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気の向くままに。。。 ダンス・バレエの関連トピックが一番多いかも。 by nao@momojrt020327

マリインスキー・バレエ「イワンと仔馬」12/8 ソーモワ&サラファーノフ

2009年12月08日 | Ballet
2009年12月8日(火) 19:00~21:20
イワンと仔馬 全2幕
音楽 : ロジオン・シチェドリン
振付 : アレクセイ・ラトマンスキー (2009年)
台本 : マクシム・イサーエフ
音楽監督 : ワレリー・ゲルギエフ
装置・衣裳 : マクシム・イサーエフ
照明 : ダミール・イスマギロフ
指揮 : ワレリー・ゲルギエフ
管弦楽 : マリインスキー歌劇場管弦楽団

≪出演≫
姫君 : アリーナ・ソーモワ
イワン / 皇子 : レオニード・サラファーノフ
仔馬 : グリゴーリー・ポポフ
侍従 : イスロム・バイムラードフ
皇帝 : アンドレイ・イワーノフ
父親 : ロマン・スクリプキン
雌馬 / 海の女王 : エカテリーナ・コンダウーロワ
大きな馬たち : アンドレイ・エルマコフ/ カミーリ・ヤングラゾフ
ダニーロ : イワン・シートニコフ
ガヴリーロ : コンスタンチン・ズヴェレフ
娘たち : ヤナ・セーリナ/エレーナ・ユシコーフスカヤ/クセーニャ・ロマショワ/ヴァレーリヤ・マルトゥイニュク/エリザヴェータ・チェプラソワ/オリガ・ミーニナ
ジプシーたち : アントン・ピーモノフ/フョードル・ムラショーフ/カレン・ヨアンニシアン/エレーナ・バジェーノワ/アナスタシア・ペトゥシコーワ/ポリーナ・ラッサーディナ/リュー・チヨン/アリサ・ソコロワ


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【上演時間】 約2時間20分    【終演予定】 21:20
第1幕 50分 - 休憩 25分 - 第2幕 55分


おもしろいことはおもしろかったんだけど・・・ その衣装があまりにモダン?前衛的でそれが異様に目立ってしまい、キャラクター設定との関連性に理解に苦しむところがあって、ちょっとひいたかも。衣装が奇抜な分、舞台装置は極めてミニマル。
そういう意味では、「明るい小川」の方がストーリーが頭に入っていなくても素直にわかりやすい作品だった。観客席からほとんど笑い声も漏れなかったし・・・
何が良いって音楽が最高に素晴らしかった。演奏はさすが!音が違う!曲も躍動感があっておもしろかった。
サラファーノフも眠りでは不調?の噂を耳にしたが、そんなことはまったく感じさせず、跳躍、回転は冴え渡っていた。幼げな風貌がお馬鹿なイワンっぽくて(ほめてます)なかなかぴったりだったし。
また、ソーモワのお姫様は本当に愛くるしく、良く上がる脚はもちろんだが、腕の動きがすごく雄弁で魅力的だった。音楽性がないと言われているけど、そんなことはなかったと思う。彼女の「眠り」も観るべきだったかしら。そして、コンダローワの雌馬がドロンジョ様みたいで良かった~


第一幕
開演前。オーケストラ・ピットと客席が静かになってマエストロをひたすら待つ・・・・こと5分間?あまりの長さに途中でオケがまた音あわせをしたりして。さすがはゲルギー、超マイペース。
音楽が始まる。瞬間的に音が良い!金管が美しく響く。さすがはマリインスキー管弦楽団。そう言えば、この日の観客は音楽ファンも結構いらしたような。休憩中もピットを覗き見する人がたくさんいた。
幕が開くと、舞台にはイワン、父親、ダニーロ、ガウリーロ。4人の後ろには家?をかたどったドアよりもう少し大きめの板。窓の絵もなく赤い壁に群青色の小さな屋根といたってシンプルというか質素?
父親とダニーロとガウリーロは同じような農民の民族衣装(?)。父親の赤い靴がかわいい♪ イワンだけ上半身裸に七分丈のズボン。お馬鹿だから一人だけはずれてるってこと??

