヴァイオリン:アントン・ボラコフスキー
テルミン:カロリーナ・エイク
演奏:東京シティフィルハーモニック管弦楽団

全二幕(第一幕75分、第二幕45分)

詩人: イヴァン・ウルバン
人魚姫/詩人の創造物: エレーヌ・ブシェ
エドヴァード/王子: カーステン・ユング
ヘンリエット/王女: カロリーナ・アギュエロ
海の魔法使い: アミリカー・モレット・ゴンザレス

初ハンブルグ・バレエ、初ノイマイヤー全幕。

前回の来日の時にはかなり迷ったけどパスした。理由はいわゆるクラシック・スタイルなバレエではなさそうで、理解できる自信がなかったから。

ガラなどで部分的にいくつかノイマイヤーの作品を見るうちに、是非とも全幕を見てみたいと思うようになった。そして、ようやくその機会が訪れたのだ!

事前にカンパニーのブログを見ていたが(と言ってもドイツ語なので、まったく理解不能・・・翻訳ソフトにかけて英語に変換してなんとなく読んだ程度)、この「人魚姫」をハンブルグ以外のツアーで上演するのは初めてなのだとか。

「人魚姫」の物語は、原作者のアンデルセンが友人(男性)に寄せていた恋心が友人の結婚によって打ち破られたことがベースになっている・・・というエピソードをノイマイヤーが人魚姫の物語に取り込んでいる。届かぬ思い、かなわなかった恋が人魚姫の物語を作ったという設定。

すべてノイマイヤー自身のデザインによる衣装、照明、舞台装置はモダンでスタイリッシュ。振付は、ある程度予想はしていたけど、「人魚姫」はいわゆる美しい踊りを見せるバレエ作品ではないし、オリジナルの解釈が暗喩のように盛り込まれていて、単純に楽しめる作品ではない。オリジナルに作曲された音楽は、美しい旋律ではなく、不協和音やテルミンという独特な楽器を使った暗くて不思議なもの。

ゆっくりとした動き、抑揚のない不協和音のような暗い音楽、薄暗い照明、ファースト・キャストではない・・・などで眠気を抑えきれず、1、2幕ともほとんど集中できなかった・・・ 人魚姫の届かぬ思いの辛さはよくわかったけど、涙が出るほど感動はできなかった。

セカンド・キャストとは言え、エレーヌ・ブシェの演技はとても見ごたえがあった。人魚姫は絵本やアニメに出てくるようなかわいらしい容貌ではなく、魚っぽくみえるようなメイクなのだけど、それでもブシェの人魚は海底においては「姫」というオーラがあり、逆にそれが人間になった後との扱いのギャップを大きくしていて、狂気に落ちていくのがよりリアルとなった。


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青の濃淡がつけられ、海の中を表現している紗幕の右下に「Die Kleine Meerjungrau 人魚姫」の白いライト文字が浮かび上がっている。人魚姫の書体がとても良いチョイス。そして文字の下には、海面の波を表すような青く光るチューブが舞台の端から端まで渡してある。幕の前には大きな貝殻が一つ、ライトに照らされている。

無音のまま紗幕が上がる。青いチューブは若干上昇したが、舞台の下の方でそのままで真っ黒な背景の中に浮かび上がる。真っ黒な背景の真ん中が四角い横長の長方形にくりぬかれ、その背景は真っ白。奥には黒い衣装を来た詩人が白い壁に向かって文章を書きかけている。

手前には手すり。ここは船のデッキ。詩人は船旅に出ている。ふと、友人のエドヴァードとヘンリエッテの結婚式のことが脳裏によみがえってきた。詩人はエドヴァードに思いを寄せていたけど、叶わぬ恋。エドヴァードと握手をした時に思いを抑えきれなくなったが、エドヴァードは友人が自分に恋しているなんて思いもよらない。彼のいつもの親愛の情を示すおふざけ-鼻をつまんで、ちょんとつつき、軽くあごをアッパーをやって、ヘンリエッテの元へ戻ってしまった。

届かなかった思いが一筋の涙になって流れ落ちた。詩人はその涙とともに幻想の海へと沈んでいく。ここで音楽が始まる。

詩人は手すりから身を乗り出し、その前にあった黒いスロープに移動する。スロープは背景の黒と一体化しているので詩人が暗い海に浮かんだように見える。先ほどまでデッキだった四角い窓は閉じられ、真っ黒の背景と化し手すりの下方にあった青いチューブが徐々に上昇して行き、詩人はゆっくりとスロープを旋回しながら降りていく。この海へ沈んでゆく演技がとてもリアルで良かった。ただし、場面展開している音がドタバタと聞こえて少々耳障りだった。

