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黄巾賊の乱は程なく鎮圧されたが、腐敗の土壌にはあだ花しか咲かない。
霊帝の没後、西涼の董卓が十常侍に代って権力の中枢に就いた。
しかし、群雄こぞっての猛反撃に、天下は騒然。
曹操が起ち、袁紹が起つ。董卓の身辺には、
古今無双の豪傑呂布が常に在り、刺客さえ容易に近づけない。
その呂布が恋したのが美女貂蝉―董卓の寵姫である。
傾国という言葉は「三国志」にこそふさわしい。
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黄巾賊の乱より10年、天下の形勢は大いに変っていた。
献帝はあってなきものの如く、群雄のうちにあっては、
曹操が抜きんでた存在となっていた。
劉備玄徳は、関羽、張飛を擁するものの一進一退、
小沛の城を守るのみだった。
打倒曹操!その声は諸侯のうちにひろがり、
国舅董承を中心に馬騰、玄徳など7人の謀議はつづく。
誰が猫の首に鈴をつけるのか。
―選ばれたのは、当代一の名医吉平 . . . 本文を読む
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乱世の姦雄を自称し、天下を席捲した曹操も、関羽には弱かった。
いかな好遇をもってしても、関羽の心を翻すことはできなかった。
故主玄徳を慕って、千里をひた走る関羽。そして劇的な再会。
その頃、夭折した兄孫策の跡を継いだ呉の孫権は、
恵まれた自然と豊富な人材のもと、国力を拡充させていた。
失意の人玄徳も、三顧の礼をもって孔明を迎えることができ、
ようやく天下人として開眼する。
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新野を捨てた玄徳は千里を敗走。
曹操はなおも追撃の手をゆるめない。
江夏にわずかに余喘を保つ玄徳軍に対し、潰滅の策をたてた。
天下の大魚を共に釣ろう、との曹操の檄は呉に飛んだ。
しかし、これは呉の降参を意味する。
呉の逡巡を孔明が見逃すはずはない。
一帆の風雲に乗じ、孔明は三寸不爛の舌をもって孫権を説き伏せる。
かくて史上有名な会戦、赤壁の大捷に導き、曹操軍は敗走する。
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結城中佐の発案で陸軍内に設立されたスパイ養成学校“D機関”。
超難関試験を突破した一期生は、外国語、学問はもちろんのこと、
爆薬や無電の扱い方、変装術、女の口説き方など多様な訓練を受け、
長髪、背広姿で互いを偽名で呼び合った。
「スパイとは“見えない存在”であること」
「殺人及び自死は最悪の選択肢」
これが、結城が訓練生に叩き込んだ戒律だった。
軍隊組織の信条を真っ向 . . . 本文を読む