父親が畑に出かけると、ダニーロとガウリーロが浮かれ始める。女の子たちもやってきて、どんちゃん騒ぎ。イワンは中に入りたいが、兄たちが入れてくれない。でも、お馬鹿だから、勝手に合わせて踊っってるだけで楽しめちゃう。
畑から帰ってきた父親が帰ってきてお祭りは強制終了。父親は畑が何者かに荒らされているので息子たちに見張りをするように言い渡す。
父親と兄たちが出かけていくが、お馬鹿なイワンは置いてけぼりをくらう。
ボクにだってできるよ!と跳躍しまくりのソロ。そして、畑の中で寒さに震えながら待ち伏せする(上半身裸なんだから寒くてあたりまえでしょー)。
そこへ馬がやってきた。2頭の大きな馬。この衣装が最高にツボ。60sな感じぷんぷんで、ベルボトム?なパンツ、水玉のパフスリーブのシャツにぴったりベスト、太い口ひげ、リーゼント型?アフロ?なタテガミ・・・イメージはダンス☆マン。
白くて赤毛の美しい雌馬もいる。この雌馬のコンダローワがすごくCoolで素敵。なので、大きな2頭とのギャップが超笑える。

イワンは雌馬に馬乗りになって取り押さえる。
馬たちは大人しくなった・・・と雌馬がやおら仔馬を産み落とす(笑)。産まれたばかりの弱々しい仔馬はグレゴリー・ポポフ君。
相変わらず身軽で跳躍が軽やかで高い。やはり回転系は少し苦手なのか軸がぶれることが多かった。

そこへ火の鳥たちが畑に舞い降りてきた。火の鳥たちの衣装はモダンでスタイリッシュで気に入った。
イワンは火の鳥たちの後を追っていってしまうと、仔馬もそれに付いていく。
雌馬は逃げ、大きな馬たちは畑の片隅で眠ってしまった。
そこへダニーロとガウリーロがやってきた。大きな馬をみた2人はこれで一儲けしようと、馬を連れ去る。

イワンは火の鳥の美しい羽を拾って満足気に戻ってきた。きれいだな、きれいだなと喜びの舞。トゥール・ザンレール連発
しかし、もらった大きな馬がいないことに気付いて、悲しむ。が、仔馬に一緒に探しにいこう!と元気付けられ、2人で出発!
この2人の跳躍合戦がすごい。ポポフも高いけど、やはりサラファーノフも同じぐらい跳べちゃうんだ~

舞台が明るくなって、メタリックな青、緑の太いストライプを基調をとした鮮やかな衣装のコール・ド登場。これ・・・なんだろうと思ったら、街の人々なんだ。プログラムの写真を観たときは海のシーンの人たちだと勝手に思っていた。
それからジプシーたち。このジプシーたちもソリストだが、いまいち役割が曖昧。
娘たち。皆頭に頭巾をかぶっている。ここはソリストたちが投入されている
王様と侍従と家臣(貴族?)たちが出てくる。侍従はいかにも変な人。衣装がまず変。黒のぴったりめの上下がベースで胸と背中に白で大きな場バツマーク、お股のところに真っ赤な丸。これは何を意図していたのだろう、意味不明。バイムラードフの濃い~演技を持ってしても、衣装が目障りだった。

イワンの兄たちが大きな馬を連れてやってくる
王様が気に入ってこれを買おう!とやっていると、そこへイワンがやってきて、これは自分の馬だ!と主張する。
王様は馬の変わりに好きなものを与えようと言うと、イワンはう~んと考えて、侍従の帽子を要求。普通に考えればとっても損な取引なのにイワンは帽子をかぶって大満足。
一方、侍従は自分の帽子を取られて大いに不満だが、王様はうまく馬が手に入って上機嫌で城に戻る。

