長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

画家・版画家の長島充と申します。

2900-04-10 21:49:47 | 版画


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絵画作品と版画作品をさまざまな技法で制作しています。制作や日常にまつわる事を日々更新しています。

作品画像や活動内容を紹介するホームページ『長島充 作品集』も開設しています。ぜひ合わせてご高覧ください。
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357.真岡市 井頭公園・探鳥記

2019-01-19 17:47:55 | 野鳥・自然
今回も年末、年始のドサクサで遅れてしまった投稿内容である。昨年末、12月某日。栃木県真岡市にある井頭公園に冬鳥の取材に行った。ここ数年、冬の越冬の小鳥類の取材は北関東と決めている。あまり山間部でも小鳥たちが平野に降りてしまっていないし、まったくの平野部では当工房のある千葉県と鳥相に変わりがないと判断しているからだ。

「山梨も行ったし、群馬も行った…今冬の小鳥類の取材地はどこにしようか」と迷っていた。いろいろと検討していて「そうだ栃木県の真岡市に日本野鳥の会栃木県支部が観察地としている井頭公園という場所がある、樹木も多いしカモなどの水鳥も入る池もあり変化に富んでいるから良いかもしれない」ということで井頭公園に決定した。

8:40分に連れ合いと2人、家を出た。関東と言っても栃木県、茨城県を超えて行かなければならない。途中、高速道やら圏央道をいくつか超えて行かなければならない。結構遠いのである。千葉を出る時には曇っていたが、途中、茨城に入ってからは晴れ間がのぞいてくる。筑波山がしばらく見えていて方向を少しづつ変える度に形を変える。単調な道が長く続いて真岡インターチェンジを出たのは10:50となっていた。ここから数分で井頭公園の駐車場に到着した。

入り口から池の近くまで下りて行き「鳥見亭」というロッジ風の施設に入館する。ここの二階は池が一望できる観察スペースになっていて野鳥観察用の望遠鏡も数台セットされていた。ここには野鳥の会栃木県支部の方がボランティア・ガイドをしているので、この時期の野鳥情報を聞いたほうが良いと事前情報で聞いていた。窓口に女性のガイドの方が1人いらしたのでいろいろと尋ねてみることにした。
最近の野鳥の会、栃木県支部主催の探鳥会では山野の小鳥、池の水鳥を含め、1日で50種以上の野鳥が記録されたということ、小鳥類は池の東側の林縁に多く出て現在、キクイタダキの小群やニシオジロビタキが出ていることや、ここの池の名物であるカモの仲間のミコアイサはまだ定着していないということ等々、詳しく話てくれた。しばらくここの2階から池のカモ類を中心に観察する。ヨシガモ、ヒドリガモ、カルガモ、オナガガモ、マガモ等、カモ類の他に近年、どこの水辺でも増えているオオバンや色彩の美しいカワセミなどが観られた。

「鳥見亭」を出発。林に沿った園路に入る。さっそく出迎えてくれたのはジョウビタキの♀、しばらく進んで林床にの美しいブルーのルリビタキの♂が1羽、ヤマガラ、コゲラ等の小鳥類が次々に登場する。園路をふさいで野鳥カメラマンの人たちがなにやら上方を動く小鳥を撮影をしている。双眼鏡でレンズを向ける方向を追うと針葉樹の葉先にキクイタダキがいた。頭頂の特徴まで連れ合いが観るとどうやら♀のようである。このあたりで池に目を移すと先ほど「鳥見亭」では観られなかったカモ類のコガモ、ハシビロガモが観られた。

先ほどガイドの方に池の北側にある釣り堀周辺にはベニマシコなども観察されていると聞いていたので、足を延ばすことにした。途中、林の中などを探すが小鳥類は少ない。釣り堀の入り口の手前に開けた草原に小鳥が立っている姿を発見。大きい。双眼鏡で観るとヒタキ科のトラツグミだった。割合、距離が近く、人をを恐れない個体だったにでカメラで楽に撮影することができた。釣り堀に入ると" キィーッ、キキキキキッ" という声と共に、いきなり目の前の横枝にカワセミが飛んで来てとまった。これも距離が近くこちらを恐れない。カメラでゆっくり撮影する。しばらくして池の水面に飛び込んだかと思ったら赤い金魚を捕えて林の奥へと飛んで行ってしまった。落ち着いた場所で獲物をさばくのだろう。
釣り堀の奥のハンノキやヨシ、セイタカアワダチソウが繁る場所でベニマシコやマヒワの出を待つが声すら聞こえなかった。「今年の冬は小鳥類はハズレかもね」連れ合いがポツリと呟いた。

ベニマシコをあきらめて元来たルートに戻りかけると14:00を過ぎていた。小腹も空いてきたので、ガイドの女性が薦めてくれた公園内の南側にあるレストラン「陽だまり亭」へと向かう。途中、林縁でカケスを1羽見かけた。左手の明るいアカマツ林の林床に3羽の小鳥が動くのが見えた。双眼鏡で観るとセキレイ科のビンズイだった。撮影しようとソロリ、ソロリと音をたてずに近づくと2羽が飛んで目の前の横枝にとまった。そのうちの1羽が羽繕いを始めたのでジックリと撮影させてもらった。さらに先ほどキクイタダキが出た場所辺りで再び5羽の小群が出現。この辺りで出現しているというニシオジロビタキを探すが見つけられなかった。

14:27、レストラン「陽だまり亭」に到着。平日といいうこともあり空いていて料理は素朴な味だがとてもおいしかった。15:13、再び出発。「さて、園内は一通り観たけれど、ここからはどうしようか」と言うと連れ合いが「ベニマシコをもう1度探そう」ということになり、元来た東側の園路を観察ポイント戻ることにした。途中、池のカモ類を撮影したり、人を恐れない午前中とは別個体のカワセミを撮影したりしながらゆっくりと戻って行った。ベニマシコ・ポイントの草薮に到着。ベンチでペットボトルのお茶を飲みながらしばし待つがいっこうに現れない…どころか声もしない。スマホを見ると、いつのまにか16:00を過ぎていて日暮れ時となっていた。ここでタイム・リミット。

戻りしな、池越しにロッジ風の「鳥見亭」には明かりがともり夕刻の時間にまるで山間部の湖畔の宿のような雰囲気に観えた。「鳥はイマイチだったけど、いい場所だね」と連れ合い。「鳥見亭」の入り口に到着すると先ほどのボランティアの女性がちょうど出てきた。呼びとめて観察できた鳥の種類の報告と情報の御礼を言って駐車場まで戻った。
ここからは、本来た長~いルートを千葉まで戻ることになる。車に乗ると2人とも自然と溜息が出るのであった。



画像はトップがトラツグミ。下が向かって左から井頭公園風景2カット、人に慣れたカモ類、池の木の枝で休息するマガモ、カワセミ、ビンズイ、夕方の鳥見亭。



                  