海底の世界。照明は暗めでブルー。数組の男女のペアが舞台右に点在して、ゆらゆら海草のように揺らめいている。海の中の生物が動き回る。海の中なので全体的に動きがスロー。

舞台左手前で伏せていた人魚姫がゆっくりと起き上がる。左右と後ろに黒子が3人。黒子が人魚姫をリフトして動き回り、魚が泳いでいるかのようにみせる。黒子の一人が人魚姫をリフトし、残りの2人が人魚姫長いパンツのすそを広げると、尾びれをたなびかせているよう。人魚姫自身がこのすそを蹴り上げるようにたなびかせながら歩いたり、魚が全身をくねらせているようだし、横向きになってひざ下を立てると、鯛の尾びれのようになる。実にうまい。

この海底のシーンでは、日本の能や歌舞伎からインスパイアされた衣装や動きが印象的。人魚姫のパンツは時代劇のお殿様が引きずって歩くすその長~い袴のようだし、黒子や後で出てくる海の魔法使いは黒の袴で、黒子の仮面は忍者みたいだし、海の魔法使いのメイクは歌舞伎のくまどりそのもの。黒子はすり足で移動するし。

場面が変わって、海上。船では船員たちが訓練をしているが、王子はなぜかゴルフの練習。なぜにゴルフ?しかも、水着に白の軍服ジャケットを羽織っているという、へんてこな格好。いくらこの後水の中に入っていくとは言え、水着じゃなくてもいいんじゃないのかしら?? 王子の空気を読めない脳天気なキャラを強調するためなのかしら??王子はチョロったボールを追って海の中に入っていく。

王子にたわむれる人魚姫。海の魔法使いが嵐を起こす。

人魚姫は王子を助け出し浜辺に横たえる。人工呼吸のように胸を押す。生きているようだ。そこへ人の気配。姿を隠す。登場したのは二人の修道女。仕掛け人形みたいな振付。意味がわからない。修道女の後からはグレーのワンピースの制服を着た女学生たち。その中の一人が浜辺の王子に気づく。彼女は詩人の恋敵ヘンリエッテそっくりな王女。王女は一人残って王子に近づき、人工呼吸のように胸を押す。
目覚めてあわてるも、美しい王女に一目ぼれ。おぼろげな記憶の中で助けてくれたのは彼女だと思い込む。

その様子を遠くから見ていた詩人と人魚姫。詩人は人魚姫に見せまいとするが、彼女はその様子を見てしまう。そして、人魚姫は自分も人間になりたいと詩人に訴える。詩人は困惑しながらも、海の底へ向かう。

海の魔法使いは自分を人間に変えて欲しいという人魚姫に本当に良いんだな?と尾びれを剥ぎ取るのだが、このシーンはかなり暴力的で衝撃的。人魚姫の長いパンツの上の上半身はビスチェだと思っていたら、これは細く長い帯を巻きつけてあるもので、海の魔法使いがこれをほどいてひっぱると床に寝たまま人魚姫はごろごろ回転する。まるで、時代劇で悪代官が娘を手篭めにする時に帯をはぎとる「あ~れ~」なシーンそのもの。帯を巻き取ったら、黒子2人が人魚姫をリフトし、魔法使いがパンツを荒々しく剥ぎ取る。人魚姫はメタリックなブルーのレオタードタイツ姿に。うろこなのな。そしてこれをさらに剥ぎ取り、人魚姫は絶叫する。肌色のレオタードになりほぼ裸の状態で床に転がされる。


【放送予定】ザルツブルク音楽祭 2008 オープニング コンサート

2009年02月13日 | Concerts
【放送予定】2009年 2月21日(土) 22:00 ~ 翌 02:00 BShi ハイビジョン ウイークエンド シアター
ザルツブルク音楽祭 2008 オープニング コンサート

1. 優雅で感傷的なワルツ ( ラヴェル作曲 )
2. ピアノ協奏曲 第1番 ( バルトーク作曲 )
3. バレエ音楽「火の鳥」 [1910年版]   ( ストラヴィンスキー作曲 )

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ピアノ : ダニエル・バレンボイム (2曲目)
管弦楽 : ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指 揮 : ピエール・ブーレーズ

新国立劇場「ライモンダ」2月11日 第二、三幕

2009年02月12日 | Ballet
第一幕はたっぷり1時間。踊りっぱなしなのでかなりげんなり(観てるだけなのに)