王様の部屋。先ほどの娘たちが王様の世話をしている。英語のキャスト表はwet-nurses(乳母たち)となっていたけど。娘たちにごはんを食べさせてもらっている王様は子供のようにかわいらしい。

本を読んでもらって、眠りにつく。イワンも部屋の隅っこで、火の鳥の羽を下敷きに深い眠りに落ちる。
そこへ侍従がやってくる。
侍従はイワンに帽子を取られた仕返しをしようとたくらんでいる。イワンの側へ行って火の鳥の羽を発見すると、それをまんまと盗んでしまう。お宝を手に入れて、喜びまくる侍従。
寝ている王を起こして羽を見せる。王様が羽に魅せられて、それを振りかざしていると、火の鳥の幻影が現われる。その中には美しい姫君の姿も。
当たり前だけど、トレードマークの長い三つ編みはソーモワの場合金髪なんだな、と妙なところで感心。金髪碧眼のソーモワはお人形のように美しく、王様でなくとも一目惚れしてしまいそう。でも、一瞬で消え去ってしまう。一幕はほとんど出番なしなのね。
王様は側近に姫君を連れてくるように命令する。そして、側近はそれをイワンに押し付ける。
途方にくれるイワン。サラファーノフはほんとに泣き出してしまいそうでかわいい♪
仔馬がやってくる。僕と一緒に行こう!2人は手を取り合って旅立つ。


第二幕
やはり暗くなってもしばらく出てこないゲルギー。さすがだわ(何が)
火の鳥の国。鳥たちの振り付けは迫力。
姫が騎馬戦のように鳥の肩車で登場。この最初の格好はちょっと不恰好だと思うんだけど。
姫のソロ。姫はこの世界にたいくつしているよう。きれいに踊っているかと思うと、手をぶらぶらさせてすねるようなしぐさ。
鳥たちがみんなつがいなのにやきもち?をやいているようにも見える。
鳥たちとの踊り。
そこへイワンと仔馬が飛び込んでくる。驚いて鶏たち散り散りに。姫も逃げようとするが、イワンに三つ編みをつかまれてしまう。
イワンは姫の美しさに思わずひれ伏す。「そんなにかしこまらなくていいのよ」
「じゃあ!」と、今度はがばちょと抱きつく。姫君はあわてて「ちょっとやめてよっ!」と突き飛ばす。
でも、そんなにいやではなさそう。2人のPDD。
盛り上がってイワンはまた思わず抱きしめて姫のほっぺにキスすると、今度は姫君がお返しのキス。彼女もイワンが気に入ったようだ。
イワンは「ボクと一緒に来てくれないか?」と尋ねると、姫君は快くうなずく。
仔馬がやってきてご挨拶。仔馬をなぜた後姫君は突然眠気に襲われる。ここ、なんで姫を眠らせる必要があったのか理解できなかった。
イワンと仔馬で姫君をえっちら運ぶ。


王様のもとへイワンと仔馬が眠ったままの姫君を運んできた。眠っている姫の顔を覗き込んで、その美しさに喜んじゃう王様。この王様の表情がとても無邪気でかわいい!
姫君は眼を覚まして、王様を見てぎょっ!イワンを見てにっこり。王様を紹介されると、いちおう丁寧にご挨拶するが、イワンといちゃいちゃしたくてしょうがない。王様の許可を得て踊り出す2人。王様はあまりにいい雰囲気で踊る二人にやきもちをやいて、自分も入ろうとするが入れない。そのうち心臓が!
2人にささえられて寝台に戻るや、姫君との結婚を宣言する。侍従が喜んで婚約指輪を持ってくるが、王様と結婚するのがいやな姫君は難題を突きつける(かぐや姫みたい)。自分の婚約指輪は深い深い海の底にある宝石でなければならない。ふんぞり返ってもかわいいソーモワ。
王様は侍従に命じ、侍従は再びイワンに命じる。またまた困ったイワンの下へ仔馬がやってくる。二人で出発!この2人で手を取って出発するときに脚をブルブルやるのが、火の鳥の国へ行くときはイワンの顔は不安に満ちていたのに、今回は明るい顔だった。仔馬の力への信頼が高まったことがわかる。