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356.『木の鳥グランプリ』の審査員をしました。

2019-01-12 18:06:56 | イベント・ワークショップ
年末年始が慌ただしくて投稿が遅れてしまったが、昨年末12/21~12/23にかけて東京、足立区の千住ミルディスで開催されたバードカーヴィングのコンペティション『2018 木の鳥グランプリ』の審査員として参加してきた。

昨年から新しく始まったこのコンペの趣旨は「この大会は、バードカーヴィング(鳥の彫刻)を愛好する者が一堂に会してその作品を発表し、芸術性を競う場です。この大会を通じ、バードカーヴィングの普及と技術や表現力を高めることを目的とします」と開催要項に書かれている。

バードカーヴィングはアメリカを始めとして英語圏、カナダ、イギリス等の国々で盛んな立体アートの分野で、名前の通り野性鳥類を題材とした木彫刻作品である。特にアメリカでは歴史が古く19世紀の中ごろに発祥した。元々は、狩猟の囮としてのデコイ(カモの形をした木彫の浮き)から始まり、野生生物の保護上から狩猟対象としてではない鳥の写実的な木彫刻として発展してきたようである。つまり剥製の代わりのアート作品として生れたというわけである。1970年代後半以降、日本やアジア圏でも紹介され、制作者も増えつつある。

バードカーヴァーではない僕がこのコンペの審査員として呼ばれた理由は声をかけていただいた主催者の方々の話では「鳥の木彫刻以外の作家の目からみてどう見えるか、どう評価されるか」ということだった。当然、審査委員の中にはプロのカーヴァーも入るのだが、できるだけいろいろな観点から総合評価をしたいということである。
審査委員のメンバーとしては、叶内拓哉(野鳥写真家)・川上和人(鳥類学者)・鈴木勉(バードカーヴァー)・長島充(版画家)・松村しのぶ(造形作家)・松本浩(バードカーヴァー)の6名となっている。

応募部門は、①ステップアップ部門(初心者対象)、②コンペティション部門(上級者対象)、③ウッドスカルプチュア部門(自由な発想の木彫刻)という3部門に分かれていて、それぞれにライフサイズとミニチュアサイズのカテゴリーがある。僕が担当したのは②の上級者対象部門であった。12/21の夕刻には審査前のオープニングセレモニーがあり、このセレモニーと12/22の審査会に出席させていただいた。

22日、審査会当日の午前中、審査にあたっての注意事項の説明があり、昼食を挟んで、整然と多くの出品作の展示される広い会場に移動し審査会となった。各部門3名づつが審査する形式だが、僕が担当したコンペティション部門は他に野鳥写真家の叶内氏とプロカーヴァーの鈴木氏の3人で審査にあたった。鳥の生態、形態に詳しい叶内氏が実際の羽衣や羽の枚数、周囲の環境との整合性等を、僕が作品構成や美術造形物としての完成度を、鈴木氏がプロのカーヴァーとして専門的な技術面を主にチェックし総合的に上位作品を絞り、受賞作品を決定して行った。今回、出品作の合計は100点弱であったが力作、労作が多く、なかなか最終的な判断を決め兼ねる場面もあった。上位5-6名を選出してからの絞込みには時間がかかったが、審査員、スタッフ一同、納得できる作品に入賞を決定できたと語っている。ほぼ差がないところまで絞られ、最後に決め手となるのは結局はちょっとした「運」ということもあるのだなとつくづく感じたのだった。

僕はバードカーヴィングの審査というのは今回が初めてだが、平面作品(版画)とはいえ同じ野鳥をモチーフとして写実的に表現、制作している立場から参加させていただき、たいへん」刺激となり参考となる部分のある体験となった。
まだ日程は調整中だが今月か来月には審査員、スタッフ全員が出席する反省会もあり、次回に向けてのビジョンなども話し合われる予定である。このブログをご覧いただいている方々の中でバードカーヴィング作品をすでに制作されている方、あるいはこれから制作してみたいと思っている方がいらしたら是非、次回の「2019 木の鳥グランプリ」に揮って出品していただきたい。 


画像はトップが審査会場風景。下が向かって左からコンペポスター、審査会場風景、コンペティション部門のライフサイズ、ミニチュアサイズの各グランプリ作品とそのアップ画像、審査委員5名のスナップ(叶内氏は野鳥写真の講演会の最中で写っていない)。



                  

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355.2019年、新年明けましておめでとうございます。A Happy New Year !!

2019-01-01 06:10:40 | 日記・日常
2019年、平成31年、新年明けましておめでとうございます。今年も昨年に引き続き大晦日のご挨拶から続けて画像投稿いたします。ブロガーの皆様、SNS友達の皆様、本年もどうぞよろしくお願いいたします。今年もマイブログやSNSに画像投稿を続けて行きますので変らずお付き合いください。

皆様にとって新たな年が明るく良い年となりますようお祈りいたします。大晦日のブログにも書きましたが、もう一度。どうか、この小さな青い星『宇宙船地球号』の自然環境が全ての生物にとって良好に保たれていきますように。そしてこの地球上のすべての人々が争いごともなく平和で幸福に過ごすことができますように。

I wish that your 2019 becomes a good year. And wish that all people on this earth can live happily and paecefully.

今年は日本も5月に新元号に変る年です。平成生まれが今年で30才となります。僕が子供の頃、大人たちがよく口にしたフレーズで「明治、大正、昭和の三つの時代を生き抜いてきた明治生まれの人は気骨がある」などと言われていました。他人ごとだと意識もしないで生きてきたらいつの間にか僕らの世代も「昭和、平成、〇〇を生き抜いてきた人」と呼ばれようとしています。この気骨という言葉は「自分の信念を守って、どんな障害にも屈服しない強い意気」を現わす美しい日本語です。今年は新たな時代の幕開けでもあります。昭和の戦後生まれも明治の人たちに劣ることのない信念を持って生きようではありませんか。

今年は僕も4月から5月にかけて故郷の公共美術館での個展を予定しています。初めての公共美術館での個展です。美術家人生の1つの節目ともなる展覧会です。普段、画廊などでの個展ではできない内容の展示をしようと計画を進めています。また会期が近づきましたらブログやSNSでお知らせしようと思っていますので、詳細はその時までお楽しみに。そしてどうか個展会場でリアルでご高覧ください。

今年の新年の画像も工房に近い、名刹、成田山新勝寺の境内で撮影したものです。昨年暮れの28日『納めの不動』という法要に参列してきました。そしてすでに画像のように新年に備えたお飾りも観ることができました。

では、皆様、どうか穏やかで素敵なお正月をお過ごしください。

画像は新年のお飾りをした成田山新勝寺。


            






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354. 2018年 一年間ありがとうございました。

2018-12-31 16:25:03 | 日記・日常
2018年も今日で終了。毎年恒例となりました大晦日のご挨拶です。

ブロガーのみなさん、SNS友達のみなさん、今年一年間、マイ・ブログの画像投稿にお付き合いいただきありがとうございました。たいへん感謝しております。今年の日本は例年になく天災が多く、厳しい気候の年となりました。みなさんにとってはどんな一年間だったでしょうか。僕は皆さんの明日からスタートする2019年が実りの多い良い年になりますよう願っております。

どうか、この小さな美しい青い星『宇宙船地球号』の自然環境が全ての生物にとって良好に保たれますように。そしてこの地球上の全ての人々が争いごともなく平和で幸福に過ごすことができますように。

To my overseas friends, Thank you very much for this year.

