コロナ禍の中、今年もあっという間に師走となった。先月の21日から今月の5日まで、東京池袋にある母校の創形美術学校で『銅版画直刻法実習』の指導に通っていた。この実習は僕が2002年ぐらいから続けてきた実習なのだが途中学校側の事情により6年間ブランクがあり、昨年よりまた復活した授業である。昨年より専任教官となったS先生が再びロートルの僕を呼んでくれたのである。
銅版画は大きく分けて腐食法(間接法)と直刻法(直接法)とに分けられる。そもそも銅版画というのは「技法の版画」と呼ばれるように腐食、直刻、共に技法が百花繚乱の版画なのである。腐食法はエッチング技法に代表されるように薬品によって間接的に版を腐食して彫っていくのだが、それに対して直刻法というのは版をさまざまな工具を使用してダイレクトに傷をつけて彫って行くのが特徴となっている。直刻法の代表的な技法は、エングレーヴィング、ドライポイント、メゾチント等が挙げられる。フ~ッ…版画の説明というのは何度しても七面倒くさい。このブログを読んでいただいている方々の中で版画についてあまり感心のない人ならば、ここまで僕の解説を読んでも、おそらく「なんのこっちゃあ!?」というのが正直な感想だろう。
要は単純に言って銅の板を直接彫っていく技法なのである。僕は毎回、この短期間の集中実習で学生たちに必ず伝えるキーワードがいくつかある。1つ目は銅版画の直刻法というのは「傷を付ければ版になる」ということ。銅版画は木版画とは逆で凹版であるので、何らかの傷、凹みをつければそこにインクが引っ掛かり版として成立するということである。なので専門的で高価な直刻法の工具以外にも金づちと釘、粗目のサンドペーパー、ワイヤブラシ、カッター等でテストプレートに製版して見せる。2つ目は「指触感覚を大事にせよ」ということ。銅版画に直接いろんな工具、道具で傷を付けて行くとザラザラ、トゲトゲ、ボツボツ、といろんな手触りの肌合いとなる。これを指先で触った感覚を覚えて彫り具合を確かめることが大切なのである。3つ目は銅版画というよりは版画全般に言えることなのだが「彫り、摺りを繰り返すことを絵画で言う描くという行為と同じく考えること」これは最も強調し、実習の期間中、何度も繰り返し伝えている重要なミッションである。つまりこれらの行為を単に作業として考えるな!ということである。版画は英語的には「Blind Work」と言う。これは「どんな版種でも製版をしている時は目を瞑って絵を描いているのと同じことだ」という意味。インクや絵の具を版に付けて摺ってみなければ絵の進み具合が解らないという意味なのである。
実習の対象はファイン・アート科2年生の版画専攻者。今年の学生も昨年同様に中国からの留学生が多かった。日本の子たちも中国の子たちも熱心に制作に励み、いつものことだが実習半ば第1回目の試し摺りをとって絵が見えてきたあたりからとても集中して版に向かうようになる。ちょっと声をかけられないぐらい集中していて版画工房がシ~ン、と静まり返るほど。最終日の講評会には昨年同様、熱い力作の数々が並んだのでした。
銅版画は大きく分けて腐食法(間接法)と直刻法(直接法)とに分けられる。そもそも銅版画というのは「技法の版画」と呼ばれるように腐食、直刻、共に技法が百花繚乱の版画なのである。腐食法はエッチング技法に代表されるように薬品によって間接的に版を腐食して彫っていくのだが、それに対して直刻法というのは版をさまざまな工具を使用してダイレクトに傷をつけて彫って行くのが特徴となっている。直刻法の代表的な技法は、エングレーヴィング、ドライポイント、メゾチント等が挙げられる。フ~ッ…版画の説明というのは何度しても七面倒くさい。このブログを読んでいただいている方々の中で版画についてあまり感心のない人ならば、ここまで僕の解説を読んでも、おそらく「なんのこっちゃあ!?」というのが正直な感想だろう。
要は単純に言って銅の板を直接彫っていく技法なのである。僕は毎回、この短期間の集中実習で学生たちに必ず伝えるキーワードがいくつかある。1つ目は銅版画の直刻法というのは「傷を付ければ版になる」ということ。銅版画は木版画とは逆で凹版であるので、何らかの傷、凹みをつければそこにインクが引っ掛かり版として成立するということである。なので専門的で高価な直刻法の工具以外にも金づちと釘、粗目のサンドペーパー、ワイヤブラシ、カッター等でテストプレートに製版して見せる。2つ目は「指触感覚を大事にせよ」ということ。銅版画に直接いろんな工具、道具で傷を付けて行くとザラザラ、トゲトゲ、ボツボツ、といろんな手触りの肌合いとなる。これを指先で触った感覚を覚えて彫り具合を確かめることが大切なのである。3つ目は銅版画というよりは版画全般に言えることなのだが「彫り、摺りを繰り返すことを絵画で言う描くという行為と同じく考えること」これは最も強調し、実習の期間中、何度も繰り返し伝えている重要なミッションである。つまりこれらの行為を単に作業として考えるな!ということである。版画は英語的には「Blind Work」と言う。これは「どんな版種でも製版をしている時は目を瞑って絵を描いているのと同じことだ」という意味。インクや絵の具を版に付けて摺ってみなければ絵の進み具合が解らないという意味なのである。
実習の対象はファイン・アート科2年生の版画専攻者。今年の学生も昨年同様に中国からの留学生が多かった。日本の子たちも中国の子たちも熱心に制作に励み、いつものことだが実習半ば第1回目の試し摺りをとって絵が見えてきたあたりからとても集中して版に向かうようになる。ちょっと声をかけられないぐらい集中していて版画工房がシ~ン、と静まり返るほど。最終日の講評会には昨年同様、熱い力作の数々が並んだのでした。