海底。海の精たちがうごめく。もじもじ君のように頭からぴっちりタイツに白いロマンティックチュチュ。胸には水面に映ったように自分の顔がプリントしてある。はっきり言って不気味な衣装。しかも、最初舞台の奥上手、下手からゆっくりとした動きで出てきたのは女性陣だけど、次に舞台前方で出てきたのは同じ衣装の男性陣!すなわち彼らもチュチュをつけてるのだ!
しかも、左右からゆ~っくりからみながら出てきた集団は、スローモーションでぶつかり合い、殴り合っている! 波がぶちあったてる様子なのかしら??
イワンと仔馬も泳ぐようにゆっくりとした動きで入ってくる。ものめずらしそうにうっかり海の精に近づいて、男性の一人に威嚇される。
海の女王(キャスト表の英語版はPrincessとなっている・・・が、キャラ的には女王の方が合う)がお付きの男性2人にリフトされ、すばやく泳ぐ人魚のように登場。女王は雌馬と二役のコンダローワ。お付きは大きな馬たちの二役。ちょっとヴァージョンが違うもののやはり70s風の衣装にメタリックブルーなナイトキャップ?のような被り物。
海の女王はイワンのお願いに快く応じて、指輪をくれる。なぜかな??

イワンの帰りを座って待つ王と姫君。姫君はひまつぶしに王に踊ろうと誘い、踊り始めるが、王様はまったくついていけない。しまいには、姫君に振り回され、よれよれに。

イワンが指輪を持って帰ると、さっさと取り上げられ、王様は姫に差し出すが、姫は不服そう。私と結婚する人はカッコよくなくっちゃ!
いたずらっぽい笑みを浮かべて、姫君は「あそこに入るとかっこ良く変身できるのよ」出てきたのは水の入った水槽?
王がお水に触れてみると、それはすごく熱い熱湯だった!侍従は王様にイワンで試してみることを提言。無理やりイワンを水槽に落としてしまう。大変だ!けど、仔馬の魔法でイワンは熱湯の中でも無事で、しかもどんどん姿がかわっていく。・・・ってシャツを着替えるのだが、水の向こうとは言え、生着替えがもろに見える・・・と思ったら、それをカバーすべく、仔馬は水槽の前で大ジャンプを繰り返す。ここはポポフ君の見せ所。
水槽から出てきたら、イワンはハンサムで高貴な王子様に変身!(・・・なのだが、この変化は上着と王様帽子だけではちょっとわかりにくかった。直前の衣装が結構良過ぎるのだ。もっとボロボロならギャップも大きかっただろう。)
これを見た王様も自分も!と水槽に飛び込むが、魔法のかかっていない王様は熱湯で溺れ死んでしまう。この死に方はちょっと残酷。王様のキャラはかわいらしく描かれていたので、死んでしまうという設定は観客からするとかわいそうになってしまうのだ。しかし、この死にっぷりは見事。かなり長い間ガラスに断末魔の顔をくっつけたまま微動だにしないのだ。それがまた、同情を誘ってしまう。
侍従は王様が死んでしまった直後は良い気味だと笑っているように見えた。が、人々が悲しむにつれて、侍従も涙をぬぐう。
そして、王様はイワン!と思い直し後を追う。

イワンと姫君の幸せいっぱいのPDD。
緑の衣装のコールドの踊り
姫君のソロ。ソーモワのピケターン~連続シェネは超高速
姫君にうながされ、照れながらイワンのソロ。踊りだすけど、いいところでストップして、「もう1回やるね」を2回。
最後はピルエット・ア・ラ・スコンド炸裂。

で、気がつくとエンディングになっていた。
音楽が続く中、レヴェランスが続く。死んでしまった王様も登場して、ちょっとなごむ。
最後は2人が玉座の上から大きく手を振って大団円。

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