I wish that your 2019 becomes a good year. And I wish that all people on this earth can live happily and peacefully.

画像はフランスの画家、ジョルジュ・ルオ-による1937年作の油彩画『日没』とその部分図です。この絵の制作ノートにルオーはこう書いています。「プリミティブな風景画の背景は、人物たちの姿と完全に結合して、しかも偉大さを持っている」と。

ルオーは、同時代のオディロン・ルドンやギュスターヴ・モローと共に僕が精神的に強く影響を受けた画家の1人です。20世紀のこの時代に絵画作品としてキリスト教をテーマとすることは「古い」と言われ、描き続けることに勇気と忍耐が必要だったと思います。それを彼は深い信仰心と独自の画風を持って貫き通しました。この姿勢こそ敬愛すべきことであります。



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353.伊豆沼・内沼、雁類 取材旅行 その三(最終回)

2018-12-29 17:46:58 | 野鳥・自然
11/29、27日からスタートした宮城県伊豆沼周辺での『野鳥版画』制作のための、野生雁類の取材も三日目、最終日となった。

この日はレンタカーの返却時間や新幹線に乗車する時間もほぼ決まっているので案外時間があるようでないだろうということで、朝から「蕪栗沼」の周辺を時間の許す限り集中して観察、撮影して回ることに決めていた。

<蕪栗沼の雁類の塒出を観察>

初日の日入り時間に蕪栗沼の雁類の塒入りのショーを観に行った時に地元の親切なカメラマンから「塒入りもいいけど、早朝の塒出の飛翔も素晴らしいよ。一度、観に来る価値は十分ある」とアドバイスをもらっていた。
午前、4時29分辺りが暗いうちに起床、宿の外では伊豆沼の雁類が鳴き始めている。準備をして食事もせずチェックアウトし5時31分に出発、まっしぐらに蕪栗沼へと向かう。6時4分に蕪栗沼の南東岸の駐車場に到着する。誰もいない。望遠鏡やカメラを三脚にセットし沼の土手を歩いて行く。塒入りの時と同様に水面が見える場所に出たら待機する。東北の早朝の野外は「寒い」。チョウゲンボウが沼の外の電柱にとまり、アリスイがヨシ原の中で鳴いた。水面に浮かぶ雁類は想像していたよりも少なく感じた。たぶん塒入りしてからはヨシ原の中に入ってしまうものもあるんだろう。
しばらく待って周囲が明るく白み始めると雁たちの鳴き交わす声が落ち着かないように聞こえ始めた。するとマガンの第一陣が飛び立った。かなり数は多い。スマホの動画で写してみる。「あっちの数が凄い!」連れ合いが叫んだ。夢中で写しているうちに沼の北側のヨシ原から続々と雁類の群れが飛び立っていく。小さな群れ、大きな群れ、雁類特有の棹型になって沼を出て行く。しばらくしてシジュウカラガンの大きな群れが出て行くのが観察できた。夢中で飛翔姿を追い、カメラのシャッターを押し続ける。まるで僕たち二人が立っている土手が客席で沼とその上の空が大がかりなショーの舞台のようでもある。そして沼の周囲からはオナガガモの大きな群れが逆にヨシ原に塒入りするのも観察できた。雁とは逆に夜行性のカモたちが戻ってきているのだ。沼の水面の雁類の最後の群れが飛び立ち、すっからかんになった頃、スマホで時間を観ると7時35分となっていた。
タカの仲間のチュウヒが1羽、ヨシ原上をゆうゆうと飛翔し、ベニマシコが1羽鳴きながら飛んで行った。

<沼周辺の干拓地で雁類を観察>

塒出を堪能した後、蕪栗沼の北側のオオヒシクイの採餌ポイントへと移動する。土手から広い干拓地を一望できる場所である。双眼鏡で丁寧に観て行くがお目当てのオオヒシクイの姿は見つからない。ちょうど年度末の工事なのだろう。干拓地にはダンプやらクレーン車、ブルドーザーが入っていて忙しく動いていた。それらの音も大きい。おそらく採餌場を変えてしまったのだろう。コンロで湯を沸かし朝食を済ませてから次のポイントへと移動する。
沼の東側のマガンやシジュウカラガンの採餌場となっている情報を得ている干拓地に着く。広い干拓地の車道を雁類の群れを探しながらゆっくりと徐行して行く。いくつかのマガンの群れと出会い撮影しているうちにシジュウカラガンの30羽ほどの群れに遭遇した。距離も比較的近いし警戒していない。光も良くてしばらく車の中からカメラを構えて撮影させてもらった。

<再び蕪栗沼の土手へ>

12時44分、早朝に塒出を観察した沼の南東岸に再び戻る。沼の水面には結構マガンやシジュウカラガンが戻ってきている。早く餌場に向かった群れが休憩に戻ってきているのだろうか。土手の上から望遠鏡越しに観察していると飛翔する鳥影が横切った。雁たちが、ざわつき始めた。ヨシ原を低く♂の美しいハイイロチュウヒが飛んで行った。しばらくして沼の上空にタカ類の飛翔するシルエットが観えた。双眼鏡で追うとオオタカである。さらにチュウヒも2個体、飛んでいるのが観察された。なるほどタカが飛ぶ時間帯なので、これを嫌う雁類が落ち着かないようすだったのである。

<沼の中央道を歩いてみる>

13時22分、駐車場に戻り昼食をとる。目の前の電柱にタカの仲間のノスリがとまっていた。食事を済ませて、まだ帰りの時間には余裕がある。「沼の中央に作られたヨシ原の中の道を歩いてみよう」ということになり。腰を上げた。土手をぐるっと左にまいて歩いて行く。中央の道を進むがヨシの丈が高くて視界は悪い。それでもオオジュリン、ウグイス、エナガ、ツグミなどの小鳥類が観察できた。沼の中ほどまで来ると水面が少し見える場所があった。この辺りでチュウヒが3羽ゆったりと飛翔していた。時間を見ると15時30分、ここらでタイム・リミットとなった。


御名残惜しいが、ここからJRの「くりこま高原」駅へと向かう。途中、南方町の「道の駅」で家で留守番をする娘に郷土のお土産を買った。駅に着いたのは17時22分ですっかり周囲は暗くなっていた。3日間、足早に忙しく撮影取材してきたが帰りの新幹線の座席に着くと何とも言えない充実した感覚が蘇って来た。次回いつ来れるかは解らないが、また仕切りなおして、あの雁類のつぶらな瞳に会いに来よう。

