As I like it

気の向くままに。。。 ダンス・バレエの関連トピックが一番多いかも。 by nao@momojrt020327

2005年1月30日「危険な関係」

2005年01月31日 | Adam Cooper
ヴァルモン子爵:アダム・クーパー、メルトゥイユ侯爵夫人:サラ・バロン、トゥールヴェル夫人:サラ・ウィルドー、ロズモンド夫人:マリリン・カッツ、ヴォランジュ夫人:ヨランダ・ヨーク・エドジェル、セシル:ナターシャ・ダトン、ダンスニー:ダニエル・デヴィッドソン、ジェルクール伯爵:リシャール・キュルト、プレヴァン:バーネビ・イングラム

eプラスからのお知らせメールで、なんとこの日の公演終了後にアダムのトークショー開催決定!とのこと。 あわててチケットを取りました。 あんまりチケットの売れ行きが良くないのか。。。 友人が偶然チケットを入手していて、一緒になったのですが、私は14列、彼女は2列。。私の超アダムファンは周知のところなので、彼女は2幕目から席を替わってくれたのでした。 ありがとう! 持つべきものは友なり~!

2回目の今日はかなり落ち着いて?見れました。 モモヒキにも慣れました(笑) しかし、オープニングの後どうしても集中力が途切れがちです。 特にアダムが出ないカードで遊び~ダンスニーとセシルの恋の芽生えあたりのシーンで。。その後のメルトレイユ夫人の毒気で目覚めましたが。。夜セシルの寝室へダンスニーが訪れるシーンでは、メルトレイユ夫人によってガウンを剥ぎ取られたセシルにダンスニーが自分のジャケット着せます。 その後仲介役のヴァルモンが入って来て、セシルからジャケットを受け取り、帰ろうとするダンスニーに渡すのですが、ここにアダムの人の良さが出てました! セシルが脱いだとき、袖が裏返ったのを、アダムはわざわざそれを直してダンスニーに渡したのです! ダンスニーはそれを持ったまま退場だったのに。。。 う~ん、アダムって優しいわ♪

2回目でもヴァルモンがセシルを襲うシーンはやっぱり迫力あり! 友人はこのシーンが一番激しくて気に入ったそうです。うむむ。 仕事を終えたヴァルモンがマジックミラー越しのメルトレイユ夫人に自慢げにご挨拶するシーンは前はなかったような。 彼女との策略の末ということを強調するためでしょうか。

変わったと言えば最後のシーンが大きく変わっていたように思います。 初日はメルトレイユ夫人が毅然と前を向いてのエンドだったと思ったのですが、今日はろうそくとたいまつを持った黒衣装の人々に囲まれ、その火が一つずつ消えていくごとに、メルトレイユ夫人がカツラを落とすほど破綻していく。。という形に。 これもゲーム感覚で人々の心を弄んだ結果、その人々を死に追い込んでしまった彼女の身の破滅を誇張するための演出だと思います。

今日のダンスニー役がダニエル・デヴィッドソンはかなりお体がきゃしゃでいらして、そのわりには立派なあごひげが妙で、いまいち好みではありませんでした。 プレヴァンがサイモンではなかったので、混乱せずに済んだのは良いとして。。セシル役のナターシャ・ダトンは踊りが滑らかで良かったと思います。

さて、お待ちかねトークショー。 司会はTBSのアナウンサー、アダムはグッズで売り出している帽子とTシャツ姿で登場。 通訳のおば様も入れて3名で舞台の上に用意された椅子に座ってのインタビュー。 私はアダムの言っていることがわかる程度の英語力はあるのですが、通訳の方はとても上手に訳していらしたと思います。 インタビューの後は観客からの質問に答えてくれるコーナーもあり。。??と思う質問もありましたが。。。中でも印象に残ったもののみ挙げると、今日で(すでに!)5回目です!というかなりディープなファンの方がいい質問をしてくれました。 最後のシーンではメルトレイユ夫人のバックに「LA LIBELTE(アクサン無視)」と書いてあるその意味について、「魂の開放ということですか?」 深い~! アダムはちょっと戸惑ったようですが、きちんと答えていました。 この物語はフランス革命前の時代のものなので、この後の革命によって退廃した貴族社会が崩壊し、開放されることをレズがこのように表現したのだと思うというような主旨だった思います。 

それから、制作の上で一番苦労したことは、「お金」とずばり答えてくれました。 約3年ほど前からアダムのファンになった私は、この作品が何度か上演話が頓挫しており、でもアダムがずーっと実現させたいと思い続けていたのを知っているだけに。。。 とてもいい作品だと思います。 今後、この作品が正当な?オーディエンスのいるところで上演され、評価される機会に恵まれることを願ってやみません。

トーク終了後に自分のかぶっていた帽子を客席に投げ込むファンサービスも。 アダムさん、お疲れのところご苦労様でした!!


2005年1月22日「危険な関係」

2005年01月22日 | Adam Cooper
ヴァルモン子爵:アダム・クーパー、メルトゥイユ侯爵夫人:サラ・バロン、トゥールヴェル夫人:サラ・ウィルドー、ロズモンド夫人:マリリン・カッツ、ヴォランジュ夫人:ヨランダ・ヨーク・エドジェル、セシル:ヘレン・ディクソン、ダンスニー:デーミアン・ジャクソン、ジェルクール伯爵:リシャール・キュルト、プレヴァン:サイモン・クーパー。

最初に結論を言うと。。期待通り、いえそれ以上の舞台でした。 よくこれだけのものを創り出せるものだなぁ。。とただひたすら感心、感激しました。 でも、決して万人受けする作品ではありません。