<第2幕> 再びドリ伯爵夫人の館

女官、友人たちの踊り。ライモンダ登場。ボディスは濃紺で、チュチュは白の衣装に。

アブデラフマンが長いマントをたなびかせて登場。続いてサラセン人たち。初めて新国立でこのライモンダを観た時は、多分ロバート・テューズリーがアブデラフマンで、とてもカッコよくて、そんなに冷たくしなくても・・・と思った記憶があったけど、森田さんのアブデラフマンは田舎くさい粗暴者っぽいので、これはちょっと嫌かも?という意味で説得力あり。ただその分存在感が薄い。

グラン・アダージョ。絡みつくような視線のアブデラフマンとそれを超避けようとしているライモンダ。このあたりの演技はなかなか。

クレメンスとヘンリエットのそれぞれヴァリエーション
ライモンダのヴァリエーション。この辺りでややバランスを崩すシーンが。ライモンダは最初っから踊りっぱなしだからねぇ。やや疲れが出たのでしょうか?

コーダ

曲芸師たちの踊り
アラブの少年たちの踊り (記憶になし)
サラセン人の登場
スペインの踊り
バッカナ-ル (??)

アブデラフマンはライモンダに迫るけど、ライモンダはあくまで拒否。ついには実力行使で連れ去ろうとした瞬間にジャン・ド・ブリエンヌが帰還!いきなり刀を抜いて戦い始めるが、続いて帰還したハンガリー王が一旦止めて、戦うなら正式な決闘にするよう申し渡す。即座にジャンが手袋を投げつけ、再び決闘開始。もみあった末、アブデラフマンが切り傷を受け絶命。サラセン人たちが死体を運んで退場。

再会を喜ぶ二人。


<第3幕> 結婚式

ハンガリーの行進
マズルカ
チャルダッシュ (こっちがマズルカより先だったような・・・)

アントレ
アダージョ
ヴァリエーション(女性ソリスト)
パ・ド・カトル(4人の男性ソリスト) 。トゥール・ザン・レールが4人ともきっちり揃って決まっていて、実に素晴らしい!
パ・ド・トロワ(女性3人ソリスト) 。小野さんがセンター。彼女のライモンダもかわいいかなと思わされる輝きがある。


ライモンダのヴァリエーション。ここはガラなどで色んな人のを観たことがあるせいか・・・ 寺島さんは踊りはとても良いのだけど、やはり主役としての圧倒的なオーラというか華が足りない・・・。 おとなしめな容姿なのでしょうがないのかなぁ。ジャン・ド・ブリエンヌのヴァリアシオンでは、山本さん何度か軸がずれてしまい、バタバタした感じ。もうお疲れなのかしら。

コーダは圧巻。パ・ド・カトルとトロワに男性4名と女性5名が加わって、8組のペアが主役ペアとほぼ同じ振り付けをこなす。リフトが大変そう!この辺りでようやく古川さんを認識。役名のある役じゃないんですねぇ。ブログをこそ見しているので、いつも注目しちゃうんですが、配役表にお名前がないとなんかちょっと寂しい感じ。

そして、ギャロップ(全員で左右にステップを繰り返す)。これはなんかアラジンを思い出してしまって、ライモンダの結婚式には違和感を覚えた。アポテオーズ。幕。

あぁ、おなかいっぱい・・・・

(セルゲイエフ版CDの収録曲順に沿って書いてみましたが、実際には使用されていなかったり曲順が違っていたりするかも)

新国立劇場「ライモンダ」2月11日 第一幕

2009年02月11日 | Ballet
新国立劇場「ライモンダ」
2009年2月11日 14時~

 ライモンダ:  寺島ひろみ
 ジャン・ド・ブリエンヌ:  山本隆之(貝川鐵夫より変更)
 アブデラクマン:  森田健太郎(山本隆之より変更)

 ドリ伯爵夫人:  西川貴子
 アンドリュー2世王:  市川 透
 クレメンス:  寺田亜沙子
 ヘンリエット:  堀口 純
 ベランジェ:  マイレン・トレウバエフ
 ベルナール:  冨川祐樹
 第一ヴァリエーション:  さいとう美帆
 第二ヴァリエーション:  高橋有里
 スペイン人:  井倉真未、江本拓??(貝川鐵夫さんの代役見逃してしまった・・・!)
 チャルダッシュ:  大和雅美、グリゴリー・バリノフ
 グラン・パ ヴァリエーション:  遠藤睦子
 パ・ド・カトル:  マイレン・トレウバエフ、冨川祐樹、今勇也、陳秀介(か、江本拓さん・・・判別不能でした)
 パ・ド・トロワ:  小野絢子、寺島まゆみ、丸尾孝子