画像はトップが蕪栗沼での雁類の塒出。下が向かって左から雁類の塒出3カット、マガンの群れ2カット、シジュウカラガン2カット。



                  










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352. 伊豆沼・内沼、雁類 取材旅行 その二

2018-12-20 18:13:33 | 野鳥・自然
11/28、カラスがカァ~ッ、で目が覚めた。宮城県の伊豆沼・内沼周辺での『野鳥版画』制作のための、野生雁類の取材旅行の二日目となる。

この日は日の出前の午前四時頃より準備を始め、朝食抜きで伊豆沼の西岸の土手ポイントへと直行する。昨日、サンクチュアリ・センターのS氏より教えていただいた朝日と雁類の塒出
を観るためである。土手ポイントは宿からも近く、車だとすぐに着いた。駐車スペースには、すでに先客の車が4-5台止まっていて、土手にはカメラの三脚がいくつも並んでいた。
遅れてはならないと、こちらもカメラと三脚、観察用の望遠鏡などをセットして空いている場所に並んだ。周囲の人たちの話を聞いていると、どうやら鳥関係の人というよりも風景写真の人が多いようだ。スマホで時間を確認すると5:56だった。

<伊豆沼の日の出と雁類の塒出の観察>

11月とは言っても下旬、北国の早朝である。普通に寒い。寒さをこらえて土手で待っていると少なかった雁類の声が徐々に増えてくる。その多くはマガンのようで例によって" カハハン、カハハハ~ン " と沼の静かな水面に響き渡っている。その声がどんどん大きく響くようになると沼中央に浮かんで休んでいた雁たちのようすが落ち着かなくなって来るのが土手の上からもよく解る。すると隣の男性が「昨日は塒からの出方がばらけていたけど今日はいいかもしれないな…」と、コートのポケットに両手を突っ込んだまま呟いた。おそらく「リタイア世代」で近所から毎日来ているのだろう。
沼中央の雁類の塊をジッと凝視していると東の低い山並の上がオレンジ色に明るく変化してきた。しばらくして太陽が頭を見せると水面にオレンジ色の一条の光が差し込んで実に美しい情景が浮かび上がってきた。その光の中を雁たちが水面を忙しそうに行ったり来たりしている。パッと、第一陣の雁の群れが飛び立った。土手の上ではカシャカシャとカメラのシャッター音が一斉に鳴り出す。雁たちの群れも続いて小群になったり、大群になったりして所謂「雁行・がんこう」の棹の形になって次々と飛び立ち始めた。これと同時に太陽の位置もグングンと登って行き、あっと言う間にまん丸い姿を現わした。僕も土手の上で必死にシャッターを押していたが、あまりにも飛翔する数が増えてくると、昨日の蕪栗沼での「塒入り」と同様にボー然と立ち尽くすのみとなってしまった。そんなに長い時間ではなかった。沼がすっかり空っぽになった頃、スマホを確認すると7:25だった。

宿に帰り、連れ合いと地形図を眺めながら、今日のスケジュールを確認する。この日は伊豆沼・内沼周辺の「雁のいる風景」を中心に取材することとした。

<再度、カリガネを探す>

昨日の行程のトップに出会った小型雁類、カリガネのつぶらな瞳が忘れられなくて、これだけは今日も探すこととなった。昨日と同じく沼の東側の広大な干拓地を車で移動して行く。
昨日の場所には目標とするマガンの群れが降りていない。車を降りて干拓地の端っこから双眼鏡で舐めるように一枚一枚、水田を観ていく。諦めかけた頃、昨日とは別の水田に大きなマガンの群れが見つかる。目算で500羽程はいるだろうか。「この中にはきっとカリガネが入っているでしょう」連れ合いが呟いた。
干拓地でお目当ての野鳥を見つけたら、とにかく徐行運転。ソロリソロリとゆっくり近づいていく。少しづつ、ジリジリと距離を縮めていき、なんとかマガンの大群の真横に着けることができた。ここからは鳥たちを驚かさないよう車の中から音を立てずに、焦らず探して行く。「群れを見つけたらその端っこの方を観るといい」とS氏からアドバイスされていたので端を集中的に観て行くと…「いた!」またもや成鳥が2羽。「昨日と同じペアかな」と連れ合い。しばらく撮影させてもらい、昼食を簡単に済ませてから次のポイントへと移動。

<内沼でオオヒシクイを観察する>

カリガネとのしばしの再会を楽しんでから真っ直ぐに内沼へと向かう。ここは水面にオオヒシクイが観察されるという場所である。途中、緩やかな起伏のある里山の丘陵地を抜けていったのだが、日本の原風景的な景観が実に美しく好ましかった。30分弱で内沼の北側の駐車場に到着。車を降りて岸辺を歩き始めた。水際と岸辺には約500羽のカモ科、オナガガモが休んでいた。餌付けされているのだろうか、近づいても逃げるようすはなかった。
さて、オオヒシクイがいつも観察されているという広いヨシ原の前あたりの水面を双眼鏡で探して行く。結構遠いが黒っぽい水鳥の大きな群れが逆光気味の中にみつかった。望遠鏡をセットして詳しく観察するとオオヒシクイであることが判明した。目算で約100羽。この沼には他に鳥影が観られず、道路の向かいの「昆虫館」で世界の甲虫の標本を見てから14:10、次に移動する。

<伊豆沼の北部干拓地で雁類とオオハクチョウの餌場を観察>

次に向かったのは伊豆沼の北側にある雁類とオオハクチョウが昼間の餌場としている大きな干拓地である。14:45頃、干拓地を一望できる土手の上に造られた農道に到着する。双眼鏡で探すと距離は遠いが雁類とオオハクチョウの大きな群れが休息したり餌を採ったりしているのが解る。こうした環境での主な餌はコンバインで稲を刈り取った後の「落穂」で特別給餌はしていないのだということだ。さすがに東北の「米所」、落穂だけで十分に雁たちを養って行けるのである。
それにしてもカウントこそしなかったが、たいへんな数である。望遠鏡でじっくりと観て行くが雁類は、ほぼマガンだった。マガンに比べるとずっと数は少ないが体が大きく真っ白なオオハクチョウはよく目立っていた。時折、マガンの声に交じって" コホーッ、コホーッ" と、よくとおる声で家族が鳴き交わしていた。しばらく、農道を車で移動しながらマガンとオオハクチョウの群れに遊んでもらってから次のポイントへ移動する。