まずは。。やっぱりレズ・ブラザーストンの舞台美術はすばらしいです! 古ぼけた風の鏡を多用し、ヴェルサイユ宮の鏡の間のような雰囲気を出しつつ、それがマジックミラーにもなっていて、鏡の向こうから様子をのぞくシーンにとても効果的な雰囲気を生み出す。 舞台装置そのものを大きく変えなくても、ほんの少し、引き戸のような大きな衝立を引き入れることによって、奥行きを調節し、部屋の雰囲気を変えていく。レズお得意の手法が今回も随所にちりばめられていて、本当に素敵です。 

おっと、肝心の舞台。 黒い衣装に仮面をつけた登場人物がろうそくやたいまつを手に舞台を横切っていきます。 ここで登場人物の人間関係を描いていくわけです。 仮面と黒いマントをとったアダムはストレートのロングヘアーを首の辺りでゆわえたズラに全身白のコスチューム。 ズラにはさほど違和感を感じなかったのですが、色のせいなのか次の衣装の上から着ているのか、あのアダムの足がなんだか太く短く見えました。 そんなはずは絶対に無いのにっ!!!!

場面が変わってアダムの衣装は得意の黒の皮パンになるわけですが。。これが、濃い茶のパンツの上からお尻股周りをカットした皮パンなのです。 皮パンをどうしてもアダムに履かせたいけど、暑いから。。という折衷案だと思いますが、そこまでして皮パンを履く必要があるだろうか?? 重ね着によってせっかくの素敵なあんよのラインを損ねていると思ったのは私だけでしょうか? 

正直言って前半は最後の場以外ダンス自体もおとなしいものだったので、全体的に暗い雰囲気の中どうしても眠気が襲ってきてしまいました。。。しかし、眠気が吹き飛ぶ第一幕の最終場。 セシルを我がものにするため、身支度を始めるヴァルモン。ズラをはずし、洋服を一枚一枚大げさに脱いでいく。。ファンへのサービスシーンなのでしょうか。。。 しかも胸はちゃんとしてあるし。。 で、最終的には上半身裸で下着のモモヒキいっちょになっちゃうのですが、その姿には思わず笑ってしまいます。 そして、そのモモヒキ姿でセシルを襲う襲う。 かなりの激しさにこの日は1幕終了時には拍手もマバラでした。 アダムって鉄棒も出来るのね。 普段リフトしまくりなわけですから、当然ものすごい腕力があるのですね。

ゆったりとした1幕から2幕は速いテンポで話が展開していきます。 最初は横に並べられた椅子に一同が背を向けて座って、上半身の動き、目線で演技をするのですが、この演出はいいと思います。ヴァルモンとトゥールヴェル夫人のパ・ド・ドゥはヴァルモン唯一邪悪な顔をせず踊るシーン。 せつないトーンの音楽と二人の踊りがマッチして、胸がきゅ~っとなりました。 

ここで、各出演者について一言ずつ。。メルトレイユ夫人サラ・バロンの独特な濃いキャラクターでかなりすごい人物に仕上がってます。ヴァルモン、プレヴァンやダンスニーをいたぶる弄ぶ。。裸足で爬虫類のように這う姿はすごい。。の一言。 大変な存在感です。

トゥールヴェル夫人サラ・ウィルドー。貞淑な夫人であったトゥールヴェル夫人がヴァルモンに翻弄され、ついには命を絶ってしまう。。とまどい、心を開き、そして打ち破られた悲哀。。すべてを完璧な表情で演じきるサラ・ウィルドーは本当にすばらしいアクトレスです。 

ロズモンド夫人のマリリン・カッツ。 声はすばらしいけど、存在感がいまひとつ。 唯一オペラのように歌う役柄なのですが、フランス語の歌詞なので内容がほとんどわからない(苦笑) 淡々とした中で歌が入ることによって、流れを変える効果があるのかな。 ダンスニー役のデーミアン・ジャクソン、かなり男前でかっこいいです! ジェルクール伯爵のリチャール・キュルト。 彼の衣装が出演者中一番お気に入りです。 好色な中年男のいやらしさを強調するようなラインストーンギラギラな上着そしてリチャール・キュルトの表情がまた良い! 芸達者な人です。 神父+プレヴァンのサイモン・クーパー。体型がアダムそっくりなので、同じ丸坊主姿だと遠目には見分けがつかない。。。特にプレヴァン役でメルトレイユ夫人と戯れている時は、どっちがどっちか。。

最後の決闘シーンはアダムのチャンバラ。。いえいえ、剣さばきがなかなか決まっていて、素敵。 最後のシーンではメルトレイユ夫人が破滅へ。。とSynopsisに書いてあったのですが、私には決意も新たに踏み出しているように見えました。 

熱演が終了した時には大きな拍手とブラボーの声(たぶんやらせ)。スタンディング・オベーションを送る人もいました。 1幕後は私もむむ~ん、これは微妙な作品~と思いましたが、2幕目終了時には「良かった!、でかしたアダム!」と自然に拍手が出ました。

公演が決定した頃から、こういったテーマのダンス・アクトが日本でどのように受け入れられるものなのか私はとても不安でした。 ましてや世界初演と言えば聞こえはいいけど、本国ですらスポンサーがつかなくて長年実現しなかった舞台を、アダム人気だけで日本で上演してしまうというその企画。 そんなことがとても気になっていました。 アダム人気でなんとかお客は入ると思いますが、自分を含めてダンスやミュージカルなどに目の肥えていない人々がどのような評価を下すのであろうか。。。だから、2幕終了時大きな拍手を聞いて、かなりほっとしました(余計なお世話ですが。。)

でも、依然として、ただかっこいいだけのアダムではないし、普通の人が観るには暗いし、テーマが深すぎるので、この後の公演の入りが気になるところです。