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久しぶりに観たライモンダはやはり長い~。ライモンダが踊りまくりで、ストーリーがない分色んな踊りがてんこもりで、見ごたえがあると言えばそうだけど、正直疲れる~ でも、新国立のライモンダも実は3回目で、この長さ大分慣れたのか?それなりに堪能することが出来たような。全体的にとても良く踊れていて、まとまっていた公演でした。

主役のライモンダの寺島さんは素晴らしかった!最初の登場では主役オーラが薄い!と思ったけど、踊り始めたら、どんどん輝いていって。こんなに踊れるのに、そんなに主役の機会がないなんてもったいないと思います。ザハロワしか呼ばないんだったら、ゲストなしでも良いんじゃないのかしら・・・

それから、寺島さんの相手役は当初貝川さんだったのだけど、体調不良により降板で、当初この日はアブデラフマン役の予定だった山本さん。近くの席の方のお話によると貝川さんはインフルエンザにかかってしまったとか。せっかくの主役なのに、残念なことです・・・



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1 序曲
紗幕の後ろにアブデラフマンの姿。ライモンダを遠くから見て、メラメラと(?)思いを募らせている。ライモンダには恋人のジャン・ド・ブリエンヌが。しかし、ジャンは十字軍と出征。別れ際にライモンダに白いスカーフを渡す。

<第1幕 第1場 >
ドリ伯爵夫人の館での姪のライモンダの誕生日祝い

ドリ伯爵夫人の衣装はかなりゴージャス。西川さんは老け顔なので、こういう役がお似合い・・・ライモンダの友人たちの踊り。クレメンス、ヘンリエット、ベランジェ、ベルナールと名前がついているけど、特に個々に役回りがある訳ではない。

ライモンダの登場。寺島さんはかわいらしいけど、主役としてのオーラが薄い~。友人たちと紛れるとわからなくなってしまいます・・・ 友人たちが床に等間隔に置いたお花を拾いながら踊る。ポスターなどになってる友人たちとのポーズ。華やか。

コールド。ジャン・ド・ブリエンヌからの手紙を読むライモンダ。叔母からはジャンのの肖像画の入ったついたてが贈られる。

アブデラフマンの登場。続いて、彼の召使や奴隷たち。アブデラフマンは宝石を無造作につかんで差し出すがライモンダは拒否。次に奴隷の子供を差し出すと、ライモンダは子供たちを守るようにに受け入れ、(開放するため?)にすぐに奥に連れて行くよう指示をし、不信な表情をしつづける。

(多分)グランド・ワルツ、ピチカート(ライモンダのソロ)。ここで一挙に寺島さんの踊りに引き込また。しっかりと丁寧で正確な踊り。体のすみずみまでコントロールされている。いきなりでっかいブラボーが飛んでいた。

ワルツの続き、客人たちの退場 紗幕。

紗幕前はライモンダの部屋。友人たちがライモンダを慰めようとしますが、ライモンダの反応は薄い。プレリュード、ロマネスク、プレリュードとヴァリアシオン(ライモンダの踊り)。ライモンダはジャンからもらったスカーフを愛しむように。ここの踊りも実に安定していて素晴らしかった。ハープの演奏も美しくよく合っていた。

友人たちが去り、一人でライモンダはジャン・ド・ブリエンヌに思いを馳せているうちに眠りに落ちる。すると、衝立の肖像画からジャン・ド・ブリエンヌの幻影が登場する。

<第2場> ライモンダの夢の情景
コールドは薄いグリーンがベースでロマンチック・チュチュのスソに向かって白へグラデーションが美しい。

グラン・アダージョ 。リフトしたまま登場。そのまま舞台センターまで。下りて、アラベスク・パンシェ。安定していてラインがきれい。二人のパートナリングは問題なし。

幻想的ワルツ (?あったかな?)
第一ヴァリエーション
第二ヴァリエーション

ライモンダのヴァリアシオン
コーダ

コール・ド一糸乱れることなく、ヴァリエーションの二人も完璧。寺島さんの踊りはスローモーションを見ているように一つ一つの動きが印象的だった。二人のPDDは愛があって幸せな気持ちに。ライモンダが再び眠りにつき、静かにジャンは去って消えていく。

眠りから覚め、改めてジャンを思うライモンダ。幕。夢の最後にアブデラフマンは登場しません。

(続く)
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2006年10月7日 新国立劇場バレエ団「ライモンダ」
2004年10月15日「ライモンダ」by新国立劇場

「ライモンダ」の全幕って新国立のしか観たことないのね。私。