<伊豆沼の東岸で雁類の塒入りを観察>

この日のシメは伊豆沼での雁類の塒入り観察。15:40、塒入りの観察ポイントである北東岸の土手に到着した。車を降りてカメラや望遠鏡をセットし、観察を始める。着いてしばらくは水面を観ていっても、大した数の雁類、ハクチョウ類は入っていなかった。それが、待つこと20分、16:00を過ぎた頃から、北側と東側を中心に上空を雁の小群や大群が鳴き交わしながらゾクゾクと入って来始める。ほとんどがマガンである。僕らの立っている土手の対岸のヨシ原や水面に次々に吸い込まれて行った。日没後、16:35までの間に、天候は曇り空だったが十分にその数を堪能することができたのだった。

ここでタイムリミット、二日目の取材は終了。この日、東北の大地と、空と、水と、光と、そして鳥たちが織り成す大きな一枚のタペストリーを体感することができたのだった。明日は取材の最終日、今度はどんな場面が待っているのだろうか。

画像はトップが伊豆沼の日の出風景。下が向かって左から伊豆沼の雁類の塒出飛翔2カット、小型のカワイイ雁類カリガネ、内沼のオナガガモの群れ、伊豆沼北側干拓地で休息する雁類とオオハクチョウ、オオハクチョウのペア、広い干拓地上を大群で飛翔する雁類、伊豆沼に塒入りした後、水面に浮かぶ雁類。



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351. 伊豆沼・内沼、雁類 取材旅行 その一 

2018-12-08 19:19:04 | 野鳥・自然
先月末、11/27から二泊三日で宮城県の伊豆沼・内沼周辺に『野鳥版画』制作のため、野生の雁類の取材旅行に行ってきた。恒例の冬の遠出取材である。今年の二月に鹿児島県の出水平野に野生のツル類の取材を終えてから、次の取材地はどこにするのか連れ合いと検討をしていたが「久々に雁行が見たい」ということで早くから候補地として計画していた。

伊豆沼や内沼など、宮城県の栗原市、登米市一帯の内陸湖沼や周辺の水田地帯は昔から国内外でも有数の野生の雁類の越冬地であり、現在では国際的な湿地の生態系の保存条約である『ラムサール条約』の重要な登録地ともなっている。
雁類はカモ目カモ科に分類される比較的大型の野生水禽類で日本では現在11種・7亜種が観察確認されている。冬鳥として日本にはユーラシア大陸の北部や北極圏地域などから毎冬、渡って来るのである。

<JR.くりこま高原駅から伊豆沼・内沼サンクチュアリ・センターへ>

11/27 取材一日目、朝4時代に起床、電車を乗り継いで上野駅から東北新幹線に乗車、目的地の「くりこま高原駅」にはAM:10時ジャストに到着した。駅からロータリーに出るとさっそく上空をマガンの家族が " カハハン、カハハハ~ン " と、やや哀調を帯びた特徴のある声で飛んでいった。周囲をよく見渡すと数十羽が飛翔しているのが観られた。
レンタカー店で車を借りて真っ直ぐに「伊豆沼。内沼サンクチュアリー・センター」へと向かった。出水平野のツルの取材の時にお世話になった高校の先輩で鳥の世界の先輩でもあるT氏に今回も現地の情報を聞ける雁類の専門家を事前に紹介してもらっていた。センターの研究員であるS氏である。S氏もは偶然にも千葉の高校の10期後輩であった。カモ科の水禽類の生態研究が専門である。
センターに到着するとS氏が迎えに出て来てくれた。挨拶も早々にセンター内のテーブルで鳥の話。初対面なのでまずはお互いの鳥の世界の共通な「ヒト」の話。かなり重なるところがあり二人で驚いてしまう。そこから伊豆沼周辺の雁類の越冬状況やポイントとなる観察地をいくつか伺った。やはり地元で調査研究している方はアドバイスが的確である。

<伊豆沼東部の広い干拓地・カリガネとの出会い>

名残惜しいがまたの再会を約束してS氏と別れ、最初の観察ポイントへ移動。11月下旬、晩秋の里山の風景が美しい。工房のある千葉県の印旛沼周辺の里山によく似ているがそ、その規模はとても広く大きい。平野部といってもまったく平というわけでもなく、なだらかな丘陵地が車で走っていて心地よかった。
ナビゲーターを頼りにS氏から教わったポイントに到着。見渡す限りの広大な干拓地(水田)である。最初の内、雁の群れが見つからない。干拓地の真ん中あたりに到着。遠くに黒っぽい塊が見えたので双眼鏡で確かめると雁類の群れである。ゆっくりと車を徐行させ近づいていくと採餌中のマガンの大きな群れだった。周囲を良く観るといくつか大きな群れが降りている。ここからは車を降りずに車窓から観察する。降りるとドアの音で鳥が驚いて飛んでしまうからである。1羽1羽丁寧に双眼鏡で観察して行く。「いた!」連れ合いが静かに言った。「どこ?」「手前の群れの一番右!」言われるがまま双眼鏡で追うと…、いたいた、畔の上に雁の1種のカリガネの成鳥が2羽。マガンより一回り小さく嘴の基部の白色部が頭頂まで達し、黄色いアイリングがよく目立つチャーミングでかわいらしい雁である。歩いたり、空のカラスに警戒したり、伸びをしたり、ゆっくりとその姿を堪能させてくれた。この後、干拓地の空き地でコンロでお湯を沸かし、遅い昼食をとってから次のポイントへと移動。

<蕪栗沼周辺の干拓地・多くの雁類の採餌場・シジュウカラガンとの出会い>

二つ目の観察ポイントは伊豆沼・内沼に並んで多くの雁類の塒(ねぐら)となっている蕪栗沼(かぶくりぬま)周辺の干拓地。ここはかなり多い数の雁類が採餌場としている。結構距離を走ってポイントに到着する。土手の上の道路から広い干拓地を見渡すことができる場所である。とても大きな群れがついていた。マガン、マガン、マガン、見渡す限りのマガンである。双眼鏡で端から見て行く中、1羽の真っ白い鳥が目に入ってきた。距離は遠い。「もしや!」と思い高倍率の望遠鏡をセットし、じっくりと観察すると「ハクガン」であった。
しばらく観察してから蕪栗沼へと移動する。途中、マガンの群れをみつけては徐行し双眼鏡を向けてみた。農道のコーナーを曲がる時に前方にマガンのまとまった群れを発見、よくみると違う種類が混じっている。丁寧に観て行くと首から頭部にかけての白と黒のコントラストが美しい「シジュウカラガン」である。車の中から撮影する。数えると30羽ほどがいた。

<蕪栗沼・雁類の塒入りを観察する>

最後の観察ポイントは、この日のメインイベント「日入り時の雁の塒入り」である。15:35、蕪栗沼の小さな駐車場に到着。この塒入りを目当てのカメラマン5-6人がすでに集まっていた。バーダーというわけでもなさそうである。ここから、観察・撮影機材を担ぎ、沼の土手を歩いて水面が見える場所まで移動する。さすがに少し寒くなってきた。
ヨシ原越しに水面が見える場所に到着するが、マガンの数はまばらである。少し大きい雁がいたのでスコープで確認すると亜種オオヒシクイが25羽ほど見つかった。オオハクチョウも50羽ほど入っているが、まだ塒に入っている数ではない。待つこと1時間弱。そろそろ日の入りである。" カハハン、カハハハ~ン " いくつかのマガンの群れがさまざまな方角から入って来始めた。一つ一つの群れを追っているといつの間にか少し奥の空に大きな群れがこちらに向かって来ている。いちいちその数に驚いているうちに、どんどんとその数は増し、こちらももうあきれて口を開けて眺めているだけになる。その数は目算だが万羽単位だと思う。家族同士で行動する雁が迷わないように合図しているのだろうか、周囲はいつの間にか雁類の鳴き交わす声で騒がしいほどに溢れかえっていた。陽が落ちて周囲が暗くなってきてからも、どんどん塒入りしてくる。この光景は強烈に網膜に焼き付けられた。初日から感動的でダイナミックなシーンを観せてもらった。

結局、この日のうちに伊豆沼周辺で観察できる雁類、マガン、カリガネ、ハクガン、シジュウカラガン、ヒシクイの5種を観察してしまった。S氏の的確なアドバイスに感謝である。明日からはもう少し余裕を持って風景を含めて取材できるだろう。塒入りの熱い興奮が冷めないでいる状態のまま、宿である「伊豆沼ウエットランド交流センター」へと向かった。

画像はトップが夕陽に染まる蕪栗沼の雁類の塒。下が向かって左から蕪栗沼の夕景、マガンの大きな群れ、マガン、カリガネ、シジュウカラガン。



            



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350. 絵画作品『文鰩魚・ぶんようぎょ』を制作する。

2018-11-24 18:19:41 | 絵画・素描
前回の絵画・素描の投稿作品『夜の天使』に引き続き今度は中国の伝説の怪魚『文鰩魚・ぶんようぎょ』の絵画作品を制作している。西洋のローマ辺りから中国大陸に想像力によって、トリップしたというわけである。なかなか忙しい。

中国の古から伝わる神話や伝説の中にはさまざまな怪魚、巨魚が登場する。その中で今回の画題としている『文鰩魚』は前漢代初期の古文書『山海経』の中の「西山経」・「西次三経」の中に登場する有翼の怪魚である。その書物の中に「泰器の山。観水がここから流れて流沙に注ぐ。この川に文鰩魚が多い。形が鯉に似ていて、体が魚で鳥の翼をもち、青黒い斑点があって、頭が白く口が赤い。いつも西海の中を泳ぎ、東海へ出かけるには夜のうちに飛ぶ。鳴き声が「鸞鶏・らんけい」に似ている。味は酸味と甘味があり、これを食べれば狂気が治る。この魚が姿を現わすと天下は豊作となる」と書かれている。

つまり、吉兆のしるしとなる怪魚というわけである。それにしても、あたかも食べたことがある様に詳しい味までもが書かれているのは驚きである。

そういえば、16世紀の北ヨーロッパ・フランドル地方の画家、ペーテル・ブリューゲルの絵画や銅版画の中にも翼を持った怪魚や空を飛ぶ怪魚が脇役のキャラクターとして登場する。ここでもシルクロード文化圏の長い歴史の交易の中で「有翼の怪魚」のイメージが伝搬されて行ったのだろうか。どちらが先祖かは解らないが、きっとそうに違いない。いや、案外イメージの原型はグリフォンと麒麟の時のようにペルシャ辺りに存在するのかも知れない。

昨日はローマ、今日は長安(西安)と想像の時間と空間の中をトリップし、次作はいったい、どこの国へと旅立とうか。もう少し『文鰩魚』の完成度があがって来ないとハッキリとは行く先が見えてこない。


画像はトップが制作途中の絵画作品『文鰩魚・ぶんようぎょ』の部分図。下が向かって左から同じく部分図(尾ひれ)、中国の古文書(和訳本)に登場する文鰩魚の挿絵、色彩を深めるために制作に使用している固形水彩絵の具、水彩画筆。



         



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349. トロンボーン・JAZZ を聴く日々。

2018-11-17 18:11:03 | JAZZ・ジャズ
土曜日の午後は音楽の話題。そして絵画や版画を制作する最中に聴いているBGMの話題である。

これまで40年以上、聴き続けてきたJAZZだが、50才前後を境目として同じJAZZでもそれまで聴いてきた激しくアグレッシブな演奏ではなくシットリマッタリ?系の演奏へと趣味が変わってきたという話は以前にした。

例えば、最近ではビル・エバンスのピアノ曲やジョー・パスのギターソロ曲などを聴いていることもご紹介してきた。その流れでここ数か月間ではまっているのが『トロンボーン』による演奏なのである。
管楽器はモダン・ジャズの花形と言えるが、煌びやかなトランペットの音や激しくブローするサックスの音に比べると同じ管楽器と言っても決して華やかな存在とは言えない。だが、他の管楽器には真似することができないゆったりと伸びやかな音の魅力があるのである。そして1950年代には「3管セクステット」という6人編成のスタイルも確立しているのである。つまりトランペット、サックスにトロンボーンを加えた3管編成にピアノ、ベース、ドラムスというリズム・セクションによるゴージャスな編成である。この形式、ファンキーやハード・バップと言われたモダン・ジャズスタイルの中でさかんに演奏され、数多くの名盤が生れたのである。

話は変わるが、20代後半まで住んだ千葉の街にジャズのライブハウスがあった。小さなお店だったが、ここにはピアノの山下洋輔、アルト・サックスの坂田明といった当時売れっ子のプレーヤーたちがライブ演奏に来ていて、30代頃まで、よく通っていた。その中に日本を代表するトロンボーン奏者の向井滋春さんがいた。ライブを聴きに行って終了後に同席してお酒を飲みながらお話しする機会があったのだが「トロンボーンは日本人には向いていない楽器なんだよ。何故かと言うと欧米人よりもリーチが短いのでスライド管を目いっぱい延ばす動きに苦労するんだ」ということを言っていて興味深かった。向井さん自身もリーチは短い方だという。それでもライブハウスで聴いた演奏はいつも素晴らしいものだった。その時、僕は「コンプレックスを情熱によって克服した人間は強い」と妙に納得できたのをよく覚えている。

さて、肝心の推薦プレイヤーと推薦盤である。1人目はやはり1950年代~1960年代にかけてのこの楽器のパイオニアとも言える名手、J.J.ジョンソン。『トロンボーンのディジー・ガレスピー』などとあだ名もついているほどの華やかな演奏スタイルである。推薦盤はその華やかさとは少し違うが、ワン・ホーン・カルテットによる『ブルー・トロンボーン』(
CBS)がこの楽器の伸びやかな音の特徴を生かし、リラックスした好アルバムとなっている。

もう一人もJ.J.とほぼ同時代のプレイヤーだが、ファンキーなムードの演奏を得意とするカーティス・フラー。推薦盤はテナー・サックス奏者で名コンポーザーとして知られるベニー・ゴルソンと組んだジャズ史に残る名盤中の名盤『ブルース・エット』(サヴォイ)である。ゴルソン作曲の名曲<ファイヴ・スポット・アフター・ダーク>や表題曲の<ブルース・エット>などのベテランコンビならではの快演を聴くことができる。

ちょっと、長くなったが、ブロガーのみなさんも是非、秋の夜長にトロンボーン・ジャズを聴いてみてください。


画像はトップがJ.J.ジョンソンのポートレート。下が向かって左からJ.J.ジョンソンの推薦盤『ブルー・トロンボーン』、カーティス・フラーの推薦盤『ブルース・エット』、同じくカーティス・フラーの1970年代録音の『クランキン』の各CDジャケット。


      






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348. 絵画作品『夜の天使』の制作を再開する。 

2018-11-10 17:47:23 | 絵画・素描
先月の12日、新作絵画個展が終了してからそろそろ一か月が経とうとしている。

数年間描き貯めた作品を個展で一挙に発表した後というのが、なかなか元のペースに戻れない。一度、気持ちが高揚し、心が気球のように空高く上り詰めてしまうとその高度から下りてくるのに時間がかかるのである。

気分転換に人に会ったり、映画を観たり、音楽を聴いたり、自然観察をしたり…と、いろいろ、あの手この手で気持ちの切り替えを図るのだが簡単には行かない。何か足が地面に着いていないようなフワフワとした宙ぶらりんの状態が続くのが常なのである。そしてこれもいつも行き着くところは「そうだ、新作を描こう」ということになるのである。エカキの「業」というのであろうか結局は絵を描き始めないと元の大地に不時着できないのである。

と、いうわけで先月の下旬頃より、ようやく新作絵画の制作に取りかかったのである。「まずはウォーミングアップから」ということで、今回の個展に出品しなかった未完成作品を仕上げることにした。以前ブログにも制作過程をご紹介したが、7~8割描き進めていた『夜の天使』と題した西洋の天使(エンジェル)をモチーフとした作品に加筆を始めた。
不思議なもので画面に向かって絵筆を動かし始めるとそれまでフワフワと浮ついていた心が徐々に肝が据わるというのか、落ち着いてくるのである。

聖書によると「天使(エンジェル)は、この世界が生まれる前から存在していて空中に満ち溢れている」と説かれている。これはどこかで読んだような気がする。そうだ大乗仏教の仏典に登場する観音菩薩である。「観音信仰」で有名な観音菩薩は浄土に昇れる仏格なのだが、敢えて地上に留まり、いろいろな人物に変化しながら衆生救済に走り回っていると説かれているのだ。そしてその数は虚空に遍満しているとも言われている。ヨーロッパも中東、インド、中国もシルクロード文化圏の点と線で繋がっている。ひょっとして天使と観音菩薩はルーツを辿ると同じ聖者だったのかもしれない…と、妄想を膨らませてみた。

秋の深まる中、ようやく僕の絵画制作が再開された。次のゴールはまだまだ先が見えない。


画像はトップが制作中の『夜の天使』の部分。下が向かって左から制作中の手、固形水彩絵の具、筆、イタリア・ルネサンスのアンジェリコとベッリーニ作「天使」の絵画作品部分図。


            







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347. 公立美術館に個展の打ち合わせに行く。 

2018-10-26 18:15:47 | 個展・グループ展
10/25。千葉県市川市にある市川市立『芳澤ガーデンギャラリー』に来春の個展の打ち合わせに行ってきた。

市川市は僕の生まれ故郷である。途中、下宿などもしたが実家に28才まで暮した想い出深い町だ。今年の年頭に担当学芸員のT女史から個展開催のオファーをいただいたのだが、画廊や他の公共施設などを除けば故郷の美術館での人生初の展覧会となるので、もちろん二つ返事で引き受けた。

故郷と大げさに言っても現在の住まいから京成という千葉と東京を結ぶ私鉄電車に乗り1時間弱で行くことができる。市川の町にはこれまでも時々は同級生や友人に会いに行くことがあるのだが、今回、久々なので帰りに「町ウォーク」も兼ねて仕事のサポーターでもある連れ合いと打ち合わせに行くことにした。

京成電鉄の市川真間駅を下車、少し早く着いたので途中「手児奈霊神堂」という小さな伝説の池がある名所のお堂をお参りし、境内で休憩してから美術館入りした。ゆっくり歩いて15分程度だったろうか。約束時間を少し過ぎた頃、受付で声をかけると担当学芸員のT女史がすぐに出てきてくれた。

事前にメールのやり取りである程度は内容を把握はしていたので、さっそく展覧会の具体的な打ち合わせに入る。今回はここ数年間連続で開催されている「市川市ゆかりの作家たち展」という企画の一環として女流洋画家の方と会場を二分しての展示となる。
まずは展示スペースの説明から始まり、今までの展覧会の例や個展までのザックリとしたスケジュールなどの話へと続いた。そして僕の個展内容の話に振られた時に「せっかく美術館という広い空間で展示していただけるのですから普段画廊等での展示ではできないことをやりたい…」と切り出し「現在、絵画では神話や伝説を主題とした幻想的な作風の作品を、版画では写実的な描写の野鳥の作品を制作していますが、この車で言えば両輪の表現を一つの空間で展示したい」とこの日まで考えていた構想をお話しした。反応を窺っていると、この希望に関してS女史からは「作家の意志で自由に展示していただきたい…その展示は是非観てみたい」との答えが返ってきた。まずは1つクリアー。

次に「この展覧会中に講演かワークショップを開いてほしい」という希望がS女史から出た。これにはお互いさまざまなアイディアが出たのだが、「ワークショップという方向で、一般の方々が目で見て版画の魅力がわかるように銅版画と木口木版画の摺りの実演をやってみてはどうだろうか?」という所に落ち着いた。その名も「ライブ・プリンティング」。これは他のイベント出演の時に「ライブ・ペインティング(ライブで即興で絵画を描くこと)」に対して苦し紛れに僕が名づけたものである。展示作品、ワークショップなどの内容がほぼ固まったので、学芸室から展示空間に場所を移しての下見会。現在はしない在住のキルト作家の展覧会が開催されていた。

13:00から始めて15:00を過ぎた。お言葉に甘えて大分ゆっくりしてしまったが、そろそろ帰りの時間。美術館敷地内で採れて乾燥させたという「銀杏」までお土産にいただいてしまった。

S女史と門で別れ、ここから先は徒歩で市川の故郷をゆっくり散策した。子供の頃に遊んだ神社や寺院は今も健在だった。実家があった場所まで行って観たが別の新しい家が建っていた。ここから真間川と言う川沿いに京成電鉄の「京成八幡」駅まで歩いたが、このコースは現在、首都高につながる外環道路を建設中で、。その周囲の風景は子供の頃とはすっかり変貌してしまっていた。

美術館での展示はどんな風になるんだろう。そしてまた新たな来場者との出会いとコミュニケーションが待っているのである。とても楽しみになってきた。まだ予定ではあるが以下が展覧会名と会期となる。詳細はまた時期が近づいてきた頃に御知らせ、投稿することにしよう。

市川市ゆかりの作家たち展『 長島 充 - 幻想と現実の狭間で -(仮称)』 2019年 4月12日(金)~5月6日(月・祝)市川市芳澤ガーデンギャラリー

画像はトップが芳澤ガーデンギャラリーの内部ホーール。下が向かって左から近くの手児奈霊神堂、美術館内と庭園のようす。



                   










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346. 長島 充 展 『 聖獣・幻鳥伝説 』 盛会の内、終了しました。 

2018-10-14 17:35:33 | 個展・グループ展
先月、9/29~10/12まで、東京銀座の青木画廊で開催していました僕の新作絵画個展『聖獣・幻鳥伝説』も無事盛会の内に終了いたしました。

展覧会の序盤は台風が接近してきたり、その影響で鉄道の塩性火災事故なども起こり、なかなかハードなスタートとなりましたが二週目からは天候も安定していたので来場者も方々も多くお見えになりました。
久々の絵画新作個展ということで可能な限り会場に詰めるようにしまししたが、今回の大きな特色としてはSNSでお知り合いとなった方々が多くご来場されたことでした。初めてリアルで作品をご覧いただく方、初めてリアルでお話した方もいらっしゃいます。在廊日に必ず数人はSNS関係の方がご来場されていました。新聞や雑誌など紙媒体に掲載されそれを見て来たという方よりも割合としてはとても多く隔世の感を抱いています。そのおかげか作品や作家に関しての質問や感想を数多くいただき、今までにないフレッシュなコミュニケーションの時間が持てました。そして、ありがたいことに最終日の終了時間ギリギリまで訪れる方々の流れは途絶えることがありませんでした。

青木画廊とは1999年からのお付き合いでもうすぐ20年となりますが、社長である青木氏からも「今回の作品は今までのあなたの作品の中で一番完成度が高かった…年を重ねるごとにステップアップしてきているよ」という嬉しいお言葉もいただきました。

今現在はまだ会場での熱が冷めないでおりますが、この緩やかな興奮状態から不時着するために、ボチボチまた新しい作品の制作を始めようかと思っています。

今回、会場にご来場いただいた方、作品をご購入いただいた方、そして企画をしていただいた青木画廊の青木夫妻、素敵なDMデザインを手掛けていただいたY.S氏、特別な額縁を制作していただいたS氏、その他、展覧会開催までにいろいろな面でお世話になった多くの方々に深く感謝いたします。ありがとうございました。

画像はトップが最終日の個展会場風景。下が今回の個展会場の展示のようす4カット。



          
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345. 長島充 新作絵画個展 『聖獣・幻鳥伝説』も折り返し地点となりました。

2018-10-06 18:27:07 | 個展・グループ展
9/29からスタートした新作絵画個展、長島 充 展『 聖獣・幻鳥伝説』もちょうど今週末で折り返し地点となった。

今回、久々の新作絵画個展ということで、なるべく在廊できる日は会場に足を運ぶようにしているのだが、途中、カルチャー教室の指導なども入るので一日おきぐらいだろうか。一応自分が在画廊できない日は画廊の方に状況を伺うのだが、毎日、絶えることなく多くの方々にご来場いただいているようである。
今回特筆すべきはフェイス・ブックなどSNS上で知りあいになった始めてリアルでお逢いする方々である。みなさん口々に「是非一度、リアルで拝見したいと思っていました」とか「実物を拝見するとぜんぜん雰囲気や質感が違います」という感想を話される。そう言われる理由として前回の個展からなのだが絵を描く基底材にネパールと日本の手漉き紙を使用していて描画材も顔料や墨など微妙なニュアンスが出せるものをふんだんに使用しているからだと思う。

テーマについてもよく質問を受ける。「よくこんなにイメージが次々に浮かんできますね。どういうところから持ってこられるんですか?」という質問が最も多いだろうか。それについては「シルクロード文化圏に伝承される神話・伝説からヒントを得ていて、偏ることなく世界中、様々な地域のものからインスピレーションを得ている」と答えている。

そんな熱心な来場者との毎日を過ごしているうちに個展も折り返し地点を迎えた。作品制作をしている期間はとても長いのだが、いざ展覧会に入るとあっと言う間に時間が過ぎて行く。展覧会は明日10/7(日)のみが休廊で10/12(金)までである。 まだご来場いただいていないアートファンの方々、こうした内容の絵画にご興味のある方々、是非、この機会に会場に足を運ばれリアルで「長島ワールド」をご高覧ください。会場では21点の聖獣と幻鳥たちがお待ちしています。

青木画廊:東京都中央区銀座3-5-16 島田ビル2F tel:03-3535-6858 http://aokigallery.jp 

画像はトップが個展会場風景。下が向かって左から同じく会場風景3カットと個展の看板。



                  




  
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344. 長島 充 新作絵画個展 『聖獣・幻鳥伝説』が始まります。

2018-09-28 18:23:25 | 個展・グループ展
以下、明日から始まる僕の新作絵画個展の御知らせです。


・展覧会名:長島充展『聖獣・幻鳥伝説』/ Mitsuru NAGASHIMA Exhibition " The Legend of the Holy Beasts and Phantom Birds "

・会期:2018年9月29日(土)~10月12日(金)/ 10月7日(日)休廊 平日 11:00~19:00 / 日祝 12:00~18:00 / 最終日17:00 迄

・会場:青木画廊 東京都中央区銀座3-5-16 島田ビル2F Tel 03-3535-6858 http://www.aokigallery.jp

・内容:西欧、中央アジア、インド、中国、日本等、東西世界に古より伝わる神話・伝説に登場するユニコーンや麒麟などの「聖獣」やフェニックスや白鷹などの「幻鳥」をモチーフ とした絵画」作品、21点を展示している。技法的には手漉きのネパール紙、和紙などに混合技法(水彩、アクリルetc.)によって描いた。

・入場:無料

・作家在廊予定日:9/29、10/1、10/3、10/5、10/8、10/11、10/12、の午後1時頃から在廊する予定です。会場でみつけたらお声をかけてください。

※初日、17:00頃~ささやかな酒宴などご用意しております。


全て未発表の新作絵画のみによる個展となります。幻想アートファン、絵画ファン、ファンタジーファンの方々、是非、この機会に銀座の散策を兼ねてご高覧ください。会場でたくさんの聖獣や幻鳥と共にお待ちしております。

画像はトップが出品絵画作品のうち、「麒麟図」。下が向かって左から「有翼の獅子」、「わし座」。



   
  
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